○
政府委員(
宮下明義君) 前回百九十三條の
檢察官の
司法警察職員に対する
一般的指示権、
一般的指揮権及び個別的な
指揮権を御説明申上げましたので、本日は百九十四條以降を引続き御説明申上げたいと思います。
檢察官が百九十三條によりまして一般的な指示、一般的な指揮、或いは個別的な指揮をいたすことができるわけでありまするが、この指示又は指揮に正当な理由がなく、
司法警察職員が從わなかつた場合において、必要があるときは
檢事総長、檢事長、檢事正は、それぞれの
公安委員会、又は
特別司法警察職員を
懲戒、罷免する権限を有する者に
懲戒、罷免の訴追をすることができるというのが百九十四條第一項の
規定でございます。
警察官は多くの場合には都道府
縣國家地方警察に属しておりまするので、
警察官につきましては、それぞれの都道府
縣公安委員会に
懲戒又は罷免の訴追をすることになろうと思
つております。ただ
警察官の中にも各都道府
縣國家地方警察に属しませんで、
國家地方警察本部又は
國家地方警察管区本部に所属いたしておりまする
警察官がありますので、それらの
警察官については
國家公安委員会に訴追をするということを予想いたしております。
警察吏員につきましては、それぞれの
市町村公安委員会又は
特別公安委員会に訴追をするということになるわけでございます。
特別司法警察職員につきましては、例えて申しますれば、
鉄道職員で
司法警察権を持
つておりまする者につきましては、これを
懲戒、罷免する権限を有する者に、
森林官吏で
司法警察権を持
つておりまする者については、これを
懲戒、罷免する権限を有する者に、それぞれ訴追をするということになるわけでございます。第一項によりまして
懲戒又は罷免の訴追がありました場合は、それぞれの
公安委員会び特別司法職員を
懲戒罷免する権限を有する者は、その訴追が理由あると認めるときには、別に法律の定めるところにより訴追を受けた者を
懲戒又は罷免しなければならないという
規定を第二項に設けたわけでございます。第一項及び第二項におきまして、特に訴追という言葉を使いましたのは、單なる勧告とは違いまして、この訴追がありますれば、当然に法律の定めるところによりまして
懲戒手続又は
罷免手続が開始されるという意味でございます。而してこの
懲戒手続、
罷免手続につきましては、第二項の
規定によりまして、他の法律でこれを定めるということになるわけでございます。本
來公安委員会自体は
警察官又は
警察吏員に対しまして
懲戒、
罷免権を持
つておらないのでありまするが、この
刑事訴訟法改正案百九十四條第二項によりまして、特別の
懲戒罷免権が與えられたものと、こう考えております。
次に、百九十五條を御説明申上げます。本條は
現行法二百五十二條に相当する
規定でありまするが、
現行法においては
檢察官のみではなくて、
司法警察職員も又事実発見のため必要がある場合には、
管轄区域外に出て職務を行うことができるという
規定にな
つておるのでありまするが、
警察官又は
警察吏員につきましては、新たに制定されました
警察法五十七條、五十
八條、五十九條の
規定がございまして、
警察官又は
警察吏員の
管轄区域外における
権限行使につきまして特別な
規定がございまするので、それと相矛盾する
規定を
刑事訴訟法に設けるのも
警察法の精神と矛盾すると考えまして、百九十五條におきましては、
檢察官及び
檢察事務官についてのみ
管轄区域外における
権限行使の
規定を設けたわけでございます。
檢察官及び
檢察事務官はその属する廳の
管轄区域の外に出まして、
捜査のため必要があるときには職務を行うことができるという
規定を設けたわけでございます。
現行法のごとく事実発見のためといたしませんで、
捜査のためといたしましたのは、
現行法の事実発見のためという表現では、例えて申しますれば、
管轄区域外において
逮捕行爲までなし得るかということについて、解釈上疑問ががございますので「
捜査のため必要があるときは」と改めまして、
証拠蒐集のみではなく、
管轄区域外において
逮捕行爲もなし得るという趣旨に改めたわけでございます。
次に、百九十六條を御説明申上げます。
檢察官、
檢察事務官及び
司法警察官並びに
弁護人その他職務上
捜査に関係のある者につきまして、特に
被疑者その他の者の名誉を害しないように注意しなければならない。又
捜査の妨げとならないように注意しなければならないという
規定を設けまして、
捜査に從事する者が、
被疑者その他の者の名誉を傷つけないように、又
捜査に関係する者が、
捜査の妨害となるような行爲をしないようにという趣旨の
規定を設けたわけでございます。
次に、百九十七條を御説明申上げます。この
規定は、
現行法と趣旨において同樣でございまして、
捜査については、その目的を達するために必要な各種の取調をすることができる、いろいろな任意の
捜査をすることができるということを原則に掲げまして、
改正案におきましても、
捜査の原則は、
任意捜査であるという建前を明らかにいたしたわけでございます。而して但書において、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければこれをすることができないと
規定いたしまして、
強制処分というものは、例外であるという趣旨を明らかにいたしたわけでございます。第二項の
捜査について、
公務所又は公私の團体に紹介して、必要な事項の報告を求めることができるという
規定は、
現行法と同樣でございます。
以下、百九十
八條以下におきまして、
捜査手続を詳細に
規定いたしておるわけでございまするが、その根本の
考え方を申上げますると、憲法第三十三條及び第三十五條の線に副いまして、
捜査機関が
強制捜査を行いまする場合には、すべて
現行犯の場合を除いて、権限のある
司法官憲の令状によらなければならないという原則を貫きまして、
現行犯の
捜査以外の場合においては、すべて
裁判所のジュディシアル・チエックを掲げまして、
捜査機関の
捜査活動が、法に
適つて正しく行われるように配慮いたしたわけでございます。
司法官憲の意義につきましては、
日本國憲法を審議いたしました当時の議会におきましても、いろいろ論議があつたわけでございまするが、当時の政府は、
司法官憲の中には、
檢事及び司法警察法を含むということを主張いたしたのでありまするが、
基本的人権に重大な関係がある事項でありまするので、
解釈論は別といたしまして、政府といたしましては、この
改正案におきましては、憲法のいわゆる
司法官憲は、
裁判所及び
裁判所の職員に限るという建前を取りまして、
檢察官及び
司法警察職員に
令状発布の権限を認めなかつたのは、
應急措置法と同樣でございます。これによ
つて捜査というものが、
裁判所の
司法的チエックを受けまして、正しく行われることを期待いたしておるわけでございます。
次に、百九十
八條の
規定は、
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員が、
被疑者の取調をする場合の
規定でございます。
檢察官、
檢察事務官、
司法警察職員等は、必要がある場合には、
被疑者の出頭を求めて、これを取調べることができる。併しながら
被疑者は
逮捕又は
勾留されておる場合を除いては、出頭を拒み又出頭後何時でも退去とすることができるという
規定を設けまして、
檢察官、
司法警察職員等の
被疑者の取調は、任意的なものであるという趣旨を明らかにいたしたわけでございます。第二項におきまして、その取調に際しては、
被疑者に対して、予め供述を拒むことができる旨を告げなければならないという
規定を特に置きまして、憲法三十
八條第一項において、何人も自己に不利益な供述を強要されないという趣旨に
則つて、
被疑者の取調についての準則を掲げたわけでございます。從來の
刑事訴訟法の実際の運用におきましては、可
なり自白を偏重いたしまして、
捜査機関も、
被疑者の取調に際して、自白を得ることに極力努力した傾きがあつたわけでございますが、今後の
捜査においては、この百九十
八條の
規定によりまして、
被疑者は出頭も拒むことができまするし、又出頭後退去することもできまするし、
取調側においても、予め供述を拒むことができる旨を告げなければならないということにな
つておりまするので、今後の
捜査は、
被疑者の自白を求めることよりも、他の傍証を極力
捜査するという方向に変
つて行くものと期待いたしております。第三項、第四項、第五項の
規定は、
被疑者の取調に際しての調書についての
規定でございます。調書につきましては、
裁判所については、
裁判所の規則によ
つて適当に定め得るわけでございまするが、
捜査段階の
檢察官又は
司法警察官の調書について、
裁判所の規則で定め得ないという
考え方を持
つておりまするので、特に百九十
八條第六項乃至第五項の
規定を設けたわけでございます。
次に、百九十
八條の
規定でございまするが、これは
普通逮捕状による
逮捕、或いは
通常逮捕と呼んでおる
規定でございまするが、
應急措置法第八條第一項の
規定を更に敷衍いたしまして
規定いたした
規定でございます。即ち
檢察官、
司法警察職員等は、
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、予め
裁判官の発する
逮捕状によ
つて、これを
逮捕することができる、こういう
規定を設けたわけでございます。
應急措置法におきましては、とにかく
刑事手続きが憲法に即應するように應急な措置を講じまして、原則的な簡單な
規定を設けました関係上、百九十九條第一項但書に相当する
規定がなかつたのでありまするが、
現行犯についても軽微な罪については
除外規定がありますが、権衝を考えまして、本條につきましても五百円以下の罰金、拘留又は科料に当る罪については、
被疑者が
住居不定の場合、又は正当な理由がなく、出頭の求めに應じない場合に限て
逮捕状によ
つて逮捕することができるという
規定にいたしたわけでございます。これによ
つて軽微な犯罪について徒らに
逮捕状によ
つて身体を拘束するということのないように配慮いたしたわけでございます。第二項は
逮捕状の請求は
檢察官又は
司法警察員の請求によ
つてこれを発するということを明らかにいたしたわけであります。
檢察事務官は自己の判断によ
つて裁判所に直ちに
逮捕状の発付を請求することはできないから、一應自己の
捜査によ
つて或る
被疑者に対して
逮捕状を得たいと考える場合には、その事情を
檢察官に報告いたしまして、
檢察官を通じて
裁判所に請求する。
司法巡査につきましても同樣、
司法巡査が
捜査によ
つていろいろな資料を得るわけでありまするが、これらの資料を
司法警察員に報告いたしまして、
司法警察員の判断を通しまして、その上で
裁判所に令状の発付を請求するという
規定にいたしたわけであります。これによ
つて檢察事務官又は
司法巡査等が直接に
裁判所に不確かな謙疑によ
つて令状を請求するという幣を避けようといたしたのであります。第三項は
檢察官又は
司法警察員は、
逮捕状の請求をする場合に同一の犯罪事実について、その
被疑者に前に
逮捕状の請求があつた、或いは
逮捕状が発付されたことがあつたという場合においては、その旨を
裁判所に通知しなければならないという
規定を設けたわけであります。これによりまして
裁判所は前に
逮捕状の請求があつたけれども、その請求を却下したという場合には、今回の
逮捕状の請求につきましても、
十分愼重な考慮をいたすのでありましようし、又前は
逮捕状の発付があつたというならば、その発付された
逮捕状によ
つて何故に
逮捕しなかつたかというような事情を十分考慮いたされるであろうと考えております。
改正案につきましては、同一の
被疑者に対して二回以上
逮捕状が発付されるということを予想いたしております。それは
逮捕状の
有効期間がございますので、
有効期間内に
逮捕状によ
つて逮捕することができない場合もございまするし、又場合によりましては
逮捕後一旦公訴を提出いたしましたが、その
起訴状の謄本を二ケ月以内に
被告人に送達することができない場合には、公訴の提起が無効となりまするので、その後新たに
被疑者の所在を追及いたしまして、
逮捕状を得て更に
逮捕して、公訴の提起をするという場合も考えておりまするので、一回以上同一の犯罪事実について、同一
被疑者に対し
逮捕状が発付せられることがあるということを予想いたしておるのであります。
次に、第二百條の
規定は
逮捕状の
記載要件に関する
規定でございます。これらの
規定は
應急措置法におきましては明確な
規定がございませんで、解釈上
勾引状に関する
規定を準用するものとして運用して参つたわけでございまするが、今回の
改正案におきましては
逮捕手続のみならず、
捜査手続全般につきまして、可なり詳細な
規定を設けてその明確を期したわけでございます。
逮捕状の
記載要件の内、特に新らしいものといたしましては、
有効期間及びその
期間経過後は
逮捕することができないで、その令状はこれを発した
裁判官に返還しなければならないということを特に記載しなければならないという
規定を設けたわけであります。これによ
つて一旦発せられた
逮捕状というものがいつまでも
檢察官等の手にありまして、或いはそれが濫用されることを防ごうといたしたわけでございます。
次に、二百一條以下の
規定は
逮捕状による
逮捕についての
規定でございまするが、先ず二百一條においては、
逮捕状によ
つて被疑者を
逮捕するのには、
逮捕状を
被疑者に示さなければならないという
規定を設けたわけでございます。而してその第二項におきまして、第七十三條第三項の
規定を準用いたしまして、
逮捕状が発せられておりますれば、たまたま
被疑者を発見した際に
逮捕者を所持しておりませんでも、緊急を要する場合には
逮捕状が発せられておるということを
被疑者に告げまして、そのまま
被疑者を
逮捕することができる。併しながら
逮捕状はその後速かに
被疑者に示さなければならないという、第七十三條第三項の
規定を準用いたしたわけでございます。これは七十三條第三項の御説明の際にも申上げましたように、憲法の趣旨から申しましても、
逮捕状がすでに発せられておりますれば、たまたま
逮捕の際に
逮捕状を持
つておりませんでも、
逮捕状によ
つて被疑者を
逮捕したということになりまするし、必ず
逮捕の際に
逮捕状を所持していなければならないということを、嚴格に要求いたしますると、非常に沢山の
逮捕状を発しなければならないという、実際上の不便もございますので、このような
規定を設けたわけでございます。
次に、二百二條の
規定は、
檢察事務官又は
司法巡査が
逮捕状によ
つて被疑者を
逮捕したときは、直ちに、
檢察事務官はこれを
檢察官に、
司法巡査はこれを
司法警察官に引致しなければならないという
規定を設けたわけでございます。これは
應急措置法第八條第四項におきまして、
現行法の
現行犯逮捕後の
規定を準用いたしておりまするが、
應急措置法の
規定は、何と申しましても、簡單な
規定でございまして、明確を欠く点もございまするので、特に詳細な
規定を設けたわけでございます。
次に、二百三條の
規定は、
司法警察員は、
逮捕状によ
つて被疑者を
逮捕したとき、又は
逮捕状によ
つて逮捕された
被疑者を
司法巡査から
受取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び
弁護人を選任することができる旨を告げた上、
被疑者にその犯罪事実について弁解の機会を與え、留置の必要がないと思料するときは、直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは、
被疑者が身体を拘束されたときから四十八時間以内に、書類、
証拠物と共にその身柄を
檢察官に送致する
手続をしなければならないという
規定を設けたわけでございます。これも趣旨においては
應急措置法と変りのないところでありまして、
被疑者を
逮捕した後、或いは
司法巡査から
被疑者を
受取つた場合に、直ちに犯罪事実の要旨及び
弁護人を選任することができる旨を告げなければならないというのは、憲法の趣旨によりまして、このような
規定を置いたわけでございます。
次に、二百四條の
規定は、
檢察官自身が
逮捕状によ
つて被疑者を
逮捕したとき、又は
逮捕状によ
つて逮捕された
被疑者を
檢察事務官等から
受取つた場合の
規定でございまするが、この場合におきましても、二百三條の
規定とほぼ同趣旨の
規定を設けたわけでございます。而して二百四條の場合におきましては、
檢察官が用い得る時間は四十八時間といたしてございます。
應急措置法の下におきましては、二百四條に相当する場合において、
檢察官が用い得る時間は二十四時間でございましたが、如何にも実情に合いませんし、又
檢察官が
檢察事務官から受取る場合もございまするし、この場合においては、
檢察官はとにかく四十八時間以内に起訴するか
勾留の請求をするということを決定いたすわけでございまするから、四十八時間の余裕を置くことが相当ではないかと考えまして、
應急措置法の二十四時間を四十八時間に延長いたしたわけでございます。
次に、二百五條の
規定でございますが、
檢察官が二百三條の
規定によ
つて司法警察員から送致された
被疑者を
受取つたときは、弁解の機会を與え、留置の必要がないと思料するときは、直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは、
被疑者を
受取つた時から二十四時間以内に、
裁判官に
被疑者の
勾留を請求しなければならないということにいたしたわけでございます。而して二十四時間の時間の制限は、第二項によりまして、
被疑者が現実に身柄を拘束された時から七十二時間を超えることができないといたしましたのは、
應急措置法と同樣でございます。第三項によりまして、この時間の制限内に公訴を提起したときは、
勾留の請求をすることを要しないと
規定いたしましたが、これは二百八十條第二項によりまして、この場には、
檢察官から
勾留の請求をいたしませんでも、公訴を受けた
裁判所の方で、
勾留の必要があるかないかということを決定するということにいたしておりまするので、
檢察官側から、必ずしも
勾留の請求をする必要がないという
規定を設けたわけでございます。
次に、二百六條の
規定でございまするが、これは
應急措置法第八條第三
号後段の
規定を、そのまま本案におきましても採用いたしたのでありまして、
檢察官又は
司法警察員が止むを得ない事情によ
つて前三條の時間の制限に從うことができなかつたときは、
檢察官は
裁判官にその事由を疏明して
被疑者の
勾留を請求することができる、
裁判官は、その遅延が眞に止むを得ない事由に基く正当なものであると認める場合には
勾留状を発しまするが、その他の場合においては
勾留の請求を却下いたしまして、
被疑者を釈放するということになるわけでございます。
次に、二百七條の
規定は、前三條の
規定によ
つて勾留の請求を受けた
裁判官に、総則の
勾留の
規定を準用いたしたわけでございます。併しながら起訴前の
勾留につきましては、保釈に関する
規定はこれを準用しないことにいたしまして、起訴前においては保釈ということを考えなかつたわけでございます。これは起訴前の
勾留即ち搜査のための
勾留という特質を考えまして、特にこの
勾留には保釈ということを考えなかつたわけでございます。
次に、二百
八條の
規定でありまするが、前條の
規定によりまして
被疑者を
勾留した事件については、
勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、
檢察官は直ちに
被疑者を釈放しなければならないといたしまして、これは
應急措置法第八條第五号の
規定を、本案においても採用いたしたわけでございます。この十日の期間は勿論
勾留の請求をした日、その日から起算するわけでございます。
應急措置法においては起訴前の
勾留は嚴格に十日と
限つておつたわけでございまするが、
應急措置法実施後の
運用等に鑑みまして、実際の必要においてはその十日では十分な処理をなし得ない場合もございまするので、特に第二項におきまして例外を設けて、
檢察官の請求によ
つて裁判官は、止むを得ない事由があると認めるときは前項の期間を延長することができる。
裁判官は実際の必要を考えまして或いは三日、或いは五日、或いは七日という適宜な期間を延長いたすわけでございますが、この期間の延長は通じて十日を超えることができないということにいたしました。從いまして起訴前の
勾留は如何に
複雜困難な事件でございましても、二十日以上には延びないということになるわけでございます。
次に、二百九條の
規定は、
被疑者を
逮捕した場合にその護送の際必要のあるときは一時監獄に留置することができる。
被疑者を
逮捕してこれを引致して後に必要があるときは一時監獄に留置することができる。又
逮捕された
被疑者が
弁護人選任の申出をすることができるという勾引、
勾留に関する
規定を
逮捕にも準用いたしたわけでございます。
次に、二百十條の
規定は
應急措置法第八條第二項にございましたいわゆる
緊急逮捕の
規定を、本案におきましてもそのまま採用いたしたわけでございます。即ち
檢察官、
司法警察職員等は「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、
裁判官の
逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて
被疑者を
逮捕することができる。この場合には、
逮捕後直ちに
裁判官の
逮捕状を求める
手続をしなければならない。」という
規定を設けたわけでございます。この
規定が憲法第三十三條に照しまして果して合法かどうかという点につきましては、
應急措置法を御審議の際においても問題になつた点でございまするが、政府の解釈といたしましては、
逮捕には或る幅がありまして、現実に身体を掴んでから一定の場所まで連れて來る、その幅のある行爲である。その
逮捕行爲の継続中に直ちに
逮捕状の発行を請求いたしまして、その
逮捕状によ
つて裏付られる
逮捕であるから、憲法のいわゆる
逮捕状による
逮捕であるという解釈を採
つて、憲法の趣旨に副う
逮捕であると、こう考えておる次第でございます。
二百十一條の
規定は、二百十條の
規定によりまして
緊急逮捕をいたしました場合において、その後の
手続はすべて第百九十九條の
規定による
通常逮捕後の
規定を準用いたしまして、その場合と同樣に
手続を進めることといたしたわけでございます。
次に二百十二條の
規定は、
現行犯及びいわゆる準
現行犯に関する
規定でございまするが、先ず第一項におきまして「現に罪を行い、又は現に罪を行い
終つた者を
現行犯人とする。」と
規定いたしまして、第二項において、
從來現行法の百三十條第二項に
規定してございました準
現行犯の範囲をやや狭めまして、本案においても採用いたしたわけでございます。即ち從來の
現行犯につきましては、犯行時と
逮捕状の時間の経過ということが可なり間を置きまして長い経過を辿つた後であ
つても、準
現行犯と認められておつたのでありまするが、
現行犯の趣旨から考えますると、犯行時と
逮捕時との或る程度の接着ということを必要とすると考えまして、本案におきましては「左の各号の一にあたる者が、罪を行い
終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを
現行犯とみなす。」ということに改めまして、從來の準
現行犯人の観念をやや狹めたわけでございます。而して第一号乃至第四号につきましても、その第二号においては、從來は「兇器、
臓物其ノ他ノ物ヲ
所持シ」とございまして、やや不明な点がありましたので「臓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。」と
規定したしまして、その他の物も明かに犯罪の用に供したと思われる物でなければならないということにいたしたわけでございます。
次に二百十三條は、憲法第三十三條を承けまして「
現行犯人は、何人でも、
逮捕状なくしてこれを
逮捕することができる。」という
規定を置いたわけでございます。而して
現行犯人を
逮捕した後の
手続も二百十六條の
規定によりまして百九十九條の
逮捕状によ
つて被疑者が
逮捕された場合の
規定を準用して、それと同様な
手続で
逮捕後の
手続が進行するわけでございますが、
現行犯人については特に
檢察官、
檢察事務官、
司法警察職員以外の
一般常人がこれを
逮捕することがございますので、その場合の特別
規定を二百十四條と二百十五條に置いたわけでございます。二百十四條におきましては、常人が
現行犯人を
逮捕したときは、直ちにこれを
檢察官又は
司法警察職員に引渡さなければならないということにいたしまして、二百十五條におきましては「
司法巡査は、
現行犯人を受け取つたときは、速やかにこれを
司法警察員に引致しなければならない。」その場合に
司法巡査は
逮捕者の氏名、住居及び
逮捕の事由等聽き取り、必要がある場合には
逮捕者に対し共に官公署に行
つて呉れということを求めることができるという
規定を設けたわけでございます。
次に二百十七條の
規定は、
現行法の百三十二條と趣旨においては同様でございまするが、
現行犯につきましても、五百円以下の罰金、
勾留又は科料に当る罪の
現行犯については、犯人の住居又は氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡する虞れのある場合に
限つて現行犯逮捕ができるということにいたしたわけでございます。從いまして五百円以下の罰金、
勾留、科料等に当る軽微の事件につきましては、犯人の名前が分らない、或いは
住居不定、逃亡の虞れがあるというような場合でなければ
現行犯逮捕ができないということを明らかにいたしたわけでございます。これによ
つて軽微な事件について重い強制力を使いまして、人権蹂躙の非難を受けることを避けようといたしたわけでございます。
以上が
逮捕状による
逮捕、
緊急逮捕及び
現行犯逮捕に関する
規定でございまして、次に二百十
八條以下押收、捜索、檢証等に関する
規定でございます。二百十
八條は「
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員は、犯罪の
捜査をするについて必要があるときは、
裁判官の発する令状により、差押、捜索又は檢証することができる。」という
規定を設けました。これは憲法三十五條に則つた
規定でありまして、
應急措置法七條第二項の
規定は余りにも不明確な
規定でございましたので、
改正案におきましては、
檢察官、
司法警察職員等が
裁判官の発する令状によ
つて差押、捜索、檢証することができるという趣旨を明らかにいたしたわけであります。而してこの場合において、檢証のための身体檢査をいたします場合は、特に身体檢査令状によらなければならないという
規定を設けたわけでございます。從いましてこの場合の令状は、差押状、捜索状、普通の檢証状及び身体檢査令状という四種の令状が発付されるわけでございます。この差押、捜索、檢証等の令状は、
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察員の請求によ
つて、これを発するという
規定を第二項に設けました。これは必ずしも
逮捕ほど嚴格な判断と必要といたしませんし、又
檢察事務官が差押、捜索、檢証等をするについても、すべて
檢察官を通さなければならないということにいたしますると、実際上の不便もございまするので、この令状の請求権は、
檢察事務官にも亦これを認めたわけでございます。次に
檢察官、
司法警察員等が身体檢査令状の請求をする場合には、特に身体檢査を必要とする理由及び身体檢査を受ける者の性別、健康状態その他
裁判所の規則で定める事項を示さなければならないというように
規定を設けまして、特に身体檢査が適正に、妥当に行われまして、身体檢査を受ける者の名誉を害さないように配慮いたしたわけであります。末項におきましても、「
裁判官は、身体檢査に関し、適当と認める條件を附することができる。」という
規定を設けました。
次に二百十九條の
規定でございますが、これは前條の差押、捜索、檢証、身体檢査等の令状の
記載要件に関する
規定でございます。これらの令状につきましても、
有効期間及びその
期間経過後は差押、捜索、又は檢証に着手することができず、令状はこれを返還しなければならないということを特に記載しなければならないことといたしました。
次に第二百二十條の
規定でありますが、これは二百十
八條の
裁判官の発する令状によ
つてする差押、捜索、檢証の例外
規定でございまして、
應急措置法第七條第二項但書の
規定を更に合理化いたしまして明確ならしめたのであります。
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員は、通常の捜捕状によ
つて被疑者を
逮捕する場合、又は
現行犯人を
逮捕する場合、又は
緊急逮捕をする場合におきましては、令状を持たないで人の住居、又は人の監視する邸宅、建造物、若しくは船舶の中に入
つて被疑者を捜索することができる。又
逮捕の現場におきましては、令状を持たないで差押、捜索、又は檢証をすることができるということを特に
規定いたしたわけでございます。これは憲法第三十五條におきまして「第三十三條の場合を除いては、」とございまして、
現行犯の場合に限らず、権限のある
司法官憲の発する令状によ
つて被疑者を
逮捕する場合においても、亦差押、捜索等の令状を持たないで、差押、捜索をすることを憲法自身が許しておりまするので、二百二十條の
規定を設けたわけであります。これが又実際の
捜査の実情にも合致する所以と考えておるのであります。第四項の
規定は本案の第百二十六條と吻合する
規定でございます。百二十六條は起訴後
勾引状、
勾留状を執行する場合に、
被告人の捜索をすることができるという
規定でありまして、二百二十條末項の
規定は、
檢察事務官又は
司法警察職員が、
勾引状、
勾留状を執行する場合に、その執行の現場で差押、捜索又は檢証をすることができる。又起訴前の
被疑者に対して発せられた
勾引状、又は
勾留状を執行する場合においては、人の住居などに入りましてその
被疑者を捜索することができるという趣旨を明かにいたしたわけであります。
次に二百二十一條の
規定でありますが、これは
檢察官、
司法警察職員等が、
被疑者その他の者が遺留した物又は所有者等が任意に提出した物を領置することができるという、領置の根拠
規定を設けたわけでございます。遺留物又は任意提出物等につきましては、必ずしも強制力を以て差押をする必要もございませんので、二百二十一條によ
つてこれを領置することができるということにいたしたわけであります。
二百二十二條は大変に長い條文でございまするが、これは只今御説明申上げて参りました
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員が、
捜査中にいたしまする押收、捜索について総則の
裁判所のいたしまする押收捜索の
規定を準用し、檢証につきましても総則の
裁判所の檢証の
規定を準用するという
規定でございます。二百二十二條の第二項におきまして、二百二十條によ
つて令状を持たないで
被疑者の捜索をする場合において、急速を要する時には第百十四條第二項の
規定によることを要しないといたしまして、特に隣人等の立会を必要としないということを
規定いたしましたが、これは
現行法百七十四條第三項にある
規定を受けて参つたのでございまして、このような二百二十條のような場合におきましては、急速を要する場合でありまするので、必ずしも隣人等の立会を必要としないということにいたしたわけでございます。
次に、二百二十二條第四項の
規定は、
裁判所のいたしまする檢証については、特に百三十條の
規定がございまするが、この場合において、
檢察官、
司法警察職員等が、
裁判所の発する令状によ
つて檢証する場合においては、その令状に夜間でも檢証することができるという記載が特にございませんと、日出前、日沒後には人の住居等に入ることができないという
規定を設けまして、押收、捜索等との釣合を取つたわけでございます。
次に、二百二十二條第六項の
規定でございまするが、
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員は、
裁判官の発する令状によ
つて差押、捜索又は檢証をするについて必要があるときは、
被疑者をこれに立会わせることができるという
規定を設けましたのは、
裁判所のいたしまする差押、捜索、檢証につきましては、百十三條、百四十二條の
規定がございまして、
被告人及び
弁護人はすべて立会権を持
つておるのでありまするが、先にも御説明申上げましたように、
捜査段階における差押、捜索、檢証等にすべて
被疑者が権利として立会権を持
つておるということにいたしますると、
捜査の性質とも合致いたしませんので、
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員等が必要があると認めて
被疑者を立会わせるという場合に
限つてこれに立会うことができるという百十三條、百四十二條の特別
規定を設けたわけでございます。
次に、二百二十三條の
規定でございまするが、この
規定は、
檢察官、
檢察事務官又は
司法警察職員は、犯罪の
捜査のために必要がある場合に、
被疑者以外の者の取調又は鑑定、通訳若しくは飜訳の嘱託をすることができるという
規定でありまして、この場合についても
檢察官、
司法警察職員等には、いわゆる強制権は認めませんで、これらの
捜査はすべて任意な
捜査ということになるわけでございます。第二項において、第百九十
八條第一項但書及び第三項乃至第五項の
規定を準用いたしまして、証人に相当するところの犯罪事実について或る知識を有する者を、
檢察官が出頭を求めて、いろいろ事情を取調べるという場合におきましても、その者は出頭を拒むことができまするし、出頭後退去することもできる、この場合においてその者に
檢察官等が特に供述を拒むことができるという旨を告げるという
規定を準用いたしませんでしたが、これは
被疑者については憲法上特に不利益な供述を強要されないという
規定がありまするので、特に百九十
八條第二項の
規定を設けましたが、証人に相当する者につきましては、必らずしも憲法上の要求でもありませんし、又一般証人に相当する者は
捜査にも協力して頂かなければなりませんので、百九十
八條第二項の
規定はこの場合に準用いたさなかつたわけでございます。
次に、二百二十四條の
規定でありまするが、前條の
規定によ
つて鑑定を嘱託する場合において、百六十七條第一項の
規定は
被疑者の留置を必要とする場合におきましては、
檢察官等は
裁判官にその処分の請求をしなければならない。
裁判官はその請求を正当と認めるときは
裁判官自身が留置の
手続をしてやるという
規定を設けたわけでございます。
次に、二百二十五條の
規定でありまするが、同樣二百二十三條の
規定によりまして鑑定の嘱託を受けた者が、身体の檢査、墳墓の発掘、物の破壞等の処分を必要とする場合には、
裁判官の許可を受けまして、これらの処分をすることができるという
規定を設けたわけでございます。
次に、二百二十六條の
規定でありまするが、これは二百二十三條によりまして、
檢察官の証人に相当する者の取調は任意の取調ということになりまして、これらの者は出頭を拒否することもできまするし、出頭後退去もできまするので、そのようなことでは
捜査に事欠く、こともございまするので、犯罪の
捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が
檢察官等の取調に対して出頭又は供述を拒んだ場合には、
裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。これによ
つて捜査の円滑を期しようといたしたわけでございます。
次に、二百二十七條の規行は
檢察官等の取調に対して任意の供述をした者が、その後公判期日においては他から圧迫を受けまして供述を飜えすという虞れのある場合であ
つて、而もその者の供述が犯罪の証明に欠くことができない場合には、同樣
檢察官から
裁判官にその者の証人尋問を請求いたしまして、その証言を確保して置くという制度を設けたわけでございます。而して二百二十
八條によりまして前二條の請求を受けた
裁判官については総則の証人尋問に関する
規定を準用するということにいたしました。但し二百二十
八條第二項にありまするように、これは
捜査中の証人尋問の請求でありまするので、総則の百五十七條のごとく原則として立会権があるわけではございませんで、
裁判官が
捜査に支障を生ずる虞れがないと認めるときに
限つて立会をさせるという特定
規定を設けたわけでございます。
次に、二百二十九條の
規定は
現行法百八十二條に相当する変死体の檢視に関する
規定でございます。趣旨においては
現行法と変りございませんが、
現行法のごとく檢視に引続いて「檢証」という
規定は設けませんで、檢死に引続いて檢証をする場合にも、やはり改めて
裁判官の令状を得まして檢証をしなければならんということになるわけでございます。
二百三十條は
現行法二百五十
八條に相当する
規定で、内容は同樣であります。而して二百五十九條及び二百七十條を削除いたしまして、尊属に対する告訴、告発の禁止を撤廃いたしましたことは、提案理由の説明において触れましたので省略いたします。
二百三十一條は
現行法の二百六十條に相当する
規定であります。この場合において
現行法におきましては、夫が妻のために独立告訴権を持
つておりましたが、新憲法の精神によりまして、夫のみが妻のために独立告訴権を持つということは、憲法の精神に合致いたしませんので、夫を特に削除いたしたわけでございます。
次に、二百三十二條の
規定は、
現行法二百六十一條と全く同樣であります。二百三十三條は
現行法二百六十二條に相当する
規定でありまして、
現行法の遺族又は後裔という言葉を死者の子孫という言葉に改めましたが、内容においては変りないと考えております。二百三十四條は
現行法の二百六十三條に相当いたしまして、内容においては変りございません。
現行法二百六十四條を削除いたしましたが、これは姦通罪が廃止されました結果当然のことでございます。
次に、二百三十五條は
現行法の二百六十五條に相当する
規定でございまするが、第一項但書に特に外國の代表者が行う告訴又は外國の使節が行う告訴について、六ケ月の期間に対する例外
規定を設けました。
二百三十六條は
現行法の二百六十六條に相当する
規定でありまして、趣旨においては変りございません。
二百三十七條は
現行法二百六十七條に相当し、
現行法におきましては、告訴は第二審判決があるまで、これを取消すことができるということにな
つておりましたのを、
改正案におきましては、すでに告訴がございまして、公訴の提起がありました以上、その事件は國家の手に移
つておりまするので、これを告訴人の意思によ
つて第二審判決があるまでその
手続を止めるということは適当でないと考えまして、
改正案におきましては、公訴の提起前に
限つて告訴の取消ができるということに改めたわけでございます。
二百三十
八條は
現行法の二百六十
八條に相当し、二百三十九條は
現行法の二百六十九條に、二百四十條は
現行法の二百七十一條に相当いたしておりまして、内容においては変りございません。
二百四十一條は
現行法の二百七十二條と二百七十三條を一緒に
規定しただけでありまして、これも趣旨においては変りございません。
二百四十二條は
現行法の二百七十四條に相当する
規定でございます。
次に、二百四十四條は新たな
規定でありまして、刑法二百三十二條第二項の
規定によ
つて外國の代表者が行う告訴又はその取消は、勿論
檢察官等に対してこれをすることもできるのでありまするが、外交上の関係を考慮いたしまして、この場合には外務大臣に対してこれをすることができるという特別
規定を設けたわけでございます。外務大臣はその告訴を受けました場合には、これを
檢察官の手に移して、その後の
捜査がなされるということになるわけでございます。日本に派遣された外國の使節が行う告訴又はその取消についても、同樣外務大臣にこれをすることができるということにいたしたわけでございます。
二百四十五條は
現行法と同樣、自首についても告発の
規定を準用いたしたわけであります。
二百四十六條は新らしい
規定でありまして、
司法警察員が犯罪の
捜査をいたした場合には、速かに
檢察官に書類、
証拠物と共に事件を送致せよ、但し
檢察官が特に指定いたしましたところの軽微な事件については、從來通り微罪処分を許しまして、この場合には必ずしも
檢察官に送致しなくてもよろしいという
規定を設けたわけでございます。