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1948-05-31 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年五月三十一日(月曜日)
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
)
—————————————
午前十時四十一分開会
吉川末次郎
1
○
委員長
(
吉川末次郎
君) これより
委員会
を開会いたします。
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
ちよ
つと
速記
を中止して……。 〔
速記中止
〕
吉川末次郎
2
○
委員長
(
吉川末次郎
君) それでは
速記
を始めて。
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
の案文の第九頁の
終り
から二行目から、第十二頁の
終り
まで、即ち
附則
の前までを
議題
といたします。先ず
政府委員
の
説明
を求めます。
鈴木俊一
3
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 二百十七條は
分担金
に関する
事項
を
規定
しておる
條文
でありますが、これに更に二項を加えまして、
分担金
を徴收する
條例
を制定し、若しくはこれを
改正
いたします場合には必ず
議会
又はその
常任委員会
において予め
公聽会
を開いて、
利害関係者
又は
学識経驗者等
から意見を聽かなければならないということにいたしたのであります。そうしてその
公聽会
を開くということをよく
住民
に
徹底
をいたしますために、二十日前に開催の時日、
方法等
を公表し、又
新聞紙等
で公表いたします場合には、一回切りではよく
徹底
いたしませんので、七日
目ごと
に公表せよということを
規定
いたしたわけでございます。
分担金
という
制度
はこの
利害関係
、
利益関係
を基礎にいたしまして、或る
事件
によりまして特に
利益
を受ける者があります場合に、
一般
的にその
事件
を執行するための
経費
を徴收する代りに、特に
受益者
からその
経費
の財源を徴收いたしまして、そうしてその
事件
を執行しようとする
方法
であります。
從つて利益
の
厚薄
の限度に應じて
分担金
を課しますので、余程公正に賦課の
方法
、
額等
を
決定
しないといかんのでありまして、そういう
見地
から特にこの
分担金
につきましてはこのような
公聽会
を開くことを
一つ
の
條件
といたそうとする次第であります。 それから二百四十三條の
改正
は、
自治体
の
行政運営
に伴います
腐敗防止
という
見地
から「
財産
の賣却、
讓渡
及び貸與、工事の請負並びに物件、労力その他の供給に関する」
議決
で、特に
條例
で定めた重要なものについては、單なる
過半数
の
議決
でなく、三分の二以上の者の
同意
を得なければいけないということにいたしまして、特に
議会
の
特別多数決
を必要とすることにいたし、
執行機関
の認定だけでこういう重要な問題を裁くことがないようにしようというのであります。二百四十三條に
規定
いたしました
財産
の賣却その他
項目
の中で、或るものは九十六條の
議会
の
議決事項
の中に入
つて
おります。例えば九十六條、六頁の
終り
から二行目のところに、「
條例
で定める
財産
の取得又は
処分
及び
営造物
の
設置
又は
処分
をする」といつたようなこと、六号も「
基本財産
又は
減債基金
その他
積立金穀等
の
設置
、
管理
及び
処分
に関すること。」、或いは、九号に、「
條令
で定める
契約
を結ぶこと。」こういうように、その二百四十三條で参ります程
重要性
のないものは、單なる
議会
の
過半数決
とな
つて
おるのでありまして、九十六條にも
該当
しないものは、勿論この
執行機関
だけでやれるのでありまするが、やはり
腐敗防止
という
見地
から、それぞれこの
事柄
の
重要性
に應じまして、或る
財産
の
処分
は
議会
の
過半数決
と、或る
財産
の
処分
は更に特別多数で、三分の二以上の
議決
がなければならんということにいたしたわけであります。 それから、二百四十三條の二の
改正
は、これも亦
腐敗防止
というところから出ておるのでありまして、又反面この
住民
は、
地方團体
の
経費
を負担する立場にございますので、
從つて自己
が負担いたしました
経費
は、
地方團体
において果して公正に
使用
せられておるかどうかということについては、非常に深い関心を持
つて
おるわけであります。
從つて住民
が
地方團体
の長、
出納長
、
收入役
その他の
職員
が、公金の違法不当の支出をした。或いはその他ここに書いてありまする
各種
の違法、不当の
行爲
をしたというふうに認められる場合にあ
つて
は、その事実を証する書面を添えまして、
監査委員
に対して
監査
を
請求
する。そうして、自今さような
行爲
を行うことを
制限
し、或いは
禁止
するという
措置
を講ずるように
請求
することができるようにしたいのであります。いわば、これは
納税者
であるところの
住民
に対して、
國籍
の
如何
を問わず、年齢、男女の性の
如何
を問わず、このような
一つ
の
請求権
を認めたのでありまして、一面において、
自治体
の
行政
にまつわる
腐敗
を防止いたしますと共に、
住民
のそのような
一種
の権利を保証した次第であります。
住民
からそのような
請求
がありました場合には、
監査委員
は二十日以内に
監査
をいたしまして、若しも
該当
事実がありますならば、長に対して、そのような違法不当の
行爲
を
制限
又は
禁止
するように
請求
する。又
監査要求
がありました事実はないと認める場合には、その旨を、そういうことを
請求
した
住民
に対して通知してやります。そうして
該当
事実がありましたために、
監査委員
から長に対して、
当該不当違法行爲
の
制限禁止
の
要求
がありました場合には、その長は直ちに必要な
措置
を講じまして、その旨を
監査委員
並びに
請求者
である
住民
に対して通知をしなければならないのであります。で、若しも
住民
の側から申しまして、
監査委員
が
監査請求
をしたのに対して、その
監査
の仕方が不
徹底
であり、
從つて
不服がある、或いは
監査委員
は
監査請求通り
十分
監査
をしたけれども、その
監査委員
の長に対する
要求
に対して、長が何ら適当な
措置
をしない、
從つて
その長の
措置
に不服がある、こういう場合或いは全然
監査委員
も
監査請求
があるに拂わらず
監査
をしない、又長が
監査委員
の
善後措置
の
請求
に対して、何ら
措置
を講じない、こういう場合には、
請求人
である
住民
は
裁判所
に対して、その
関係
の
職員
の違法又は
権限
を超える
行爲
の
制限
、
禁止
又は取消若しくは無効、若しくはこれに伴う
地方公共團体
の損害の補填に関する
裁判
を求めることができるようにしてあるのであります。この
裁判
は、不当の
事項
には、
裁判
でありますから、及びませんで、違法の
事項
にだけ限るのであります。例えば、
契約
の
締結
の仕方が違法であのという場合におきまして
將來
その
契約
の
締結
の
権限
を與えられた
職員
に対して、そういう
契約締結権限
を剥奪するというような
趣旨
の
裁判
を求めることができるのであります。この
裁判
は、
一種
の
行政事件
に関する
裁判
でありますが、
民事訴訟法自体
が当然に適用になる
民事事件
とは申し得ませんので、その
訴訟手続
は、
最高裁判所
がこれを定めるということにいたしてあるのであります。それから
監査委員
を置きません所では、以上のような
措置
は
市町村
に対してこれをやるのであります。
從つて監査委員
から
市町村
に
請求
をして処置をするという
行爲
を要しませんで、その
監査委員
及び
市町村長
の
行爲
が、一人の
市町村長
によ
つて
行われますので、その点は
事柄
が
簡單
になるわけであります。 それから二百六十
二條
の
改正
でありますが、これは、二百六十
二條
は、
一つ
の
地方公共團体
のみに適用される、
特別法
の制定についての
規定
を欠いておりまして、このような
特別法
は、
当該地方團体
の
住民
の
投票
に付して、最終的に決まるようにな
つて
おりますが、その
投票
と、今回新たに加わりました二百十三條第四項の
規定
による
投票
、即ち
財産
、
営造物
で、特に重要な物の独占的に
利益
を與えるような
処分
、或いは十年の
期間
を超える独占的な
使用権
を設定する
使用
の
許可
というような場合に行います
投票
と同樣に行うことができるというふうにいたすために、こういうような字句を附け加えた次第であります。これは
選挙手続
を簡素化しようという
趣旨
からであります。 次の二百六十四條の
改正
は、この
改正案
の中で、
二條
三項、四項として、
地方公共團体
の
事務
を例示したのが第二項でありますから、次に掲げるような、國の
事務
として
地方公共團体
が処理することのできない
事項
を
規定
したのが三項でありますが、その四項であります。その三項、四項の
規定
を、二百六十四條は、
特別市
に関する
規定
でありまして、
特別市
にも準用しようという
趣旨
であります。 それから二百八十
一條
の方は、特別区に何する
規定
でありまして、同樣に特別区にもこの原則を準用しようというわけであります。
吉川末次郎
4
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
までの
政府委員
の
説明
に対して、御
質問
があればお述べ願いたいと存じます。御
質問
ありませんか、御
質問
がなければ次に移ります。
附則
全部を
議題
といたします。先ず
政府委員
の
説明
を求めます。
鈴木俊一
5
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この
附則
は、実は第
一條
でありますが、
政府
が当初予定をいたしておりました日程の順序から申しまして、
國会
の最終的な
決定
がありまするならば、その後成るべく速かに、この新らしい
制度
を
施行
いたしたいという
見地
から、五月十五日からこれを
施行
するというように
原案
として提出いたしたのであります。併しながら、その後諸般の
事情
で、
政府
の
國会提出
も遅れましたし、その他いろいろの
事情
がございまして、すでにこの
原案
の五月十五日という
期日
は経過したしておるのでありますが、
政府
といたしましては大体、
國会
の御
決定
がありましてから、更にその
決定
せられました
法律
に基いて
施行令
を作り、或いは
施行規則
を作らなければならないし、又それらの新法令を全國の
都道
府縣、
市町村
にまで
普及徹底
をいたさなければならないので、やはり
國会通過
後一ケ月ぐらいの
期間
は最小限度必要だと思うのであります。そういう
見地
から、第
一條
につきましては、
衆議院
の
委員会
において何らか
修正
が行われるのではないか、大体七月一日ごろになりはしないかという
点等
の話がございます。 それから第
二條
でございますが、これは
戰時中
の、即ち
日華事変
の勃発から
ミズリー号
の艦上で調印をいたしましたその間の
市町村
の
編入合併等
、いわゆる
区域
の
変更
に関する
各種
の
処分
につきまして、
戰時中
と、要するに
合併
をいたしました時と
事情
を甚だしく異にして來ているような状態のものがございまするし、又当時の
合併そのもの
が必ずしも適当でなかつたようなものもござりますので、そういうようなものにつきましては、特に
関係区域
の
住民
から一定の
方法
で
請求
がありましたら、その実現の
方法
を講ずる必要があるというので、
規定
を設けた次第でありますが、先ずその
方法
といたしましては、本來の
市町村
の
廃置分合
、
境界変更
の
手続
によりませんで、甲という市に乙という村が編入された場合を想定いたうますと、その旧乙の村の
区域
の
住民
がその新らしい甲という市の
選挙管理委員会
に対しまして、
選挙人名簿
に登載されている者の総数の三分の一以上の者の連署を以て
請求
をうるのであります。そしてその
請求
がありましたならば、
選挙管理委員会
はこれを受理した日から三十日以内に、その旧乙村の
区域
の
選挙人
の
投票
に付するのであります。そうしてその乙村の
投票
において
有効投票
の
過半数
の
同意
がありましたときには、それを甲市の
選挙管理委員会
から、その甲市を包括する
都道
府縣の
知事
のところに報告をいたしまして、
知事
から
当該都道
府縣の
議会
の
議決
を経て、從來
通り
の乙村を置くという
処分
をし、それを
総理大臣
に届出でるという
方法
のあるのであります。その
手続
の
一つ
の例外として、今申上げました乙村というのが全部
そつくり甲
市の中に入つた場合と異りまして、乙村が二つに分れて、乙村の一部分だけが甲市に入
つて
、その乙村の残り半分は別の市内に入ついてる、こういうような場合におきましては、どういうふうに
投票
をするか明瞭でございませんので、そういう場合には特にこの甲市の
選挙管理委員会
でなく、丙市の
選挙管理委員会
がこれを
管理
する。この場合におきましては必要な
事項
は、要するに
一般
な
規定
が適用せられませんので、
政令
において
特例事項
を定めよう、こういうわけであります。尚この
財産処分
の問題でありまするが、旧乙村にありました
財産
が、甲市に編入されます場合には、多く
財産処分
が行われます。而も多くの場合は最終的な
決定
で、その後においては形を残なないような恰好にな
つて
おると思いまするが、そうでなく、現に存する
財産
がありまするならば、その旧乙村の
財産
というものはやはり乙村に、甲市の
議会
が
議決
を経て返還しなければいけないということを
規定
いたしたのであります。それからその
財産処分
の不服がありますならば、勿論
一般
の
民事訴訟
として
裁判所
に出訴することができるわけであります。それからこの
投票
についての細部の
手続
は
政令
で定をいたしまする外は、すべて
選挙
に関する
一般
の
規定
が準用になるのであります。尚長
期間
はこれを認めますると、
市町村
の
靜謐
、
靜穩
を害することになりまするので、この
法律施行
の日から二年以内の
限つて
これを行うことができる。その後においてはたとえ
戰時中
の
合併
であ
つて
も、これを動かすことはできないというふうにいたしたのであります。 第三條は、二百十三條におきまして
地方團体
の
財産
、
営造物
の
使用許可
で独占的な
性質
を有するようなものであり、且つその
使用
の
期間
が十年を超える場合には、これは
一般投票
で決めなければいけないというふうに
規定
してございますが、それと現在存するそのような同
性質
の、同樣内容の
使用
の
許可
との
関係
を
規定
したものでございまして、即ちこの
法律
の
施行
の際に現に
地方團体
が持
つて
おりまする
財産
、
営造物
につき、十年以上の
期間
に亘り独占的な
使用
の
許可
をしておるものがありまするならば、これはこの
法律施行
の日から十年以内に、それぞれ
一般投票
の
規定
により
投票
に付する、或いはそこまでの
程度
に至らんものは、
議会
の三分の二以上の
多数決
によ
つて同意
を得るというような、必要な
手続
を経なければ、この
法律施行
の日から十年を経過したときにおいては、
將來
に向
つて
その
効力
を失うということを
規定
したのであります。
從つて
この
法律施行
後十年間だけはその
効力
を保証されるが、それを超える部分につきましては、二百十三條の
規定
によります必要な
同意
な得なければ、この
法律施行
後十年後はその
効力
は失
つて
しまうということであります。 第四條は、この
法律
の
施行
に関する必要な
事項
を
政令
でこれを定めるという
一般
的な
規定
を置いたわけであります。
吉川末次郎
6
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
までの
説明
に対し御
質問
があれば、御開陳を願いたいと思います。御
質問
はございませんか。
阿竹齋次郎
7
○阿
竹齋次郎
君
衆議院
の方は
原案通り
で
通つて來
るようですか、ただ
施行期日
だけ
変つて來
る
程度
ですか。
鈴木俊一
8
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
衆議院
の方は
関係方面
との折衝で、相当の
修正
の
項目
がございます。この外にも先日
簡單
に
説明
を申上げましたが、数
項目
の
修正案
が用意されておるのであります。
阿竹齋次郎
9
○阿
竹齋次郎
君 その
修正案
を見る方が便宜なような氣がいたしますね。
吉川末次郎
10
○
委員長
(
吉川末次郎
君) その
修正案
はプリントにして皆さんのお手許に差上げてあるわけなんですが、形式上
衆議院
の
修正案
としてこちらに送付して参ることにな
つて
おりまするので、尚
衆議院
から送付されない前に審議するのも
如何
かと存じますので、
ちよ
つと差控えておるようなわけであります。
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
に関する本日の審議はこれで一先ず打切ることにいたします。 尚一昨日御議定を願いました
風俗営業取締法案
に関する
実地調査
の件は、
委員長
及び
理事
にそのプログラムの作成を御一任を願いましたのでありますが、
理事
の方といろいろ御相談いたしました結果、大体調査いたします対象が夜行われる
営業
でございますので、明日の午後
決算委員会
との
連合委員会
が
終り
ました後、四時半に参議院の玄関にお集りを願いまして、
警視廳
を参りまして、
警視廳
で一
應警視廳当局
の
説明
を聽きまして、その後吉原、亀戸、
上野地下道
その他の場所を視察いたします。それから二日、水曜日は午後一時から、これは晝でないと見られない所がありますので、それらを視察していつまで掛かりますから分りませんが、二日は午後一時から、一日は午後四時半からすることにいたします。先き申しましたものの外、浅草、新宿その他のダンスホール、或いは劇場、そうしたものを視察いたしたいと思
つて
おりますから、御用意を願いたいと思います。
ちよ
つと
速記
を止めて。 〔
速記中止
〕
吉川末次郎
11
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
速記
を始めて。それでは本日はこれを以て散会いたします。 午前十一時十五分散会
出席者
は左の
通り
。
委員長
吉川末次郎
君
委員
青山 正一君 村尾 重雄君
岡田喜久治
君 大隅 憲二君 黒川 武雄君 岡本
愛祐
君 岡元 義人君 小野 哲君 柏木 庫治君 阿
竹齋次郎
君
政府委員
総理廳事務官
(
総理廳官房
自
治課長
)
鈴木
俊一
君