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1948-03-26 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年三月二十六日(金曜日) 午後二時一分
開會
————————————— 本日の會議に付した
事件
○
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
) ○
機構改革
後の
警視廳
の
運營
に關する 件 ○最近の
都内治安状況
に關する件 ○小
委員選定
の件 —————————————
吉川末次郎
1
○
委員長
(
吉川末次郎
君) これより
委員會
を
開會
いたします。
豫備審査
のための議案であります。
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。
政府委員
より
提案理由
の
説明
を聽くことにいたしたいと存じます。
有田喜一
2
○
政府委員
(
有田喜一
君)
只今
提案されました
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
理由
を御
説明
いたしたいと存じます。 先に
國家公務員
の身分に關する
基準法
として
國家公務員法
が制定されたのでありまするが、これと竝んで
地方公共團體
の
職員
に關する
制度
を確立いたしますことは、新憲法の明示する全體の
奉仕者
たる理念を具現し、
利方自治行政
の
民主的運營
を圖る上から申しまして、誠に喫緊の要務であると存ずるのであります。 昨年十二月
地方自治法
の一部
改正
が行われました際、同
法附則
第一條に一項が加えられまして「別に
普通地方公共團體
の
職員
に關して規定する
法律
は
昭和
二十三年四月一日までに、これを制定しなければならない」ということにされたのでありますのも、この趣旨に外ならないのでございます。
政府
といたしましては、爾
來地方公務員法
につきまして、鋭意
調査研究
を進めまして、その立案を急いで
參つたの
でございまするが、この
法案
は何分にも
地方公務員制度
の基本をなす極めて重要なものでありまするので、更に愼重考慮を要するものが少くないばかりでなく、
議會
において十分な御
審議
をお願いいたとなければ
ならい關係
もありますし、當初豫定いたしました本年四月一日までにこれを制定いたしますことは、到底不可能であると考えられましたので、現在までの準備の
状況
とも睨み合せまして、
法案
は本年の五月一日までに
國會
に提出しなければならないと思うことといたしまして、
法案授出期限
に若干の餘裕を残すことといたしまして、
國會
の
審議期間
を拘束するようなことのないようにいたしたいと存ずるのであります。 これが
提案理由
の概略でございますが、何卒よろしく御
審議
の程をお願いいたします。
吉川末次郎
3
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
の
政府委員
の
説明
に對しまして、御
質疑
がありましたら御
開陳
を願いたいと存じます。
中井光次
4
○
中井光次
君
具體的
にはどの程度にお進みにな
つて
おるのですか、お差支えなければ……。
鈴木俊一
5
○
説明員
(
鈴木俊一
君)
地方公務員法
につきましては、我々
事務當局
の方では、いろいろと内部的の案を
作つて研究
をいたしておるのでございますが、まだ
關係方面
との間に相當折衝を要するものが澤山ございまして、到底今
法律
に規定されておりまするような時期までに、目鼻をつけることが困難な
状況
にございます。又内容につきまして、今ここで
具體的
に申上げるような確定いたしたものは持
つて
おらないような
状況
でございます。
吉川末次郎
6
○
委員長
(
吉川末次郎
君) 他に御質問ありませんか。他に御質問がなければ、本
日本法案
に對する
豫備審査
はこれで打切りといたしまして、次會に本審査をいたすように取運びたいと存じます。 それではその次には、昨日お話合いを願いました、
警視總監
から
警察制度
の
改正
に伴うところの
機関改革
後の
警視廳
の
運營
に關する
説明
を聽きました後で、更に最近の
治案
の
状況
、なかんずく
世間
で非常に問題にな
つて
おります
帝銀事件
の、
當局
の
右事件
に關するところの、今日まで取られたいろんな
捜査究明
の經緯というようなものについての
説明
を聽取することにいたしたいと存じます。
警視總監
。
田中榮一
7
○
説明員
(
田中榮一
君) 私
只今
御紹介に預りました
警視總監
の
田中
であります。よろしくお願いたします。
機構改革
後におきまする
警視廳
の
運營状況
について若干御
説明
申上げます。 元の
制度
の
警視廳
におきましては、
警察法施行
に先立ちまして、
昭和
二十二年十二月二十六日及び
昭和
二十三年二月十日の二囘に亙りまして
機構改革
を實施いたしました。三
多摩
三市十八町一ヶ村に
自治體警察
二十二署を、三
多摩
四十二村及び
島嶼管轄
として
國家地方警察
十一署、一支所を設置分配いたしまして、
東京
都
特別區警沖
を
警視廳本部
と六十七署とにいたしまして、新
警察法
による
全面的運営訓練
を開始いたしました。去め三月七日
警察法
の
施行
によりまして、各
實共
に
自治體警察
の現
警視廳
に移行したのでございます。從いまして
東京都下
におきまして、元の二十三區の
自治體警察
と、三市十八
ヶ町村
の
自治體警察
、それからその間を縫いまして、三
多摩
及び
島嶼
のいわゆる
國家地方警察
の四十二村を含めた
國家地方警察
、この三つのものがここにできたのであります。 そこで
公安委員
は、
機構改革
と同時に、二月十日に
小畑惟精
、
島田孝一
、
櫻田武
の御三方が
東京都知事
から選任されまして、
昭和
二十三年三月七日に開いて六囘の
公安委員會
におきまして、
警視廳設置等
に関する
條例案
を初めとして、
條例規則案等
計四件の
審議
を可決をしたしまして、
警察法施行
後におきましては、毎週一囘の
定例公安委員會
を開催いたしまして、又必要に應じましては、その都度
公安委員會
を開催いたしまして、
警視廳
における
警察運營
の
根本方針
、
條例規則案
、告示、
公安委員會規定
、豫算その他
警察管理
上の
重要事案
につきまして、議決又は指示を受けておるような次第であります。
警察運營
につきましては、
民衆警察
の樹立をその
根本方針
といたしておりまして、管下の部下の陶冶、指導につとめると共に、
啓蒙宣傳
を行な
つて
、
都民
の支持、
協力
を求めておりますが、新
制度發足早
々のためでありまして、未だ顯著な
具體的
に成果は認められておりません。他面今次の
警察制度改革
に伴
つて
憂慮されました
警察
の弱體化、
ボス化
という現象も
目下
のところは認められないのであります。ただ
世上自治體警察
又は
國家地方警察
と
機構
が分離いたしますために、いろいろ
警察事務
の執行の上において非常に複雜化し、
竝びに支障
があるのではないかというような懸念も、
實施前
には相當あ
つたの
でありますが、
只今
のところでは、本廳におきまして
國家地方警察
、
警視廳
というものが緊密なる
連絡
を遂げまして、今のところ何ら
支障
は來しておらん
状況
であります。
警察官
の
緊急増員
につきましては、
募集
割當分が約一萬三百名、一萬二百九十名でございまして、すでに
採用試驗合格者
が一萬一千名になんなんとしております。教習中の減耗を見込み、引續き現在
募集
中であります。尚
試驗合格者
中、現在までに
警察學校
に入校せしめた者が五千七百七十名、すでに今月二囘に亙りまして
卒業
をいたしまして、すでに
卒業配置
を完了した者が二千八百八十名であります。今次
緊急増員
は極めて大量、而も
充足期間
が限定されておるので、
採用者
の
素質低下傾向
と、
短期大量訓練
に伴う
教養
の不足が極めて憂慮されますので、
卒業配置
後において、
現地
における
教養
を十分に努力いたしまして
素質
の
向上
に努めたいと考えております。 次は
警察官
の住宅問題でございます。この點は
只今
非常に惱んでおります。現在生活不安定の者が約三千六百五十名を算しておるような次第であります。又今次の
緊急増員
に遭遇しましたので、
本部
の
幹部
を初め
現地
中署長擧げて
新任者
の
收容施設
の
獲得
に奔走中でございますが、
目下
のところ全く成算がございません。すでに
卒業
した一部の
新任者
につきましては、
警視廳建物
内に居住せしめる等、
幸うじ
て急場を凌いでおるような状態であります。一署に五六十名の者を大量配置します
關係
上、その宿舎というものが極めて
獲得
に困難な
實情
であります。從いまして折角燃えるような
希望
を持
つて
、九州、四國を初めてしまして、全國から
募集
に應じましたら新らしい
警察官
が轉々としてその居所を
轉ずる
、生活の不安定があるというような
關係
からしまして、いわわる幻滅の悲哀を感じておるというような
状況
でございます。その點につきましては私共も極めて憂慮いたしておりまして、いろいろと工夫をいたしておる次第であります。 今年六月末
緊急増員完了
後におきまする、いわゆる
自治體警察
としての
警視廳
の
警察吏員
の
總數
は、
警視長
一名、副
警視長
五名、
警視
百三十一名、警部百九十七名、警部補千五百四名、
巡査部長
二千六百三十名、
巡査
二萬七十名、合計二萬四千六百三十八名、相
當大部隊
がこの道都の
治安
に當ることになるのであります。
自治體警察發足當
時の人員が一萬六千七百五十四名でございますから、約四七%の
増員
ということになるのであります。よ
つて
これの大半を第一線各
警察署
への
要員配置
と、
終戰後
の
人口移動等
に伴
つて
發生した
警備繁劇地
の
警察署新設
という
要員
に當てまして、その一部を
首都治安確保
の裏付けとしまして、
集團警備力
を保有する
首都防備隊
の構想を以て
目下
配置策定
上でございます。 次に最近の
都内
の
治安状況
につきまして、若干御
説明
申上げたいと思います。
終戰後急激
に増加いたしました
兇悪犯罪
は、
昭和
二十一年上半期を
頂點
といたしまして、一時減少の
傾向
を示して參りましたが、昨年末より本年初頭に掛けまして再び増加しつつあります。本年一月以降三月二日までに發生した
重要事件
は、
殺人事件
十件、
強盗
二百八十七件、昨年の同期に比較しますと、
殺人
で二件、
強盗
で百三十三件の増加とな
つて
おります。檢擧率は
目下
のところ七割前後に相成
つて
おります。 特に
捜査
中の
重要案件
を捨い上げて若干申上げますと、
淀橋署管内
において
巡査
の
殺人事件
がございます。これは昨年十二月二日午後十一時五十五分頃、
淀橋
の西大久保三丁目の
巡査派出所
において、同
派出所勤務
の
巡査佐藤三雄
(二十歳)、若い
巡査
でありますが、
何者
かに
左側面
から拳銃で狙撃を受けまして即死いたしております。
只今同署
に
捜査本部
を設置して、
目下
鋭意
容疑者
を
取調
中であります。 次に
大森署管内
に發生した
事件
であります。今年一月八日午前十一時、
大田區新井宿地先
におきまして、
燒跡空土藏
内におきまして、
品川區平塚
六丁目千百六十九、
煙草屋
さんの
青木半次郎
という五十七のお爺さんが、
何者
かに鈍器のようなもので後頭部を毆打されまして、殺害の上、
所持金
十五
萬圓
、
小切手竝びに現金
を強奪された
事件
がございまして、これは
目下大森署
に
捜査本部
を設置いたしまして、鋭意
捜査
中でございます。 それから
愛宕署管内
の喫茶内の主人が締殺された
事件
で、本年二月十八日午前八時四十分頃發生いたしました。これは
港區新橋
二の二、
木村屋ベーカリー
の店舗内におきまして、
店主榊原三郎
(三十三歳)が、
何者
かに手拭で締殺されてお
つたの
を發見いたしました。
目下愛宕署
におきまして
捜査本部
を設置して鋭意
捜査
中であります。 次に
王子署管内
に起つた
事件
で、これは最近
新聞
で御
承知
の
通り
と思います。本年三月十一日午後十一時過ぎ頃、
北區王子
千九番地、鮮人三好松吉(三十歳)が、同町の路上で
何者
かに鋭利な刃物で
額部
、顔面を切られて死亡しておるのを發見いたしました。これも
王子署
に
捜査本部
を設けて
捜査
中でございます。 次に
最後
に大きな問題としまして、
都民
に非常に大きな話題を揚げております、
目白署管内
に發生いたしました
帝銀行事件
につきまして少し御
説明
申上げたいと思います。
帝銀毒殺人事件
につきましては、すでに
報道機關
を通じまして皆
樣御承知
と思います。この
事件
が
白晝銀行
の閉店時を狙いまして、
殘務整理
中の
銀行員
に對しまして、
進駐軍
の
命令
による
防疫
であると僞りまして、豫防樂と稱する
青酸性
の溶液を極めて巧妙な方法によりまして、
行員
十六人に飲ませまして、十二名はその場に毒殺し、殘りの四名を人事不省に陷れ、
現金
十四萬六千餘圓と
小切手
一枚を強奪した
事件
であります。
犯罪
史上稀に見る
兇悪犯罪
でありまして、誠に
天人共
に許さざる
極悪犯人
でございまして、
警視廳
といたしましては、面目に掛けても
犯人
を擧げなければならんという
決意
を全廳員が持ちまして、
只今全力
を盡して
捜査
中でございます。
捜査
の現
段階
を
簡單
に申上げますると。
目下捜査
は、基礎的の
材料集め
や、その
取捨撰擇
の
段階
を一應終りまして、これからいよいよ實際に料理に掛かろうというところでありまして、氣短かな
世間
がいろいろと噂されておりますように、決して
捜査
が行詰
つて
おる、或いは迷宮に入
つて
おるというわけでは全然ないのであります。この點につきましては、一兩日前に
鈴木法務廳總裁
から、極めて
確信
あることを御
發表
にな
つて
おるのであります。 正にその
通り
でございまして、御了解を頂くためにこの概要を掻摘まんで申上げますると、この
事件
は先ず
材料
に非常に惠まれておる點が、これが非常に我々としましては有利な點であります。と申しますわけは、
帝銀
には御
承知
の
通り
四人の
生存者
がございます。而も他にもこの
犯人
がやつたと斷定する二つの
銀行
の
未遂事件
を發見いたしまして、これらの
關係者
四十名餘りの人が、當時の
犯人
の言動や
人相
、服装、
携帯品等
につきまして、非常に豐富なる
材料
を提供して呉れております。又
犯人
が
使用
した
名刺
を、
犯人
の
眞筆
と思われる
筆蹟等
さへ完全に入手いたしておるのであります。併しながらこれらの
材料
は、
名刺
を
筆蹟
のように、
係員
を直接
觀察
し得るものもありますが、多くは
關係者
の
記憶
を辿
つて
の
觀察
、言い換えて申しますれば、
ガラス越し
の
觀察
をしておるのでありますので、そこに
關係者
各個人、
觀察
力、
記憶力等
の問題が問題になるわけであります。
事實
の
眞相
を掴むのに、可なりの時と努力を必要としたのであります。
事件發生以來
、
係員
はあらゆる角度からこれらの
材料
を檢討いたしまして、その結果を
事實
について試し、或いはこれに基いて他の隱れた
材料
を探し出し、同樣檢討を加える等、
苦心
に
苦心
を重ねて今日に及んでおります。いささか
事實
の
眞相
を掴み得たかのごとき
確信
を得ておるのでございます。か第二にこの
事件
は、
當初犯人
の
人相
や手口が、
報道機關
により盛んに傳えられましたので、
大衆
の
關心
を著しく高め、
犯人
に對する
情報
を、
捜査
上の
意見
が夥しい數に
上つて
おるのであります。現に私の机上にも毎日數通の、各
府縣
から、遠くは
青森縣
、或いはこの
都内
の方々から、
犯人
と
覺しき者
が
附近
の
立廻つた
、直ちに逮捕して貰いたいというような
情報
が盛んに參
つて
おります。又非常に御熱心な方は、わざわざ私の方に來まして、
只今
そこに共犯らしい者がおるから直ぐ逮捕して貰いたいというようなことも
言つて來
る方もございまするが、さて實際これを本人について調べて見ますると、それが極めてボケてしまいまして、果してこれが
犯人
であるかどうか分らんというような
状況
でございます。これら
大衆
の
協力
につきましては深甚の感謝を表し、その熱意に副うべく、徹底した
捜査
を行な
つたの
でありますが、半面それがため多くの時と力を割かなければならないというようなことが起
つて
來るのであります。併しながら
捜査
の
材料
が
潤澤
であるということは、手掛りが澤山あるということでありまして、
大衆
の
協力
が盛んであることは、
同様捜査
上極めて望ましいことでありますので、
目下
これら
材料
を檢討の上、抽出した或る筋に對して、可なりの幅と深さを持つた
捜査
を強行しておるのであります。その二、三を申上げれば次の
通り
であります。
犯人
は昨年十月十四日、荏原の
安田銀行支店
に行き、
帝銀
同様のことを
言つて
、
行員
二十名餘りにいかがわしい藥液を飲ました
事實
があります。幸いこの藥は效かず、二名の
犠牲者
も出さなか
つたの
でありますが、そのとき
犯人
は
支店長
に、
自分
はこういう者だと
言つて
、
厚生技官
、
醫學博士
、
松井蔚
という
名刺
を交付したのであります。
松井
という
博士
は、調べて見ますと、これは現實に實在されておるお醫者さんであります。而も
犯人
が
使用
した
名刺
も、
松井博士
の
眞正
の
名刺
であります。
松井博士
が
實際使つて
あつた
名刺
であることが、
科學試験
の結果立證されたのであります。そこでこの
名刺
につき徹低的に穿撃が行われた結果、百枚印刷しまして、大部分を
使つた點
、及びその
使用先等
が分り、
苦心
を重ねて現在これを六十六枚發見しております。
從つて犯人
は殘りの三十四枚中の一枚を、何らかの
機會
にこれを同
博士
から入手いたしまして、これを
使用
したことになるのであります。この線の
堀下げ
は極めて重要視されておるのであります。この問題につきましては、すでに
新聞紙上
にいろいろと
報道
されておりますので、
皆様
御
承知
と思います。
犯人
は右の
安田銀行
の外に、本年一月十九日、
新宿區
の下落合の
三菱銀行中井支店
に參りまして、前同様のことを言つたが、たまたま來客があり、又その
支店長
がなかなかしつかりしてお
つた支店長
であ
つたの
で、藥を飲まないうちに
適當
にこれを退散させて
しまつたの
であります。この
三菱銀行
及び
安田銀行
、
帝銀
の三ヶ所で申しました
犯人
の
言葉
というものは、これが重要なヒントを與えるのでありますが、その
言葉
の中に、
自分
は
水害地
の
防疫
に活躍した來た者である。この
銀行
の
附近
の
内外
に
集團疫痢
が發生し、
GHQ
の
マーカー
、又は
ホーネツト中尉
の
命令
で
消毒
に來たから、現送するものがあ
つて
も暫く待つように、こういうことを
言つたの
であります。それでこの
銀行
の
附近
の
内外
と
言つたの
は、これは現に私の友人の
相田
という方で、これは始終私のところに參りますが、
相田
君が現實に
發疹チブス
になりまして、現實に
相田小太郎
君が、これは
新聞
にも名前が出ておりますが、この
相田
君が
發疹チブス
にな
つて
入院したことは、これは
事實
であります。これを
犯人
が先ず第一に使つたわけであります。それから、
只今
申しました
GHQ
の
マーカー
又は
ホーネツト中尉
の
命令
であるということによ
つて消毒
に來たから、現送するものがあ
つて
も暫く待つように、こう
言つたの
でありますが、調べて見ると、
進駐軍
の
防疫擔當官
の中に似寄りのパーカー及びコーネツトという
中尉
の
防疫官
が
いた事實
がありまして、偶然の符合とは斷じ切れないのであります。又先程申しました現送ということは、
銀行
で
現金
を本店に送る、これは
銀行員
の熟語でありまして、これは一般人にはちよつと分らない
言葉
であります。それ故に一應
犯人
は曾て
銀行
、又は
進駐軍
の
防疫關係
の
前歴者
ではないかとの見込で、徹底的な
捜査
をや
つて
おるような次第であります。又
犯人
は、
銀行員
に藥を飲ませる際に、
自分
が先ず先に飲んでその要領を教え、相手に
安心感
を與えております。その際の藥や
器具
の扱い方、或いは
説明振り
や
所持
の
器具
、
容器等
が、如何にも物なれた調子でありまして、その
前歴
を物語るものがかようなことをなし得るかにつき、深い掘り
下げ
を行い、突つ込んだ
捜査
を
實施中
なのでございます。 現在までに
取調
べた
容疑者
の数は二千百六十八名に達しております。併し拘禁、これは餘罪がありますので合せて拘禁したのでありますが、それが一名でございます。
大衆
から寄せられました
容疑者
に對する
投書密告
は、今まで千三十八件、
激勵
や
意見開陳
は約五百数件であります。これは
毎日相當数
に
上つて
、ますます増加する
傾向
にございます。昨今はやや下火にな
つた感
はありますが、それでも
大衆
の
協力
は毎日五十件を下りません。
捜査當初
は
目白警察署
に
捜査本部
を置きまして、
刑事部長
直接指揮の下に課長、係長、
主任等
、約百六十名を動員勤務いたさせました。
只今
は
基磯捜査班
、
捜査資料蒐集班
、
容疑者取調班
、
遊撃別動班等
の編成をいたしまして、各班が緊密なる
連絡
の下に、人の和を第一といたしまして、水も洩らさぬ
捜査陣營
を形成したのであります。又
係員
の
士氣昂揚
と
能率向上
のために、自動車十五臺の
使用
と、
幹部
の
現地激勵
を實施いたしました。更に
捜査
を大きく且つ洩れなくするために、各
府縣間
、
廳内各部課
及び
各省竝びに一般大衆
に對する呼び掛けを極めて積極的に行な
つたの
であります。そのため
連絡
上の必要から、二月十二日に
捜査本部
を
警視廳
に移しまして、
目白署
はこれを支部といたしたのであります。二月二十六日、
捜査
三十一日目、
捜査線
もやや落ちつきを見たので、本件以外の
一般治安
の面も考慮いたしまして、
應援
に從事して參りました一部の
係員
を切離して、
出動員
を前申しました百六十名から七十名に引
下げ
まして、現在まで
捜査
を繼續いたしておるような次第であります。
係員
の
士氣
は、
事件發生當初
と異るところなく頗る軒昂でありまして、氣が張
つて
おります故か、
病氣
に罹
つた者
もありませんし、又一人もその間缺勤した者もございませんで、毎日出勤いたしまして、或いは夜遅くまで、或いは徹夜しまして
捜査
に從事いたしております。初めは
報道機關
の活動が極めて猛烈であつたために、ときに思わぬ障害を起り、
精神的勞苦
があ
つたの
でありますが、今はそれもなくなりまして、極めて地道な
捜査
を進めております。
最後
に
結論
を申上げますると、
帝銀事件
は漸く峠を登り詰めて、これから先ず下り坂に掛かろうとしておるところであります。これは修飾ではなく、
合理的判断
から生れた
結論
なのであります。
從つて係員
は空虚な世評には耳を籍さず、ひたすら
犯人
に一歩々々近付きつつあるとの
希望
と
確信
を以て、
捜査
を強行いたしておるような次第であります。 以上は
帝銀事件
に關することを申上げたのでございますが、私共といたしましては、たとえ草の根を分けても、石を堀返してもこの
犯人
だけは
絶對
に捕えなくてはならんという固い信念を持ちまして、若干多少の
犠牲
は拂いましても又如何なる巨額な經費が掛かりましても、これだけは
一つ絶對
に逮捕せねばならんという
決意
を固めて、今進めておる次第であります。 そこでこれにつきまして、先般
GHQ
からも非常に深い
關心
を持
つて
頂きまして、又
GHQ側
からもできるだけの
應援
はしてやろうというようなお話がございまして、いろいろ相談をいたしました結果、この
帝銀事件
に關する
新聞
の
報道
でございまするが、これにつきましては
只今
非常に微妙な點もございまするし、今後の
犯罪
の
捜査
上につきまして、ややもすれば或いは又
捜査
上に
支障
を來す虞れのある場合もございますので、この點につきましては、
GHQ側
からも
各社
の方にいろいろと御注意がございまして、現在
警視廳
の
刑事部長
と
各社
の
社會部長
の間に
覺書
を交換いたしまして、今日まで以上の
記事
の
發表
は
差控え
或いは又若し
事件
が進展した場合におきましては、或いは
犯人檢擧
のような曉におきましては、一齊に同様な立場においてこれを
發表
する、それまではお互いに
帝銀事件
に關する新らしい
記事
につきましては十分に自粛しようというような、
各社
と
刑事部長
との
覺書
が交換されました。今日では
皆様
御
承知
のように、
帝銀事件
に關する限りは、相
當新聞記事
の
報道
につきましては、
各社
非常に愼重なる態度を以て書いて頂きまして、現在
犯人捜査
上の別の意味においての御
協力
を願
つて
おるような次第でございます。 以上甚だ
簡單
でございまするが、
機構改革
後の
状況
、それから現在の
治安状況
の大要につきまして御
説明
申上げました。
吉川末次郎
8
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
の
田中警察總監
の
説明
に對しまして、御
質疑
のある方はお述べを願いたいと思います。ありませんか……。別に御
質疑
もないようでございますから、それでは次の議事に入りたいと思います。 次は、
先般來本委員會
において
審議
、
調査
を進めておりまする、いわゆる
出先機關
の廃止、
整理
の問題に關しまして、
行政調査部
の
前田總務部長
から、以前
局部長
から
説明
がありました本問題に關するその以後の、その筋との交渉の
状況
であるとか、或いは
衆議院
が
新聞紙上
に
發表
しました
衆議院委員會
の
案等
の問題につきましての
説明
を聽取したいと思います。
行政調査部前田總分部長
。
前田克巳
9
○
政府委員
(
前田克巳
君)
只今お尋ね
のありました
出先機關
の
整理
の問題につきましては、新
内閣
が成立いたしましてからも、同樣の
方針
によりまして、
地方自治
の本旨に副うような調整をいたしたいということで苦慮いたしておるのであります。遺憾ながら昨秋
以來關係當局間
の打合せが十分な進捗を見せておりません。未だ
具體的
の解決を見るに至
つて
おらんことは甚だ遺憾に存ずる次第でございます。尚
衆議院側
におきましては、本年のたしか一月と思いまするが、小
委員
を設けて案を
お作り
になり、これを
關係方面
に御提示になるということで、やはりその
當時從來
の經過等を御
説明
し、必要なる
資料
を差出しました。その後小
委員會
には
政府側
からも参加をいたしておりませんし、又
お作り
になりました案につきましても御
連絡
を受けておりません。私からは御報告申上げる用意がありません次第でございます。
吉川末次郎
10
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
只今
の前田部長の
説明
に對しまして御
質疑
がありましたら御
開陳
を願いたいと思います。御質問ありませんか。
中井光次
11
○
中井光次
君 まだ
衆議院
の方も、あなたの方も、この前一遍お話を伺いました以後、
具體的
に
GHQ
なら
GHQ
に打合しておられるその點で、どれがどうな
つて
いるかということを
具體的
に伺われないですか。その後の變化ですね。
前田克巳
12
○
政府委員
(
前田克巳
君) 司令部に案を提出することにいたしましてから、その内容につきましていろいろ質問がありました。私の方だけでなく、
出先機關
を持
つて
おりまする省の人なんかも、たびたび司令部側に赴きまして
説明
をいたしたのであります。併しながらこれらにつきましての、
具體的
にどれをどうしたらよかろう、そういうことにつきましての
意見
の
開陳
には未だ接しておりません。
吉川末次郎
13
○
委員長
(
吉川末次郎
君) よろしうございますか。この問題につきましては
GHQ
に對して、我々の方からも答申をしなくちやならんことにな
つて
おります。どのような形でこの
審議
を進めて行くかということにつきまして、何か御
意見
があつたら承りたいと思うのでありますが、大体におきまして我々の方では小
委員會
のようなものを設けまして、特にこの問題について地方へ御出張を願
つて
御
調査
を願いましたような方々、又
東京
都内
における出先機関の
調査
等も全員で、先にもいたしましたようなこともあるのでありますが、そういうことも睨み合せまして、尚特に進んで小
委員會
に参加して、この問題の
審議
に當りたいというような御
希望
の方がありましたら、一つ申出を願いまして、それらの方々を以て小
委員會
を設置して、急速に本
委員會
としての成案を得るような方向へ進めて行つたらどうかと思
つて
おるのでありますが、尚上原專門
調査
員の手許等におきましても、この問題につきましてはいろいろ
調査
を進めておるような次第でありますから、相
協力
してそういうような形で一つやつたらどうかと思
つて
おりますが、如何でございますか。 〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
吉川末次郎
14
○
委員長
(
吉川末次郎
君) それでは御異議がなければ、小
委員會
を設置いたしまして、
審議
を進めることにいたしたいと存じますが、小
委員
の方々を、どうして選ぶことにいたしましようか。
羽生三七
15
○羽生三七君
委員長
と理事とで御選任願います。
吉川末次郎
16
○
委員長
(
吉川末次郎
君)
委員長
及び理事で選任して呉れという羽生
委員
からの御申出がありましたが、そのように取運びましてよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川末次郎
17
○
委員長
(
吉川末次郎
君) 御異議がないものと認めます。ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕
吉川末次郎
18
○
委員
委(
吉川末次郎
君) 速記を始めて。それでは前に御提案がありました
通り
小
委員會
を設置することにつきましては、昨日來實は、多少他の方々とも御相談申上げまして、手許にできておる案がございますので、小
委員
の方を指名いたしたいと思います。 中井 光次君 鈴木 直人君 岡本 愛祐君 小野 哲君 羽生 三七君 岡田喜久治君 青山 正一君 村尾 重雄君 柏木 庫治君 黒川 武雄君 大隅 憲二君 阿竹齋次郎君 以上十二名でございます。
適當
に
委員長
、副
委員長
等を選んでや
つて
頂くことにな
つて
おります。
阿竹齋次郎
19
○阿竹齋次郎君 吉川さんが入
つて
頂いた方がいいと思います。この
委員會
の
委員長
ですから……。
吉川末次郎
20
○
委員長
(
吉川末次郎
君) それでは私も入れて頂くことにいたしまして、十三名を以て小
委員會
を組織して、早々
審議
を進めて頂くということに定めましてよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川末次郎
21
○
委員長
(
吉川末次郎
君) それでは、御異議がなければさよう取計らうことにいたします。尚專門
調査
員の方から、
委員會
の
開會
の豫定表というのをお手許へ配付いたしましたが、本日
委員長
會議等における話の樣子からいたしますると、ともかくも本月中で來月早々から休會したいような話でありましたが、多少遲れるかも知れないというような話で豫定は成るべく本月中に仕上げてしまう、一定の現在提出されておるところの
法案
の
審議
は今月中に仕上げてしまう。そうして來月早々から三週間ばかり休會に入ることができるように
審議
を進めて呉れというような話でありましたのですが、二三日ぐらい遲れるかも知れないというような豫想でございましたので、この上原專門
調査
員の方で作成いたしました豫定表は五日にな
つて
おりますが、これを繰上げて、できるだけ早く休会に入る前に、これだけのことを議するように取運ぶ必要があると思いますが、大體の案件等はここにありますようなものです。尚本日
審議
いたしました
地方自治法
の一部
改正
案は、この表の中に揚げておりませんが、これは大體來週の月曜日ぐらいに
衆議院
から囘付されるでありましようから、これを議了する必要があるだろうと思
つて
おります。尚輕
犯罪
法の
法案
の
説明
の聽取を昨日の
委員會
においてすることにな
つて
おりますが、これは明日するように取運びたいと思
つて
おります。尚この表を中心といたしまして御
意見
がありましたら、この
機會
にお漏し置きを願いたいと思います。
中井光次
22
○
中井光次
君 明日は午前中お願いできますか。
吉川末次郎
23
○
委員長
(
吉川末次郎
君) 午前中
開會
いたすようにいたします。別に御
意見
がなければ、本日はこれを以て散會することにいたします。 午後二時五十四分散會 出席者は左の
通り
。
委員長
吉川末次郎
君 理事 中井 光次君 鈴木 直人君
委員
羽生 三七君 岡田喜久治君 鬼丸 義齊君 青山 正一君 岡本 愛祐君 小野 哲君 阿竹齋次郎君
政府委員
内閣
官房次長 有田 喜一君 總理廳事務官 (
行政調査部
總 務部長) 前田 克巳君
説明員
總理廳事務官 (自治課長) 鈴木 俊一君 警 視 總 監
田中
榮一君