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政府委員(
荻田保君) 第一の
災害関係の問題でございますが、御
承知のようにこれは一般の
地方税制というものを健全なものにして置きましても、一度
災害に見舞われますと、その團体は殆んど起つ能わざるような
財政上の打撃を受ける。これを解決しなくては
地方財政の
根本的な解決はできない、こう考えておりますので、何かいい案はないかと、
事務当局でも考えておるわけでございます。
地方では
全額国庫
負担と、こういう御
意見が非常に強いのでありまするが、これはこういう
方法は、実現できれば、まあ
地方財政に関する限りはそれで差支えないのでありまするが、唯それでは如何に何でも
國庫の方から見まして濫費というような問題が起ると思われますので、
全額負担というような思想は
ちよつとむずかしいのではないかと思います。現在ございますように、例えば
災害土木事業につきましては三分の二の補助をするというこの補助率を
全額とまでは行かずに、引上げるとか、或いは
災害の総額に應じて率を高くして行くというような
方法も考えられるのでありますが、荷その他にもう
一つ考えなければなりませんことは、
災害の起ります度に、そのような現在のような国庫補助の斜度ですと、國に対して
國庫補助の要求をするという……まあ
事務的には
災害のいわゆる査定がありまして、それから
追加予算というようなことにな
つておりはすが、その場合に非常に時間を取
つてしまう。それでみすみす
災害が放
つてあ
つて、次の出水で又大きく壊れるというような不経済も起る。
從つて一々國に頼まないでも、何か必要な
災害の復旧はどんどんや
つて行ける、こういうような制度がないものか。そういうようなことからいたしまして、先ほど
委員長が申されましたように、
災害金庫というものを作つたらと考えおるのでありますが、思い着きだけでございまして、
具体案をまだ持
つておらんのでありますが、大体の構想といたしましては、現在國から出しておりますような補助金を事前に一括してその
金庫に渡す。それから
地方はそれぞれの
負担力に應じて、
災害に罹つた縣も、羅らん縣も全部でありますがいわゆる保險のような思想で金を出して、そうして
災害のあつた縣に対しましては、そこから
全額の金が行く。尚行つた中で、或いはそれも
全額となれば、下司な言葉ですが、貰い得になりますから、濫費というようなことが行われますから、一部はその縣の
負担において返すというようなことが考えられないかと思
つておるのであります。非常に未定稿でございまして、御披露するほどのものではございません。それから次は
地方團体金融に関する問題でありますが、これは
地方團体関係者においては言われておることでありまして、大体の構想といたしましては政府が一定の出資をする。それから
地方團体も出資をいたしまして、資本金を作
つて、毎年度の運用資金は簡易保險、郵便貯金、或いは一般の
金融界からそこに集中して、プールして、
地方團体に流してやるという思想でございます。唯我々といたしましては、現在
地方の起債が非常に國に比べて多いのであります。と申しますのは、國は赤字公債を大体発行しないという建前にな
つております。ところが
地方におきましては、別えば道路を付けるとか、学校を建てるとか……
災害は勿論……或いは傳染病というようなものも大抵事業の費目によりましては、こういう事業は起債によるものだという観念が少しありまして、
地方でいわゆる赤字公債といいますのは、もつと狭い意味でございまして、本当に收支の辻褄が合わない場合に費目を決めて起す公債が赤字公債、そこでいわゆる
國家再建のために健全
財政を堅持しなければならないということからいたしまして、國の方では大体起債は出さないということにな
つております。ところが
地方におきましては
相当出さなきやならん。本年度におきまして百十億の金を出さなければならんというような
状態になる。これはそのこと自体がいけないのでありまして、やはり國と同じように起債は避ける、一般
財源によ
つてやるというのが健全
財政のためによいのではないかと思います。併しながら全然避けるということも
地方においてはできないと思います。例えば電車とか、水道とか、收益事業につきましては、これは資本投下の
関係でありますから起債も差支えないと思います。それから又團体が小さいのでございますから、そこに不時の支出がありましたときに、これを一般
財源で賄おうとする場合には、これは大変な
財源が要る。例えば一村に
一つの小学校がある。一遍建てれば三十年保つというものが、壊れたから今年建てなければならんというのに、三十年分を一遍に税を取るということはこれは
ちよつとできないと思います。縣あたりですと、いわゆる臨時事業というものは道路、河川、港湾、学校、いろいろな事業費を含めまして一定量がありまするからそういうものは一般
財源に振替えられると思いますが小さい團体におきましては一般にそういうことはできない。どうしても
最少限度にその
程度の起債を認めるといたしますと、
預金部資金で大体賄いが付く。本年度は百十億のうち先程
委員長も申上げましたように六十三億円は大体預金で賄いをつけることにしております。そういう割合なら何も
預金部だけに頼
つて、一般市中銀行に頼む必要はありませんから、そうな
つて参りますと
地方團体というものでも何とかなる、こういうことを考えておる次第であります。
それから次の
インフレの
進行に感じて
増收のあるような税という問題でございます。御
承知のように現在
地方では分
與税は所得現、
入場税、法人税とな
つておりますが、これがまあ或る
程度伸びはありますけれ
ども、予算で縛られる
関係上、一年遅れのような恰好にな
つて來ております。それから
独立税の方におきましては、御
承知のように大きなものは地租家屋税でありまするが、これも賃貸債格が決ま
つておりまして、どうしようもございません。それから営業税でありまするが、営業税は純益課税でございまするから伸びがあるわけでございまするが、これも一年遅れの課税にな
つておりますのですぐ
インフレを追駈けて捕えるということはできない。で國に較べまして非常に伸びの悪い税が多いというのが
地方財政の欠点であると思います。從いまして年度半ぼにおきまして職員の給與ベースを引上げるというような場合にすぐ金がなくて
國庫から補助金を貰う、貸付金を貰うというようなことをしなければ解決がつかないというのが
一つの欠点だと思いますが、それで
インフレ進行に感じてすぐに伸びるというような税金は、そういうものを探したいと思いますが、どういうものがいいのかまだ見当がついておりません。例えば
入場税であるとか、事業税というようなものを作るとか、或いは消費税、現在の煙草とか、酒にあります消費税を一部國から分けて貰うと言いますか、そういう
方法でも考えなければ、この
インフレの激動期に対してはできないというふうに感じておる次第でございます。
それから富籤の問題がございましたがたしかに
地方の側から見ますと富籤は
地方團体だけがやつた方がいいことは当然であると思いますがと申しましても、国家
財政の方もなかなか困
つておられて富籤
收入を
相当あてにしておられる。そういうことでありますれば、これは独占ということはなかなかむづかしいと思います。從いまして
國家の方の計画と、
地方の方の計画とよく睨み合せて、その販賣につきまして重な
つて、それが賣れ行きが悪いということの起らないように、時期的にも場所的にも
調整して行きたいと思います。