運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-04-27 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月二十七日(火曜日)    午前十時四十八分開會   —————————————   本日の會議に付した事件消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○第三國人犯罪取締に關する件   —————————————
  2. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) これより委員會開會いたします。消防組織法の一部を改正する法律案議題に供します。昨日に引續きまして本法案について御質疑がありましたら御開陳を願いたいと存じます。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 速記を始めて。それでは討論、採決を延期いたしまして、次の議題に移ります。地方自治法の一部を改正する法律案につきまして提案理由説明を……。ちよつと休憩いたします。官房長官が今見えますまで……。    午前十一時四分休憩    ——————————    午前十一時七分開會
  4. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 所管大臣である官房長官がお見えになりましたから、休憩前に引續きまして議事を續行いたします。それでは先程申しました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、官房長官提案理由説明を伺いたいと思います。
  5. 苫米地義三

    國務大臣苫米地義三君) それでは私から本委員會に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由、及び主要なる事項概略を御説明申上げたいと存じます。地方自治民主化とその健全なる運營を目途といたしまして制定されました地方自治法は、昨年五月三日新憲法實施と同時に施行せられたのでありまするが、その後におきまする運用の事情に鑑みまして、更に住民自治の本旨を具現し、その民主化を徹底するために昨年十二月相當廣範圍に亙り第一次の地方自治法改正が行われましたことは各位の御承知通りでございます。今囘の改正の骨子は、地方公共團體權能に關する現定を整備し、地方議會權限を一層擴充し、地方公共團體議會と長との關係調整につきまして、更に一歩を進めた措置を講ずることとする外、地方自治運營上における腐敗防止し、その公正を確保するため、住民自治參與範圍を擴張する等の措置を講じようとするのでありまするが、これを要するに第一次の地方自治改正趣旨を一層敷衍し、徹底しようとするものに外ならないのでございます。  先ず地方公共團體權能に關する規定整備について申上げますると、現在地方公共團體權能として處理すべき事務範圍は、抽象的な字句を用いておりまして、地方自治法規定されておる次第でありまするが、その儘では地方公共團體處理する事務内容が明瞭でありませんので、新たに地方公共團體權能個々具體的に例示することといたしたのでございます。  次に地方公共團體議會權限擴充についてでありまするが、地方自治法施行後の實情に省みまして、議會議決事項として納税者の保護、地方公共團體の重要な經濟行爲等の適正な處理に遺憾のないようにするため、議會議決事項範圍擴充することといたしたのでございます。  第三點は地方公共團體議會とその長との關係調整であります。都道縣知事市町村長等地方公共團體の長と地方議會との關係は、兩機關の相互均衡の上に地方自治の調和ある運營を期することが、地方自治法の根本的な建前でありますことは、既に御承知通りでありまするが、かかる制度の下におきましてはいわゆる拒否權制度が認められておるのが通例でありまするが、この拒否權に相當する制度としては、現行地方自治法におきましては違法乃至は權限の踰越の議決等特定の場合に限られておるのであります。今囘更に條例制定、若しくは改廢、又は歳入歳出豫算に關する議決について全般的に拒否權制度を認め、執行機關としての責任上、議會に對しに反省を促す機會を與えることといたした次第であります。  第四點は住民の直接參政範圍擴充等による腐敗行爲防止、及び公正の確保に關する新たなる措置に關するものであります。先ずその第一は、地方公共團體財産、又は營造物で特に重要なものについて一定の獨占的處分、又は使用許可をしようとするときは、豫め住民一般投票に付して過半數の同意を得なければならないこととしたことであります。又その他の比較的重要な財産、又は營造物に關する獨占的性質を有する處分、又は使用許可については、議會における出席議員の三分の二以上の者による議決を要することといたしたのであります。その第二は出納長、若しくは收入役その他地方公共團體職員職務上の地位濫用による公金又は財産營造物の違法又は不當な處理についての住民による矯正權制度を法定いたしまして、これによつて住民信託に基く地方公共團體公共利益擁護違算なからんことを期した次第であります。その第三は分擔金徴收する條例制定又は改正につきましては、必ず公聽會を開いて、關係者意見を聽き、苟くも不公平に亙ることのないよういたした次第でございます。最後昭和十二年七月七日から同二十年九月二日に至るまでの間に行われました、いわゆる戰時中町村の市への編入等につきまして、とかくの世論のある事情に鑑みまして、法律施行後二年以内を限つて、編入せられた町村住民希望によつては、その分離を認めようとする規定を附則において規定いたした次第であります。  以上今囘の地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概略説明をいたした次第であります。尚詳細につきましては、政府委員より御説明を申上げたいと存じます。何とぞ愼重御審議上速かに御協贊あらんことをお願いいたします。
  6. 鈴木俊一

    説明員鈴木俊一君) 只今官房長官から地方自治法の一部を改正する法律案理由及び主要な事項概略につきまして御説明がございましたが、更にその詳細の内容につきまして説明を附け加えたいと存じます。  今囘の改正の主要な第一點であります地方公共團體權能に關する規定整備につきましては、從來地方公共團體の關能として處理すべき事務範圍は、一般的には地方自治法第二條において規定されているのでありますが、その規定の形式は極めて抽象的であり、事務範圍具體的に明示いたしていない結果、解釋上種々の疑問を生ずるのみならず、一般の理解を得ることが頗る困難な實情にあつたのであります。これらの點に鑑みまして、今囘同條に新たに地方公共團體權能具體的に例示することにいたしますと同時に、地方公共團體は、國の固有の事務處理することはできず、又事務處理當つては、法令に違反することをできない旨を規定して、その處理し得べき事務の限界を明確ならしめようといたしたのであります。  第二點の、地方公共團體議會權限擴充につきましては、御承知のごとく地方自治法におきましては、議會と長とは、議決機關執行機關、或いは意思機關理事機關として各々對等の立場に立ち、それぞれ與えられた自己權限を行使し、相互に相牽制して、圓滿地方自治の進展に資せしめることとされておるのでありますが、地方公共團體に關する重要な事件については、できるだけ住民の直接の代表者である議會にも關與せしめることが適當であることは申すまでもありません。よつてこの度更に違法に賦課又は徴收された地方税等の拂戻、特定財産營造物取得設置又は處分特定の契約の締結、地方公共團體がその當事者である斡旋、調停、仲裁に關すること及び法律上その義務に屬する損害賠償等を附加し、議會議決事項範圍擴充いたしまして、これ等の事務處理住民代表意思に基いて、常に適正に行われることを期することとしたのであります。  第一點の、地方公共團體議會と長との關係調整につきましては、現在すでに都道縣知事市町村長等地方公共團體の長と地方議會との關係は、いわゆる大統領制度に近似した制度となつておりますことは御承知通りであります。併しながら更にいわゆる大統領制度の下に採用されておる、一般的拒否權制度を認めることによつて議會と長との關係の一層適切な調整を圖り、おのおのその特色を發揮せしめることは、自治運營の適正を圖る上に必要な措置であると存ぜられるのであります。よつて現行議會議決又は選擧がその權限を超え、又は違法な場合、議決が收入支出に關して執行することができないものがあると認められる場合、及び法令による經費又は義務に基く經費、乃至は非常災害による應急復舊費、若しくは傳染病豫防費の削除乃至減額がなされた場合に限つて、認められている特別の拒否權の外、新たに一方で議會權限擴充を圖るのに對應しまして、他面、長に對して一般的の拒否權を與えることとしたのであります。即ち先程の説明にもありましたように、地方公共團體の長は歳入歳出豫算に關する議會議決について異議があるときは、十日以内に理由を示してこれを再議に付することができるものとし、議會がそれにも拘わらず三分の二以上の多數で再度議決をしたときであります。  第四點の住民の直接參政範圍擴充等による腐敗行爲防止、及び公正の確保に關する新たなる措置について申上げます。先ず地方公共團體の重要な財産又は營造物の、獨占的利益を與えるような處分、又は長期に亙る獨占的使用許可について申上げますと、現行法におきましては、財産又は營造物取得等につきましては、條例一般的規定に從いまして、處理をいたしておつたのでありますが、地方公共團體の、特に重要と認めた財産又は營造物についての、獨占的性質を有する處分又使用は、元來住民に平等に與えらるべき財産又は營造物の利用の、權利に對する重大な制限でありますから、特に愼重を期すべきであるのみならず、かかる措置公共目的上乃至地方公共團體の財政上の要求により、眞に止むを得ないものであるとしても、このような行爲に往々にして伴い易い腐敗行爲は、極力これを防止するに努むべきでありまして、その手段としては、住民の最終の審判を經て事を決することが最も適當であると考えられるのであります。又その他の比較的重要な財産又は營造物に關する、獨占的性質を有する處分又使用許可については、議會における出席議員の三分の二以上の者による議決を要することといたしましたのも、同樣の趣旨に出ずるものであります。  その第二の出納長若しくは收入役その他地方公共團體職員の、職務上の地位濫用による不正行爲の、住民による矯正請求は、一人でもなし得るのでありまして、まず監督委員に對して監督を促し、監督委員監査に基いて、地方公共團體の長が必要な措置を講じて、その違法又は不當な行爲制限又は禁止をなす制度であります。若し監査委員又は地方公共團體の長の措置に不服があるとか、これらの者が必要な措置を講じないような場合には、請求人たる住民は、更に裁判所に出訴する途を與えられるのでありまして、これによつて住民信託に基く地方公共團體の、公共利益擁護違算なからんことを期しているのであります。  その第三の分擔金徴收する條例制定又は改正の際の、公聽會の開催の趣旨とするところは、申すまでもなく分擔金徴收は、利害關係が錯雜し、公正を失する虞れがある場合が尠くないので、地方議會又常任委員會において開催する公聽會によつて關係者意見を聽き、できるだけ公正にこれを賦課徴收することを目的としておるものでありまして、分擔金が、特に數人若しくは一部の者から特定事件について徴收するのである點を重視し、條例審議に特別の手續を加えた次第であります。  最後のいわゆる戰時中町村の市への編入等は、御承知のごとく、戰時において軍需工業施設が随所に大擴張を遂げ、そのため附近町村を編入して大都市の出現を見たというような例が少くないのでありますが、終戰後においては、これらの都市は工業施設を灰燼と化し、或いは豫定の工場等設置を見ないこととなり、又或いは賠償の對象物に指定を受ける等、少くともその當初の存立の基盤の大半を喪失した實情に立ち至つた次第でありますので、この現實の事態を率直に認めまして、編入せられた町村のうち、舊に復することを希望するものがありますれば、それらのものの請求に基き關係住民一般投票を行いまして、その結果、過半數の贊成がありました場合には、その希望を叶えることができるようにいたした次第であります。  以上、内容につきまして、説明を附加えた次第であります。
  7. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 本日は、この法案につきましては、政府提案理由説明を聽く程度に止めまして、次囘から質疑に入りたいと思つておりますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) ではそのようにいたしまして、午後一時まで休憩いたします。午後一時から再開いたします。    午前十一時二十八分休憩    ——————————    午後一時五十分開會
  9. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 午前に引續きましてこれより委員會を再開いたします。先ず私からこの際芦田内閣總理大臣外務大臣に御質問申上げたいと存じます。先般來本委員會におきましては、治安の見地から日本に在留いたしておりまする朝鮮人の犯罪問題につきましては、特に多大の關心を抱きまして、今日までいろいろ研究を續けて參つたのでございますが、たまたま本日の四日から七日に亙りまして、靜岡縣濱松市において、同市在住テキ屋、及び興行師の親方であるまする小野某なる縣會議員を主盟といたしまする小野組一家の者と、朝鮮人とがそれぞれ約二百名ばかりずつ、何れも徒黨を組みまして、同市内數ヶ所において、それぞれピストル、獵銃、竹槍その他の武器を以て爭鬪いたしまして、これを少しく大袈裟に申しまするならば、市街戰を演出いたしまして、死傷者十數名を出しました。同市自治體警察は、靜岡縣國家地方警察及び附近自治體警察竝びに岐阜縣駐在進駐軍の應援によりまして、漸くこれを一時的に鎭壓いたしたのであります。又これと似たる事件は、時を同じういたしまして、愛知縣犬山町にも起り、これ亦專ら進駐軍の應援下にこれを鎭壓するに至りました。これらの二つの事件につきましては、我々の委員會におきまして派遣議員から昨日の本委員會においてこれが顛末を報告するところがあつたのでございます。  更に二、三日來の新聞、特に本日の新聞の報道によりますれば、兵庫縣廳におきましては約一千名、大阪府廳におきましては約一萬二千名の朝鮮人が、朝鮮人學校閉鎖の件に關連いたしまして騒擾を起しまして、兵庫縣知事神戸市長警察長等は約四時間に亙つと朝鮮人のために監禁され、岸田兵庫縣知事のごときは、當日朝鮮人の威嚇に遭つて、その學校閉鎖命令を徹囘するの醜態を演じた旨が傳えられておるのであります。これらの事件につきましても、亦昨日の本委員會におきまして政府當局より、これが顛末を聽取するところがあつたのでございます。  これら朝鮮人犯罪處理、及び在留朝鮮人を今後如何に處理するかということは、ひとり治安維申の觀點よりいたしましても重大なる問題であるばかりでなく、亦國際外交の點よりいたしましても、政府において深甚の考慮を以てこれが對策を講じらるべきものであると考えるのであります。右についての芦田さんの總理大臣及び外務大臣としての御意見を承りたいと思うのであります。  これにつきましては、一般日本警察機能の低下、その他諸般事項がこれが原因として考えられるのでございますが、又特に敗戰後國民全體が一樣に卑屈なる喪心的状態にあるに應じまして、在留朝鮮人の一部の中には、自己を以て戰勝國民と同樣の地位にあるものとの誤解に基いて、日本國及び日本國民に對するに当り、日本法律を無視して治安を紊亂するの行動に出でたるものでありまするけれども、その對策を當時の政府において確定するに至らず、ますますこれを増長せしめ、その後昭和二十一年二月軍政部の指令によりまして、從來日本統治權の下にありました朝鮮人臺灣人等は、日本人と同樣の刑事裁判權の下に服すべきが明確化されるに至つたのであります。然るに今尚日本國民及び在留朝鮮人の間にこのことが十分徹底するに至らないということが、差當り今囘の事件のその主要原因となつていると思われるのであります。我々は決して古い民族感情に基く偏見によつてこれを處理するのでなく、飽くまで日鮮兩國民の融和の精神に基いて、これが解決を欲するものでありますけれども、又敢て日本人であるからと言つて悪事を容赦することができないと同樣に、朝鮮人であるからと言つて悪事をなし、或いは治安を害するようなものがありましても、そのままにこれを認容しておくということは許し得ないのであります。これに對しまして芦田首相外相の確然たる決意の程をこの機會國會を通じまして、日本國民及び朝鮮人の前に明示せられんことをお願いするのであります。他の委員の諸君からも更に御質問もあらんかとも察しますが、私より先ず以上のことをお尋ね申上げる次第でございます。どうぞ御答辯を願いたいと存じます。
  10. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 朝鮮人在留者に對してどういう身分を與えるか、或いは彼等が取得するかということについては、終戰以來種々の經緯を經て一應今日のごとき状態に落付いたのでありまして、當時我が國に在留しておつた朝鮮人の中で本國に歸る意思を表示した者はこれを自由に送り返す、そうして日本内地に殘留を希望する者は、暫く我が國内人と同樣の法的管轄の下に立つて、我が國の法律に服從する義務がある者として今日に至つているのであります。從つて我が國内の法律秩序を遵守すべき義務においては、何ら朝鮮人たるの故を以て例外の地位に立つべき理由はないわけであります。  併しながら實際問題としては終戰後における我が國警察力弱化したこと、從つて犯罪取締の上においても或いは日本國民と同一の義務を負う納税の面においても、從來幾多遺憾の例の起つたことは御承知通りであります。その際において犯罪防止のため、或いは徴税の實行のために、官吏が職務を行使せんとして身體に危害を受けたごとき例も、まま見受けられたのでありまして、この際朝鮮人行動を如何に遵法精神によつて規制すべきかということについては、政府においても絶えず念頭にかけておつた問題であります。  然るに最近神戸において朝鮮人學校閉鎖の問題に伴つて、御承知のごとき暴行事件を惹起したことは、誠に我々は遺憾とするところであります。併しながら既に朝鮮人學校問題は政府において既定方針によつて、今日まで進んで來たのであります。今後と雖も從來方針を堅持してその實行を期したいと考えているのであります。一昨日來起りました事件を詳細に調査して、これに對處する政府方針を決めるために、昨日法務總裁が現地に出張をいたしまして、神戸において種々調査を遂げたる上、歸京を俟つて政府においてはこれに關連したる諸般の問題、具體的に申せば兵庫縣知事の執つた處置、或いは檢察廳員の執つた措置等についても、果して公務員としての職務として缺くるところがなかつたかどうかという點を十分調査した上に、それぞれの處置を決定いたしたいと思つております。  尚朝鮮人集團的暴行に對しては、率直にいつて現在の我が國の警察力は十分とは申されません。併しながら種種事情の下の急速に我が國の警察力を増強することも、幾多の困難があることを豫想しなければならないのでありますが、政府占領軍當局との種種切衝の結果、連合軍最高司令官においては、政府既定方針を堅持してその措置を執ることは完全に占領軍司令官の政策に合致するという言明を得たのでありますから、神戸事件處理につきましても、連合軍當局政府及び自治團體と三者緊密な連絡をとりまして、目下それぞれ處分當つております。大阪方面神戸方面において相當の現行犯人を檢擧いたしましたが、市内状態は月曜日夕刻に至つて全く平靜に歸したという報告を得ております。現在のところでは暴行事件は一應の終結を告げて、今後はこれに關連したる犯罪人の檢擧、又善後措置に没頭しえる時期になつたものと考えております。今後の治安維持については、先程申述べましたように、我が國警察力弱化と、又この變革期における警察組織の變革に伴つて、十分の能率を發揮し得ない點等を考るに、現状の姿を以てしては、治安維持に十二分の確信を持ち得ない點もありますけれども、現在のごとき事態においては、占領軍と密接な連絡の下に、必要な處置を執る以外に方法はないかと考えられる次第であります。  以上、一應全般についてのお答えをいたしました。尚詳細の御質問があれば私からお答えをいたします。
  11. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) ここには國家公安委員會辻委員長及び金正委員が見えておりますし、又國家地方警察本部長官の齋藤君も見えておりますが、後刻學校行政の問題につきまして森戸文相もここに來られることになつておりますが、首相は非常に御多忙のことであると存じますので、細かい警察行政、或いは學校行政等に關する御質問はあとに廻して頂きまして、まず芦田總理外相に對して御質問があれば御開陳を願いしたいと存じます。
  12. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 芦田總理大臣にお尋ねいたしますが、只今委員長質問に對しまする御答辯で、今後の治安維持については從來方針を堅持して當るというお話でございました。我々はこの現在の新警察法案をこの委員會審議いたします際に、日本敗戰後新憲法によりまして軍備を廢した。そうして治安維持に當りますのはどうしても警察力に頼るより仕方がない。然るにこの新警察案によりますと、自治體警察主議を採られまして、横の連絡、縦の連結ということは非常に弱化して來たのであります。こんなことでは到底完全な治安維持はできないではないか。殊に第三國人に對して非常に警察力弱化をするのじやないか。それで本委員會におきましては政府に要求いたしまして、二十二年度における第三國人不法行爲、密入國、そういうものの調査といたしまして、朝鮮人不法行爲におきましては、昭和二十二年に一萬五千六百十何件ございます。集團強盗及び窃盗が三千五百五十三人、件數にいたしまして千八百八十四件、それから集團恐喝及び詐欺は、件數にして三百四十八件、人數にして五百九十三人、その他實に件數にして全部併せまして五千六百八十二件、人數が一萬五千六百十人、こういうことになつております。この他に表に現われないこういう不法行爲、密入國の關係もありますが、こういうものは非常に多いのだろうと思つております。然るに最近になりまして段々それがひどくなりまして、毎日のように新聞紙上に現われる集團強盗の大部分朝鮮人である。家庭を襲い、工場や倉庫を襲い、自動車を奪い遂には列車内で傍若無人の強盗をやつておるのは大部分朝鮮人であります。遂に濱松事件となり、犬山事件となり、神戸大阪の大事件となつて參りました。これは私が考えますのに、濱松事件犬山事件のごときは不良朝鮮人自治體警察を甘く見まして、こういう事件が起りましたのと、日本人自治體警察は信用しない、自分の力で何とかしてこれに對抗しなければならんというので起つた事件であろうと思います。又神戸事件大阪事件のごときは一部不良の日本人の煽動もあつたでありましようが、これが朝鮮人がやはり自治體警察を甘く見て起つた事件、こうふうに思うのであります。  日本人は今までは敗戰國民ということを自覺いたしましてその贖罪として、又戰爭を放棄して外國人と爭わず、文化國家を建設する途上にある愼しみとして忍耐し、隱忍しておつたのでありますが、こういう大事件が續出いたしまするようでは到底辛抱がし切れない。隱忍ということも程度問題であるというふうに皆が考えて來つつあるのであります。我々は、日本に望んで在留しておる朝鮮人五十七萬人のうち、善良な大部分の人には、今後とも何ら日本人と區別待遇しないで、想携えて共存共榮をし、親善關係を増進して世界の文化に貢獻せんことを希望するものであります。併し一部不良の朝鮮人に對しては、不良日本人と同樣に、斷平としてこれを取締つて頂きたい。そうして一日も早く治安維持をせられて、そうして國民をして安んじて文化國家の建設に邁進するようにして頂きたい。こう思うのであります。  これに對して先程總理大臣から我が國の警察力弱化は事實である。併し諸種の事情で充實はできない、進駐軍に信頼するより仕方がないというふうなお話もございました。併し先程申しましたように、私はこれはこの新警察制度の缺陷が現われて來ておるのでないかと思うのであります。軍隊がない以上はどうしても警察力治安維持するより外はないのであります。強力な軍隊の存在する、アメリカとかイギリスとか、その外の立派な獨立國におきましては、自治體警察制度で十分やつて行けるでありましよう。併し軍隊がなければ、どうしても警察力というものは、縦の連絡、横の連絡が十分であつて、どんな大事件にも對處できるようにしておかなければならんのであります。  ところが御承知通り新警察法では、その縦の連絡、横の連絡ができないように作つてある。これはそういう日本の國家警察というものが誤つてつた日本は軍隊が第一に悪かつた。第二に誤つてつたの日本の國家警察だという立場から、これが縦の連絡も横の連絡も、斷ち切れるだけ斷ち切れというふうにできておるのが、この新警察法であります。これを矯正をしないと、私は日本治安維持は萬全を期し得ないと考えるのであります。これに對する總理大臣のお考えを伺いたいのであります。これは何もすぐこの新警察法を廢止をして、又國家警察に歸れという意味では決してありません。この新警察制度の下におきましても、もう少し縦の連絡、横の連絡をよくする方法がないであろうか、というのが私の質問の主眼であります。  例えば東京都、大阪市という自治體警察が、自治體の治安維持するのみならず、國家の治安維持するということになつております。そこで私はこの前の片山總理大臣質問したのでありますが、國家の治安維持ということは國家自身のやることじやないか、國家が自分の生命を維持するのに人にやつて貰う、自治體警察にやつて貰うという建前は、それは當然採り得ないじやないか。軍隊のある國は別である。軍隊のない國においては國家自身が強力な警察を持ちまして、自分の生命を維持するという建前をどうしても採らなければならない。自治體警察にそれじやどういうふうにそれを連絡するかと申しますれば、自治體警察に國家事務たる、國家の治安維持權限を、止むを得ず委任してあるだ、こう考えられはせんか。自治體警察における治安維持は、これは自治體自身の本來の職務である、事務である。こういうふうに今新警察法ではなつておるのであります。その點は私が何度質問してもどうしてもそうでなければならんという御答辯であります。  それがどうしても誤つておりはしないか。誤つておると私は今でも考えるのであります。委任事務とこう考えますれば、私は縦の連絡というものは容易にできる、こう考えます。又横の連絡につきましては、自治體警察から國家警察に應援を求めることはできますが、現在の新警察法におきましては、國家警察から自治體警察に應援を求めることはできないのであります。今度の場合今どういうふうにされたか、その點分りませんが、縣廳がひどい目にあつておる、縣廳は國家地方警察を持つておるわけでありますが、それが神戸市又大阪市の自地體警察に應援を求めることはできないという建前になつておる。これも私は非常に誤つておる建前だと思います。こういう點につて矯正に努力せられる御意思があるかどうか、それを伺うのであります。  もう一つこういう騒擾事件というものはうつる、傳染する危險が多分にあるのであります。こういうふうな弱體化した警察力であるということがこの大阪神戸事件におきましてよく證明されて來たのでありますから、若し計畫的に大暴動を企てるということは、これは朝鮮人以外の問題にもなりますが、朝鮮人と合體した問題にもなります。そういう企てをしようとした者がありますれば、大衆運動、メーデーとかいう際に、若し計畫的にこういう暴動を起そうと思えば、今の警察法のやり方では容易にこれは起し得る。國會を襲い、政府を襲い、これを監禁することは易々たるものである。こういうことができないように是非しなければならない。我々國會議員も勿論責務があります。警察法の不備な點はこれから十分研究いたしまして、改正案を國會の方でも作りたいと思います。併しこの警察力の執行は政府の責任であります。今日この對策をどういうふうにお立てになるか。これは總理の決意を伺いたい第二點であります。その外細いことについて伺いたいのですが、それは時間もありませんから簡單に伺いたいと思います。
  13. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 坐つたままお答えすることをお許し願います。只今岡本君から御指摘になりました二つの問題は極めて重要な問題でありまして、率直に申しますと警察法提案の前後においとも、或いはかような結果を生ずるのでないかという豫感を持つてつたのであります。併しながら御承知のごとき周圍の事情によりまして、これに對する自信のある方法をとることができなかつたことは、誠に遺憾に思つている點でありますが、自治警察、國家警察の二本建で今日まで實行して來た結果が、治安維持の上に大きな缺陷があるという事實がすでに目の前に現われておるのでありまして、差當りの方法としては只今岡本委員の御指摘のごとく、國家警察の間の縦横の連絡を如何にして十分にすることができるかという點についても、是非これを考究して行く。事實我が國の治安維持に適切ならざる部分については、十分政府の努力によつてこれを修正することに努めなければならんということは、岡本委員の御意見と全然同感であります。只今御指摘の二點については直ちに政府においてもその善後處置について、研究いたしまして、今後成るべく早い機會にこれらの缺點を補正することに努力いたしたいと思います。さよう御承知を願います。
  14. 小野哲

    ○小野哲君 警察制度の問題につきましては、岡本君から質問がございましたので、私は観點を辯えて外務大臣としてのお立場での御所見を伺いたいと存じます。今囘の騒擾事件が國際的に考えまして各種の問題を包藏しているのではないか。第三國人措置につきましての重要な問題を包藏いたしておりますことは、芦田さんから御説明があつた通りでございます。尚現下の國際情勢、特に徴妙な國際情勢の動きと關連いたしまして、この騒擾事件についとどういうふうな御所見を持つておられるか。尚本日の新聞によりますというと、今囘の騒擾事件につきまして、連合軍方面の所見が掲載されておつたようでありますが、國内的の問題といたしましても、この種の點につきましては勿論重大な關心を持たなければならないと思うのでございますが、この點には先ず觸れることを避けまして國際的な問題としての立場から、この事件政府として、外務大臣としてどういうふうに御觀察になつておられますか。又今後の推移に伴うてどういうふうな御見通しを持つておられるか。外務大臣としての御所見を承つて置きたいと思います。
  15. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今の御質問は十分私の頭に入つたようでもあり、又正確に質問の御趣意を捉え難い點もあると思いますが、昨晩法務總裁を現地に派遣しまして、明朝にでもその報告が得られるかと持つておりますが、事件の起つたその直接の原因は無論學校問題に端を發したのでありますけれども、この機會に或いはそれ以外の動機によつて運動に參加したものがあるかどうか、如何なる人間がこれに參加したか等のことは政府においてまだ十分詳細な報告を得ておりません。第八軍の司令部が神戸において發表したところによると、この暴行事件は必ずしも朝鮮人のみが參加した運動ではない。現に我が國の政黨に參加して黨籍を持つておる確實な日本人が、現行犯罪人として七名逮捕せられておるということを發表いたしておるのでありますが、政府においてはまだこれらの點についての詳細な報告に接してはおりません。從つて果してその司令部の發表がどういう筋から出たものであるかは明らかでありません。その事實を裏附するだけのまだ有力な報告に接していないのであります。又一部の人々の憂いておることは、この朝鮮人暴行事件は近く朝鮮内において行われんとする選學に、或る種の影響を與えるために企てられたものであるというがごとき意見も出ております。これは無論的確な證據を持つて意見を述べたかどうか、その點まだ政府においては確たる證據を持たない今日、正確であるかどうかという點を明言いたしかねるのでありますが、世間の一部にはかような觀察を述べておるものもあるということを御參考のためにお答えいたしておきます。
  16. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 尚この機會に森戸文部大臣が出席されておられますので、學校行政に關連いたしまして、この度の事件についての一應の經緯等を文部大臣から御説明を願いたいと思います。專ら我々委員會が文部大臣から聽かんとするところは、國内における朝鮮人學校の内容はどういうものであるか、又閉鎖したのはどういうことから起つておるのであるかというようなことを中心として御説明を願いたいと思います。
  17. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 朝鮮人の學校問題で、非常に大きな問題の起りましたことは、誠に遺憾に存じておるのでありますが、實は朝鮮人の子弟の教育が終戰後直ちに私共文部當局といたしましては、強い關心を持つてつたのであります。殊に昨年學校教育法が施行されましてからは、これを如何に取扱うべきかという問題が取り上げられまして、關係方面ともいろいろ連絡をとつたのでありまするが、結局民主化の方向へ刷新された學校教育法が、日本國民はもとより、國内にありまする特殊な關係にある第三國の人々にも適用される。こういう結論に到達いたしまして、丁度大阪は朝鮮の子弟の兒童の多いところでありましたので、大阪府から照會がありましたのに答えまして、文部當局の方からは次のような通達をいたしたのであります。  現在日本に在留する朝鮮人は、昭和二十一年十一月二十日附司令部發表により日本法令に服しなければならない。從つて朝鮮人の子弟であつても、學齢に該當する者は、日本人同様市町村立又は、私立の小學校、又は中學校に就學させなければならない。又私立の小學校又は中學校の設置は、學校教育法の定めるところによつて都道府縣監督廳の認可を受けなければならない。學齢兒童又は學齢生徒の教育については、各種學校の設置は認められない。私立の小學校及び中學校には、教育基本法第八條(政治教育)のみならず、設置、廃止、教科書、教科内容等については、學校教育法における總則竝びに小學校及び中學校に關する規定が適用される。尚朝鮮語等の教育を課外に行うことは差支ない、これが第一。第二は學齢兒童及び學齢生徒以外の者の教育については、各種の學校の設置が認められ、學校教育法第八十三條及び八十四條の規定が適用される。三、前二項の趣旨を實施するために適切な措置を講ぜられたい。  こういうことが照會に對して答えられたのであります。これは同時に大阪のみならず各都道府縣に通達されたのであります。この通達が基であります。昭和二十一年十一月云々とありますのは、昭和二十一年十一月二十日の太平洋方面米國陸軍總司令部渉外局の發表で、連合軍最高司令部引揚計畫の下において、故國に歸還することを拒む日本における朝鮮人は、正當に樹立された朝鮮政府が、朝鮮國民として彼らを認めるような時期が來るまでは、日本の國籍を保有する者とみなされることとし、又それに續いて昭和二十一年十一月二十日、太平洋方面米國陸軍總司令部渉外局發表によりますと、本國歸還を拒絶して日本に殘留することを選んだ朝鮮人は、昭和二十一年十二月十五日以降日本に繼續して居住すれば、それに該當するすべての地方法律及び法令の適用を受けなくてはならんことを、十分承知の上でその選擇を行つているのである。それに該當する地方法律法令の遵守を彼らに免れさせるような、在日朝鮮人の有利になる差別待遇は、一種の治外法權を創設することになるのであろう。これは如何なる見地から見ても正當化され得ないものである。こういうようになつているのであります。  昭和二十一年十二月十五日以降は日本法令に服しなければならないのでありまして、教育については、先程申しました教育基本法、竝びに學校教育法の法令に服さなければならないのであります。從つて在日朝鮮人の子弟でも學齢に該當する者は、義務教育として小學校中學校等に就學しなければならんのでありますし、又これら就學義務のある者の教育については、各種學校の設置は認められないのであります。朝鮮人でありましても、無論私立學校の設置につきましては、學校教育法に基いて先程も掲げてありまするように、監督廳の許可を受けて設置することができるのであります。その場合朝鮮語なり、朝鮮の歴史、文化を教えるということは十分認められるのであります。從いまして、今年一月二十三日附で各都道縣知事に、以上の趣旨を達するために適切なる措置を請することになつたのであります。  御承知のように各地に諸種の問題が起りましたことは極めて遺憾に存じておるのであります。實はこういう通達を出されましたけれども、その實行はなかなか困難であるということは、關係方面にも特に私共は指摘いたしたのであります。他面朝鮮人の人々の間には、いろいろな團體から教育の自主性ということに重點を置いた、非常に強い反對運動がなされたのであります。日本に居る朝鮮の人々が皆この文部省の態度に根本的に反對しておるわけではないのでありまして、朝鮮の人々のうちにも穩健な分子の人々は、日本の教育に從うのが正しいということを認めておる者もございまするし、又子弟を現にそこに送つておる者も多々あるのであります。併しながら教育の自主性ということをとつて、これに反對する強い主張もありますし、而もこれは民族的な色彩を以て、強い運動となる可能性があつたのであります。それに加えていろいろな世界的な情勢と日本の社會不安とも相俟ちまして、一部の勢力はこれを利用するような形もありまして、煽動的な形で朝鮮の大衆を煽つたというような事態もありまして、一層問題が激化いたしまして、先程申しましたように、單なる教育、學校の問題以上の段階に發展いたしたのであります。  文部當局といたしましては、殊に最近の事態におきまして、關係方面とも、もはやこの問題は、實は學校或いは教育の問題を超えた問題となつておるのでありまして、而も先程御質問にあつたような日本警察力を以てしては抑止できない問題であります。從つてこれは連合軍の側の強い協力なしには問題は解決されないのではないかということを強く要請をいたしたのであります。昨日以來この問題はその方向に展開いたしましたので我々の豫想したような、虞れたような形になることが防止されたと思つているのであります。  尚朝鮮人の經營している學校についてのことでございますが、實はこの點については非常にはつきりした調査が出されておりません。これは特殊の敗戰後の事情によるものでございますけれども、約兒童が五萬、學校が五百餘ということがいわれておるのであります。中心的な所にある學校は、殊に日本の學校の一部分を使つたところなどでは、設備はいい所もあります。先生につきましては、これはどうもはつきりとした調査がありませんので分りませんが、地方の小さな學校については設備においても、教授力においても、十分ではないのではないかと存ぜられておるのであります。全體として見ますれば、これらの學校で朝鮮語と朝鮮の文化が教えられるということにおいては、多くの強味がありまするけれども、一般の教育ということ、この學齡兒童の教育ということにつきましては、設備においても教授力においても、日本の小中學校の方が非常に優位にあると私どもは考えているのであります。  それでは文部省としてはこの問題について最後にどういうふうなことをいたそうとしておるかということにつきまして申上げますれば、私どもは政府と共に、學校の問題については、その方針を確乎として維持して、一歩も退くことがあつてはならんと考えておるのであります。しかし殊に教育の問題でありまするので、實際の扱いにおいては感情を挑發することのないような態度で、しかも實情に即した扱がされなければならんと思つております。尚學校は閉鎖をするような場合に、それらの兒童の收容について特に強い關心を持つておりまして、各都道府縣に對しましても學校が閉鎖された場合の兒童の收容について、萬遺憾なきことを通達いたしておる次第であります。尚學校關係者、朝鮮の學校經營者、責任者等につきましては、集つて頂いて今日の事情、又これまでの行きがかりをよく説明して協力して頂くように、最善の努力をいたしたいと存じておる次第であります。
  18. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 森戸文部大臣竝びに國家公安委員の諸君に對する御質問がありましたら、お述べを願いたいと存じます。細川さん、何か御要求があるんじやないのですか。
  19. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) では一言さして頂きます。政府の方がいないというと困りますが。芦田君は歸られたのですか。
  20. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 衆議院で本會議にこの問題の質問が起つておるので、まああちらへ行かせて欲しということで、行かれました。
  21. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) そうすると速記に載るわけだから、速記で見て貰いますか。
  22. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) ほかの政府委員の方がいらつしやいますから。
  23. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) これは何でしよう、今速記に殘しますが、衆議院が濟んだら來て貰えませんか。
  24. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 要求して見ましよう。國家公安委員の方ではいけませんか。辻公安委員長竝びに齋藤長官が見えておりますから。
  25. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) では述べますが、又明日でも答えて貰いたい。
  26. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) なんとか處置ないたしましよう。森戸文部大臣にあたの御要求があつたから、留めたのですけれども、先刻から向うの要求があつて行かれました。
  27. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) それでは止むを得ませんな。併しこれは重要な問題ですから、先程からの政府當局のお話、それから他の委員の方のお話、その中に出ておることは、この問題を遠く先走つて考えられておられる。そうしてもつと冷靜に判斷さるべきことを、されずにおるという感を受けるんですがね。第一に、委員長の話にしても、朝鮮人の一部の者は特權的意識を持つて、それが今日の騒擾に關係があるようにいつておられるが、これも朝鮮人の一部にそういう者があることは、そういうことは否めないことで、現に終戰前日本の支配階級にこき使われて、えらい目に遭つて來た連中で、その反動として、甚だ遺憾なことではあるが、一部の者には特權のような考え方を持つて來ておる者もある。併しこれを今度の運動と結びつけるのはどうかと思う。それから先つき不法行爲についてのいろいろなことが擧げられたが、それは朝鮮人の中にも闇行爲のいろいろなことがある。これは朝鮮人のところにおる者もやつておることではあるが、併し特にこういうことを擧げられると、何か朝鮮人は皆悪い者だという印象を與える。これは冷靜な判斷をやる場合に間違いを起して來る危險があります。  先程の話には、もつと警察制度を強化して、つまり強化するということは、我々終戰前に經驗したように、警察力によつて國民を抑えつけるというあの手を、徒らに事態がはつきりしない先に、黙つてこれを容認するということは、これは從來の我々の經驗について、よく反省してない慌て方だと思うのであります。軍隊がないから淋しいのという感情までここに出て來ておる。總理大臣芦田君の答にも、事柄の何ものであるかをまだ鈴木法務總裁が調べんのに、それにも拘わらず、強力な、何かまあ本質的な彈壓政策、それを行うような組織を作らなければならなというやうなことを言うということは、一體どういうことであるか。更に大臣の言葉の中にも大暴動云々というようにいわれておる。併しそういうことは、一體誰が考えるか。私は勞働運動について長年研究しておる。ことに米騒動の、日本の地域の四分の三に亙つたあの大事件を調べておりますが、あの場合にでも、民衆の運動というものは、これは納得を求めた運動であります。それを官憲があれをいじくつてしまつて、終いに暴動にまで挑發した。それは單に米騒動ばかりじやない。民衆運動を正當に理解する者には分る……、民衆というものは暴動なんか初めから考えていませんよ。今日働く者の働くだけに甲斐性のあるような制度を作れば、誰だつてストライキもデマもやりませんよ、そういうことははつきりしておることであります。然るに働いておる者は働くだけのものを與えられない。飢餓に瀕しておるというようなわけでいろいろなストライキなどがある。そうかといつて、今日又甚だ遺憾なことだが、學校問題で朝鮮人が暴行したとか何とかということを言つておる。こういう事柄全體を併せて、これは大暴動が孕まれておるのだ。こういうようなことを言うとは、一體どういうことですか。私は、先つき森戸君は文部大臣として不謹愼なことを言つたと思うのです。今日の問題は教育問題を乘り越えておる。我々はまだ事實をはつきりさせなければならんのではありませんか。第一に委員の方によく考えて頂きたいことは、まだ日本では敗戰について何を考うべきかということが、一般國民によく納得されておらない。そういうことは大問題であるが、更にこの場合、日本人というものはどれだけ他の民族に對して包容力を持つてつたか、包容力を持つていないかということがよく證明されておる。そうして今朝鮮人が騒いだからといつて、直ちにこういうような彈壓のことを考える。或いは外國の干渉まで、求めるというような態度は、我々全體として考えなければならんことであると思う。もつとゆつとりと、冷靜に反省もし、當面しておる事態の實際のことをよく考えてやるのが我々の任務であると思う。  そこで第二にお伺いしたいのは、朝鮮人の一體日本人なのか、外國人なのが、今芦田君の説明では、外國人であるが、日本法令に從うというような變則的にものとなつておるようでありますが、外國人ならば外國人である、イギリス人、アメリカ人というものは外國人である。この人達はどういう教育を自分の子弟にやつておられるのか。それに對して政府はどういう關係を持つておるのか。特に外國人であるとすれば、朝鮮人限つて特別のことを要求するというのはどういうわけであるか。それから日本法令に從うということは、これは朝鮮人も現にそれを認めておることで、朝鮮人連盟の中の機關である朝鮮人教育對策委員會というものは、「朝鮮人教育彈壓に對して日本の皆さまに訴う」というものを出しております。御覧を願いたいのでありますが、日本に住んでおる限り、我我は日本法律を守り、あらゆる面で日本の復興のために努力しておる。これは一般朝鮮人の心掛けであります。先程來なんかかんかと、朝鮮人にこういうことがある、ああいうことがあると述べられておるが、それは日本人にもあることで、それは一部のもののことで、極く少數のものである。それで以てすべてを推すわけには行かない。最大多數のものは、日本に住んでおる限り、日本法令を守るということを言つておるのであります。そういう心掛けでやつておることを我々は知つております。そこで先程來の政府當局のお話では、法律に違反しておる、違反しておるということになつておりますが、學校問題について朝鮮人教育對策委員會で求めておることは、法律を守る。そこでこういうことを言つておる。この法律を守るという前提の下に、教育用語は朝鮮語としたい。日本にいる朝鮮人の子供は、國に歸つて日本語だけができて、朝鮮語ができないので蔑まれて外國人のようにされる。だから親達は朝鮮語で教育しなければならんという考え方を持つておる。だから教育用語は朝鮮語とする。こういう主張が一つであります。  それから教科書は朝鮮人初等教材編纂委員會で、在日朝鮮人兒童に適合するように編纂した教科書を使用することを主張しております。大體日本の文部省が作つておる教科書というものは、本當に今日日本の達成すべき民主主義を徹底さしておるか。常にその内容について問題が起きて來ております。實際にこれこそ國内におる他の民族に對して誇るに足る教科書であるとして出すには、可なり不純なものを澤山含んでおる。民主主義の建前からいうと、不純なものが澤山ある。これでありますから、朝鮮人の中からこういう主張が出て來ております。ずつとこれに盛られてある思想から見ると、民主主義を完成するという建前をとつております。  第三には、學校の經營管理は、學校單位に組織された學校管理組合で行う、こういうのであります。これは日本において六・三制の制度を布くといつても、碌な學校も作れん。豫算も碌に與えられておらん。學校の子供は教科書さえ碌に貰えない。校舎も碌な設備がなつておらん。こういう日本のだらしのないやり方に對して、こういう主張が出ておるものと考えなければならん。  日本語を正科として採用するということを第四に擧げております。日本語を全然排斥するというのじやない。日本語を正科として採用する。  以上の四つの項目が朝鮮人の教育に對する根本的の主張であります。我々はこれを冷靜に考えてやらなければならんと思う。ここに書いておる以上の四項目、これさえ認めて貰えば、文部省のいう學校教育法による私立學校の認可を受けるといつておるのである。これが今日朝鮮人の運動が起るに至つた主張であります。私らはこれを考えてどう思いますか。この主張は怪しからんと思いますか。私は政府當局に聽きたい。反省してもらいたい。それから委員諸君も、教育問題に關する人たちは、やつぱり眞劍に考えてやらなければならんことであると思うのであります。  話せばわかる。どれだけのことを、學校閉鎖をやる前に、朝鮮人の責任者と共に、文部當局なり地方當局が話し合つたか、それを一つお聽きしたいのであります。向うにこつちから話をしようと思つても、向うが受附けぬというならば、向うが悪い。どれだけ互いに歩み合いをやつてつたか。殊に日本政府當局は、この問題については、彼らが間違つたところはあるにしても、從來こつちも外國人を、朝鮮人、中國人というものを大分やつつけて來た。だから向うも反感を持ておる。これは當然のことである。そういう場合に、こつちが大きく出て、冷靜に出て、根氣強くこれらと話合つて行けば、必す話ができないことはなかろうと思うのであります。廣島、山口においては、問題が一應片付いて來ておる樣子であります。詳しいことは分りませんが、ああして兩者對立感情を以て向い合うというのでなしに、一應閉鎖せよと言つたが、向うはなかなか應じない。應じないから、又手を替えて互いに話し合おうというように、廣島、山口あたりで來ておるのじやないか。そんな騒ぎも、調査の上はつきりさせなければならんと思うのでありますが、大阪神戸の方はその反對を行つた。つまり規則ずくめでぺちやつとやつた。その疑いが濃厚なのであります。話せばわからんことはないと思うのであります。この四つの項目なんかというものは、何もそう規則違反だとかなんとか言わないで、話合で青筋を立てる程の問題じやなかろうと思う。それがこういうふうになつたことは甚だ遺憾である。神戸大阪において、この不詳事件が起る前にどんな苦心が拂われたか、努力がなされたか、閉鎖命令だ、これに從え、これだけでやつつけたのか。このあたりは十分納得行くようにしたいと思うのである。民衆運動というものは、それを悪く刺戟しなければこんなになるものじやない。
  28. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 細川君に伺いますが、大分續くのでありますか。
  29. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) もう一つ……。
  30. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) なるべく簡單に……。
  31. 細川嘉六

    委員外議員(細川嘉六君) 大阪神戸の問題は、地方當局と朝鮮人との間において片が附いたかに私は思うのである。それが再び蒸び返されて今日の騒ぎとなつて來ておる。それで連合軍側の干渉が起るようになつておるのであるが、この場合に、連合軍が神戸において、非常事態宣言を發するに至つたことについては、地方當局或いは政府との間に何かの話があつたのか、なかつたのか。私らは思うにこんな問題は日本國内の問題であつて解決される問題だと考えております。如何に教育、警察制度が今日できたてであるにしても、道理と努力を以てすればここまで行かない筈だ。それが今日は日本政府は自分等の責任を果していない。そうして連合國の介在までも求めるようになつた。これはお互が悪い。だからGHQが乘り出して來るには、政府當局、或いは地方當局が何かの申込みをしたか、その點を伺いたいのであります。  話は長いようでありますが、私はこれは重大な事件だと思います。今までこの委員會で述べられた政府當局委員の方の態度から、考え方からしましても、ただ先へ先へと持つて行く意圖が感じられてしようがない。この問題は重大な問題であるから、今日の文部省では片が附かないことになるのであつて、教育の問題は、國會が更に大仕掛けに、本當の教育を施すために何か施策をしなければならん、そこまできておるのじやないか、こういうふうに考えます、その他まだ問題が調べ中でありまするから、他の細かいことは質問しませんが、大體以上のことについてお伺いを申上げたいと思うわけであります。
  32. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 何か外に……。
  33. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今細川さんから共産黨の見方からいろいろ御意見があり、御批判がありました。文部省關係の問題は文部大臣と政府の方からお答えがあるでしようが、我々委員の發言の言葉尻を捉えていろいろお話があつたので、私に關係しておることについて辯明じやありませんが、一言申上げて置きたいと思うのであります。速記録を御覧下されば公平な第三者にはよく分ると思うのであります。  私がここで申したことが反省が足りない、敗戰國民として反省が足りないという御批判がありましたが、十分反省をしておるつもりでおるのであります。反省をしておるが、こういうような大事件が起つちやもう少し深く考えなければいかん、こういうことを言つたのであります。  それから朝鮮人の犯罪者が極く少數である、日本人つてやるじやないかと言われる、日本人つてやりますが、朝鮮人の、犯罪が餘りに多過ぎるということを言つたのであります。二十二年度の私の取つた統計、これは政府の表にできた統計だけであります。泣寝入りで訴えないのは澤山あります。先程も同僚議員から聞いたのでありますが、娘まで買おうというような人もある。村に行つて、お前の娘を嫁にくれというようなそういうことは表に出ておりませんが、金で買おうというようなのもある。五十七萬の在留朝鮮人の中で一萬五千人からの犯罪者を出しておるということは、これは少くはありません。非常に多い。  それから我々が軍隊を欲しがつておるというお言葉、ちつとも我々は軍隊を欲しがつておらない。我々は戰争を放棄したのだから軍隊はちつとも欲しがつておりません。併し國家である以上は、國家の秩序は立てなければならない。秩序が立たない大きな原因は、やはり朝鮮人の犯罪であります、騒擾關係である。只今の警察をもつとしつかりやつて貰いたいというのは、日本國民代表する一議員の本當の心からの聲であります。  それから朝鮮人が全部が悪人でない、そんなことは百も承知で、五十七萬の在留朝鮮人の中には善良な人が勿論非常に多いということを十分知つておる。そういう人は日本人と區別しないで、本當に相携えて共存共榮をしようじやないか、それはしなければならん、親善關係を増進しなければいかんと言つております。それから不良の朝鮮人だといつて不良の人は許しておけない不良の日本人同様に斷乎として取り締らなければいけないと言つておるのであります。そういうことをよく汲み分けて頂かなければならん。それから話せば分ると言はれますが、話すにも禮儀がある。こういうような群衆の、而も暴力を含んだ大きな力を以て脅迫しちやいけないのであつて、それはやはり正當な大衆運動の域を超えておると思う。大衆運動に對して、我々は決していけないものだとは考えておりません。大衆運動も必要である。正當な勞働運動はもとより彈壓なんかしてはいけないと私共は信じております。それで私の言つたことは、こういうようなえらい騒擾ができることを考えて見ると、計畫的に火をつけるものがあれば、非常事態宣言をしなければならんような騒擾が今後も起つて來る虞れがある、その實例が示されたのじやないか。だからそういう不祥事が起らないように、今後は注意しなければいかんじやないかということを言つてるのであります。
  34. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 特に委員外の議員の發言を許可したのですから、まあこのくらいにしておいて頂いて、今日はこれで閉會することにいたして如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) これをもつて散會いたします。    午後三時九分散會  出席者は左の通り。    委員長     吉川末次郎君    理事            中井 光次君            鈴木 直人君    委員            羽生 三七君            奧 主一郎君            大隅 憲二君            岡田喜久治君            青山 正一君            岡本 愛祐君            小野  哲君    委員外議員   細川 嘉六君   國務大臣    内閣總理大臣    外 務 大 臣 芦田  均君    文 部 大 臣 森戸 辰男君    國 務 大 臣 苫米地義三君   政府委員    國家消防廳長官 新井 茂司君    國家公安委員  辻  二郎君    國家地方警察本    部長官     斎藤  昇君   説明員    總理廳事務官    (地方自治課    長)      鈴木 俊一君