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國務大臣(
鈴木義男君)
質疑を終るに際しまして、
法務総裁として
一言発言をお許し願いたい。この
政府原案というものは、御承知のように
質疑の過程において明らかになりましたように、非常な
政府といたしましても
愼重な
審議を重ねました結果到達した結論でありまして、一方に
憲法の
精神も生かし、他方に
現実の事実に即して、現在勤めております
判事檢事諸君の
地位、感情その他を顧慮いたしまして、この辺ならば
我慢をして頂くことができよう。又
我慢をして頂くより外ないという
差別を立案いたしたわけでありまして、これが
衆議院の
委員会におきまして更に
差別を強くせられたということにつきましては、先程
來申上げておりますように、同じ
学校を出、同じ
試験を受け、同じように
修習を経て、そうして同じ
年限の
勤続年限を持
つておる
判事と
檢事とが、上の方に参りましてからずつと
待遇の上に
開きができるということは、社会的に見ても如何にもその人間の
價値に相違があるというようなふうに誤解される虞れがあるのでありまして、一種の信義の問題である、権威の問題であるということから、低い方の
待遇を與えられます
檢事としては、誠に遺憾に存じておるところであろうと思うのであります。そこで
一つ差別というものは、
憲法が確かに
裁判官を以て
最高の
官吏とし、
檢事との間に若干の差認めているということは否定いたしませんが、この
精神に副うような
制度を先ず立てなければならん。
制度を立てて、そうして先
づ採用試験も大体
弁護士と
檢事とも
採用する、そうして五年或いは十年の
修習を経て後にその優秀な人を
裁判官に
任用するというような
制度を開くことによ
つて初めて、そういう
差別待遇というものが素直に受取ることができるようになると信ずるのであります。
政府はその点に意を用いまして、早晩そういう
制度を、この
國会にも間に合わないかも知れませんが、次の
國会には必ず御提案申上げまして、新らしい
任用制度を
採用いたしたいと
考えているのであります。そうでありますから、それを諒とせられまして、何卒
政府原案をお通し下さるようにお願いをいたすのであります。この
制度の方を改革しないで、いきなり
政府原案の
差別すらも、甚だ心安からざるものを感じておりますのに、更にこの上
差別を強くせられますことは、現在この任にありまする
人達にと
つては堪え難いことであるのであります。それで万止むを得ないならば、当分の間これは
差別を附けないというように留保を附せられまして、御
審議を煩すことがでぎますならば、それも幸いである、かように
考えておりまするので、何卒
政府の意のあるところをお酌み取り下さいまして、然るべく御
審議を賜わりたいと存ずる次第であります。