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1948-05-27 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
地方自治法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
) ○
風俗営業取締法案
(
内閣送付
)
—————————————
午前十時五十四分開会
吉川末次郎
1
○
委員長
(
吉川末次郎
君) これより
委員会
を開会いたします。
地方自治法
の一部を改正する
法律案
の質疑を継続いたします。
政府委員
に本案の
説明
を求めます。
鈴木俊一
2
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 初めに一頁から五頁までを
対象
として
説明
いたします。 第
二條
第二項の
事務
はいわゆる
地方公共團体
の
事務
でありまして、この
事務
を具体的にポピュラーのものを
例示
すると次に揚げる一号から二十一号となるのであります。但し、
法令
に特別の定があれば、この限りでないのでありまして、
法令
に特別の
制限
がなければ
條例
で自由に
規定
できるのであります。 先ず第一号は「
地方公共
の
秩序
を
維持
し、
住民
及び滯在者の安全、健康及び
福祉
を保持すること。」であります。これらに
関係
する
法令
は
警察法
、
消防組織法
、
風俗営業取締法
、
傳染病予防法等
であります。 それから第二号に
規定
してありまするのは、
公園
、
運動場
、
廣場
その他、そういう
種類
の
営造物
を主として
規定
をいたしております。これに関してもいろいろ
國立公園法
でありますとか、或いは
都市計画法
でありますとか、
道路法
、
河川法
、
運河法いろいろ関係
の
法律
がございますが、そういう
法律
の
制限範囲
内においてこういうことをやるというわけであります。「
堤防等
を
設置
し若しくは
管理
し、又はこれらを
使用
する権利を規制する。」ということは、例えば
道路
の單なる
自由利用
を超えて、
一定
の地区を限
つて
占用するというような場合におきましては、やはりそれについて或る
程度
の規制を必要といたしますので、そういうような
行僞
をここに
意味
しておるのであります。 三号は、やはりいわゆる
公営事業
と申しますか、
公共性
の強い、
從來市町村都市
がや
つて
おりましたような、いわゆる
公企業
の
経営
ということを書いております。 それから四号は、主として海上及び
陸上運送関係
の
営造物
の
設置
、
管理
、こういうものを
規定
いたしておるのであります。 それから五号は、主として文化、
教育関係
の
営造物
の
設置
、
管理
を
規定
いたしております。 それから第六号は、主として
衞生
、
保健
、
社会事業施設
としての
営造物
について
規定
をいたしておりまして、できるだけ
現行法令等
との
関係
を考えた
用語
を
使用
したしとおる次第であります。 それから七号は、そういう
営造物
でない
衞生
、「清掃、消毒、美化、
騒音防止
、
風俗
又は消潔を汚す
行爲
の
制限
その他の
保健衞生
、
風俗
のじゆん化に関する
事項
を
処理
する」、これらにつきまして特定の
條例
を判定して、これによ
つて一定
の
保健衞生
のため、或いは
風俗
のじゆん化のために自由を
制限
するというようなことを予想し、その
制限
に関する
事務
の
処理
をここに
規定
しておるわけであります。 それから八号は、「
防犯
、防災、
罹災者
の
救護等
」、
地方團体
のそういう方面の
活動
の
機能
を
規定
したものであります。 それから九号の方は、やはり特殊の
社会事業
の
対象
になりまする、
特殊保護者
の
保護事業等
を列挙したわけであります。 それから第十号は、
收益事業
と申しますか、
一般
に
地方團体
が
営利事業
を
経営
できるがどうかということは、
從來学者
の論の非常にあ
つた
ところでありまするのが、大体
行政
上の取扱いといたしましては、現在
営利事業
はこれを行うことができる。但し「
公共
の
福祉
を増進するために適当と認められる
收益事業
」であ
つて
、そこに
地方公共團体
である以上は、
公共目的
の
制約
はあるが、とにかく
收益事業
を行な
つて
も
地方團体
の本質には反しない、こういうような
解釈
を從來からいたして來ておりますが、そういう点をここに確認をしたのであります。ここでは
森林
とか
土地経営
とい
つた
ようなものを
規定
しておりますが、尚この外に例えば最近は
富籤
の
発行
でございますとか、そうい
つた
こともここに該当する
一つ
の
收益事業
として行な
つて
おる。こういうように見られ得るのであります。 それから十一号は、主として
土地
に
関係
のあります
市町村
なり
庁縣
の施行する
事業
を
規定
しておるのであります。 それから十二号は、まあ
商工省令
と申しますか、「
発明改良
又は
特産物等
の
保護奨励
その他産業の振興に関する
事務
」ということを
規定
いたしております。 それから十三号は、やはり文化的な
機能
で、史跡、名勝その他の
記念物
の
保護
、
管理
を
規定
しております。 十四号は、
一般
的な
機能
として
地方團体
の
調査機能
を
規定
しておるわけであります。 十五号は、
市町村
内の
住民
その他
市町村
に
居所等
を持
つて
おります者の、身分上の
事務
を
処理
することを
規定
しておるのであります。 それから十六号は、度量衡とかそういう
計量器関係
、それから
各種
の
檢査機能
を
規定
しております。 二七号は、主として
市街地建築物法
という
法律
が現在ございますが、それに
規定
をせられておりまするような
行爲
を
規定
いたしておるのであります。ただここで「
法律
の定めるところにより、」ということを、特に頭にかぶしておりまする点が、今までの各号の
規定
と形式が違
つて
おるのであります。行するに十七号は
市町村
独自ではやれない
法律
を先ず
作つて貰つて
、その
法律
に基いてこの
事務
を
処理
する、こういうことを
意味
しておるのであります。と申しますのは、これらの
制限禁止
の
機能
というのは、そういう重大なる
影響
を
一般
に及ぼしますから、そこでやはり
國法
に
基準
をおいて、その
基準
に從わなければやれない。即ち
國法
が設けられなければ、この
仕事
は
地方團体
だけで取上げられない、こういう
意味
で「
法律
の定めるところにより、」という
字句
を挿入いたしております。 十八号はいわゆる
土地
の
使用
、
收用関係
のことを
規定
しておりますが、これも十七号と同樣に、非常に大きな
財産権
の変動を與える
行爲
でありますので、必ず
國法
の
根拠
を要するということで頭にかぶせておるのであります。 それから第十九号でありますが、これは
地方團体
が、例えば
農業協同組合
とか、
商工協同組合
というような、
公共活動
をいたしまする
團体
の
活動
について、
綜合調整
の
機能
を有するということを
規定
したのであります。 それから二十号は
地方税
、
使用料
、手数料というような
住民等
から
一定
の
財産
、
金銭等
を
賦課徴收
をする
行爲
を
規定
しておりますので、これ亦重大な問題でありますので、必ず
國法
の定めるところに
從つて
行わなければならないということを
規定
しておるのであります。 それから二十一号は
財産
の
設置
、
管理
ということを
規定
しておる次第であります。 勿論この二十一
項目
以外の
行爲
でも、尚
市町村
が
一般
的にや
つて
おる
行爲
も相当あろうと思いますが、それらは勿論
処理
できるのでありまして、以上の二十一
項目
は比較的ポピュラーな問題をここに掲記いたしたのであります。 それから次の項は、先程申上げたように
地方團体
の
処理
いたしまする
事務
に対應いたしまして、國が
処理
する
事務
の典型的なるものを、八
項目
にわた
つて
規定
をいたしておるのであります。大体ここに
規定
をしてありますものは、
國家性
の濃厚な
事務
のみでありますが、「次に掲げるような」と申しておりますので、これのみには限定されませんが、このような
種類
の國の
事務
を、
地方團体
は
処理
することはできない、こういう
意味
であります。 その第一に
規定
いたしてありまする「
司法
に関する
事務
」と申しまするのは、第二号と関連をいたしておりまして、要するに
裁判所
並びに
裁判所
に附置せられましたような
司法関係機関
が、
処理
いたしまする
事務
、そういう
意味
でありますが、第二号の
刑罰
に関する
事務
というのが、第一号から除かれますから、
從つて民事関係
の
事務
がこの
主体
になるわけであります。 第二号の「
刑罰
及び國の
懲戒
に関する
事務
」と申しますのは、刑の
執行並び
に「國の
懲戒
」と申しますのは、例えば海員に対しまして
懲戒
の
法律
がございますが、そういうようなもの、或いは
少年審判法
によります要
保護少年
に対する
保護処分
、という
事務
が第二号に入るのであります。 それから三号は國の運輸、即ち省営の汽車、 電車、
自動車等
に関する
事務
、それから通信、電信、電話に関する
事務
であります。 「
郵便
に関する
事務
」は、
郵便法
によ
つて國
が独占しておる
事務
であります。 それから第五号の「
國立
の
教育
及び
研究施設
に関する
事務
」、これは文部省の
直轄学校
、
國立
の
図書館
、
博物館
とい
つた
ようなもの、或いは
各種
の
研究施設
に関するもの。 第六号は、
國立
の病院及び
診療所
に関する
事務
であります。 第七号は「國の航行、
氣象及び水路施設
に関する
事務
」。 それから第八号は「
國立
の
博物館
及び
図書館
に関する
事務
」、これは第五号に
國立
の
博物館
及び
図書館
に関する
事務
を含むと申しましたが、或る
部分
は第五号から除かれるのでありまして、第八号に特に重要問題として書き上げてあるわけであります。 この二つのカテゴリーの
事務
を並べまして、その
中間
に
地方團体
もやる、或いは國もやる
種類
の
行政事務
が相当あると思いますが、それらはそれぞれの
法律
或いはこれに基く
政令等
によ
つて
、その
処理
の
主体
が或いは國となり或いは
地方團体
となるわけであります。 それからその次の「
地方公共團体
は、
法令
に
違反
してその
事務
を
処理
してはならない。」と申しますのは、当然と言えば当然のことでありますが、
地方團体
の
一つ
の
法人
として
國法
には從わなければならんという
意味
であります。ただ
地方團体
に対して、特別に
地方團体自体
の
組織
とか
行爲
を
制限
するという場合には、必ずこれは
法令
によらなければなりませんが、
地方團体
が定められた、與えられた
事務
を
処理
するに当
つて
は、
一般
の私
法人
或いは私人と対等の
立場
に立
つて
、
國法
に
從つた処理
をしなければならない、こういう
意味
を申すのであります。 尚
市町村
は、それを包括しております「
府縣
の
條例
に
違反
してその
事務
を
処理
してはならない。」これも
自治法
の第十四條の第三項に「
都道
府縣
は、
市町村
の
行政事務
に関し、
法令
に特別の定があるものを除く外、
條例
で必要な
規定
を設けることができる。」こうな
つて
おりまして、
府縣
が
市町村
の
行爲
を統制するために、必要な
條例
の
規定
を設け得るのであります。それでその
府縣
の
條例
には、
市町村
はこれ亦從わなければならないわけであります。 それらの國の
法令
或いは
都道
府縣
の
條例
に
違反
して行
なつ
た、
地方團体
の
行爲
はこれを無効とするということを
規定
いたしまして、
地方團体
の
行爲
の
適法性
、明かに
適法
でなければならんということを一面現わしますと共に、
違反
をした
行爲
に対しては、
裁判
においてこれを無効とするという処置が執れ得るようにいたしておるのであります。
地方團体
の
各種
の
行爲
で違法の
処分
がございまするならば、それは
裁判所法
及び
民事訴訟法
の
規定
によりまして、
裁判所
に出訴できるわけであります。
裁判所
はその
判決
において、法に
違反
した
地方團体
の
行爲
はこれを無効とするという
判決
を行うことが、この
法律
を
根拠
にしてできるわけであります。
吉川末次郎
3
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
までの
政府委員
から
説明
がありました
部分
につきまして、御
質問
がありましたらお述べを願いたいと思います。即ち第一頁の最初から第五頁の終りから二行目まで……。
岡本愛祐
4
○
岡本愛祐
君 詳細な御
説明
を承りました。そこで第一に
質問
いたしたいことは、初めの方に
例示
してあります
地方公共團体
でやる
事務
、その中には
公共團体
の
固有事務
は勿論含んで
例示
してありますが、
國家
の
委任事務
も含んでおるのですかどうですか。含んでおるとすれば、どういうのが
國家
の
委任事務
でありますか。それを先ず伺います。
鈴木俊一
5
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) ここに
規定
をしておりますものは、
公共事務
、
委任事務
、
行政事務
、いずれも含んでおりまして、今
お尋ね
のどれが
委任事務
かと申しますと、これは結局國の
法律
が、それを果して國の
事務
として取上げてお
つて
、それを
市町村
に
委任
しておるかどうかということを判断をいたしまして、そうして
委任事務
というふうに見るよりいたし方ないと思うのでありまして、個々の
法令
に
從つて
その
解釈
を決めることになると存じますが、現在の建前におきましては、例えば
道路
の
維持
の費用、
維持
ということは、これは
府縣道
については
府縣
、或いは
市町村道
については
市町村
ということにな
つて
おるわけであります。これは
委任事務
の一例と申すことができると思うのでありますが、ただこの場合でも、現在の
法律
では、
管理権
は知事なり
市町村長
がこれを
管理
するということで、その点は
機関委任
にな
つて
おりますが、その
経費負担
の面におきましては、
市町村
なり
府縣
の
委任事務
である。こういうことが言えると思うのであります。
岡本愛祐
6
○
岡本愛祐
君 この中に
委任事務
が含んでおるといたしますると、御
説明
によ
つて
、この
例示
以内に止まるものではない、これは比較的ポピュラーなものを挙げたに過ぎない、これ以外に
町村
で
処理
すべきものは沢山あるというふうに承わり、又それは当然であろうと思いますが、
警察関係
におきまして、
警察法
で
自治体警察
がやる
事務
の中の、「
公共
の
秩序
の
維持
」、「
生命
及び
財産
の
保護
」、「
犯罪
の
予防
及び鎭圧」、この
三つ
は、この
例示
の中に第一に、「
地方公共
の
秩序
を
維持
」とありますから、これは「
公共
の
秩序
の
維持
」に当ります。ただ「
地方
」と冠してありますから、
警察法
の「
公共
の
秩序
の
維持
」というのよりか、狹いような感じを受けますが、これが非常に御苦心のあるところだろうと私も内心思うのですが、まあそれはともかく……。 それから第八号に「
防犯
」ということがありますから、それは「
犯罪
の
予防
」に当るのだろうと思います。併し
警察法
の第
二條
の二項の四号に挙げてあります「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」ということは、この
例示
の中に、
改正案
で挙げてないのであります。これは何故挙げられなか
つた
のか、それを必ず伺
つて
置きたいと思います。
鈴木俊一
7
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) それは、それぞれ
法律
の
特別法
の
規定
がありまするものは、成るべくその
用語
に
則つて規定
はいたしておりまするが、
何分
にも数が多いので、或る
程度
、端折
つた
書き方をいたしておるのでありまして、今の
仰せ
になりました点は、やはり八号の
防犯等
というようなことに含んでいる次第であります。
岡本愛祐
8
○
岡本愛祐
君 私はどうもその点が
はつ
きりしないと思うのですが、
防犯等
でこれは片付ける程簡單なことではないのでありまして、「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」というのは、非常に大きな事柄であります。これが
市町村
でできるかできないかというようなことは、これを
はつ
きり
自治法
に書いて置かなければならぬことだと私は思う。これも余程御苦心なす
つた
ことだろうと思いますが、ただこの
防犯等
の中に入
つて
おるのだということは、少しむずかしいのじやなかろうか。
防犯
というのは「
犯罪
の
予防
」なんですから、
防犯
の中に入れることは、私はむずかしいと
解釈
いたします。私は「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」ということは、これは
市町村つまり地方公共團体
の
事務
でなくて、これはもう純然たる
國家事務
だ、それはまあ
自治体警察
に
委任
といいますか、
委任
よりも余程弱い、
補助的立場
で
市町村
が扱
つて
おるのだと私は思うのでありまして、だからこの中にはこれをお入れにならないのだろうと私は
解釈
するのであります。先程の御
説明
にも、
市町村
で取扱う
事務
と、それから
市町村
で取扱わないで
國家
が取扱う
事務
と、この
三つ
の外に、その
中間
に
地方團体
の方でもやり、又國の方でもやる
事務
があるということで、その中に入るべきものだと、私は「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」については考えるのですが、その点もう一度伺
つて
置きます。
鈴木俊一
9
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 私は今「
犯罪
の
予防
」という問題と誤解をいたしまして、八号の
防犯等
という中に含まれるというふうに申上げたのでありますが、
お尋ね
の
趣旨
を誤解しておりましたので……。今の
犯罪
の
捜査
、
被疑者
の
逮捕
とか、そういう
関係
のことはどこに入るかという点につきましては、先般も実は申上げたかと存じますが、
警察法
の
規定
といたしましては、そういうふうに
刑事訴訟
の等の
規定
と
字句
を照應せしめまして、
規定
をいたしておりますことと存じますが、
地方自治法
の方におきましては、
地方自治團体
が取上げておりまする面におきましては、「
地方公共
の
秩序
を
維持
し、」という非常に包括的な
言葉
で表わしている。それから又
事項
の如何によ
つて
は、或いは八号の
防犯等
というところに含めて読む方がいいというものもあろうと存じますが、
何分
にも明確な概念の
限界
を附けることは、この第
二條
の新らしい
改正規定
の
趣旨
としては、それを本旨といたしておりませんので、多少その
限界
が、一号と八号とでは紛らわしいところがございますが、いずれにいたしましても一号なり八号の中に入るのではないかと思うのであります。
國家地方警察
も、今の
お話
のありました点は、
國家機関
として
犯罪者
の
逮捕
ということをその
区域
内においてはや
つて
おるわけでありますが、
自治体
も同時に
自己
の
区域
内においてはや
つて
おるわけでありまして、その
自治体
のやります面といたしましては、やはり一号、八号の
機能
の中に含まれる
行爲
、こういうふうに
解釈
いたしておるのであります。
岡本愛祐
10
○
岡本愛祐
君 どうも私はまだよく納得が行きませんので、この問題は私は相当重大な問題と思いますから、これは
法務総裁
か……、どうもこの
警察法関係
はどこで責任をお取りになるのかよく分りませんが、
法律
の問題でありますから、
法務総裁
か或いは
官房長官
がおいでにな
つて
、私の
質問
したところを明確に御
答弁
願いたいと思います。よく
研究
して御
答弁
願
つて
おきたいと思います。私の
意見
はこの前
警察法
を審議いたしましたときに、この
警察事務
として第
二條
第二項で列挙いたしましたところは、
市町村
の、
自治体警察
においては、その
市町村
の
固有事務
だというふうに
政府当局
が御
説明
になりました。それに対して私は根本的に疑問を持
つて
おりまして、それは承服しなか
つた
のでありますが、その「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」ということは、これは廣い
意味
における
司法
の中に実は含められる
といつて
もいい
事項
であります。
司法
はもとより
國家事務
であります。狭義の
司法
では含まれないことはよく分
つて
おります。
裁判所
のやることが
司法事務
であるとすれば、この中には入
つて
いない。これは
檢察廳
のやることでありまして、併しこれは
市町村事務
ではないのであ
つて
、これは飽くまで
國家事務
でなければなりません。「
犯罪
の
捜査
及び
被疑者
の
逮捕
」ということは、これは
司法警察官自身
がやるのでありまして、これは
檢察廳
の命令によ
つて
やるのであるから、
國家事務
であることは
疑い
ないと私は存じます。そういう点も併せてよく御
研究
を願いたいと思います。 それからその点はそれだけにしておきまして、もう一点伺いますが、この十号に「
森林
、牧野、
土地
、」云々「その他
公共
の
福祉
を増進するために適当と認められる
收益事業
を行うこと。」こうあります。この中に
富籤発行
も含められる、こういう御
説明
でありました。そこで私の
お尋ね
するのは、
生命保險
とかその他の
保險事業
を、
地方公共團体
が
自治体
の
固有事務
として行い得るかどうかの点であります。
つまり
十号の中に、そういう
保險事業
というような
相互救済的事業
も含められるかどうかということを
お尋ね
いたしたいのであります。これは
衆議院
の
修正意見
の方に、二百六十三條の二というものをお設けになりまして、
普通地方公共團体
が
自己
の所有の
財産
又は
営造物
に対して、
火災
その他の災害による
相互救済事業
として、
保險事業
を行い得るが、併しそれは全
國的公益法人
に委託することによ
つて
、又は他の
普通地方公共團体
と共同してやることによ
つて
のみ行われるのだ、という
規定
の
修正意見
が出ております。それと関連して考えると、單独で縣なら縣、府なら府で
固有事務
としては行わせないというふうにも取れるのでありますが、その点を伺
つて
おきたいと思います。
鈴木俊一
11
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この十号の
收益事業
と申しますのは、要するに
営利事業
と申しますか
経済企業
と申しますか、そういうことを
意味
しているのでありまして、
市町村
がそういう
仕事
をやられるが、併しそれには積極的な
一つ
の
制約
があ
つて
、「
公共
の
福祉
を増進するために適当と認められる」ものでなければならんというのが、十号の
趣旨
でございますが、今
仰せ
になりました
府縣
その他の
相互救済事業
が、この中に入るかどうかという
お尋ね
でございますが、この
衆議院
の
委員会
の
修正案
といたしまして出ております。二百六十三條の二の
相互救済事業
と申しますのは、
地方公共團体
が
自己
の
相互救済
を行う
目的
の下に、例えば
市町村有
の建物、
営造物等
が、
火災
によ
つて
消失した場合の、
保險的
な
事業
を行うことができるという
意味
と了解いたしておりまするが、そういうようなものは勿論この十号には含まれるのであります。その
範囲
を超えて
一般
の
生命保險会社
、或いは
火災保險会社等
がや
つて
おりまする
保險事業
を、
地方公共團体
が行い得るかどうかという点は、十号の
收益事業
という
言葉
の中には勿論入りまするが、あとは「
公共
の
福祉
を増進するために適当と認められる」
事業
であるかどうかという、認定についての見解の問題になると思いますが、これはそれぞれの
地方團体
が、如何にみずから行おうとする
事業
を認定すると考えるかという、
地方團体
の
自主的決定
に一應委ねられることになると存じます。若しもその
決定
の結果行な
つて
おります
市町村
のそういう
事業
が、法に
違反
をしている、要するに「
公共
の
福祉
を増進するために適当と認められ」ないということでありますならば、それについての
裁判
上の問題ということになるわけでありますが、今
一般
的な
保險企業
を
市町村
が当然に行い得るかどうかという点につきましては、多少他の
一般経済企業
に及ぼすところの
影響
、その他の点を考慮いたさなければならん問題が伏在するように考えるのであります。
岡本愛祐
12
○
岡本愛祐
君
富籤
が十号に含まれてお
つて
、
保險事業
は大いに考慮を要するというような御
答弁
でありますが、それは非常におかしいと私は思うのであります。
富籤
は金儲けのためには適当なものかどうか知りませんが、果してあれで
一般
の精神的の
福祉
を増進しているかどうか、私は非常に
疑い
があるのであります。併し
保險
の方は今こういう
時勢
にな
つて
参りまして、
貨幣價値
が一年も経てば
大変狂つて來
るという時代に、この
一般
の民営の
営利事業
に任してありますと、高い
掛金
を今日掛けて置いて、そうして十年後二十年後に十万円とか十五万円とかの
保險金
を貰う制度にな
つて
おりますと、その十年経ち二十年経
つて
しま
つた
ときには、その十万円十五万円は
只今
の
掛金
にも当らないくらいのものにな
つて
しまう。それでこれを
一般
の
公共
の
福祉
に、その
掛金
を
使つて
こそ初めてその
保險
というものは生きるのである。これを
國家
とか
地方公共團体
とかそういうものがこういう
時勢
にや
つて
こそ、本当の
相互救済事業
に私はなると思う。
保險
で
掛金
に入
つて來
たものを、その
地方
の
社会事業
に廻すということは、最も
公共
の
福祉
を増進する所以でありまして、そういうものがこういう十号に入らないというふうにお考えになることは、私は根本的に間違いであると思う。
官廳発行
ですら入るとなりますと、そういう
保險事業
は当然入るという
解釈
になさらなければならん、少くとも我々
國会
ではそういう
解釈
を取らざるを得ないということを申上げます。
吉川末次郎
13
○
委員長
(
吉川末次郎
君) 先程
岡本
君から御要求のあ
つた
、第四頁の「
司法
に関する
事務
」に関連して
自治体警察
に
関係
のこと、これは
鈴木法務総裁
及び
官房長官
の御
答弁
を得たいと言
つて
おられますし、又この
保險事業
の
掛金
がどうかという問題も、あなたとしては答えにくい
立場
も多少あろうと思います。これも
一つ
あなたから誰か適当の人によく
お話
を願います。
法務総裁
がよろしいですか。
岡本愛祐
14
○
岡本愛祐
君
法務総裁
に
法律
的の
解釈
を……
吉川末次郎
15
○
委員長
(
吉川末次郎
君) それでは
質問
はまだ引続いて続行いたしますが、
國家公安委員会
の
齋藤長官
が見えておりますから、
地方自治法
に関する審議はこれで打切ることにいたしまして、
風俗営業取締法案
を
議題
に供します。先ず
当局
の
提案理由
の
説明
を願うことにいたします。
斎藤昇
16
○
政府委員
(
斎藤昇
君)
只今議題
となりました
風俗営業取締法案
につきましい御
説明
を申上げます。 この
法律
は、いわゆる
風俗
営業即ち第一條に
例示
されております料理店、カフエー、キャバレー「まあじやん」屋等の
風俗
上の取締を必要といたしまする営業につきまして、
風俗
犯罪
の発生を防止することを主たる
目的
としたもであります。このような営業につきましては、從來各廳
府縣
令によりまして警察取締法規が設けられてお
つた
のでありますが、昭和二十二年十二月末日限り失効したのでありまして、現在はこれらの営業に関する
一般
的な取締法規はないのでございます。併しながらこのまま放置いたしますことは、
風俗
取締上支障がありまするので、これらの営業の取締法規といたしまして、この
法律案
を提出した次第であります。 法案の主なる点を申上げますと、 第一に、かかる営業は從來のように警察の取締を受けることにいたしまして、この営業の許可は
都道
府縣
公安
委員会
又は
市町村
公安
委員会
が行うという建前を取
つた
のであります。從いまして又営業者或いは從業員が
違反
行爲
を行いまして、善良の
風俗
を害する虞れがあるというような場合には、各公安
委員会
は、これらの営業を禁止、停止
処分
に付し得るのであります。 第二は、從來の廳
府縣
令の実質的内容をなしておりました、営業の場所、営業時間、営業所の構造設備等に対する
各種
の
制限
は、各
地方
の実情に應じた内容にするため、
都道
府縣
の
條例
を以て
規定
することにしたのであります。 第三に、この種の営業取締法規としては、初めての試みでありますが、從前のように
行政
官廳の一方的裁量によりまして、営業の禁止、停止
処分
が行われますることは、ややもすれば営業權を脅やかすような結果に相成りますので、これを避けまするために、そのような場合には必ず公聽会を開きまして、営業者の言い分を十分に聞いた上で、公正な
行政
処分
が行われるような方法を採
つた
のであります。 この
法律
は、営業者に大きな
関係
を有しますと共に、又
一般
社会の
風俗
に直接
影響
するところが大でありまするので、その運用には十分注意を拂わなければならんと考えておるのであります。 以上この
法律案
提出の理由を申述べた次第でございまするが、何卒よろしく御審議をお願い申上げたいと存じます。
吉川末次郎
17
○
委員長
(
吉川末次郎
君) 本日はこれで審議を打切ることにいたしまして、次回に審議を続行するようにいたしたいと思いますが、よろしうございますか。……それではさように取計らいまして、本日はこれで散会いたすことにいたします。 午前十時五十四分開会 出席者は左の通り。
委員長
吉川末次郎
君 理事 中井 光次君 委員 羽生 三七君 岡田喜久治君 大隅 憲二君 黒川 武雄君 奧 主一郎君
岡本
愛祐君 小野 哲君 阿竹齋次郎君
政府委員
総理廳
事務
官 (総理廳官房自 治課長) 鈴木 俊一君
國家地方警察
本 部長官 斎藤 昇君