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1948-08-30 第2回国会 参議院 通信委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年八月三十日(月曜日) 午前十一時二十分開会 ————————————— 本日の
会議
に付した事件 ○
放送法案
(
内閣送付
) —————————————
深水六郎
1
○
委員長
(
深水六郎
君) それでは
只今
から
通信委員会
を開きます。本
法案
につきましては、前回のときからいろいろ
質疑
をいたしたのでございますが、実際
地方
に廻
つて
いろいろに
意見
も聽いて参りましたのでその点、その他についていろいろその後研究して
考え
ておることについて
質疑
をいたしたいと思います。御
質問
のある方はどうぞお願いいたします。 その前にちよつとお断りして置きますが、実は
大臣
に御出席を意いたいと思いましたが、先般丁度私汽車の中で一緒にな
つて
、是非出て貰いたいということを
言つたの
ですが、どうしても
日程
の都合で出られないということをおつしや
つて
いましたが、併し
委員会
としては
大臣
がこういう重要な
法案
並びに現在いろいろ
逓信省
の機構の問題とか、
公務員法
の
問題等
について非常に
関心
を持
つて
わざわざ休会中に
継続委員会
を開くというのに対して、留守にされるということは非常に困ると、是非一日でも出て貰えないかということを申しましたけれども、どうしても
日程
の都合できないから勘弁して呉れといういろいろ弁解をされておりましたから、この点一應御
報告
申上げておきます。
大野幸一
2
○
大野幸一
君
只今委員長
の御
報告
承りましたのですが、本日は五坪政務
次官
がおいでにな
つて
いるので、私は元來與党に属しています。而も
逓信大臣
は
社会党出身
の閣僚であるから、あまり申上げるのもどうかと思うが、これは本
会議
でなくて
委員長
だから一
應申上げ
ておきたいと思います。今
委員長
の
報告
のように、
国会法
によ
つて
も、或いは又新憲法によ
つて國務大臣
は常に
委員会
の求めに應じて出席しなければならん
義務
がある、こういう
義務
が第一の
義務
であると思うのでありまして、是非今後はそういう遺憾のないようにして頂きたいと思うのであります。元來今の
内閣
は余程先から言われておりますが、
大臣
の欠席が甚だ多い、
目下
非常に政界が動搖しておる
折柄
である。而も
國家公務員法
のような重大なる
案件
を解決しなければならんこういうときに、三
党首協定
の傳えられるところによると、九月中旬までに
國会
の程くということにな
つて
いたに拘わらず、今日にな
つて
もそういう線に副うて実行されていないようであります。今の
内閣
は徒らにと申上げると言い過ぎかもしれませんが、とにかく
國会
は
邪魔者扱い
にして成るべく
國会
の
会議
を延ばし
延命策
を講ずると世の中から言われている折から、各
大臣
は
地方
の遊説の前に
重要案件
を
審議
されるようにしたいと、すべて
次官会議
でできるものならば
内閣
は総辞職をされても
次官
だけが留任されれば結構と、こう思うのであります。この点を
國民
の
代表者
として特に私は
次官
でも
次官会議
からそういう
意見
を表明されて置きたいことを切望いたします。
新谷寅三郎
3
○
新谷寅三郎
君 それでは我々
大阪
、
名古屋
、
長野
の方へ参りました
委員
を代表いたしまして、これらの
各地
における
國民
の
放送法案
に対する
要望
なりその声の
一部分
を申上げて、
政府当局
のこれに対する御
意見
を伺いたいと思います。
各地
ともこの
法律案
に対しましては
関心
が深いのでありまして、
地方
の
有力者
は勿論、多数の
関係
の方が列席いたされまして、この
放送法案
につきましていろいろの
要望
も出、又建説的な
意見
も出たのでありますが、その主なものを申上げますと、大体各
地方
を通じての
希望
は、この
放送法案
にあります
一般放送局
、つまり新らしく生れんとする
民間
の
放送会社
をも
つて
積極的に
援助
をして貰いたい。
放送協会
の
特典
が相当この
法律案
によると多過ぎるのじやないか。むしろ例えば
放送協会
の第二
放送
を
民間
に開放するとか、或いは
聽取料
の
一部分
を
民間
の
一般放送局
に分與しまして、そうしてそういう
方法
を採
つて
でも
民間
の
放送会社
を何とか早く設立できるような
方向
に持
つて
行
つて
やるのが
國民
としては非常に望ましいという声が、
各地
を通じてあ
つたの
であります。この点につきましては、本
委員会
におきましても、先般の会合で種々論議されたところでありますが、
各地
のそういう
國民
の
方々
の
要望
がありますので、
民間
の
放送会社
ができるにつきまして、
逓信省
として、或いは今度できんとする
放送委員会
として、もう少し積極的な
援助
、支援を與うべきであると
考え
るのでありますが、この点につきまして、まとめて
逓信省
から御
意見
を伺
つて
置いた方がいいんじやないかと思います。 それから
各地
とも、
ローカル
の
放送
をもう少し多くして貰いたいという
希望
があ
つたの
であります。
只今
の
番組
の
編成
から参りますと、
ローカリ放送
を多くするということは、非常に困難を伴うことと察せられるのでありますが、併し
各地
の
地方民
が喜ばれるのは
ローカル
の
放送
が非常に多いのでありまして、この点についてもう少し時間的にも余裕を與え、そうしてその
地方
それぞれに向くような
ローカル放送
を多くすることが、
國民
としては非常に望ましいということを
各地
で聞いたのであります。この点につきましても、
番組編成
上
逓信当局
はどういうふうなお
考え
を持
つて
おられるか、伺
つて
置きたいと思います。 それから
大阪方面
では特に、
受信機
のもう少しいいものを成るべく安く賣れるように、
政府
においても配慮して貰いたいという
希望
が強か
つたの
であります。勿論
大阪
は
受信機
につきましては
メーカー
も多いことでありますから、そういう
方々
からの
意見
も入
つて
お
つたの
でありますが、
長野方面
におきましても、御
承知
のように非常に
感度
の悪いところが多いのでありまして、これは
電力
を強くするか、或いは
受信機
をよくするか、或いは
放送所
でも設置して行くか、いずれかの
方法
を選ばなければ、これを救済する途がないのであります。その
一つ
として、やはり
受信機
のいいものを安く賣れるような
考慮
を
政府
の方でも拂うべきであるということは、
大阪
の主張にも通ずるのであります。この点については、相当困難な点がありましようが、この
方向
に向
つて
進むことは
ラヂオ
の
普及
につきまして、又
一般
に
國民全般
に
ラヂオ
の
特典
といいますか、恩典を受けさせるためには非常に必要だと思う。この点につきましても
政府
がどういう
措置
を採
つて
行きべきか、この御
方針
を伺
つて
置いた方がいいと思います。 それから
長野方面
では特に
希望
がありましたことは、これはあそこの地理的な
事情
にもよるのでありましようが、
感度
の悪いところがあちらこちら非常に多いのであります。時間によりますと非常に遠くの
北海道
の
帶廣あたり
の
放送
は聽けるけれども近くの
長野方面
の
放送
は聽けないとか、或いはもうどこの
放送
も全然聽こえない。
場所
によりましては
東京
の方の
放送
が若干入
つて來
るけれども
長野方面
の地元の方の
放送
は全然聽こえないというような
土地
が多いのであります。これは
ひとり長野
だけではないと思います。
各地
にこういつた
事情
があると思うのでありますが、一体こういうふうな
状況
で放置することがいけないことは勿論でありますが、これに対して
逓信省
としては今後この
ラヂオ
を
國民全般
に聽かせるという
目的
からこの
放送所
なり
放送
施設
なり、そういつたものの
建設計画
、それから
受信機
の改良、そういつた点を総合いたしまして、今後どういう
方面
でこの
目的
を達成するようにして行かれるか、これは非常に大きな問題でありますが、今後の
日本
の
放送事業
の
一つ
の
根本
の問題であるかとも思いますので、そういつたことについて今後五ケ年
計画
とか或いは十ケ年
計画
とかいうので
根本計画
を
考え
ておられるかどうか、或いはそれがもうでき上
つて
おるか、この点を明らかにして頂きたいと存じます。場合によりましては現在の小さな
放送所
というものを改めて非常にパワーの強い
放送局
を数少なく置くということも
一つ
の
方法
であろうと思います。或いは小さな
放送所
をもつと分散して
各地
に置くということも
方法
であろうかと思います。波長の
関係
でこれはあまり数多くは期待できないのじやないか、この点は非常に今後の
根本
問題であると同時に、困難な問題も伴
つて
おると思いますが、御
計画
の
根本
な問題としまして御説明のできるだけこの機会に明かにして置きたいとかように
考え
るのであります。その他いろいろの問題はございますけれども大体においてこういつたことが
一般
の
希望
であります。 それからこれは極く
一部分
でありましたが
岐阜
市におきまして市会が
ラヂオ税
を取る、つまり
ラヂオ
の
受信機
を持
つて
いる者に対しまして
税金
を掛けるということを決議されたそうであります。この問題が
大阪
でも
名古屋
でも相当問題にな
つて
いるのでありまして、極力これを阻止するように
國会
の方に陳情したいという
お話
があ
つたの
であります。
ラヂオ
の
普及
という点から参りまして
財源
は
各地
ともないことは分
つて
おるのでありますが、非常にこれは遺憾な
措置
ではないかと思うのであります。
政府当局
としまして
ラヂオ税
は
地方
に任せて、取るところは取
つて
もよろしいという
放任主義
で臨んでおられるのかどうか、これは中央におきまして
地方財政委員会等
において問題にされまして、
ラヂオ税
は取つ
ちやいかん
というようにお決めになる御
方針
があるかどうかこの点もお伺いしたい。大体以上につきましてお答えを願います。
網島毅
4
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君)
只今
の御
質問
に対しまして、
目下逓信省
として
考え
ておるところを、或いは又とりつつある事柄につきましてお答え申上げたいと思います。 第一の
一般放送局
を
援助
する必要がないかどうかというお尋ねでございますが、私共といたしましても、勿論今後成るべく立派な
一般放送局
が出現いたしまして、そうしてそれらを通していろいろ我が國の
文化
の
向上
、その他に資することを望んでおるのでございますが、現在の我が國の
状況
といたしまして、未だ
場所
によりまして、例えば
北海道
の一部、或いは又、
只今
御
指摘
になりました
長野縣
の
伊那地方
、その他、又九州の
南部地方
、その他におきましては、現在でもまだ
電波
が十分届いておりません。而もそれらの
土地
は、割合に人口が少い
土地
でございまして、今後共こういう
地方
に対しましては、公共的な性質を持つた
日本放送協会
の手によ
つて
、
放送
の
施設
を拡充しなければならないのではないか、と
考え
ておる次第でございまして、全國的にこの
公共放送
の
ネツト
を完成するためには、少くとも
目下
御
審議
を願
つて
おりまするところの
法案
にありまするような
程度
の保護は
日本放送協会
に対して必要ではないかというふうに
考え
ておるのでございます。ところで御
指摘
ありました
日本放送協会
の第二
放送設備
を割讓してはどうかという御
意見
ではございまするが、これに対しましては、現在の
日本放送協会
は第一
放送
と第二
放送
を、これをコンバインいたしまして、それぞれそれらに
一般
的な
プログラム
或いは片方に教養的な、或いは娯樂的な
プログラム
を組むことによ
つて
、
両両相俟つて日本
の
公共放送
の完成を期したいという
計画
でございますし、この点は
英國
のB・P・〇も大体同じような
方針
を執
つて
おりまして、少くとも
公共放送
には第一
放送
、第二
放送
という
二つ
の
ネツト
は必要じやないかというふうに
考え
る点が
一つ
と、それから現在の第一
放送
の
施設
と、第二
放送
の
施設
は大体において共通の使用しておる
部分
が非常に多いのでございまして、これを別々の
施設者
の手に
施設
的にこれを
分離
するということは殆んど不可能でございます。從いまして強いてやろうといたしますれば、
施設
だけはどつかが一ケ所で持
つて
おりまして、その使用だけを
二つ
に分けるということになるのでございまするが、こういうような
状態
におきましては、この
放送法
が主としておりまするところの
放送事業面
、或いは
プログラム面
におけるところの全く自由な
立場
における
競爭的
な
放送
ということが企図できなくなるのではないかということも
考え
られるのでございまして、現在のところその
放送協会
の
施設
を二分するということは
考え
ておらないのでございます。又
聽取料
の
分配
ということにつきましても、これは
一つ
は実行上が非常に困難であろうということを、仮にこれが実行できましても、
聽取料
を
分配
するということになりますと、
分配方法
で非常な困難が伴なうだろうということ、このようなこの
聽取料
を
分配
するということになりますれば勢いその間に或
程度
の
政府
の
統制監督
という問題が起らざるを得ないのでございまして、そうなりますると、
一般放送局
を全く自由に、伸び伸びとやらせるという
方針
とも矛盾して参るのでございまして、現在のところそういうことは
考え
ておらないのでございます。 第二の御
質問
の
ローカル放送
の問題でございまするが、現在は
日本政府
といたしましては
連合軍
の指令によりまして
放送
の内容には全然タツチしておりません。併しながら最近のこの
日本放送協会
の
番組編成
に関しましては檢閲その他
連合軍
の
方針
が大分緩和されて参りまして、
從つてローカル放送
を行い得るチヤンスも漸次増大しておると思
つて
おります。この点に関しましては、
逓信省
から
放送協会
に連絡いたしまして、御趣旨のあるところをよく傳えたいというふうに
考え
ておるのでございます。 第三の
受信機
の
性能向上
の問題でございまするが、現在我が國の
放送
の
受信機
は、御説の
通り
良いものがなかなか出ておりませんで、私共も非常に残念だと思
つて
おる次第でございます。殊に音質とかそういうものは別といたしまして、
受信機
の不良なために
受信機自身
から
電波
が出まして、隣り近所の
放送
の聽取を妨害するというものもございまするし、又
選択度
が悪いために第一
放送
、第二
放送
の
分離
もできない。或いは又他の
放送局
との
分離
もできないというような
受信機
としての
最小限度
のこの
要求
すら満足し得るものが少ないというような
状態
でございまして、このまま
放送
いたしますれば我が國の
電波行政
上からいいましても非常に困つたことになるという見地から最近
放送受信機
の
形式試驗
ということを始めておるのでございます。この
形式試驗
は一定の
受信機
の
規格
を決めまして、その
規格
に合格した
製品
に関しまして
形式試驗
の合格という認証をいたしまして、この
形式試驗
の
通つた受信機
のみが
一般
の使い得るという形を採
つて
おるのでございます。この
形式試驗
の
基準
となりまするところの
技術標準
は、
官廳
ばかりでなく
一般業者
の
團体
でありまするところの
電氣通信工業会あたり
で長い間研究されたところの
基準
を採用しまして
目下
行
つて
おるのでございまするが、このように
一般業者
が、この
程度
は必要だ、或いはこの
程度
なら十分できるということで
作つた基準
ですから実際
試驗
してみますると合格するものが非常に少いという
状況
でございまして、最近に至りまして漸く提出した資料の六〇%
程度
が合格するという
状況
にな
つたの
でございます。この
形式試驗
は本年の四月から始めておりまするが、その
試驗成績
を見ますると
業者
の
自覚
と、それから又
試驗
の結果こういう点が悪いという、こういうポイントが分ることによりまして
漸次受信機
が改善されて
参つて來
ております。初めは殆んど合格しなかつたものが、最近は大分合格するように
なつ
たというような
状況
でございまして、これらの
制度
は
受信機
の
性能向上
ということにつきまして相当効果があるように見受けられねのでございます。
逓信省
といたしましてできるだけこういうような
形式試驗
という
制度
は早く止めまして
業者
自らの手によ
つて
良い
受信機
がどんどん出て行くというような
状況
になることを望んでおるのでございまするが、現在のところまだこれを全面的に撤廃するという
状況
にはな
つて
おりません。 次に又この
形式試驗
に合格したところの
メーカー
の商品で
一般市場
に販賣されておるものが果して合格した
受信機
と同じ
性能
を持
つて
おるかどうかということにつきまして若干の疑義がございます。併しながら現在のところは
逓信省
といたしましては一應
業者
の
自覚
とその
責任感
に俟つという態度でこれを見守
つて
おるのでございますが、
試驗
に提出された
受信機
と実際
市場
に出ておるところの
受信機
の
性能
に非常に大きな差があるということに相成
つて
参りますれば、勢い各
製品
をスポツト・テスト、スポツト・チエツクするということも必要かというふうに存じておるのでございます。
只今
お話
申上げましたように、現状はまだまだアメリカその他の
受信機
に比べて
性能
は劣
つて
おりまするが、漸次
向上
して参
つて
おりまするからして、我々はこれらの將來に対して大きな期待を持
つて
おる次第でございます。 次に
長野地方
の
放送局
の
感度
が悪い、これに対して何か
救済方策
を
考え
ておるかという御
質問
でございまするが、
長野縣
は御
承知
のように非常に山の多い所でございまして、特に
長野縣
の
南地方
、即ち
伊那地方
を
中心
とした所は山嶽が重疊としております。その谷間々々に町村が点在しておるというような
状態
でございまして、
電波
の
傳播上
から申しますと、非常に具合が悪いところなんでございます。これらに対しましてそれぞれ
放送局
を設置するということも一
應救済策
としては
考え
られるのでございまするが、次に申上げるように
日本全般
を見ましたところの
放送政策
といいまするか、或いは又
電波行政
からいいまして、そういう個個の小さい
放送局
を沢山ばらまくということは徒らに相互の
混信
を惹起するばかりでございまして、盆するところがないのでございます。從いまして、これらの
救済策
といたしまして
目下逓信省
と
日本放送協会
とは協力をいたしまして
放送計画
の五ケ年
計画
というものを
考え
つつあるのでございまするが、それによりますと大体現在の
名古屋
放送局
の
電力
を五十キロ
程度
に増加することによ
つて
、而もその位置を現在より変更することによ
つて
、この
地方
は救済し得るという見込の下に
計画
を進めつつございます。從いましてこれらの
計画
が実現された曉におきましては、今
お話
の中の
長野
の
南部地方
のごときは相当救済されるものというふうに
考え
ておるのでございます。尚最近
放送協会
或いは
逓信省
に対しまして、
各地
から
放送局
を設置して欲しいという
要望
が沢山参
つて
おるのでございまするが、その中には勿論
感度
が非常に低くて普通の
受信機
では到底聞こえないというところもございまするが、又中にはその
希望
するところの
市町村
を
中心
とした
ローカル放送
を拡充するために、自分の町に
放送局
を置きたいということから來るところの
要求
も相当多いのでございまして、こういうような
要求
に対しましては
放送局
を設置する代りにスタジオを置くというようなことで救済することも
目下
考慮
中でございます。
最後
にそれに関聯いたしまして、全國的な
置局計画
というものを
考慮
しておるかという御
質問
でございますが、
只今
お話
申上げましたように現在
逓信省
、及び
日本放送協会
は
公共放送
の五ケ年
計画
というものを
考え
つつございます。この五ケ年
計画
の
方針
につきまして簡單に御説明申上げたいと存ずるのでございまするが、我が國のように山の非常に多いところにおきましては、現在の
標準放送
、即ち
中波放送
につきまして
條件
が非常に悪いのでございます。現在の
放送
に使われておりますところのこの五百五十キロ
サイクル
、乃至千五百キロ
サイクル
の
中波
は
晝間
の
電波
は非常に悪いのでございまして、ことに山などがございますと、山の陰の
部分
は
電波
が非常に弱くなるのでございます。これに反しまして
夜間
にやりますと
電流層
の
関係
上この
電波能力
が急に増して参りまして、殊に
放送局
の所在地から五百キロ、六百キロメートル離れたところにおきまして、その
感度
のマキシマムが生ずる
状況
でございます。從いまして、
晝間
の
電波
の
状況
を
考え
まして
放送局
を沢山設置いたしますと、これらは
夜間
になりまして非常な
混信
の原因となるのでございます。從いまして、先程もちよつと申上げましたように、小さな
放送局
を沢山設置するということは、決して得策ではないのでございます。殊に現在すでに十数個の
周波数
を除いた以外の
周波数
は全部現用されておりまして、これ以上新らしい
周波数
を殖やすということは、今回の
放送法
が新らしい
一般放送局
というものを予期しておるという点から
考え
まして、私共といたしましては、そういう
方針
は採りたくないというふうに
考え
ておりまして、成るべく現在使
つて
おる
範囲
の
周波数
をうまく組み合せまして、そうしてできるだけ全國的な
放送網
を作り上げたいという
方針
の下に
考え
ておるのでございます。この
方針
の下に参りますと、どうしても小局を沢山置くという
行き方
よりは、成るべく有効適切な
土地
には大
電力
の
放送局
を設置いたしまして、できるだけ
一つ
の
電波
によ
つて
廣い
範囲
をカバーさせるというのでございます。併しながらこれのみによ
つて
は、やはり山の
谷合いそ
の他は救済できないのでございまして、そういうところには、小さなものも数を限
つて
設置するという
行き方
も
目下
考え
ております。即ち
東京
、
大阪
、北九州、或いは
名古屋
というような平原を控えて而も人口稠密なところに、五十キロ乃至百キロ
程度
の大
電力
の
放送局
を設置する。それから又中都市を
中心
としたところには十キロの
放送網
を作る。次に極く特殊な地域には五百ワツト、或いは場合によりましては五十キロのものも若干併置するという
方針
の下に、できるだけ
周波数
を適切有効に使おうという
考え
から、
目下計画
を進めつつあるのでございます。 尚、最近
放送
が聞こえないというところにつきまして、実際について
逓信局
或いは
日本放送協会
におきまして
電波
の強さを計
つて
みますると、
電波
の強さ
そのもの
は
必らずし
も低くはない。併しながら最近の
電力事情
からしまして、
電燈線
の重圧が下
つて
おる。
從つて
そのために
受信機
の
感度そのもの
が非常に降下しておるということを
知つた土地
もいろいろあるのでございまして、これらにつきましては、
電力会社
と交渉して、低い
電圧
をできるだけ
標準
の
電圧
にして貰うという
方策
もいろいろ
考え
ておるのでございます。
最後
に
ラジオ税
の問題でございますが、御
指摘
の
通り
、最近
岐阜縣
の
岐阜
市におきまして、
ラジオ税
を
法定外
の
独立税
として徴收するということが、その議会において議決されまして、この
ラジオ税
の問題につきましては、昨年
各地
におきまして、この問題が生じましたときに、
逓信省
といたしましては当時の内務省、それから
大藏省
ともいろいろ協議いたしまして、最初の
地方税
のの原案の中にありましたところのこの
ラジオ税
という
独立税
の項目を削除して
貰つたの
でございます。從いまして当時この
ラジオ税
をすでに徴收しておりました
北海道
の一部、或いは
秋田縣
、
静岡縣
という所におきましても、期限の
滿了
と共に
ラジオ税
というものが漸次なくなりまして、最近は極く少数のものだけが残
つて
いるという
状況
でございます。ところが本年の
地方税法
の改正に当りまして、
地方
の
縣会或い
は
市町村会
におきまして必要と認めた場合におきましては、これらの
法定外
のものにつきましても、独自な
立場
から
税金
を取り得るということに決められまして、それにつきまして
内閣総理大臣
が
地方税審議会
に付託してその
審議
の
決定
によらない場合におきましては、自動的に効力を発生するということにな
つたの
でございます。過般の
岐阜縣
の
ラジオ税
につきまして、
報告
がございましたときに、
逓信省
といたしましては
大臣次官
その他いろいろ御協議願いまして、
逓信省
といたしましては、現在我が國の
放送
の
普及状況
は漸く四〇%
程度
に
なつ
たばかりでございまして、
連合軍
の
要望
するところの五〇%にはまだまだ遠いという点、並びにこの
放送
というものは現在の我が國におきまして
國民
の
文化
の
向上
、或いは又教育、情報の機関として非常に大事であるという点から
考え
まして、
地方財源
の枯渇もさることながら、それは他に又別な
方法
を
考え
て貰うということにして、当分の
間ラジオ税
は是非やめて
貰おうじ
やないかということになりまして、
逓信省
から
内閣総理大臣
並びに
地方財政委員会
の方へその
希望
を申上げまして、いろいろ
考慮
を
願つたの
でございまするが、
地方財政委員会
におきましては、
審議会
において研究された結果、現在の
地方
の財政難の折から、
ラヂオ税
は止むを得ないということに
決定
に
なつ
たという通知を受けたのでございます。私共といたしましては、非常に残念だというふうに
考え
ておりまするが、今後これらの
ラヂオ税
の問題につきましては、
地方
、縣、
市町村
、
縣民並びにその議員諸氏
の良識と判断に俟
つて
善処して頂くことを
希望
しておるというふうに
考え
ておるのでございます。以上を以て説明を終りたいと思います。
堀越儀郎
5
○堀越儀郎君
電圧
の問題に関連してもう少しお伺いします。今の
電圧
の非常に低下しておるという問題がやかましいことにな
つて
おりまするが、簡單にちよつとその点について御説明がありましたが、非常に重要な問題で、殊に選挙が始まりましてそのために
地方
の選挙区を地盤にされる候補者達が非常に不公平を見るということがあると思うのであります。而もその
ラヂオ
による政見発表ということは非常に重要視されておる際に、近く若し選挙を行われるという場合には、どう
逓信省
として
電力
の問題を善処されるのか、もう一度よくお
考え
頂きたいと思います。
網島毅
6
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君)
只今
の
電圧
の低下の問題でございまするが、この前の選挙のときにおきまして、
放送
が重大な役割を演ずるという見地からいたしまして、
逓信省
といたしまして商工省に申入れをいたしまして、選挙中は少くともこの停電を止めること、それから
電圧
をできるだけ規定の
電圧
に保持するということをいろいろお願いしたのでございます。商工省におきましても、この
考え
を了とされまして、いろいろ
日本
発送電会社、その他に対しまして善処して頂けたのでございます。今後選挙
放送
が行われるような場合につきましては、
逓信省
といたしましても、直接
電力
はその主管ではないのでありまするからして、商工省にいろいろお願いして善処して頂くようにしたいと思
つて
おります。尚これらの問題につきまして、
國会
の電氣
委員会
におきましても、いろいろ
考慮
して頂ければ非常に仕合せだというふうに存じておる次第でございます。
大野幸一
7
○
大野幸一
君 それに関連して先つきの
ラジオ税
の問題ですが、私
岐阜縣
出身でありまして、
岐阜
市と多治見市におきましては、市会で決議しましたのですが、併しその決議もやや軽卒の感があつたということが、
日本
全体の輿論から見て、当分の間実施を見合わせるということにな
つたの
であります。当分の間というのは、他の大都市があちらでも、こちらでも取るようになるまでは
岐阜
市及び多治見市は取らないということにな
つて
おりますから、ただ
岐阜
市のみを率先して実施するという観念でなく、むしろ実施を中止したというところに
一つ
宣傳して貰いたい、こう思うのであります。
大島定吉
8
○大島定吉君 私
北海道
方面
を視察して参りましたので、代表いたしまして大体御
報告
申上げまして、幸い当局の御
意見
を承ることができれば幸いと存じますので、極く簡單に申上げて見たいと思います。 私共は仙台、札幌、室蘭この三市の
状況
を視察して参りました。大体
放送事業
の
一般
状況
視察並びに設備の視察もいたして参
つたの
でありますが、それらのことは別に書類で申上げることにいたしまして、懇談会の
状況
だけ簡單に御
報告
申上げまして当局の御
意見
を承りたいと存じます。 大体懇談会におきまして論議されました
放送
問題につきましては、先程新谷
委員
から申されましたと大同小異でありますので、相違しておる点だけを
一つ
申上げて見たいと存じますが、
放送法案
につきまして札幌で懇談会を開催いたしましたときには、非常に活発に論議されまして、その主なるものは、
放送
委員
の内容でありまして、
委員
の人数は大体少な過ぎるではないかということが
一つ
、それから
委員
の任命は総理
大臣
が
國会
の承認を得ることにな
つて
おるが、その選考は選挙か推薦によるのか、同時に
委員
の任命は総理
大臣
が
國会
の承認を得ることに相成
つて
おることは、その実際は民主的でない、官選になる虞れがあるからこれを公選にする意思はないか、
委員会
の権力が大き過ぎるというような、見解については
意見
が出たのであります。尚兼職も禁止されておるが待遇及び一年限りの
委員
もある点から
考え
て、果して期待しておるような人材が得られるかどうかというようなことが問題になりました。幸い鳥居
政府
委員
も参
つて
おりましたので、これらの問題につきましては懇切丁寧に説明もして参
つたの
であります。 尚
放送協会
の問題につきましても、
放送協会
が協会
放送
と
一般
放送
に分けずに、二大
放送
を同じ
條件
で対立競爭させるのがいいのではないかというような
意見
も亦出たのでありますが、協会理事の人事権を
放送委員会
が握
つて
おるのは、協会の仕事は
委員会
即ち官の意のままになるようなことになるのではないか、
從つて
経営の仕方が自主性、積極性に缺けることになりはしないかというような懸念を持
つて
おる方もあ
つたの
であります。 尚
一般
放送
につきましては、
一般放送局
の許可
方針
は、設備その他の
関係
もあるから全國的規模のものに対しては許可するというのではなく
地方
的のものに対してするようにして貰いたい。廣告
放送
は小規模のものならば企業的にしたらどうだというような
意見
も相当出たのであります。又現在市中で行われておる街の雜音の多い廣告を消して、靜かな室内廣告
放送
を期待するが、協会は広告
放送
をする方がいい。現在の協会の
放送
でも廣告の性質を帶びているものがあるが、廣告
放送
の定義をはつきりして貰いたい。これが商業
放送
のことにつきまして出たのでありますが、又先程問題になりました
ラヂオ
の聽取税の問題であります。これは札幌の市長が不在でありまして助役さんと市
会議
長さんが出て参りまして、
ラヂオ税
を取らない、免税によるというような決議はしないで貰いたい。現在非常に
地方
財政が貧困である現在であるので、法律でそれを決議するようなことにしないで貰いたいというような陳情がその間に札幌の市当局から
意見
が出ました。 それから室蘭、小樽等におきましては中継
放送局
の設置の陳情がありまして、それぞれ
政府
側、大体
放送局
の方からこれに対しまして答弁があ
つたの
でありまするが、大体やはり
北海道
は非常に
感度
が山獄地帶でありまする
関係
上、聽取不能の
地方
が相当ある。そういうようなところから中継所の設置の
希望
が多いと見受けて参
つたの
でありますが、先程これらの問題につきましても
政府
委員
から御答弁がありましたが、中継
放送局
設置の
要望
が非常に熱烈にあ
つたの
であります。尚
放送
方面
の
意見
といたしましては、商業
放送
につきまして全体では非常に強く
意見
が出て、これは新聞社の
一つ
の仕事としても差支えないのかというようなことで、又
放送委員会
の
委員
の資格制限が相当に嚴重であるが兼職の禁止等は緩和する必要があるかどうかというような
意見
も出たのであります。大体の要旨は以上申上げました点でありまするが、札幌では非常にこの
法案
の内容につきましては熱心に
質疑
が交され、尚仙台
方面
におきましては商業
放送
のことで先程新谷さんから
お話
がありましたように、今後の商業
放送
の育成その他についての
希望
意見
が活発に論議されました。 以上概略だけを申上げまして御当局に御
意見
がありましたならばお聽かせを願いたいと思います。尚又商業
放送
経営者は被追放者でもよいのかというようなことも
質問
の中に出ておつたように記憶いたしております。 これらの点につきまして御当局の御
意見
をお述べ頂ければ幸いだと思います。
鳥居博
9
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
大島
委員
から御視察の結果につきまして
お話
のありました点につきまして
政府
といたしましての
考え
を簡單に申上げます。 先ず第一に、本
法案
に規定されました
放送委員会
の
委員
の数でございまするが、これは先般來御
質問
に應じまして既にお答え申上げました
通り
、
政府
といたしましてはこの五人が決して少い人数だとは
考え
ておりません。これをこの
委員会
の性格を本
法案
に決めましたのと変えまして諮問的な
委員会
、或いは單なる
審議
機関、こういうように変えますならばそれは又別でございまするが、現在の
法案
で決めましたような性格の
委員会
といたしますれば五人で決して少なくなく、寧ろ極く切り詰めてやれば三人でもよいのではないか。併し三人では公平ということを期する上からい
つて
多数危惧もございまするので五人にいたしました。この点につきましては先般札幌の懇談会におきましても私からも御説明したのでございまするが、
一般
にこの
法案
につきまして誤解と申しますが、理解が欠けておる点がございました。それはこの
法案
は、こういう
委員会
を設けましてこの
委員会
に行政に当らせるのだ、こういう場合に、その行政の行爲を全然委任処分によ
つて
やらせる從來のやり方と同じように取
つて
おられるのであります。ところがこれは先般來本
委員会
の席上におきましても御説明申上げました
通り
に、法規裁量の
立場
を取
つて
おりますので、こういう点から見ますると、
委員会
の人数の五人という点も決して少な過ぎはしないということも言えますし、又
委員会
の権限が大き過ぎるというようなことも出て参らないのでございまするが、これが法規裁量ということを念頭に置きませんと、如何にも五人の
委員
が
放送
という非常に大事な政策を勝手に壟断して、そうして思いの儘に
放送局
を認可したり、或いはこれを取消してしまつたり、絶大な権力を持
つて
、而も
日本放送協会
の役員を任命して、その任命した役員に対して更に監督権を発動して思う存分にやらせるのではないかというような誤解が生ずるのでございまするが、この
委員会
の処分というものはこの仕方を全部今度は法律によ
つて
決めております。
委員
裁量は殆んどいたす余地はございません。從いまして
放送委員会
の権限が大き過ぎるという問題は、この
法案
の理解が違う点から出たと私共は
考え
ております。 それから協会を
二つ
の系統に二分して競爭さしたらどうかという御
意見
もございますが、これは先程も
電波
局長から御説明いたしましたように、技術的にも非常に困難でございますし、又
公共放送
というものを競爭事業にするという点にも私共としては大きな疑問を持
つて
おります。
公共放送
は飽くまでも一本立でよろしい。併しそれと変る商業的な部面においては飽くまでも自由競爭の原理で行くべきである。こういうふうに
考え
ております。 それから
一般
放送
の許可を全國的な規模のもののみでなくて、
地方
的な競爭についても
考え
て見たらどうかという、先程
お話
がございましたが、これはこの
法案
自身がそういう
立場
に立
つて
立案されておりまして、商業
放送局
の方は、
一つ
一つ
の
放送局
について免許をする、こういう
立場
にな
つて
おりますので、これは当然
一つ
一つ
の
ローカル
の局について免許が行なわれることになります。 それから
日本放送協会
にも廣告をやらせて、そうして
聽取料
をもう少し安くするというような
法案
も論議の対象にな
つて
おるのでございますが、これは
一つ
の
行き方
ではございますが、一度こういう
方法
を取りますと、
公共放送
としての企画を何処へ持
つて
行くかという線を引くのに、非常に引き難いのでございまして、結局
日本放送協会
も
一般
の商業企業と同樣の線に引戻して行
つて
しまうということに、結果的には相成ると思うのでございます。
從つて
若しそういう原則を採りますならば、本
法案
のように
日本放送協会
という特殊法人を特に設けて、
公共放送
をさせるという理由も亦なくなると思うのでありまして、この点は一應現在の
法案
の線で進めて頂きまして、今後この五ケ年後にこの
法案
を再び御
審議
頂きます時に、事実の結果を見て、いずれがよいかと御判断頂くのが一番よろしいかと存じております。 それからラジオにつきましては
只今
電波
局長から申上げました
通り
でございます。又
北海道
地方
の
放送局
の地局
計画
につきましても、
只今
申上げましたように五ケ年
計画
というものを現在作
つて
おりまして、これにも
北海道
地方
の
放送
改善のための地局
計画
の建直し並びに
電力
の配分ということも十分に
考え
られておるようでございます。又必要なれば詳しい資料を
電波
局長の方から御提出ができると存じます。 それから先達て
お話
のありました商業
放送
を新聞社が行ない得るかどうかという問題でございますが、これはなかなかデリケートな問題でございまして、
只今
この席で以て新聞社はそういう
放送
を行ない得ないということは申上げられないと存じます。これは一に事実の問題でございまして、大きな新聞会社が新聞として
一つ
非常に大きな勢力を持ち、そこに経済的な格差を持
つて
おるところに、更にその同じ企
業者
が
放送
という別な部面で、新聞の企業の持
つて
おつた資本なり、或いは廣告その他を集めるいろいろな機関なり、こういう機構を以ちまして、他の私企業
放送局
を圧倒するような格差を以てこの事業を行なう。こういう事実が起つた場合に、個々の場合につきまして、それが集中排除法或いは独占禁止法、こういう
立場
から見てどうなるかという問題に相成ると思うのでございます。アメリカではこういう問題につきまして、
一つ
の
決定
された前例がございます。これはアメリカのFCC(連邦
通信委員会
)の
決定
によりまして、或る大新聞社が
放送事業
に進出したことを阻止された事実がございます。併し
日本
におきまして、それと同樣な判断が下されるかどうかということは、その起つたときの実情から判断されるより外ございませんので、ここに抽象的に、法規上新聞社は
放送
を行ない得ないのだという結論は出て参らないと存ずるのでございます。 それから
放送委員会
委員
の兼職の禁止につきましては、先般当
委員会
の席止でもお答え申上げました
通り
に、最初
政府
は原案といたしましては、総理
大臣
の特別な承認のあつた場合には兼職を許す規定を作
つたの
でございますが、これが
関係
方面
との折衝の結果脱けたわけでございまして、私共といたしましては、その
程度
の兼職は差支ないのではないかという
考え
を依然として持
つて
おります。大体
只今
の主な事項につきまして、
政府
としての
考え
を御説明いたしました。
新谷寅三郎
10
○
新谷寅三郎
君
放送法案
に対する
質疑
はあとにしまして、緊急の
質問
をしたいのですが、よろしうございますか。
深水六郎
11
○
委員長
(
深水六郎
君) どうですか、午後にしますか。十二時半にな
つて
おりますが、直ぐ引続いてやりますか。
新谷寅三郎
12
○
新谷寅三郎
君 簡單ですから……。
深水六郎
13
○
委員長
(
深水六郎
君) それでは新谷君。
新谷寅三郎
14
○
新谷寅三郎
君 最近
地方
を廻りましても痛感することなんですが、先般料金値上げの際に
大臣
から、料金はこれだけ上げたいのだが、その代りに大いにサービスの
向上
をするということは、再三この
委員会
でも約束をせられたのであります。然るに
各地
の
状況
を見ますると、通信事業に対するサービスの
向上
で、
大臣
の言明されたように十分に行なわれておらないのであります。殊に電話の障害の如き、一週間、十日或いは一月というふうに、如何に足を運んで依頼いたしましても、その障害が直らない。そのために電話の加入者は非常に迷惑をしておるのみならず、
逓信省
の通信事業というものに対しまして、むしろ非常に憤りを感じ非難をしておるという向きが多いのであります。これは重要な問題でありまして、如何に料金をお上げになりましても、サービスの
向上
を計りそうして通信の疏通を計らなければ、料金値上げの効果がないのでありまして、サービスを
向上
するということは当然の
義務
ではありますが、同時に又
逓信省
の收入を増加する所以であることは言うまでもないのであります。
大臣
不在で残念でありますが、この点につきまして政務
次官
から
逓信省
のと
つて
おられる
方針
につきまして簡單明瞭にお答え願いたして存じます。
井上なつゑ
15
○井上
なつ
ゑ君 電話のことでございますが、これは
地方
でございませんが、
東京
で実際私共が経驗いたしております。七月の雷以來電話が通じないのでございます。それまでは非常にとても丁寧に毎日のように電話の故障はないかというので心配して頂いたのでございますが、この頃は参りません。私は中野でございますが、私共一軒かと思いましたら御近所も皆それであ
つたの
です。発信はできないのでございますが、受信はできるのでございます。これはどういうことでございますか。二、三軒聞いて見ますと同樣でございます。どうぞお調べ願いたいと存じます。それからもう
一つ
、これは私の友達が
英國
から手紙をくれましたのでございますが、その手紙の表書に衆議院と書いてございますが、参議院ということが分らなか
つたの
でハウス・オヴ・カマンスと書いてございます。それでこの手紙が受取人不在アドレス・アンノーンで
英國
へ送り返されたのであります。
英國
の友人は根氣よく私が前にいたことのある公衆衞生院の住所を調べまして、公衆衞生院宛に又封をいたして送
つて
参
つたの
であります。この手紙がこの間八月の六日に公衆衞生院から回送されて私は八月の十四日に四月一日の手紙を受取
つたの
であります。こういうような外國郵便なんかどういうようにしてや
つて
おられるのか、衆議院の
場所
について不明だということになると外國に対しても恥しいことでございますのでその点お伺いを申上げたいと思います。
五坪茂雄
16
○遞信政務
次官
(五坪茂雄君) 今のをとりどりに申上げたいと思いますが、七月の雷が鳴
つて
から通話ができない。向うからの通話はできるのだが、こつちからの通話はできないということはそう長い間放
つて
おく筈がないのですが、こういうことはもう早速調べまして御通信申上げる次第であります。 それから前段の御
質問
に対しましてお答えしたいと思いますが、これは全く何と申しますか、私共の痛いところをずぼりと指されたわけでありまして、恐縮に堪えません。十分反省いたしまして何とかこれは
一つ
大衆の便宜を図るべく努力することをお誓いしたいと思うのです。これは私共そういうことに
関係
しておりながら、全く
お話
の
通り
のことを痛感いたしておりますし、又省内におきましても、私共は別な
立場
におりますので、しきりに事務
関係
者にこういうことを傳えて、何とか改善する道がないかというふうに研究もいたしておるのでありますが、何と申しましても、長い間、この機械の補充ができておらんようでありまして、そのために摩滅、損耗せられて一ケ所直しても直ぐ又故障が起る。その故障を直すと又次のところに故障が生ずるというようなわけで、次から次へと故障が生じておるようであります。これらは予算の
関係
もありますが、できるだけ資材を按配いたしまして、早い期間に元
通り
に復旧するように努力いたしたいと思います。 それからそういうことばかりでなしに、市外電話の通話が極めて遲いのであります。これはもう調べて見ますると、全國的であ
つて
、所によるというと、朝もう出勤して直ちに申込む、退廳時間までにはその通話ができない、そういうことを三日も、四日も繰返えしても、どうしても通話ができないから、止むを得ず二日も、三日も掛るにも拘らず、或いは
地方
の縣廳へ行くとか、或いは協同組合へ係員を出張させるとかいうふうなことをや
つて
るというところが、これはもう全國的にあると思うのです。これらについてもいろいろ調べて見ますると、回線が足りないということが、主な原因であること、又最近通話数が非常に殖えておるというような点もありまするのですが、これらのできるだけ回線を殖やしたりいたしまして、大体
地方
の
要望
に副うように努力いたしたい、かように
考え
ております。尚こういう技術上の問題につきましては、工務局長から御答弁があるだろうと思います。
新谷寅三郎
17
○
新谷寅三郎
君 別にここで技術的
お話
を伺う必要もありません。工務局長の御答弁は頂かなくても結構ですが、政務
次官
に申上げておきますが、これは從來料金値上げ等の場合には、
大臣
も
政府
委員
の
方々
も必ず今度はサービスの
向上
をいたしますということを固く約束をしておられる。ところがその言明を裏切ることが何回か分りません。殆んどその
通り
に実行されたことはない。こういう
状態
で放
つて
おきますと、結局通信事業というものが、
國民
からはもう縁遠いものにな
つて
しもう。
國民
としては殆んど通信事業というようなものを頼るに足りないという感じを起しつつあるのじやないかと思うのです。ですからいろいろ訓示をされたり、事務当局を鞭撻される以外に、本当に通信事業というものを早く
國民
の
要望
するようにすることが、それのみが仕事だということを上から下まで、とにかく十分
一つ
徹底して貰うことが何よりも先決だと思うのです。それでそういうことについては非常にむつかしい問題も沢山あることは
承知
しておりますけれども、それについて
根本
的な対策をお
考え
にな
つて
頂かないと、ここで如何に御答弁になりましても、これは承るだけの話でちつとも実行されないということにしかならないということを、この点は
大臣
御不在ですが、お帰りになりましたら、何よりも先ず大事な問題として取上げにな
つて
、
根本
的にこれを解決すべく、これだけが仕事だというお
考え
でおやりにな
つて
もいいくらいだと思います。是非お諮りを願いたいと思います。それでお尋ねをしたわけです。その点
大臣
にも十分お傳えを願いたい。
五坪茂雄
18
○遞信政務
次官
(五坪茂雄君) 私は今の御
質問
に対して單なる答弁という意味で申上げるのではありませんが、実は同じようなことを私も
考え
ておりますので、今までに何とかできんかということを事務の
方々
に深く相談をしたので、そうすると資材がないということが第一点、それから予算がない、そういうような主なるもの、それから
逓信省
の全逓
関係
の問題もありますが、これは別にいたしまして、資材がないということについて私はどうも本当にないのかどうかと思いまして、或いはケーブルを作
つて
いる会社、電話の機械を作
つて
いる
日本
機械とか、或いは沖電氣といつたような所で重役にも会い、会社にも参りまして、事実調べて見たのですが、電話機であるとか交換台であるとか、それからケーブル線というようなものは必ずしもないわけじやないのです。むしろ買取
つて
くれないからと言
つて
向うじやストツクがあるくらいな会社もあるのです。
逓信省
が本当にこれだけのものが要るのだからということならば、その必要量は必ずできると思います。そんならその資材の原料がないのかというと、これは御
承知
の
通り
通信
関係
の材料というものはそう大量に要るものじやありません。安本といえどもそれは必要な量だけは必ず配給してくれると思うのです。
從つて
私はそれは隘路にならんと思うのです。 それから予算の問題ですが、私は安本長官にも
言つたの
ですが、三万六千円でもいい、五万円でもいいのだ、とにかく早く電話を附けて欲しいのだという
希望
者が殺到している、沢山ある。そうして資材は今申上げたようにある。それじや労務はないのかということで労務
関係
も調べて見ましたのですが、その労務
関係
も随分ではありませんが
逓信省
がやらなければならんのだということであるならば、必ずその労務に今欠けるということはないと思
つて
いる。 そこで予算の点についてどうかと言
つて
こういうわけだから
一つ
予算をもつと配当してくれることができるのかどうか、公債の枠を拡げることができるのかどうかとい
つて
交渉して見ましたところが相談して見ようじやないかということを安本長官も言われる。そうすれば改善が必要であるのか、その改善をする隘路というのは一体どこにあるのかということを突き詰めて見ますと、どうも私にもはつきり分らないので、この点は
一つ
大臣
が帰
つて來
られたら篤と相談いたしまして本氣にな
つて
一つ
改善して行きたいというふうに
考え
ております。 又これはここで言うべきことではないかと思いますけれども、
逓信省
の機構問題があります。これらについてもそういう点を照合いたしまして、
一つ
皆さんの御
援助
も仰ぎたいとお願いする次第であります。
井上なつゑ
19
○井上
なつ
ゑ君 恐入りますが先程の外國郵便のことについて。
小池行政
20
○遞信省監察部長(小池行政君)
只今
の外國郵便の
質問
ですが、衆議院の名宛で参りまして……。
井上なつゑ
21
○井上
なつ
ゑ君 これは衆議院じやありません。参議院です。ハウス・ホブ・カウンシラーズと書いてあるのですから。差出人に返送相成度とあります。
小池行政
22
○遞信省監察部長(小池行政君) 恐らく中央郵便局の外國郵便課の方の行違いではないかと思われますが、尚それをちよつと拜借しまして、十分調査して見たいと思います。
井上なつゑ
23
○井上
なつ
ゑ君 こういつた外國郵便につきましては、特に御注意が願いとう存じます。宜しくお願いいたします。
堀越儀郎
24
○堀越儀郎君 先程新谷
委員
からも電氣の復旧なり、或いは災害電話のことについて御
質問
がありまして、
次官
から懇切な御答弁がありましたが、いつもこちらからの
質問
に対して御答弁のある際には納得が行くのでありますが、実際問題として、料金の値上げ以來相当日数が経
つて
おります。私が
一つ
の例を申上げますると、私の現在の電話が議員電話で、而も通信
委員
の電話として相当
考慮
されておる。ところが先月末から故障にな
つて
如何に局に申込んでも未だに復旧できない。議員電話がこんな
状態
であるから、
一般
電話は恐らく問題にならんと思います。こういう点も
考慮
して貰いたいと思います。答弁はあ
つて
もいつもそれが悪い結果が出ておる。昨日の新聞に元の
逓信局
長の巖さんが私設の
逓信省
を設けられておる。その頃料金の値上げについて隨分
意見
が出ましたが、こういうようなことをすれば私設
逓信省
のようなものができるのじやないか。いわゆるメツセンジヤーが跋扈するようになるのではないかというような御
質問
に対してそういうようなことをや
つて
いけないという御答弁を頂いたのであります。現に新聞に出ておりまするが、そういうことが事実であるのか。或いはそれに対して事前に
逓信省
としては了解を與えておられるか。或いはこれの防止についてお
考え
であるのか。郵便料の改正とか料金の問題において出た問題であります。御答弁はされておりまするが実際問題にこういうことは必ず現われておる。電話の再開の問題でも前から聞いておるが能率がちつとも上らないということを聞いております。眞相を
一つ
お聽かせ願いたいと思います。
五坪茂雄
25
○遞信政務
次官
(五坪茂雄君) 先のことは今申上げましたような
措置
を執りたいと思います。それから私設
逓信省
の問題ですが、通信業務を一手に扱
つて
おる
逓信省
としてはそういう問題が起ることは誠に遺憾に堪えないのであります。調査その他の実情については
関係
局長からお答えいたしますが、私はこれについても
考え
るのです。午後五時に締切つた郵便物がその晩の急行で
大阪
へ参りまして、
大阪
でそれが午前中に配達されるということになりますれば、どれだけ経済、
文化
その他に貢献するか分らない、恐らく私設
逓信省
ではそれをや
つて
おるのだと思います。なぜそれが
逓信省
としてできないかということになるのです。そうして又
大阪
や
名古屋
、京都あたりは午後五時に締切つた郵便物は速達の
制度
もあるから、速達が午前中に配達されるということはできなければならない筈でございます。これは我々は大いに反省し研究しなければならないと思います。もつと眞劍にならなければ私設
逓信省
ができるということは、今の御
質問
にもありましたように、
逓信省
の無能を暴露しておるものと私も
考え
ております。私は上野八時の急行で金澤へ行くことがありますが、五時に集めた郵便物がその急行に積まれて、そうしてその行く道々の停車する局で降されて
最後
に金澤へ参りましてその金澤で午前中に配達される。これは幾らでもできる問題で決してむずかしい問題ではない。私はそういうことを
考え
ております。これは
一つ
大臣
が帰られましたらそういうこともよく相談をしてできるだけ速かに実現するように努力したいとかように思います。尚内容については……。
小池行政
26
○遞信省監察部長(小池行政君)
只今
の新聞記事にありました私設
逓信省
の事実はあつたかなかつたかという
質問
に対しましてお答えしたいと思います。お答えいたします前に
委員長
にお諮りいたしますが、本件は
只今
檢察廳を
中心
にして取調中であることと、司令部側が関與いたしておりますので、速記を省略して現在の段階までの
お話
をいたしたいと思います。
深水六郎
27
○
委員長
(
深水六郎
君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
深水六郎
28
○
委員長
(
深水六郎
君) 速記を始めて……。それでは午後二時から開くことにいたしまして一旦休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 —————・————— 午後二時四十二分開会
深水六郎
29
○
委員長
(
深水六郎
君) それでは午前中に引続きまして
委員会
を開きます。
放送法案
に対する
質疑
を続行したいと思います。
堀越儀郎
30
○堀越儀郎君 第二條の用語のことでありますが、それに関聯して無線の規定であります。將來有線
放送
についての用意はされてありませんか。
鳥居博
31
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)この
法案
と有線
放送
についてのお尋ねでございますが、この
法案
は無線によります
放送
、これを規制いたしますのを
目的
といたしまして立案いたしました。その理由はもう既に御
承知
の
通り
に無線の方は
電波
を使いまするために、これに
関係
の規制が非常に重要なことと思います。それから
電波
というものは御
承知
の
通り
一つ
出しますと、
日本
中に拡が
つて
行
つて
します。これによ
つて
廣播される
放送
内容、こういうものは
國民
に影響するところが大きいのでありまして、そのために内容についてもこの
法案
に書きましたような制限をするというようにいたしたのであります。 有線
放送
につきましては現在殆んど有線
放送
と言えるようなものが割合に少いのであります。その影響いたします
範囲
も狹いものであります。一應この
法案
からは除きまして、最初原案といたしましてこの
法案
の主な條項を有線
放送
にも準用する、こういうように
考え
ていたしたのでございますけれども、現在
日本
の有線
放送
というようなものが殆どありませんので、ここに提案いたしました
法案
からはこの分を削除いたしました。 又最近いろいろ御
意見
を伺いまして、街頭の廣告
放送
、あれも
放送
になるかならないかも区分がはつきりいたしません。
地方
に行きますと、共同受信設備と稱しまして、有線
放送
類似の
放送
が
普及
して行く傾向がある。こういうのを見て行きますと、或る
程度
有線
放送
についてもこのような法規を準備することを必要ではないかと最近私共も
考え
ている次第であります。
堀越儀郎
32
○堀越儀郎君 第四條、これは三項といいますか、事実間違つた場合の訂正の場合でありますが、「同一
放送設備
により相当の
方法
でその訂正若しくは取消又は本人若しくは直接
関係
人の弁明の
放送
をし又はさせなければならない。」この場合、取消若しくは訂正だけで、賠償というような面には触れておらないのですか……。
鳥居博
33
○臨時法令審査
委員会
主査(鳥居博君)これはこの
法案
では取消の業務を課したのでございまして、賠償は又賠償で別個の問題、こう
考え
たのであります。從いましてこの
法案
によ
つて
取消をされたから、名誉毀損に対する損害賠償の請求権はなくなると、こういうふうには
考え
ておりません。
堀越儀郎
34
○堀越儀郎君 それは別途に講ぜられるのでありますか。
鳥居博
35
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)別途に講ぜられる、こう
考え
ております。
堀越儀郎
36
○堀越儀郎君 第四條にニユースの編集のことでありますが、これを見ますと、「事実に基き」とあるようでありますが、終戰後の例で作爲的に編集された傾向があつたようで、そういう非難も聞いておりますが、現在ではどういう
状態
にな
つて
おりますか。
鳥居博
37
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)このニユースにつきましては終戰直後から今日まで見ておりますと、
放送
されましたニュース
そのもの
ではそうひどく作爲的であつた、極端に作爲的であつたと思われるものはないのであります。多少傾向的な
部分
もあつたように見受けますが、ひどか
つたの
はむしろ第四條の第二項にあります時事評論、時事解説、こういう部面を通しまして相当傾向的な解説が見えた、これは事実でございます。そうして又これに基きまして
関係
者も非常に反省をいたしまして、そうして
放送
のニユース或いは時事解説というのはどうなければいけないかということを
関係
方面
とも眞劍に
考え
まして、現在では
関係
方面
から
一つ
の指令が出ております。これは
日本
の新聞に関しての指令と同樣の内容でございまして、
放送
のニユースというものはこうなければいけないという
一つ
のこれは進駐軍のデレクテイーヴであるのであります。それの内容は四條に入れましたのと大体同じであります。それに基いて現在行われているのであります。 尚先日迄は
関係
方面
の事前の檢閲がありまして、最近は事後檢閲になりましたが、こういうものを通してニユースというものは行われております。戰爭直後のような偏した傾向の情報或いは解説というものは最近はなく
なつ
たと、こう
考え
ております。この
法案
が成立いたしますならば、この傾向で推し進めまして、そう
方面
は絶対公平を期して行く。こういうふうに
考え
ております。
堀越儀郎
38
○堀越儀郎君 それから第九條の十二でありますが、「
放送
の発達に関する研究を奨励し、及び
援助
すること。」これは
一般
的によく知られておりますが、四十五條で相当これを窮屈に縛
つて
あるように思いますが、この点は若し奨励する意味でどこのどんな機関を利用するようになりますか。十二と四十五條との
関係
であります。
鳥居博
39
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)第九條の十二号と、四十五條との関連でございますが、第九條の方は
一般
に廣い意味で以て
放送
の発達に関する研究、こういうものを奨励又は
援助
する、この場合には
放送
の発達に関する技術的に研究もございますし、又は演藝その他で特殊な演出
方法
を研究する、或いは
放送
に関する世論調査の非常に科学的な
方法
を研究する、又
放送
というものの今までない部面を
考え
て、こういう非常に廣い部面を、特殊な機関を
考え
ずに、普通の機関で少数研究なさ
つて
いらつしやる方たちの研究を奨励助長しまして、將來
日本
の
國民
文化
に役立つように努めて、これを
放送委員会
の職員の
一つ
にしたわけでございます。 それから四十五條の方では、
日本放送協会
に、この法律によりまして
放送
技術を進歩させますために研究機関を設けられるようにしてございます。この研究機関が、
日本
の公共的な機関が持つ唯一の研究機関になるわけでございます。私共としても相当整備された内容と実力を持つことと期待しておるわけでございます。從いましてこの機関に國家的な
立場
から必要な研究を命ずるということを特にいたしまして、前の九條では
國民
が自発的にや
つて
おる研究、これを指導して助長して行くようにしたのでございますが、四十五條の方は尚積極的に國家という
立場
から、特に研究を進めなければならないようなものに、この
放送協会
に命じて研究を進めて、その代りその費用は國が負担する、こういうふうにいたしたわけでございます。
新谷寅三郎
40
○
新谷寅三郎
君 堀越議員のそれに関連しまして、もう少し伺いたいのですが、今の御説明によりますと
放送協会
だけが國に費用を補助して貰
つて
研究をするだけの
施設
を持つようにな
つて
おるからこれは特別に扱
つて
おるのだという
お話
ですが、併し現在におきましても、すでに
放送協会
の研究所と負けないくらいの研究所があちらこちらにあると思うのです。殊に
放送事業
全般から
考え
ますと
受信機
でありますとか、或いはテレヴイジヨンでありますとか、非常に新らしいこれから発展を遂げなければならない仕事が沢山あるわけですが、そういう点から言いますと、
放送協会
よりもむしろ他の会社とか或いは
團体
においてや
つて
いる研究の方が進んでいる、
施設
もいいというようなものが沢山あると思います。そういつたものに対しては、そういたしますと具体的にこの場合に法律でも出して、國が費用を負担するというようなことになるのでしようか。若しそういうことであればそういう事態が明瞭なんですから、特に四十五條のように
放送協会
に限らず全般的にそういう必要があれば、
放送委員会
はそういう機関に対して國の費的で以て研究を助長するということにしておかないと、現実とも非常に違つた結果になると思うのです。 その点が
一つ
と、それから、この四十五條を見ますと、第三項に、こういうふうに費用を國が負担した場合に、その研究の成果は全
放送事業
を含む公益の利益になるようにしなければならないと、こう思うのですが、
放送協会
の持
つて
います研究の
施設
、これは申上げるまでもなく聽取者全体から集ま
つて
聽取料
で以て築き上げた研究所だと思います。單に國が特別の費用を負担しただけじやなしに、現在の
放送協会
の研究所で、自分自身の
考え
で研究を進めて、そうして得た結果が非常に
日本
の全
放送事業
に役に立つというものであれば、これも当然に
一般
に開放して、そうして
日本
の
放送事業
の発展に寄與させるというのが当然であり、又そうしなければ、
放送協会
の本來の使命からいいまして、非常に妙なことになるのじやないかと私は思うのです。特に四十五條第三項にこういつたことをおくよりも、
放送協会
の全般の研究に対して、こういう技術の公開ということをやらせるべきじやないかと思うのですが、この二点如何でしようか。
鳥居博
41
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の
日本放送協会
の研究機関以外にも、國家の命令による研究をさせてはどうかという最初の御
質問
でございますが、この
法案
では、先程申上げました
通り
に、一應
一般
の
民間
の研究につきましては自発的な創意を重んじて、これをできるだけ國家の
立場
から助長して行く、併し
放送協会
に対しましては、
放送協会
の意思に反しても、國家という
立場
から、研究題目を指定してそうして研究をさせることができるのだと、こういうふうにいたしたのでございますが、今新谷
委員
からの御
質問
のように、若し
一般
の
民間
の研究所にもこういう研究命令を出す方がいいということになりますと、これも亦
一つ
の
行き方
だと思うのでございます。この点は、今度できます
日本
学術
会議
でございますか、科学技術の研究命令に対しまして新らしい
制度
が作られるのでございますが、これなんかとの関連も
考え
まして、若しそういうふうに
一般
の
民間
の研究機関に対しても研究命令を出した方が効果が挙り得るのだというふうになれば、この
法案
をそのように御修正頂くことも、決して私共といたしましては吝かでないのでございます。 それから研究の成果の問題でございますけれども、
日本
の特許法を改正する案を現在
政府
において
審議
中でございまして、現在の特許権に相当大巾の修正が加えられると思うのでございます。殊に
政府
その他の公共
團体
の持つ特許権というものにつきまして、現在再檢討が加えられております。併し今日におきましては、
大臣
名で
政府
が所有しております特許権につきましても、まだこれを
一般
に公開するというところまでには立ち至
つて
おらないのでございまして、ましてこういう公共
團体
の特許を全部公開してしまうのだという原則に至るには、この
法案
でそれを行うには、ちよつとまだ早いのではないか、こう
考え
ております。
堀越儀郎
42
○堀越儀郎君 第九條の三に「
放送設備
及び受信設備に関し、必要な最低技術要件を制定すること」とあり、その次の但しのところに「少くとも
電波
廳の定める技術
基準
を満たすものでなければならない」と、こうありますが、その「少くとも」というのは、現在の
日本
の技術水準を予想されてのことでありますか。いつまでもこれを置かれるものでありますか。少くともという文字を、まだはつきりさせるところまで進んでおらないということを
考え
ておられるのでありますか。その点、余程含みがあるのですか、お聽きしたいと思います。
鳥居博
43
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)第九條第三号の問題でございますが、これは
只今
御
質問
の趣旨とはちよつと異
つて
おりますので、
只今
の無線電信法によりますとこの
電波
の何と申しますか、警察行政と申しますか、こういうような権限は
逓信大臣
に現在ございます。そうしてこの
法案
を立案いたしますときに、
放送
に関してだけの
電波
の取締りは
放送委員会
に持
つて
行くか、或いはこれも含めて
電波
警察権に関しては一元的に
逓信省
に残して置くかどうかということを愼重に
考慮
いたしたのでございますが、こういう
一つ
の
電波
の取締りというようなことを國内で
二つ
の機関に分けますと、これは國際的な
立場
から言
つて
も非常に不利でございますし、又こういう警察行政というような権限を発揮しますためにもその間の調波を欠くような虞れもございますので、こういう面は依然として
逓信省
に残して置く、こういう建前でこの
法案
を起案いたしました。從いまして
逓信省
がこういう
電波
警察、
電波
を練締るという
立場
から
電波
につきまして少なくともこういう
電波
でなければいけないという規則を作るわけでございます。 今度は
放送委員会
が
放送
というこういう
文化
的な事業を行わせる
立場
から、その
電波
につきまして更に明細な
基準
を最低の
要求
を決めて行く、こういうふうにさせることにいたしまして、それでこの
法案
では「少くとも
電波
廳の定める技術
基準
」とこう書きましたのは、例えば
放送
に使う
電波
の種類はこうだ、その
電波
はどのくらいの正確さでも
つて
出さなければいけない。或いは他と
混信
を起した時はどういうふうになるか、こういう規則については
電波
廳に任せて置く。更に被せて今度
放送委員会
としては途が聽けるいい音になるにはどういうふうに使わなければならんか、こういうふうな規則を作
つて
行こう、こういう次第でございます。
堀越儀郎
44
○堀越儀郎君 第二十五條の八号でありますが、「ニユース及び情報を集收し並びにニユース提供機関を設け、」とありますが、これは
放送協会
自体がニユース提供機関を自分の費用をも
つて
設けるのですか、これを他にそういう機関があるなればそれを利用するということは
考え
られないのですか。
鳥居博
45
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)これは御
質問
の
通り
に相当大幅な規定にな
つて
おります。それで他にこれは三つの場合を
考え
得とめ思うのであります。
一つ
は
放送協会
自身が自分のためにニユース、提供機関を作る。現在でも
放送協会
は
放送
記者という特殊の職員を置きまして、そうして新聞記者と同様な仕事をさせましてニユースを集めております。これは
一つ
の内部機関でありますが、内部における
一つ
の情報の提供機関を作
つて
おります。こうも
考え
られるのでございまして、これは外部には提供しておりませんが、内部
関係
で
一つ
のニユースの提供機関を作
つて
おるとこう
考え
るのであります。もう
一つ
は他にできておるニユースの提供機関、例えば共同通信とか、その他の通信社に参加しまして、参加と申しますか予約いたしましてそのニユースを貰う、こういうことも
一つ
。それからもう
一つ
は他のいろいろな報道機関と共同いたしまして
一つ
の報道機関を設置する。こういうふうな三つの場合を予想してどれもできるようにこの
法案
といたしましては
考え
ております。
堀越儀郎
46
○堀越儀郎君 今の御答弁でありますけれども、内部の設けられる場合は「情報を收集し」ということで事足りるのじやないかと思いますが、ニユース提供の機関を設けなくても、すでに共同通信のようなものがあり、そういう機関を十分に利用するということで足りないのですか。
鳥居博
47
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)これは今の御
質問
の
通り
に、外部の機関を利用しましてニユースを受けるということでも足りると申せば足りる。ただこの
法案
で
考え
ましたことは、先般も一度申上げたのでございますが、今後の
日本
の
放送局
をなるべく多数おきまして、こういう
一般放送局
も認めて、多数の
放送局
を作
つて
行こう。この
放送
につきましても、この
放送
を
一般
のニユース機関と独立の
立場
を持たそうじやないか、こう
考え
ましたのは、ニユースの源泉はですね、成るべく豊富の方がいいのだ、成るべく違つた源泉から
國民
にいろいろのニユースが集まる方が、今後の民主主義的な國を作るのには望ましいのではないか。こうした場合に、
日本放送協会
のような
日本
全國に非常に大きな報道網を持ちまして、影響力が大きい、こういう機関が、朝日新聞ならば朝日新聞と同じニユースを又持ち出す、こういうことになるよりは、やはり
一つ
の独自なニユース網がありまして、違つた集め方をして、そうして違つたニユースを流す、この方が望ましいのじやないか。
從つて
そういうこともあることを予想しまして、これではニユースのそういう機関を作ることができる、こう
考え
たわけであります。
堀越儀郎
48
○堀越儀郎君 御趣旨結構でございまするが、專門にや
つて
おりまする共同通信のような設備になりますと、予算の大きな設備があり、非常な経費を掛けております。現在の
聽取料
などの予算によ
つて
やられるこの設備に対して、それ以上のものを設けられるというお見込みかお立ちになるのでしようか。
鳥居博
49
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の
日本放送協会
の経営
状況
から見ますれば、自分だけでこのような報道機関を独自に作
つて
そうして又、これを共同などと同じようにニユース提供人として働かすというだけの余力はとても現在はないと私どもはこう
考え
ております。
堀越儀郎
50
○堀越儀郎君 そうなりますと、私設のそういう機関をもつと利用される方に向けられるのがいいのじやないかと思います。その費用を、更に技術面において足りないのですから、そういう
方面
に向けられて、ニユースの場合には、
放送協会
自体でやられる、いわゆる貧弱と思われるよりも、もつと拡大された既設の機関に向けられる方が私はいいのじやないかと思うのですが、それはどうですか。
鳥居博
51
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の
放送協会
の現状で申しますれば、
只今
御
質問
の
通り
になると思います。現在の
日本放送協会
の経営
状況
から申しましては、独立のニユース機関を作るということは困難だと存じております。併しながら法律といたしましては、そういうことをできなくしてしもうということも、やはり一考を要すると思うのでございまして、法律としては、飽くまでもそういうものを作り得る余地は残しておく、例えば今アメリカでは三つ、四つの大きな
放送会社
のグループがございまして、これが皆やはり
一つ
のニユース提供機関というものを作
つて
おる。例えばNBCがございますと、NBCが
一つ
のニユース提供機関にもな
つて
、新聞社にもニユースを配
つて
おる、こういう機関の將來
日本
におけるエージエンシーのようなものを作ることも
考え
られていいのじやないか。その余地だけは残しておきたい、こういう
考え
でございます。
堀越儀郎
52
○堀越儀郎君 四十六條でありまするが、「
放送
番組
の編集について……科学的世論調査を定期的に行わなければならない。」ということがあるが、特に「科学的」と銘打
つて
輿論調査をするということは、近頃輿論調査ということは非常に盛んに各
方面
で行われますが、「科学的」という言葉を特に使
つて
おるのは、どういう
方法
をや
つて
おられるのですか。
鳥居博
53
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)御説明いたします。私共の最初の原案では、この科学的という言葉はございませんで、又私共としてはこういうことはちよつと思いも付かない
考え
なのでございますが、
関係
方面
と折衝しておる中に、すべてこういう言葉をはつきりさして置く。こういう
意見
が出ましてのは、今まで世論調査というものが実に得態が知れない。それで、例えばたまたま集つた投書だけを分析してこういう世論だと、こういうふうに語り、或いは又自分の知
つて
いる人だけに聞いたり、そうしてこれが世論だ、こういうふうに言
つて
、
放送
番組
の編集
方針
を決めて行く、こうなるとこれはちつとも本当の世論を反映したものでなくて、たまたま投書的な人の傾向が出て來る。或いは
放送協会
の知り合いのある人の傾向が出たことになるので、
日本
國民
大衆の世論というものは出て來ない。ところがアメリカにおきましてここ三、四年間でございますか、非常に世論調査というのが、統計学的に進んで
一つ
のサイエンスをなしておるのである。これを科学的な世論調査、こういうので、これは
國民
をやはり職業別、或いは年齢別、性別、こういうようないろいろな社会学行な面から
一つ
の典型的な型を選びまして、そうしてそういう形につきまして二十何種類くらいの社会人としての在り方を決めて行くわけであります。そうしてそれにつきまして、
國民
の全体に亘りまして、そういうタイプとしての代表的な人を選びまして、そうしてこの人を定期的な調査
報告
者として委嘱するわけであります。そうしてこの
方々
に問題ごとに調査表を出して置きまして、そうしてそれを統計学的に分析いたしまして、その結果出たものを以て科学的世論と、こういうふうに言う。こういうことをいたしまして、現在
関係
方面
の御指導で以て
日本放送協会
に大体その準備ができまして、大体來月頃から第一回調査に掛かることにな
つて
おります。大体そういう内容を入れまして、ここに科学的な世論調査、こう言
つて
おるわけでございます。
深水六郎
54
○
委員長
(
深水六郎
君) この
法案
について國際的ないろいろな資料はありませんか。例えばスターズ・アンド・ストライプスあたりや他の國の、何かそういうふうな批評と言いますか、反響というのはありませんか。
鳥居博
55
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)この
法案
が発表されましてから、國際的な反響というものにつきましては、現在私共の方に分
つて
おりますのは、ユー・ピーの記者がこれにつきましてアメリカ本國に通信を送りまして、
一つ
の記事を送
つて
おります。これがアメリカ本國でどの
程度
にインフルエンスされましたかは残念ながら明細が分りませんのでございますが、その論旨の主なところは、進駐軍
関係
の機関紙でございますスターズ・アンド・ストライプスの六月の二十五日号に出ております。その趣旨といたしますところは、この
法案
の第五十五條、外國人の
一般放送局
の申請ができないという点につきまして取上げております。この点につきましてこの記者の論旨を簡單に御紹介いたしますと、この五十五條は極めて排他的であ
つて
、この條文のためにアメリカ人その他の外國人は
日本
において
放送事業
を行うことができなくなる。併しながら
日本
の、自分の知
つて
おる限りの識者というものの
意見
をよく聽いて見たところが、
日本
人はアメリカの
放送局
が
日本
にできることを非常に期待しておる。或る識者の言によれば、
日本
に強力な
放送局
を作
つて
呉れなければ
日本
はロシヤの
放送
によ
つて
圧倒されてしまうだろう。
從つて
我々はこの五十五條のような條文には反対だと、
日本
の或る識者は言
つて
おる。こういうふうな記事を出しております。これに対しまして総司令部の
意見
を代表いたしましてミスター・フアイスナーが反対しておりまして、この五十五條のような條文というものは凡そ世界の文明國といわれる國の
放送
に関する法規にはどこにもあるので、アメリカにも、イギリスにも、フランスにもこういうものと同じような法規がある。そうして
國民
的な
文化
を守
つて
行くのだという
立場
からいえばこれは当然なんであ
つて
ユー・ピーのこの記者の言のごとき、即ちこの
法案
が特に排他的であるということは当らない。こう反撥しておられます。この以外に國際的な反響が強かつたことはまだ私共は聞いておりません。
堀越儀郎
56
○堀越儀郎君 この四十八條でありますが、「協会は、表現の如何にかかわらず、営業廣告を
放送
してはならない。」この営業廣告というのは何を意味するのですか。
鳥居博
57
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)四十八條で特に営業廣告と、こう書きましたのは、営業廣告と申しますと、例えば今や
つて
おります尋ね人の時間、これは
一つ
の廣告
放送
になりますので、公益上非常に必要な
放送
で、特に営業廣告と書きましたので、或る宣傳的意図を以て、費用を貰
つて
そうしてその宣傳のためにする
放送
、こういう意味に私共は解釈しております。
堀越儀郎
58
○堀越儀郎君 若しそうだとすれば、この第二條の中に、用語の定義を並べておられますが、そこへ「営業廣告」というのはこういうものであるということを入れる必要がないか。
鳥居博
59
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の御
質問
はよい御
質問
で、営業廣告に入れることについて私共は
一つ
も異議はございません。むしろそういうふうに修正して頂いた方がよいと思います。
新谷寅三郎
60
○
新谷寅三郎
君 少し重複する点があるかも知れませんが、もう少し
質問
したいと思います。この前にお尋ねをした
放送協会
の債券十五億というものの算出の根拠を出して頂きたいということでございますが、それは明日で結構ですから、簡單ながら印刷物にして配付して頂きたい。それから先程午前中に御説明のあつた全國的な
放送
施設
に対する五ケ年
計画
、これも差支ない限り、
只今
決ま
つて
おるだけの
計画
の大綱を印刷にして頂きたいと思います。明日で結構でございます。
鳥居博
61
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)分りました。
新谷寅三郎
62
○
新谷寅三郎
君 それからお伺いいたしますが、午前中にも申上げたように、
各地
とも
一般
の
放送局
と、できればこの
法律案
が訂正された場合に相当の数に実際実現するように
考慮
して呉れという
要望
が非常に強かつた。
逓信省
としては現在
日本放送協会
に対して法律により、或いは法律によらない事実上いろいろの便宜を與えておられると思います。勿論この
一般放送局
に対しましても
放送協会
に対すると全然同じ
條件
で、例えば有線の中継線でありますとか、その他いろいろの便宜を提供せられるものと思
つて
おるのであります。その点明瞭にお答えを願いたいと思います。
鳥居博
63
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
新谷
委員
から
お話
もございました
放送
債券発行限度を十五億としましたその内容につきましての資料、それから全國の
放送網
に関しまする五ケ年
計画
の資料、これは明日至急取揃えまして資本としてお出しします。それから第三番目の
一般放送局
と現在の
日本放送協会
と差別的に扱わずに全然同じに扱うかどうかという、こういう
お話
でございましたので、その点は又
放送委員会
ができましてから、
委員会
の
立場
もあることと存じますが、この
法律案
の立案者といたしましては資金、資材、
施設
その他の点でできるだけ公平に扱いたいと存ずるのでございます。併しこの公平ということは必ずしも全然同じだということにはなり難い点もあるのじやないかと存ぜられます。例えば極く小さな都会におきまして
民間
の
放送
が始まりました場合に
日本放送協会
そのもの
に対すると同じだけの
援助
が直ぐできるかというと、その点多少疑問が出るのではないかと思います。例えば同じこの
地方
だけの
施設
に対する
日本放送協会
に対する
援助
と、その
地方
でできます
民間
放送
に対する
援助
を比較して頂きますならば、これは同等、或いは同等以上に
民間
放送
に
援助
することになるのではないかと思いますが、
日本放送協会
全体に対する
援助
と同じだけの力を
一つ
の個々の
民間
放送
につぎ込んで行くということはなかなか困難なのではないか。從いまして
各地
に多少違う点もできて來やせんかと思われるのでございますが、先般も
お話
しました
通り
政府
といたしましてはこの
法案
が成立いたしますならば、
民間
放送
の円満なる成長ということを念願といたしておりまして、できまするだけの
援助
育成ということを心掛けて行きたいと存じております。
新谷寅三郎
64
○
新谷寅三郎
君 そういう点を申上げておるのではないのですか、
放送協会
の持
つて
おります特権というものは大体この法律には書いてございますが、然るにそこまでの
援助
は
一般放送局
に対してできないのは当然かと思います。併しながら例えば資材の斡旋でありましても、配当でありましても、或いはスタジオと
放送局
との間の中継線、或いは專用線というふうなものにつきましてはそれがないといかに免許を受けましてもできない。ですから
放送協会
が今
逓信省
の設備を余程使
つて
放送
をや
つて
おりますが、少くともこれと同じ
條件
で
一般放送局
にも便宜を提供する、免許を受けた以上は同じ
條件
でそういう便宜を提供するというのは当然であろうと思いますのですが、今の
お話
によ
つて
そういう点は十分にやるというのですから、それで結構だと思いますが、資材の方におきましても
逓信省
においておやりになるのか、或いは
放送委員会
でおやりになるのか知りませんが、免許せられた以上はそれに対して資材の配当というものは足りないなら全体的に足りない。併しあるものを或る比率で分けるというならば同じような意味で資材の配当もするというようにして頂きたいということを申上げるのです。
鳥居博
65
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
のお説御尤もだと思います。そのようにいたしたいと思います。
新谷寅三郎
66
○
新谷寅三郎
君 それから四十九條に関連しまして午前中に第二
放送
の
施設
を
民間
に関放したらどうかという御
意見
もあるということを申上げましたが、これは相当大きな問題で俄かにその
方針
を決めるということは困難であります。四十九條の第一項につきましてはこれを嚴格に如何なる
方法
によるを問わず、とにかく協会の設備の全部又は一部を貸與するとか他人に使わせるというようなことは絶対にしちやいけないという規定にな
つて
おりますが、これは
放送委員会
が
放送協会
の運営上差支えないという限度であれば、こんなに嚴格に書く必要はないので、場合によりましては、第二
放送
を言うのではないのですが、
放送協会
の持
つて
いる設備の
一部分
でありましても、契約によ
つて
使
つて
いいということであれば、而も
放送委員会
でそれは差支えないという制定を下された場合には、この四十九條第一項の例外として賃貸或いは使用に供するということを
考え
ても差支えなかろうと思うのでありますが、如何ですか。
鳥居博
67
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の第四十九條第一項を緩和することについての御
質問
でございますが、この第一項の趣旨は
日本放送協会
が今度は公共機関として特にこの法律によ
つて
設定せられまして、又いわゆる独占禁止法の
立場
から申しましても、極めて大きな経済的な格差を以て行動いたしますので、從いましてこういうような
施設
が他の勢力の支配に属したり或いは影響を受けてそのために公共性が多少でも阻害されるということがないようにすることを
考え
まして作りましたのでございますが、今御
質問
の
通り
に多少嚴格になり過ぎている感はあると思います。この公共性が害されないという
範囲
内でございますれば、
只今
の御説のように多少緩和するということも差支えないかと存じます。
新谷寅三郎
68
○
新谷寅三郎
君 それから
一般放送局
は今後若し仮にできまするといたしまして、相当
放送協会
の
放送
番組
と比べましても余り劣らないような
放送
でないと成り立
つて
行かないことは明瞭であると思いますが、その場合に、場合によりましては外國の
放送会社
と契約を結んでそうしてその
放送
の或る
部分
を短波で受けて、これを
中波
に直して流すということも
考え
られるのであります。そういう場合に先程
お話
も出たようでありますが、外國との協定とか契約とか、そういつたものについてはどういうふうな形にな
つて來
るのでしようか。結局これは
民間
の間のそういう
放送会社
相互間の協定によ
つて
やれば差支えなくなるのでしようか。或いは國と國との協定というものが今後に必要にな
つて來
るのでしようか。現在の條約なり協定なり、そういつたものから見て、或いは將來の見通しについて、その点がどうなりますか、御説明を願いたいと思います。
鳥居博
69
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の御
質問
は、外國の
放送
を
日本
で再
放送
する場合についての御
質問
でございますが、
日本
が講和條約を済ませまして、國際的な地位を回復しました曉に
日本
の或る事
業者
が外國の事
業者
と契約によりましてその
放送
の再
放送
をするということは、國際法規上許されることと存じます。ただこれが
日本
が戰前に行な
つて
おりましたように、國と國との相互
義務
という形で行われますならば、これは國家間の
一つ
の協約を伴うことになると思いますが、自由なる企
業者
間の單なる契約で行われる場合には、これは現在の國際法規から言
つて
可能なことと存じます。ただその場合に、國内法規的に申しまして第五十五條との関連が出て來るわけでございまして、このようにして行われる
放送
が例えば外國の宣傳的意図を持つた
放送
をそのまま國内で再
放送
するという形になりますと、この五十五條の禁止事項というものが完全に死んでしまうことになります。從いましてそのような
放送
は第一條の要件を充たし得ないものと判断するより外なくなると思うのでございます。この点の問題を別にいたしますならば、今の御
質問
の
放送
の企業の在り方というものは可能じやないか、こう存じております。
新谷寅三郎
70
○
新谷寅三郎
君 御説明大体分りましたが、短波で聽くならば外國
放送
はじかに日夜聽けるわけであります。それは別に禁止されている何もないわけでありますから、
從つて
放送事業
者としてはおつしやるように第一條、第二條等に掲げてあるダイヤル等に照らして差支えない
放送
であればその法律の表からは別に差支えない。ただ向うとの協約なり協定なんていうものがあるので、それはやはり講和條約でもできないとそれは不可能だというのですか。講和條約できなくてもこういうような本格的なものですから、特別に総司令部との斡旋によ
つて
そういうことが可能になるのじやないかと思いますが如何ですか。
鳥居博
71
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)その点につきましては又
関係
方面
の
意見
を質しまして、しつかりした御返意を申上げますが、現在
日本
はまだ國際的地位を回復しておりませんが、著作権の一部につきましては、すでに特例的な扱いを受けております。これと同樣な取扱いも話によりましては可能なのではないかと
考え
ております。
新谷寅三郎
72
○
新谷寅三郎
君 それから少し細かい問題にな
つて
、お終いの方の百二條に
放送協会
が資産を引続ぐ場合に現在の帳簿價格で資産及び負債を引継ぐと書いてあります。併しこれは
考え
ようにもよりますが、帳簿價格によ
つて
資産を引継いで、帳簿價格による資産の償却だけをや
つて
お
つたの
では、今度それせ建直す場合、機械が壞れて大工が來てそれを新らしく作り直さなければならんという場合、つまり再生産の場合に、非常に障碍になると思います。又新らしく
聽取料
でも増額になるとかそういう
方法
をと
つて
やらなければならんと思うのですが、それよりも大体の再生産價格というところまでは或る
程度
帳簿價格を是正して、そうして
放送協会
の資産にして置いた方が協会の経理としては健全ではないかと思うのです。そうしないと、非常に一時に多額の金が要ることになると思うのですが、そういつたことはお
考え
にならなかつたでしようか。或いは先程お尋ねした十五億の内容にそれが保証されておるのでしようか。その点が
一つ
。 それから堀越君からお尋ねのありました有線
放送
のことです。第二條から見ますと、第一項に「
放送
」とは電氣通信の送信及び受信とありまして、有線
放送
は勿論入る建前にな
つて
おりますが、その
放送
というものを左の五種類に分けるとあ
つて
、そこには有線
放送
は入
つて
おらない。本來有線
放送
も
放送
の中に入ることは当然でしようが、法認されて別に差支えないような氣もしますが、現在極く限られた
範囲
ですけれども、銀座とか澁谷とか
方々
で、有線による
放送
を大衆に対してや
つて
おります。そういう
放送
がこの
放送法案
の適用を受けないことになると、例えば第一條でありますとか或いは第四條でありますとか、こういつた規定に牴触しても、別に取締規定がないということになるので、やはり有線
放送
につきましても、この法律の全文でなくても、或る必要な
部分
の適用をして置くということが必要じやないかと思うのです。その点についての御
意見
をもう一度伺いたいことと、それから
放送委員会
の規則ですが、これは非常に重要なもので、この法律に盛られていない細かい規定、むしろ実体的な規定を
放送委員会
規則で以て決めることにな
つて
おります。手続としては、官報に公布するというようなことだけ書いてあります。これは
内閣総理大臣
と
放送委員会
との
関係
にも関連するのですが、
放送委員会
規則を出します場合には、責任者は一体誰になるのか。
内閣総理大臣
が自分の責任において出すことになるのか。或いは
放送委員会
だけの責任で、
内閣総理大臣
は一切規則については責任を負わないのか。そういつたことが不明瞭だと思うのです。その点について御説明を頂きたいと思います。 それからその次には、今申上げました
放送委員会
との
関係
でありますが、この前にもちよつとお伺いしたことがあるので、重複するかも知れませんが、総理
大臣
を経由して
國会
に
報告
する事項が列挙されております。この
報告
事項の内容についての責任は、一体誰が持つのか。総理
大臣
が責任を持つのか、
放送委員会
が責任を持つのか、その点が不明瞭でありますから、お答えを願います。
放送委員会
の予算等については、
國会
に対し或いは
國民
に対して、誰が責任を持ち誰が権限を持
つて
おるかということ。それから
内閣総理大臣
の
委員会
に対する人事上の或る
程度
の監督権というものはこの
法律案
に載
つて
おりますが、
委員会
の業務に対する監督権、これについては一切書いてないので、ただ「
内閣総理大臣
の所轄の下に」ということが書いてあります。一方では、
放送委員会
は独立してその職務を行なうのだと書いてありますが、これによりますと、
内閣総理大臣
は、
放送委員会
の業務上のことについては、指揮監督権が全然ないというふうにも
考え
られる。この点も明瞭にしませんと、先程から申上げた予算とか或いは
放送委員会
のいろいろの処理事項についての責任の限界とかが明かでないと思います。それらの点について明瞭にして頂きたいと思います。 それからもう
一つ
第九條に書いてあることで、
各地
を廻りました時に
放送委員会
と
電波
廳が
二つ
にな
つて
今度二重監督にな
つて
は非常に困るという声があります。第九條によりますと、或種の事項については
電波
廳と協議するという字を使
つて
あるのでありますが、協議という字はいろいろの解釈がありましようが、若し
電波
廳が
放送委員会
から協議を受けて、そうしてそれに同意しない場合には一体それはどうなるのでしようか。同意しなくても
放送委員会
としては自分の信ずるところを職権をも
つて
行い得るという、そういう意味の協議でありましようか。同意がなければ
放送委員会
は
決定
する権限がない、つまりこれは両方の共管事項であるというふうに
考え
るべきか、この協議という字をいろいろに使
つて
ありますから、その点
放送委員会
の権限を明かにして置きたいと思います。大体この
程度
のことをお答え願います。
鳥居博
73
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君)
只今
の御
質問
に
一つ
づつお答えさして頂きたいと存じます。 まず第一の御
質問
の、本法の百二條における財産の移轉の場合の評價の價格でございますが、この法律では「帳簿價格による」と
決定
いたしました。これは
一般
にこういう公共財産の移轉というものは帳簿價格で行うのを通念といたしておりますので、本法におきましてもこれに從いまして、これを現在の経済情勢に鑑みまして、帳簿價格を改訂するという問題は、單に
放送協会
だけに止まりませんで、これは
日本
の産業全分野に亘る大きな問題だと存じます。
只今
の例の企業再建整備法、こういうもので一應現在の各会社の資産の評價
方法
というものは規定しておられますし、將來又通貨に変動のあるような場合には、やはり全
日本
の企業体につきまして、この資産價格をどう評價するかということを全体的に
審議
されることと存じます。併しこの
法案
に関しまする限りこれを現在の時價に合うように評價換して置かないと、將來の
日本放送協会
の経営に支障を來さぬかという御
質問
でございましたが、これは私共の
考え
といたしましては、評價換しなくてもそう重大な支障は來さないのではないか、こう存じております。では先般も御説明いたしましたように、新協会は主として建設資金その他を債券によ
つて
賄いまして、債券償却の
方法
によ
つて
これを償却して行くという建前を一應採
つて
おります。旧資産と新資産の間に相当價格の差はできますが、これが將來大きな経営上のがんになるとは
考え
ておりません。むしろここで評價替えいたしまして、そこに何億という利益金を計上することの方が協会の経営に將來悪い影響を與えやしないかということを危惧いたしております。 それから第二の御
質問
で、有線
放送
の問題でございますが、これは有線
放送
につきましては、先程御答弁申上げました
通り
でございますが、ただこの定義の書き方につきましては、この法律といたしまして、当面これは無線に関する規定だけに限りまして、又この法律の
目的
とするところも無線による
放送
を規正することにあるのでございますが、
放送事業
の將來というものを
考え
て見ますと、やはり
日本
でも或
程度
の有線
放送
というものが將來相当伸びて参りまして、これに関する取締ということも必要になるのではないか、又現在におきましても、多少その必要が生じて來ておるかとも思われる点もございまするので、そういう場合に、何等かの法規でこれを取締るという場合に、やはり
放送法
で取締るのが一番いいのではないか、そういうことも
考え
まして、定義のところに、特に
放送
というものは有線
放送
も含み得る定義をいたしたわけでございます。先程
お話
のございましたように、有線
放送
につきまして、この
関係
條文、特に本法の第一條、第三條、第四條、第五條、第七條、これらの各條は準用されることが必要が生じて來るかと存じております。 それから第三番目の
委員会
規則でございますが、この法律におきましては、先程も
お話
のありましたように、
委員会
はこの法律の定める権限につきまして、独立してこの権限を行使いたしますので、この
委員会
規則もこの
委員会
の権限に属しております。從いまして
委員会
規則は、この
法案
では、総理
大臣
の決裁を必要とせず、
委員会
独自でこれを制定いたすようにな
つて
おります。同樣な例は、現在の人事
委員会
規定、それから……間違いました。今度の人事
委員会
は総理
大臣
の決裁を得ておりますが今度の改正案に盛られておるものでは独立とてうことにな
つて
おります。この
法案
におきましては、
放送委員会
の規則は、
放送委員会
が独自にこれを制定するという建前を執
つて
おります。第四番目の御
質問
の
内閣総理大臣
との
関係
でございますが、
内閣総理大臣
の所轄するということにつきまして、この法律によ
つて
委任されました権限の行使につきましては、飽くまでも
委員会
が独自でその責任に当る、こういう
立場
を執
つて
おります。併しこの委任された
範囲
内においての権限を行使しておるかどうか。それからその権限を正当に行使しておるかどうか、こういうことを監督いたしますのは
内閣総理大臣
の権限でございます。 それから第五番目の、この
委員会
の予算、その他をどこが責任を持つかということでございますが、この
委員会
は、
内閣
の一機関でございまして、從いまして総理廳の外局というような形に相成ると存じます。從いましてこの予算、その他につきましては、
内閣
が責任を持
つて
これを計上し、そうしてこの決算につきましても、
内閣
が責任を持つということに相成ると思います。 次には、六番目に、
電波
廳と
放送委員会
との
関係
でございますが、ここで協議をする。こう書きましたことは、両者共管ということにございまして、協議調わなければ、
放送委員会
は
電波
廳の先ず権限を持
つて
おることに関しましてはこれを單独で行使することはできません、尚具体的に申上げますと、例えば
電波
の波長の割当につきまして、
電波
廳と
放送委員会
との間に協議が成り立ちませんでした場合に、これを
放送委員会
が一方的に割当てるということはできません。併しながら電放廳といたしましては、この波長割当につきましても、その権限の行使につきまして、この法律で制限を設けまして、この場合において以下に制限を書いてございます。そうしてこうした制限以上に行政面に出て非渉することを禁止しております。
電波
廳はただ純技術的な面についてその権限を行使する、こういう制限を付けまして、
電波
廳の越権にならないように、又
電波
廳の
立場
から
放送
行政というものが撹乱されないようにいたしたつもりでおります。簡單ですが御説明といたします。
堀越儀郎
74
○堀越儀郎君 この
放送協会
のことに関連しております事業外收入であつたと思いますが、これによりますと、事業外收入というものは相当多額にありますものと……事業外收入というものにどういうものがありますか。これは二十二年度の收支予算であります。相当多額の事業外收入でありますが……。
網島毅
75
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) この
放送協会
の正規の事業といたしましては、御
承知
の
通り
一般
聽取者に
放送
を提供いたしまして、その代償として
聽取料
を徴收しまして、それによ
つて
やるのでございますが、その外に現在
日本放送協会
といたしましては、
政府
を通じましていわゆる進駐軍
放送
というものをや
つて
おります。これは
連合軍
司令部から
政府
に命令が参りまして、
政府
から
放送協会
にそれを傳えまして、
放送協会
におきまして或場合におきましては
施設
そのもの
を建築し補修して、進駐軍の
放送
プログラム
をやり得るように提供しておるわけでございます。それから又
施設
そのもの
は進駐軍が行ないまして、その
施設
の需給をや
つて
おるというものもございます。それが現在
東京
、
大阪
その他、数は覚えておりませんが、十数ケ所ございまして、それらの経費に対しましては、
日本政府
から、進駐軍の経費といたしまして、
日本放送協会
に拂
つて
おります。それらの経費がこの收入の大
部分
でございます。
堀越儀郎
76
○堀越儀郎君 それから職員養成費というものが相当多額な面で
要求
されておりますが、それは技術者を養成するものでありますか。
網島毅
77
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) 職員養成所は、技術者ばかりではございませんで、技術者並びにその他
放送
の從事者というものを
一般
から採用した場合に、これを再訓練しまして、そうして各職場に送
つて
役に立たせるという趣旨でございまして、現在や
つて
おります主なものは、技術者とアナウンサーでございます。
堀越儀郎
78
○堀越儀郎君 それには俸給とは重複しませんか、養成費というものは。
網島毅
79
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) 養成所費は養成所の職員、先生その他什器、或いは実驗用の設備、そういうものの雜用費でございまして、その中には職員の俸給は含まれておりません。
藤田芳雄
80
○藤田芳雄君 第二條の二項の「
放送
とは送信及び受信をいう」というようなそうした定義をいわなければならない理由はどこにあるのか。というのは、そのあとの方に行きまして、例えば六條にしても、七條にしても言葉が重複するようになる。
放送
というものが送信及び受信をいうのであれば、自由に送信設備を設置し
放送
を受信することができる。送信及び受信を受信することができるといつた恰好に聞える。そういつたところが十七條にも出て來るわけですが、何か
放送
というものを特にこうした送信及び受信というように分けていわなければならない理由があるのですか。
網島毅
81
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君)
只今
の御
質問
でございますが、私達も最初は
放送
というものを一應送り出すという
方面
に解釈をいたして、又、そういう定義を以ていろいろ
放送法案
の作成に当
つたの
でございますが、いろいろや
つて
おります中に、やはり
放送
というものには必ず受信というものが附属しなければいけないという見解に立ちましてこの第二條のように定義したわけでございます。と申しまするのは、例えば街頭の
放送
でございまするが、あれも一應
日本
の言葉では
放送
とい
つて
おりますが、併しこれはマイクロフオンから出たところの音声を電氣的に増幅いたしましてそれを喇叭から出しておるのでございまして、これを聽くのは人間の耳でございます。それで、そういうものも
放送
というものの範疇に入れますると、電氣設備を使
つて
選挙
放送
その他で以てや
つて
おるものが全部
放送
の範疇に入りまして、そういうものと、いわゆる我々が俗に
放送
とい
つて
おりまするところのいわゆる
電波
を
受信機
で聽く性質の
放送
との区別がむずかしくなるために、ここに挙げましたように電氣通信の送信及び受信、送信の方も電氣設備で行う。或いは又受信の方も電氣設備でやるというように判然と分けて
考え
たのでございます。そこで特に矛盾しないような場合には、
放送
という言葉によ
つて
当然受信も入
つて
おるというように解釈できる場合には、そういう解釈によ
つて
おる次第であります。
藤田芳雄
82
○藤田芳雄君 そうするとこの
法案
の中には、
放送
という言葉はやはり送信のみを指していう場合もあるということですか。
鳥居博
83
○臨時法令審査
委員
會主査(鳥居博君) そうでなくして、この第一項で申しておりまするのは、
放送
とは公共に提供するために行う送信及び受信をいう。これが一緒に
なつ
たものをいうのだ。こう定義しておる。そういつたものの送信だけの設備はこうできる、受信だけの設備はこうできる、こういうように規定しておるわけであります。
藤田芳雄
84
○藤田芳雄君 第六條の
放送
及び第七條の
放送
という意味は、いわゆる第二條の
放送
と違うのでありますか。
網島毅
85
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) 定義的には第一項では
放送
というものは送信及び受信で一体に
なつ
たものを
放送
というのだが、後で各号を挙げまして、例えば
放送設備
というときには送信の設備だけを言うのだ、受信設備というときは受ける設備だけを言うのだ。こういうふうに定義されて、後の第七、第十一というふうなところで説明して使い分けているわけです。
藤田芳雄
86
○藤田芳雄君 設備の定義は宜しうございますが、單に
放送
と使つた場合に……。
網島毅
87
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君)
放送
の場合は送受信を言つた場合です。
藤田芳雄
88
○藤田芳雄君 六條の「
放送
を受信することができる、」七條の
放送
及びその受信の
目的
以外に使つちやならないというようなことですね。そうするとこの
放送
というものと第二條の最初に断わつた
放送
というものと、内容が違うのじやないのですか。
網島毅
89
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) そういうふうにならないのであります。例えば第七條は上にかかるのでありまして、
放送設備
は
放送
の
目的
以外に使
つて
はならない。受信設備は受信の
目的
以外に使
つて
はならない。これを
一つ
の文章につないで、
放送設備
及び受信設備は、
放送
及びその受信の
目的
以外に使
つて
はならない。こういうふうに書いたのでありまして、
放送
受信設備にかか
つて
いるのであります。
藤田芳雄
90
○藤田芳雄君
放送設備
は
放送
の
目的
以外に使
つて
はならない。それを分けて書いたのでございますね。
網島毅
91
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) そういうわけでございます。書き方が下手かも知れませんが……。
藤田芳雄
92
○藤田芳雄君 そうすると六條の場合はどうなりますか。「何人も、自由に受信設備を設置し、
放送
を受信することができる。」……。
網島毅
93
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) 六條の場合は
放送
を送ることも受信することもできる。併しながら受信することだけは自由だ。送る方は第四章でございますが、
一般放送局
に対する規定その他によ
つて
免許を受けなければできない。こういうことを規定しているわけでございまして、
放送
というものは送るものと受けるものと一体につながる、受ける方だけは自由だ……。
藤田芳雄
94
○藤田芳雄君 それならば「
放送
」がない方がはつきり分る。「何人も、自由に受信設備を設置し、受信することができる。」……。
網島毅
95
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) そういたしますと、ただ受信と書きますと、無線電信
一般
の受信が入りますので、特にそこに
放送
に関する受信だと限定したわけであります。
藤田芳雄
96
○藤田芳雄君 ちよつとおかしい。
網島毅
97
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) ちよつとややつこしいのであります。
藤田芳雄
98
○藤田芳雄君 もう少し研究して頂きたいと思います。今
一つ
矢張りそんな疑点が残るのに第二條の矢張り二項の方の八、「
放送局
とは、
放送設備
とその保守運用に必要な要員の組み合せをいう」この「必要な要員」というのは役員じやないのでしような。要員というのはそういう使われるところの人を言うのですか。そうすると要員と
放送設備
を一緒にしたものを
放送局
ということになると、後の條文におかしいところが出て來る。
放送局
というのは使われているところの必ずしも要員という言葉を使わないでもいいのじやないか。むしろ入れないで
考え
ていることが大分あるのです。例えば三十八條の「協会が、
放送局
を設置しようとするときは
放送委員会
の許可を受けなければならない。」こうな
つて來
ると、
放送局
が設備と要員を含むものとすると要員を全部揃えなければ許可を受けられない。要員を置くのには
委員会
の許可を受けなければならないということが出て來やしないかと思うのであります。
網島毅
99
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) その点は要員をやはり含むのでありまして今、省令で通信技術者の資格に関する規定ができておりまして、これは近く法律に改めまして新しい法律に入れるつもりでおりますが、こういう規則によりまして從事者の中で主任者の資格を制限しております。そういうものも規則に合わなければなりませんので、この場合の
放送局
というものには兎角直ぐ
電波
を出し得る
状態
にある
施設
と、こう
考え
ております。從いまして設備だけでなくて、その人間も付いて、いつでも
電波
を出し得るという形にあるものを以て
放送局
というのです。
從つて
通信機だけを置いてあ
つて
も、これを
放送局
とは言わないというふうに
考え
ております。
藤田芳雄
100
○藤田芳雄君 それはそれとして、こうした場合に要員を入れ換えるとか何とかということにな
つて來
ると、一々この
委員会
の許可を受けなければならないということにな
つて來
るわけですね。
網島毅
101
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) それは
委員会
規則でそれを縛ればですが、縛らない限りは何の制限もない。こうな
つて
おります。
藤田芳雄
102
○藤田芳雄君 そういうことはどこかに謳
つて
おりますか。要員を含まれるものは許可を受けなければならないものと決められてある……。
新谷寅三郎
103
○
新谷寅三郎
君 私も藤田さんの言われた字句の疑問はあちらこちらにあるのですが、今の御答弁を伺
つて
分るところがありますが、今藤田さんのおつしやるようにおかしいところがあると思うのです。もう少しお
考え
にな
つて
次の機会にはつきりした答弁をなされた方がよいのじやないか。今の要員の問題は恐らく無線電信なら無線電信法の資格檢査を受けたことが分らないとそういうことにできないと思います。要員ということにな
つて來
ると、そういう資格のある者でなくして、まあすべての要員ということになります。極端に言えば給仕、小使に至りますまで、すべて要員であると思うのです。そういつたものでも定義の方に入るように心得ます。そういう点はもう少し御研究の上で改めて御答弁して頂いた方がよいと思います。
藤田芳雄
104
○藤田芳雄君 もう
一つ
質問
いたしますのは、只会新谷さんの方から
お話
もございましたが、そうしますと役員の方は手続はみんな書いてあ
つて
含まれる。要員のことについては何も書いてないということを疑問に思
つて
おりますが、何もしなくてよいものなら、そこは書かんでもよいと思います。それから四十九條は先程來問題にな
つて
おりましたが、その中の特に不自由なことと見ておりますのに、担保に供するということもできないと中にはつきり書き入れられてしま
つて
おる。そうすると後に行きまして、いわゆる
放送
債券とか……債券の方はよいでしようが金の融資を受けるといつた場合に、この丙はできないから恐らく担保がないと融資が受けられないという氣がするのです。むしろ担保などはこの次の二項の方に入れて
考え
たらどうかというような感じがして、一項は二項の方に移すべきじやないかと思うのですが、その点はいかがですか。
網島毅
105
○
遞信省電波局長
(
網島毅
君) この点は先程の新谷
委員
の御
質問
と関連させて十分研究させて頂きたいと思います。
日本放送協会
から、
只今
の藤田さんと同樣の
意見
を私の方へ言
つて
参
つて
おります。ただこの
法案
といたしまして担保ということは、結局は、最悪の場合は所有権の移轉ということを対象にいたしておりますので、こういう公共の
施設
が、單なる私の経営が悪いために担保が流れて、所有権が
一般
の私有財産と同じにな
つて
行
つて
しまうということを警戒いたしておりますので、これが避けられないとすれば、或る
程度
これは緩和できるのじやないかと
考え
ております。
深水六郎
106
○
委員長
(
深水六郎
君) それでは
質疑
は次回に讓りまして、本日の
委員会
はこれを以て散会いたします。 午後四時十一分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
深水 六郎君
委員
大野 幸一君 大島 定吉君 井上
なつ
ゑ君
新谷寅三郎
君 堀越 儀郎君 藤田 芳雄君 水橋 藤作君 尾崎 行輝君 鈴木 順一君
政府
側 逓信政務
次官
五坪 茂雄君 逓信政務
次官
下條 恭兵君 逓信事務官 (工務局長) 篠原 登君 逓信事務官 (臨時法令審査
委員会
主査) 鳥居 博君 逓 信 技 官 (
電波
局長) 網島 毅君 逓信事務官 (監察部長) 小池 行政君