○國務
大臣(冨吉榮二君) 御承知のごとく、
逓信省の
会計は特別
会計でございまするが、この
独立採算制の問題はすでに
相当論議されておるのでありまするが、遺憾ながら現在のところ、運輸、逓信両方共それが実現していないのは全く事実でございます。長い間特別
会計は一般会者の方に御奉公をいたしておつたことは、すでに皆樣御承知の
通りでございますが、このインフレの昂進に伴いまして、諸種の悪條件が出揃いましたために、
只今では
相当の赤字を見込まなければ
経営ができないというのが実情であります。從いましてこの
料金の物價に対する、或いは賃金に対する
相当の
値上げということは当然過ぎる程当然な問題でございますが、現在のいわゆる千二百円の
ベースを以て決められたるところの
料金を以てしては、とても
独立採算など夢にも思われないし、今後サービス官廳として職責は果して行けないのでございまするから、私共は、これらの点に関しましては、どうしても財政の
建前からいたしましても、又現実の一般の均衡の上からいたしましても、
料金の引上げということは好ましいことではないけれども、止むを得ないことではなかろうかと、こういうふうに
考えてお
つて目下それを如何なる点に線を引くかということについては仔細に檢討中でございまして、閣議におきましても、この問題に対しましても具体的にまだ結論を得るに至
つておりません。御
指摘の全逓
從業員組合が、この問題に反対いたしましたことは全く遺憾でありまするが、事実でございます。而もそれらの
理由といたしまするところは、大衆課税であるというふうの
理由が立
つておるようでございまするが、私はどうもこの理屈には遺憾ながら納得できないのでございます。凡そ
通信料金の
國民の日常生活に及ぼす
影響、比重というものは決して大したものでないと私は
考えておるのであります。それよりも以上にこの國家財政が著しく損われつつあることこそ重大視すべき問題であると思いまするが、全逓の
從業員組合等におきましては、大衆課税反対というような抽象的な観念論が
相当支配したというふうにも受取られまするし、又一面から申上げますと、自分たちの最低賃金その他の生活改善に、
國民から取上げて
料金の釣上げによ
つて賄うのは、どうも組合が大衆から理解されにくい、愛されにくいとい
つたような政治的の含みも多少あるやに私は承
つておるのであります。併しながら大衆課税というふうにものを
考えること自体にも再檢討を加えられまするが、次に申上げましたような、政治的意図というようなことに相成りまするならば私はかくのごときことは断乎として排撃しなければならんということを
考えておるのでございます。併し問題は、その理屈で行けないというような議論が、このはき違えられた民主主義の下には随分行われ勝ちでございます。私は常に民主主義とは良識と叡智の上に立つところの納得と了解の形式であるということを、
從業員に対しても申しておるのでございまするが、理屈はあ
つてもなくても、なんでもかんでも
政府の言うことに反対だという行き方も、又或る方面の政治的意図の中には
相当強いようでございまして、私は熱心にこれらの問題に対して了解を求むるならば、一部にいわゆる爲にせんとする人は別でございまするが、
從業員の大多数は必ず
政府の、私共の意のあるところを理解して呉れるにやぶさかではないと、私は確信を持
つてこの問題に対しても十分に今後
從業員の協力を求めるべき努力をいたすつもりでございます。又一旦これらの問題を採上げまして閣
議決定の曉には、それらの組合やなんか如何なる反対をいたしましても、断々乎として私は臨む。そうして
國会において、
國民の輿論の府であり、國権の最高機関たる
國会の御承認さえ得れば、敢て労働組合がこの問題に反対しようと何しようと問題じやない。こういうふうな
一つの信念を以て進みたいと、こう
考えております。