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政府委員(
荻田保君) 先般
地方財政委員會が成立いたしまして以來行われておりますることにつきましては、刻々こちらで御
報告申上げてお
つたのでございますが、御
承知のように
地方財政委員會法によりますれば、三月六日が
期限に
なつております。その時までに
地方財政の根本的な
改革案を立法化して、これを
議會に提出しなければならないという義務を持
つてお
つたわけであります。ところが、御
承知のように内閣の更迭がございまして、
政府案として最後的なものが
纒まりませんのにその
期限が來ましたので、止むを得ず三月四月でございましたか、
地方財政委員會としまして考えておりまする
要綱を作りまして、これを本
委員會に御配付申上げ、そうして何故
法律案の提出ができないかということを申上げて御
了解を得ておる次第でありますが、そのとき時間もございませんでしたので、そのとき出しました
要綱につきまして、別に御
説明をいたさなか
つたのであります。大體その
要綱はそれまでに刻々申上げておりましたようなことを
纒めましたので、特に
變つた、その以後において大筋におきましては
變つた點はございません。初めから大
體申上げてお
つた點を體裁を整えた
程度なのでございます。或いはその内容を又申上げますると、重複することになるかと思いますが、若し御
質問がございましたら又お答えすることといたしまして、一應その間に對しまする折衝の經過というようなものを大凡申上げた方がいいのではないかと考えるのでございます。その案にございます
一つの狙いでありまする
地方財政の
健全化、
地方財政の
自主化ということにつきましては、これは
各省も、勿論
連合軍當局も
賛成なのでありますが、その方法につきまして、
政府の内部におきましても
纒まりませんところがございますし、尚
連合軍關係におきましても、必ずしもこれを
了解しておらんのじやないかと思います。それでそういう點につきまして率直にここに申上げまして、
皆様方の御參考に供すると共に、御
意見を拜聽いたしたいと思います。
先ず國内におきまして、はつきりした
各省の
了解を得られない點でございますが、この
一つには新らしい
警察制度の
實施をいたしますにつきまして、將來の經常費的なもの、これは
自治警察になりました以上、
自治體が
全額持つ、その代りそれに相應する
財源を與えるということにつきましては異論はないのでありますが、一番初めに
警察を作りますときのいわゆる初度的な
經費というものにつきましては、これはこの
自治體警察を作ります
市町村の
状況によりまして非常に
状況が違うのであります。と申しますのは、從前持
つておりました
政縣の
警察の
施設をそのまま
市町村にやるとか……勿論
國家警察が先取りまして、要らないものは
市町村にやる、こういうふうに
警察制度は
なつております。從いましてそれを澤山貰いました、十分貰いました所は何も新らしい
警察制度を
實施するのについて
費用は要らないわけでありますけれども、たまたまそういう
施設のない所は新らしく廳舍を作るとか、
通信施設を作るとか、相當の
經費が掛かる。これをどうするかという問題でございます。
財政委員會といたしましては、そのような
關係もありますので、又問題がいきなり國から命ぜられてこれを作るのでありまするから、これは
全額國費で以て負擔すべきである。こういう案を立てておりまするが、
大藏省方面におきましては、
全額ということに餘り同意がなく、せいぜい
半額程度というふうなことを言うようなわけでございます。
それから次に
災害につきまして、
地方災害復舊基金というようなものを作るという構想をこちらは持
つております。これに對しまして、
建設院とか、案定本部の
建設局、そういう所は必ずしも
賛成どころじやなく、むしろ積極的にこういうものがあ
つた方がいいということは考えておりますが、やはりこれも
大藏省がこのような
資金を今出すことは
財政上困るというようなことで反對をしておるのであります。
次に税の問題におきまして、こちらでは案としましては、現在ありまする
地方税につきまして、できるものは
増税をする。尚
國税も
地方税も未開拓な分野に對しまして更に
地方税を起す、こういうことは一應考えておるのではございますが、併しながら御
承知のように、
國税、
地方税を通じまして
國民負擔は非常に重くて、これ以上新らしい
増税をするという
餘地は殆んどないのでありますから、我々の考えました
程度でも、
國民の負擔の點から考えますると、必ずしもそれで
十分國民が負擔できるのだとは考えられませんけれども、遺憾ながらこのような
財政状態でありますので、非常に重い、過重な負擔になるかとは思いまするが、一應
國民にこれだけの負擔を忍んで貰うという
最大限度のぎりぎりの
増税、或いは新税というものを探したのであります。そういう問題につきましては大體
各省も
了解しております。例えば、鑛産税とか、或いは
木材の引取税とか、
電氣、
ガス税、こういう問題につきましては……或いは
地租、
家屋税の
引上げというような問題につきましては、これは相當物價に響きますので、
物價水準との
關係もありますので、この
點物價廳の
方面とも打合せて、大體妥協する點も見えたのであります。又そういうようなことをしました上、どうしても足りないところは國に縋るより仕方がないのであります。つまり從前の
財政、
税制の
制度は、何といたしましても
中央集權的でありまして、税について申上げれば有力な
税種、
彈力性のある
税種というものは國に集中しておるのでありますから、
地方財政を自主的な強力なものにするには、どうしても今國で持
つておる
税種を或る
程度貰わなければ、到底これはこの根本的な改善はできないと思います。それで我我といたしましては、
一つには
入場税を
全額地方に
委讓する。もう
一つは酒、
煙草に對しまする
消費税を
課税するということを考えております。
入場税は、これは御
承知のように
從前地方税でありましたのが、戰爭になりましてから國の
財政の必要のために、いわば
地方から取上げられたような形に
なつておりまするので、戰後これを返して貰うということは
當然である。又
税種から見ましても、
地方的な税であると考えますので、これを
主張しておるのであります。それから酒、
煙草の
消費税の問題でありますが、これは何と申しましても現在の
國税、
地方税を通ずる
體系に對しまして、大きな
變更を加えることであります。
從來消費税というものは皆國に集中されてお
つたので、そういう
體系を取ることは、これは平常時においては、或いはいい
制度であるかも知れませんが、現在のように
状態にな
つて來ますと、直接税だけに頼
つております
地方税は、到底この
インフレに應じて十分な
財政收入を得るということができないのであります。どうしてもこれは
消費税にその一部を求めなければならないのであります。これは恰かも國が直接税と
消費税を持
つておるが故に、とにかく曲りなりにも
財政の辻褄が合
つて行くという
現状から見ても、
當然なことでありまして、國が直接税、
間接税がなければ
財政收入が合わないということが、
地方においては、直接税だけで
收入が合うということは、到底考えられんのであります。で、我々としましては、先ず酒と
煙草に對しまする
消費税を
課税する。大體これは現在の二十%ぐらい
課税するということを考えておるのであります。併しこれは新たに二十%賦課いたしますれば、それだけ酒なり
煙草の値段が騰りますから、それは
國民の負擔から考えて面白くないと見ますれば、それだけ
國税を減らして貰いたい。而して
地方税に讓るようなことにして貰いたい。こう要求しておるのでありまして、必ずしもこれを以ちまして、現在の酒、
煙草を二十%
價格を
引上げるということは意味していないと思います。で、この兩税の
委讓につきましては、
大藏省はやはり反對でありまして、國の
財政或いは
國税ということを主眼に置きます以上は、これは止むを得ないと思いますが、これを讓
つてくれようとはしないのであります。
それから次に大きな問題としまして、
地方團體中央金庫の問題であります。現在
地方團體が金を借りること、即ち
地方債を起すことにつきまして、非常に困難を感じておるのであります。これは恐らく先般
委員長からも
報告がありましたように、
地方をお廻りになりまして、
地方の
財政當局に聞いて頂けば、口を開くと直ぐ申す
事項ではないかと思
つております。非常に
苦勞をしておるのであります。然らばその
地方債というものがルーズな
財政經理をや
つたから
赤字が出てそれを借金するのだと、こういうような
性質からの
起債ならば、それは致し方がないかも知れませんが、現在
地方の
團體の行
なつております
起債は、そういうようなものは
一つもないのでありまして、全部勿論
許可をしておりますから、その際の
國家の方針に副
つた事業をやる。このために起しておる
起債しかないのでありますから、例えば
戰災復興、
災害復興、六・三制の
教育制度というような問題を、
一つ一つ審議しておりますので、これは到底無駄な
起債を今起そうというようなものは
一つもないと我々は確信をしております。從いまして、本
年度の數字としましては大體百十億の
起債を認めております。ところがこれを認めましても、これを
資金化することに非常に困難を感じておるのでありまして、本
年度大體六十五億圓は
預金部資金で出してくれますが、そり以上の四十五億圓は
民間資金から取らなければならん。ところが
地方債は御
承知のように、
國債にように、何と申しますか、公の價値と申しますか、銀行に持
つて行つた場合の擔保であるとか、擔保力というようなものもありません。又その
消化につきましても、
日銀引受というような手はないのであります。又逆にそれでは
産業債のように、非常に
巧味がある。その時々の相場の應じてどんどん
條件などもよく
なつて行くかと申しますか、そういうものでもない。丁度その兩者の中間にあるわけであります。從いまして、なかなかこれを
一般市場に求めますことは困難でありまして、これで非常に
苦勞しておるのであります。で、これはどうしてもここに自主的な
金融機關を
地方團體みずからが持
つて、
地方團體全部が
集つた團結の力によ
つてこれを解決するより仕方がないということが考えられます。ここに
地方團體中央金庫という
制度を考えておるのであります。これは何も今我々が考えたのではありませんので、
地方團體の
關係者におきましては、すでに十數年前から叫ばれておる
制度であります。これに對しても、やはり
大藏省方面におきましては反對がありまして、新らしい
金融金庫にような
金融機關を設けることは、
赤字金融というものに拍車を掛けるというようなこと、或いは
特殊金融機關というものは、今後の
金融組織として
適當でないというようなこと、いろいろございますが、要するに反對なのであります。まあ大きな點で申しますと、そういう點が反對であ
つたのであります。で、このような反對に對しまして、いろいろ我々が
説明し、折衝してお
つたのでありますが、それが今申上げましたように妥結に至りません。一方この案につきまして……。