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1948-05-07 第2回国会 参議院 司法委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年五月七日(金曜日)
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
裁判官
の
報酬等
に関する
法律案
(内
閣送付
) ○
檢察官
の
俸給等
に関する
法律案
(内
閣送付
) ○
裁判官
の
刑事事件不当処理等
に関す る調査の件
—————————————
午前十一時十九分開会
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
司法委員会
を開きます。「
裁判官
の
報酬等
に関する
法律案
」
並び
に「
檢察官
の
俸給等
に関する
法律案
」両案を一括して議題といたします。前会に引続きまして
質疑
を継続いたします。
小川友三
2
○
小川友三
君 私は「
裁判官
の
報酬等
に関する
法律案
」につきまして
質疑
をいたしたいと思います。
報酬
とありますが、
裁判官
の
報酬
は、
憲法
の第七十九
條並び
に第八十條によ
つて
、
在任
中は減額することができないことにな
つて
おりますが、御
承知
の
通り
、外貨の
輸入見通し
がいよいよ始まるということと、生産が増加しておるという
現実
と、平常
事態
に復しつつあるという
経済状態
から見まして、
デフレ
に入る面が非常に多いのでありますが、
政府
はこの原案の
通り報酬
を上げて
しまつて在任
中
デフレ
に入りましても、これが
憲法
によ
つて
守られておる
関係
上、下げることが非常に困難になると思いますが、この点に対しましてお伺い申上げます。昨日
衆議院
の
司法常任委員会
の樣子を、
総理大臣
の
答弁
を聞いておりますと、インフレは昂進をする一方であるというような
解釈
を
総理大臣
はしておりますが、それは非常に
解釈
が私は誤ま
つて
おると思うのでありまして、こうして決めたからには、何年かはこのまま行くのであると思いますので
デフレ時代
に入
つた
場合にはこれをどうする
考え
であるかという
政府側
の御
意見
を承わりたいと思います。 〔
委員長退席
、
理事岡部常
君
委員長席
に著く〕
岡咲恕一
3
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
只今お尋ね
になりました案件は非常に重大な問題でございまして、むしろ
財務当局
から御
答弁
するのが至当かと
考え
ておりますが、私は
法務廳関係
の
政府委員
といたしまして一應お答え申上げます。お説のように、
憲法
によりまして、
裁判官
の
報酬
は、一旦
決定
いたしますと、これを減額いたすことはできませんので、一應この
法律案
によりまして、別表によ
つて金額
が決まりますというとこの
金額
は貨幣に対する特別の
措置
をいたさない限り、この
金額
を減額いさすことはできないものと
考え
ております。
小川友三
4
○
小川友三
君 減額できないと思
つて
おるというだけでは困ります。現在ある面においては新生が二十円に下りつつあるというようなわけで、
デフレ
に入
つて
おる面があるのは事実であります。この
デフレ
に入りつつあるときに当りまして、こうしたことに対して、特に
法務関係
で知らないというならば
大藏大臣
又はこれに代るべき
財務関係
の
政府委員
の御
答弁
を要求いたします。
岡部常
5
○
理事
(
岡部常
君)
速記
を止めて。 〔
速記中止
〕
岡部常
6
○
理事
(
岡部常
君)
速記
を始めて。懇談を止めまして、再開いたします。それでは、実はこちらの
委員会
の要求で
法務廳
から
岡原人事課長
、
最高裁判所
から
石田人事課長
の両氏がお見えにな
つて
おられますので、
給與関係
について御
質問
がありましたら、この機会を御利用願いたいと思います。
小川友三
7
○
小川友三
君
裁判官
と
檢察官
の
報酬
並び
に
俸給
に関する
本案
に対しまして
政府
は、
檢察官
には低い
手当
をするのが、これが建前であるということを言われておりまするが、この
法律案
から見ますると、上の方は大体同じでありますが、下の方において、相当同じような点があるのでありますが、これは現在までの採用した通念から推してこうしたことにな
つたの
でありましようか。どういう
観点
から、こうした
金額
にな
つたの
でしようか、御
説明
願います。
岡原昌男
8
○
政府委員
(
岡原昌男
君)
お尋ね
の
判檢事
の
給與
の
差異
の点でございますが私、昨年の九月から
人事課長
をや
つて
おりまして、一月程前に
会計課長
に変りましたので、その間ずつとこの
給與
の問題を取扱
つて
おりました。
從つて
この
法案
の
成立
の当初にも関與いたしております
関係
上、知
つて
おる限り御
説明
申上げたいと存じます。
判檢事
の
給與
の
水準
を如何にするかにつきましては、実は昨年の九月私が任命されました直後からこれを取上げまして、当時いわゆる
凸凹調整
というものが
一般官吏
について
考え
られました際でありましたので、取敢えず当時の
司法省
といたしましては、
檢察官
並び
にその他の
司法省所属
の
職員
に対する
凸凹調整
の形で
優遇
をしたいという方針の下に
最高裁判所
の
事務当局
とも御
連絡
申上げまして、
判檢事
の
待遇
を、私
たち
の
希望
といたしましては大体同等ということで、その
水準
でや
つて
行きたい。さような
観点
から順次
連絡
をとりつつ
立案
した次第であります。然るに当時
最高裁判所
におかれましては、御
承知
の
裁判官
の任命替の
事務
が非常に山積いたしまして、
給與
の改善に関する
事務
が聊か私
たち
の方よりは捗りませんので、案といたしましては、私の方が
大藏省
との
連絡
が先に付きました
関係
上、十月初旬においてすでに
一案
を得たのであります。その後、これを
大藏省
の
給與局
と
連絡
を重ねつつ、
最高裁判所
と
連絡
をいたしまして、同時頃に発表しようということで進んで参りましたところが、十一月の初旬に至りまして、
最高裁判所
の方が
所長
の任命も全部済むというふうな
見通し
がありましたのと、それから私の方としては
檢察官側
からも
優遇
を早く実施して呉れという
希望
がありましたために、この
凸凹調整
の形の
優遇
と、それから
裁判所
の方のいわゆる
裁判所法
に基く例の
報酬
の
應急措置法
、それに基く
裁判所
の
規則
、その
規則
によ
つて俸給
の
格付け
をするというその
規則
の実際の
運用
と、この
二つ
の並行した
措置
を同時にしたいということで、丁度十一月の五日と私は記憶しておりますが、
裁判所
の方は
所長
を全部任命するという段取りに
なつ
たと聞きましたので、その前日
大藏省
との最後的な打合せを済ましたあとに、
最高裁判所
の
人事課長
に御
連絡
しまして、大体明日実施したいというので、それをや
つて
行きました次第であります。それが、大体若干の是正はありますけれども、現在の
檢察官
の
俸給
の基礎にな
つて
おるのでございます。
裁判官
の方もその後若干遅れましたのでございますが、私
たち
の案とほぼ同樣、やや上の方で、最後的な御
決定
をされまして、殊に
最高裁判所規則
の第四号の一部改正をなさいまして一号の二千円の上に
特号
二千二百円という
金額
を一つ設け、その
関係
で私
たち
の方と
水準
が違
つて
参りましたけれども、大体においては並行したような案で、実際の
給與
をなさ
つたの
でございます。そういうふうにして進行しておりました。ところが御
承知
の
俸給
並び
に
報酬
の
應急措置法
は十二月末を以て失効することに相成りました
関係
上十一月の下旬には恒久的な
法律
の形にこれを移し替える必要を認めましたので、その当時も
裁判所
と御
連絡
いたしまして、これを何とか恒久的に持
つて
行く
立案
を共同でしようじやないかということでや
つて
おりました。ところが
一般
の
官吏
に対する例の千八百円
ベース
からどこまで引上げるかという
水準
の問題が
確定
的な段階に至りませんので、この話も
大藏省
との
連絡
が付き兼ねて、御
承知
の
通り延期
をされたのでございます。当時
大藏省
におきましては、
給與局
の一課、今は四課にな
つて
おりますが、坂田第一
課長
及び現在の慶徳第四
課長
の
手許
におきまして、
一般
の
國家公務員給與等臨時措置法
という
法律
の
法案
が
準備
されてお
つたの
でございます。そこで、この
一般
の
國家公務員給與等臨時措置法
の
水準
と
檢察官
並び
に
裁判官
の
水準
は、どの点においてこれを合致せしめ、どの点においてこれに差を付けるべきかという具体的な檢討に入
つたの
でございます。然るに御
承知
の
通り
、当時の
情勢
といたしましては、
労働攻勢
その他の事情がありました
関係
上、二千四百円にするか、五百名にするか、八百円にするか、乃至三千円にするかというふうな諸案がございまして、千八百円からの飛上りました限界が分りませんでした
関係
上、
一般官吏
の
給與体系
が不
確定
のままであ
つて
は
裁判官
並び
に
檢察官
の
俸給体系
も
確定
することができんということで、そのままに
なつ
た次第でございます。その間私の方といたしましては、
檢察官関係
の
法案
の
準備
をいてしまして、
一案
を作り、これを
法制局並び
に
大藏省給與局
の審査に託した事実がございます。その後明けまして本年の一、二月に入りまして、
臨時給與委員会
の
決定
により二千九百二十円という
ベース
が
確定
いたしましたのでございますが、その
直前
のことでございます。
日はちよ
つと忘れましたが、
檢事総長
から御下命がございまして……
檢事総長
が
GHQ
に参りましたところが、
裁判所
の方から
判事
の
俸給
に関する
法律案
の
要綱
が出ておる。
檢察官
の方はどうしたのか。
檢察官
の方も併せて私の方で、つまり
GHQ
の方で審議したい。
從つて
早急に
立案
して持
つて
來いということを言われて來たが、君、どうなんだと、こういうふうな話がございまして、実は私の方といたしましては、若干の
準備
はしてございましたけれども、
ちよ
つとした
経緯
がございました
関係
上、まあ
事態
を見送るということで、実は
靜観
をしてお
つたの
でございますというふうに総長に申上げたのでございます。その結果、
GHQ
のマコーミツク氏に呼ばれまして早く案を持
つて
來いということを下命されました。で、
檢察官
の
給與
に関する
法案
の
要綱
なるものを作成いたしまして、これを提出いたしましたところが、これは
金額
が書いてないじやないかというので、えらく、まあ不満を言われたのでございます。私の方としては
格付け
の問題だけを
法案
の
要綱
に書いてお
つたの
で、
金額
は漠然としてお
つたの
でございますが、さような話がございましたので、何とか
金額
を
確定
する必要があるということを
考え
まして、どれくらいにいたしましようかというふうな話をいたしました結果、大体
裁判所
からの案も出ておるが、これを見て
立案
したらよかろうというような、筋はそんなような
お話
員ありまして、それに実は
倣つて一案
を作
つて
持
つて
行つたの
でございます。然るに私の方といたしましては、当時まだ
水準
がはつきり決ま
つて
おりませんでした
関係
上、
檢事総長
の
俸給
を三万円とする案と二万円とする案と二案
準備
いたしまして、
A案
、
B案
と名付けましてまあいずれでも結構でございますと
言つて
提出して置いたのでございます。その後そのままにいたして置いたのでございますが、今申しました
通り
二千九百二十円の
ベース
が
確定
いたし、そうして同時に
大藏省当局
といたしましては、この二千九百二十円
ベース
による
内閣総通大臣
の
俸給
を二万五千円と一應の案を立てたということを聽きまして、二万五千円に相当する
最高裁判所
の
長官
の
俸給
を二万五千円というふうな案も
考え
て見たのでございますが当時の
情勢
といたしまして、或いは
裁判官
、
檢事
官につきまして特殊な
俸給
を認めて呉れるんじやないか、
大藏省
も納得して呉れるんじやないかというふうなことも
考え
まして、まあ多少駈引き
といつて
は大変失礼でございますが、三万五千円、三万円という案を一應出したのでございます。そういうふうにして進行いたし、両案を向うに預けつ放しにいたしまして、
一般
の
給與水準
の
確定
……
給與水準
と申しますと二千九百二十円による
内閣総理大臣
並び
に各
國務大臣
の具体的な
俸給
の
金額
の
確定
を待
つて
おりましたところが、突然まあ前の案でよろしいというふうな
関係方面
からの話もございまして、それで実は私の方としても
一般
の
水準
との
関係
であわてたような次第でございました。その後、紆余曲折を経、或いはお聞き及びのことかとも思いますが、
閣議
におきましてもこれが相当問題にされたそうでございますが、結局のところ
只今
お
手許
で御審議願うことになりましたこの両案のような形で
確定
することに
なつ
た次第でございます。一應の筋道はそういうふうなことでございます。
小川友三
9
○
小川友三
君 関連して……これは
閣議
の
決定事項
でありまして、これに対して
総理大臣
はこういうことを
二枚舌
を使
つて
いるように思いますが、
二枚舌
であるかどうか、一つ責任ある御
答弁
を願います。
総理大臣
はこの
判檢事
は
差別
を付けなくてはならないと初めに言われておりまして、それから
終い
になると、又同じ日に、今のところは暫定的に大差を付つけるべきではないということを言われております。それで昨日の
衆議院
の
速記録
を見てもお分りの
通り
、これは
差別
じやない、
総理大臣
はこういう
言葉
を使いました。大きな人に大きな
洋服
を着せて、小さい人に小さい
洋服
を着せるんだから、これは何ら
差別
でないということを言われておりましたが、これにつきまして
政府委員
の御
答弁
を願います。これは
速記録
に載
つて
おりますから……。
岡咲恕一
10
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
総理大臣
が申しました
趣旨
は、
裁判官
の
憲法
上における高い
地位
に鑑みまして、
裁判官
は
檢察官
よりも高い
報酬
を支拂われるのが
理想
である。ところが
現実
はその
理想
の前にはいろいろな
関係
がありますので、直ちにその
理想通り
に参るわけに行かない。併し原則としては大体その
理想
の線に沿うようにして、
檢察官
は
裁判官
よりはやや低目の
給與
を
本案
では
考え
ておるのである。ただ
東京高等檢察廳
の
檢事長
、その他の
檢事長
それから
最高檢察廳
の
次長檢事
、この
檢察官
につきましては大体
東京高等裁判所
の
長官
、その外の方、
裁判所長官
と同額の
給與
を認めておるのである。これは
檢察官
が
裁判官
に比較して、やや低い
給與
を與えられておるということに対する僅かな例外である、こういう
趣旨
の御
答弁
をいたしたと
考え
ております。
小川友三
11
○
小川友三
君 関連して……
総理大臣がかりそめ
にも
裁判官
を大きな人に見て、
檢事
を小さな人に見て、そうして大きな者には大きな
洋服
を着せるんだから
差別
じやない。小さい人には小さい
洋服
を着せるんだということですが
裁判官
を大きな人と
解釈
し、
檢事
を小さな人と
解釈
してよろしいのでしようか。これに対して責任ある御
答弁
を願います。
岡咲恕一
12
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
只今
の
お話
は、私
総理大臣
の発言として聽きませんので、どういう
趣旨
で申したのか、一
應裁判官
と
檢察官
との
待遇
の在り方に関する譬として申上げたんだろうと想像いたすだけでございます。
大野幸一
13
○
大野幸一
君 この際
一つ政府委員
の人に申上げて置きたいと思います。本
委員会
し少人数と雖も全
國民
を代表しておるのであります。ここに
速記
を命ぜられて、あなたの今おつしやることは官報を以て全
國民
に知られるのであります。そこで今この
法案
の経過を
説明
せられました
政府委員
のお
言葉
の中に、
A案
を三万円とし、
B案
を二万円としてというような、こういうような節があります、これを
國民
が聞きますれば、一体向うが許して呉れれば三万円でも二万円でもよい、そういうような
考え
でこの
法案
を提出せられては、それは全
國民
が
承知
いたしません。
下級官吏
の
給與
を決める場合には、その家の
家計簿
を以て、その
家計簿
から
計算
したところの詳細なる
説明
を以て初めて二千九百二十円
ベース
がどうであるかということを眞に
考え
て
給與
しておるのである。
最高
のいわゆる官職にある
檢事総長
ですか、それを二万円でも三万円でもよろしいと、こういうようなことを公々然としてここで言われては、我々
國民
の代表としては甚だ面白くない。そこで先程も、まあ掛値もあ
つた
、こういうような
お話
である。こういうような心掛けはよくない。今、
國民
は重税の負担に堪え兼ねて、そうしてそれでも尚
日本再建
のために、全く
税金
を納めるのに苦しんでおる。その
税金
から
公務員
が、
國家
の
役人
が
俸給
を貰
つて
おるのである。こういう点をどう
考え
るのであるか、私は実にこのことはお
考え
を願いたい。そういうことをざつくばらんにおつしやることは歓迎いたします。そういうときには
速記
を止めてそうしてや
つて
頂かなければいけない、こういうことを今
考え
ましたから、
一言意見
を申上げます。
岡原昌男
14
○
政府委員
(
岡原昌男
君) 御指摘の
通り
、お
言葉通り
でございまして、大変失礼申上げました。ただ
経緯はちよ
つと私の
言葉
が足りませんので、補足して
ちよ
つと申上げますんですが、その当時、先程も
ちよ
つと申上げました
通り
、二千九百二十円の
ベース
が決まる
直前
でございまして、仮に二千四百円ペースに
なつ
た場合と、三千円の
ベース
に
なつ
た場合の二案を
考え
たわけでございます。その
根拠
といたしますと当時
大藏省
の
給與委員会
は私は随時出席いたしまして、
給與
の
成り行き
を
承知
いたしておりましたのでございますが、その
成り行き
によりますと、大体
職階制
を採用するということと、それから
職階制
に
なつ
た場合は大体現在の
最高給
の三十四号、
総理大臣
の
俸給
でございます。その三十四号がどれだけに行くか、その何倍という倍率が出てお
つたの
であります。そこでその
関係
から二千五百円の
ベース
によけ
計算
とそれから三千円の
ベース
による
計算
と二案を立てました次第でございましてその後二千九百二十円の
ベース
が
確定
いたしましたので、ほぼ私共の方で
見通し
ました三万円の案に近いものと
考え
まして、三万円の、つまり
A案
を
確定
的なものとして取上げたのでございます。
ちよ
つと私の
言葉
が足りませんので大変申訳ないのでありますが、そういうような次第でございます。
大野幸一
15
○
大野幸一
君 よく了解いたしました。
岡部常
16
○
理事
(
岡部常
君) 皆さんに申上げますが、
最高裁判所
から來ておられますが、御
質問
がありましたらこの際……。
前之園喜一郎
17
○
前之園喜一郎
君 この両
法案
に直接の
関係
はないのでありますが、この
二つ
の案が通過いたしますると、まあ十分ではありますまいが、
裁判官
並び
に
檢察官
の問題は、一
應けり
が付くのではないかと
考え
るわけであります。この前
小川
さんであ
つた
と思いますが、御
質問
に
なつ
たようでありますが、私
共九州班
の視察に参りまして、各
裁判所
に参りました際にも、
裁判所長
その他の
関係
の方からも特に
お話
があ
つたの
でありますが、それは
裁判所
の
書記
これは無論
憲法
上何も保障されておるわけではありませんが、
仕事
の上におきまして殆んど
判事
と不可分の
関係
にあります。実に多忙な
仕事
をしておられる。公判の
書記
のごときは、清書されるのは殆んど自分の家で日曜も潰してやられるという
実情
であります。平素の
勤務振り
を見ましても、他の
官廳等
におきましてはいろいろなことをや
つて
おります。定時退廳をやるとか、或いはいろいろな爭議をや
つて
おるのでありますが、私共の知る範囲においては、
裁判所
だけは実に眞面目にや
つて
おる、殆んど心魂を傾けてや
つて
おると
言つて
も過言ではないくらいに私共
考え
て非常に感謝しておるのでありますが、これも御
承知
のように他の
官廳
の
方々
に比べて非常に窮屈な生活をしておられるという
実情
にあるようであります。いろいろとお
考え
もあることと思いますが、これらの
方々
に対して具体的なことをお
考え
にな
つて
おりまするならばこの際承
つて
置きたい。若し現在そういうような案が具体的に進められておらんならば、何とかしてこの
裁判所
の
職員
に対する特別な
措置
をお
考え
を願いたい、こういうふうに
考え
ておるわけであります。
一つ忌憚
なき御
意見
を承わりたいと思います。
石田和外
18
○
説明員
(
石田和外
君)
只今
どうも大変御理解のある、
裁判所
といたしましては全く有難い御
質問
でございまして感謝いたします。実は新
憲法
の実施によりまして新らしい
裁判制度
として
裁判所
は出発することになりまして、
判事
の
待遇
問題ということが審議されておるわけでございますが、
裁判所
をよくいたしますには、実は
裁判官
だけがよくなりましても、決して満足な結果は得られませんので、これと相呼應して
裁判所事務官
乃至
書記
の
地位
が、
裁判官
の
地位
に比例して、これに準じて向上しなければ到底
司法制度
の満足なる
運用
は得て望み得ないところでございます。これを質をよくいたしますには、どういたしましても、然るべき
優遇
をして頂きませんというと、優秀な人材を吸收することができないわけでございます。ところが
給與
の問題に関連いたしましては、結局
裁判所書記
に対する
世間
の御
認識
が非常に低いせいがあると思いますが、單なる
書き役
というふうに
考え
られておりますので、非常に低く
待遇
され、又
志氣
も大いに上らないという
状態
なのでございます。ところが
給與
の問題といたしましては
一般
の
公務員
の
給與
の問題から切り離して、これを見て頂きたいというのが
裁判所側
の
希望
でございますが、
一般
の御
認識
が低いためになかなかそこまでや
つて
頂く
情勢
にならんのだと思います。その点、今後
裁判所
に課せられた大きな問題として、私共も
世間
の御
認識
を得べく最大の努力をいたすつもりでおります。それから
給與面
のみならずいろいろ内容を充実するという必要もございまして、そのためには可なり大掛りな
裁判内書記
の
研修制度
と申しますか、特別な教養の設備をこれも
考え
て、結局物質的な
給與
が向上すると同時に、質的にも向上を
図つて
、
事務局
乃至
書記
の充実を図りたいというふうに
考え
ておりますが、今のところ
具体案
は遺憾ながら得てございません。
松村眞一郎
19
○
松村眞一郎
君 先程
裁判官
の方も
檢察官
の方も同じ
水準
によ
つて計算
をするという
考え
で進んだという
お話
でございましたが、その意味は何か
法律
の
根拠
に基いて、そういうことをおつしやられるのか。それと
判事
と
檢事
、
裁判官
と
檢察官
との平等ということと、
檢察官
から眺めて、
一般官吏とこ水準
ということについてはどういう
考え
を持
つて
おられるか。つまり
法律
上の何か
根拠
によ
つて水準
を同じくするということを
言つて
おられるのかどうか。そうしたならばその
法律
上の
根拠
を示して頂きたい。
岡原昌男
20
○
政府委員
(
岡原昌男
君)
只今お話
の点につきましては、私の
考え
るところでは別に
法律
上の
根拠
という程のことはないと存じております。ただ從來いわゆる
判檢事
と言われ、或いは司法官と言われてお
つた
、その取扱いの
実績
と言いますか、それから現在の
裁判所
並び
に
檢察廳
を構成しております
裁判官
、
檢察官
の
実質
と言いますか、それらの
関係
からして今直ちにこれに著しい差等を付けるということは、事実上妥当ではないというふうに
考え
ましてこの
程度
の差で一應妥協と言いますか
具体案
としたいという
考え
なんでございます。それから
一般官吏
との
水準
の問題でございますが、これは
超過勤務手当
が
裁判官
、
檢察官
は認められない
関係
上、実際の
運用
の面におきましては、必ずしも飛躍的な、或いは顯著は
差異
は出て來ないだろうと実は
考え
ているのでございます。勿論何割かの違いは出て來るかと思いますが、そう目を瞠るような、
國民
が納得しないような
差別
は出て來ないと私は
考え
ております。この問たは、実は現在の
裁判官
、
檢察官
を新らしい
俸給
のどの
号俸
に載せるかという問題で決して参りますので、今直ちに数字的には御
説明
申上げることができないのを遺憾とするのでございますが、平均といたしまして必ずしもそう違いは出て來ない、こういうふうに
考え
ているのでございます。
松村眞一郎
21
○
松村眞一郎
君 そういたしますというと、
一般官吏
と
実質
においては大体同じように
考え
ている、こういうふうに了解してよろしいのでございますか。
岡原昌男
22
○
政府委員
(
岡原昌男
君) その点は今も
ちよ
つと申上げました
通り
、具体的にこの人がどの
号俸
に行く、そうすると新らしい
俸給
は
幾ら
になる、そうすると
総計
は
幾ら
になるという
計算
をして見ませんと、具体的なことを申上げ兼ねるので、非常に遺憾でございますけれども、大体
ちよ
つと目の子算と言いますか、
見通し
では三割ぐらいの差はできても、それ以上大した差はできないと私は睨んでおります。これは実際の睨みでございまして、これからこの
法案
が若し通るようなことになりましたら、その上で具体的に当嵌めをして、この人は何
号俸
、この人は何
号俸
で、それから
超過勤務手当
の
実績
を
考え
まして
総計幾ら
というふうに
計算
しなければなりませんので、相当
計算
は面倒なんで、事前に資料を作ることができませんのは非常に遺憾でございます。
松村眞一郎
23
○
松村眞一郎
君 大体において同じようにするという
考え
なんですか。普通の
役人
よりも三割多くしようという
考え
ですか。
岡原昌男
24
○
政府委員
(
岡原昌男
君) いいえ、その点は
一般
の
行政官
と違いまして、
司法権
の行使に参画する
裁判官
、
並び
に準司法官的な
仕事
をする
檢察官
につきまして、それぞれ安んじてその職務を遂行し、その
威嚴
を保ち得る
程度
の
金額
ということで
立案
したのでございまして、実は二千九百二十円
ベース
による
一般官吏
の
俸給
の具体的な
金額
は、私
たち
の案ができました後に、第二囘の
臨時給與委員会
の
立案
に基いて作製したものでございます。
從つて案
の
成立
が前後いたしますので、特に三割の差を付けたいと思
つて
……そういう経過ではございませんので、結果的に見ますと、大体そんなことになるのじやないかというような感じがするというわけでございます。
松村眞一郎
25
○
松村眞一郎
君 それでありますと、こういうふうに
解釈
していいですか。司法官とか、準司法官の
地位
を保つ上において、私は準司法官ということは絶対に承認しませんが……安んじて職を奉ずるに必要な
金額
を算出したのであるというならば
一般官吏
と比較する必要はない、絶対論なんですから……
從つて
一般官吏
がどうな
つて
も司法官及び準司法官はこれだけの金が要るという絶対論をするのであるかどうか、若し
超過勤務手当
制度を認めた場合はどうしますか。
一般官吏
と同じように、
超過勤務手当
を認めた場合でも
一般官吏
より必ず重くなければならないという議論が必要であろうか、
一般官吏
の問題に
関係
なく、自己の
地位
のために必要な
金額
を要求されるかどうか伺いたい。
岡原昌男
26
○
政府委員
(
岡原昌男
君)
立案
の経過から申上げますと、
判檢事
がその職務を安んじて執り得る
報酬
並び
に
俸給
を與えないということが、
計算
の基準にな
つたの
でございまして、勿論そこには
一般官吏
の
給與水準
というものが大きな枠として嵌
つて
おることはこれは当然でございますので、それとの睨み合いを考慮しつつこの案が出た次第であります。
松村眞一郎
27
○
松村眞一郎
君 枠が参考にな
つて
おるということであれば、枠を尊重するのか、それよりも高くするのかということを伺
つて
おるのであります。
岡原昌男
28
○
政府委員
(
岡原昌男
君) 御指摘の御
質問
にお答えします。その点は
一般官吏
の枠内において処理しておるつもりでございます。
松村眞一郎
29
○
松村眞一郎
君 枠内ですか。それであれば、原則として、
一般官吏
も亦自己の職責を盡すに必要な
俸給
を貰わなければならんのは当然で、これは
國家
公務員
全般の問題でひとり
檢察官
だけの問題でないと思います。その意味においては
一般官吏
の枠内で進むというお
考え
であろうと私は思います。
檢察官
だけが別の
行政官
だから重いということはなく、これはそれぞれの見方によ
つて
檢察官
が重いとか、税務の
官吏
が重いということが議論されるので、
從つて
公務員
としては
一般官吏
の枠内において進むべきであるかどうかということを私は伺
つて
おるのであります。
岡原昌男
30
○
政府委員
(
岡原昌男
君) 御指摘の
通り
でございまして、
一般
の
給與水準
の枠内においてこれを進めて行くべきであ
つて
、特にこの枠を外して特殊の
待遇
をしようということではないのでございます。そしてこれは
國家
公務員
法の精神によりましてそれぞれの
官吏
の持つ責任と
地位
と職務に應じましてそれぞれ違
つた
給與
の体系が作られるのでございます。
從つて
一般
の
給與
につきましても現在進められた案によりますと、一應共通の何級ということが、一級から十四級までございますが、その級の枠に嵌らないところの学校
職員
刑務官とい
つた
ような
方々
につきましては別な職階を作る。併しそれはいずれにせよ二千九百二十円
ベース
に載せるという案で進んでおるようでございます。
從つて
判檢事
につきましてもその枠内で処理しておるということでございます。
松村眞一郎
31
○
松村眞一郎
君 結局するところよく了解しました。最後に
判檢事
についてもとおつしや
つて
おりますが、
判檢事
もやはり
國家
の
公務員
と平等の眺め方をしなければいけないということについては、私は了解します。そこで私は
法律
上の
根拠
があると思う。上の方には……。それは現に
裁判官
の
報酬
の應急
措置
に関する
法律
というものがある。それから
檢察官
の
俸給
の應急
措置
に関する
法律
というものがあ
つて
、上の方の
裁判官
なり
檢察官
なりは、ちやんと準拠法ができているのでありますから、この
法律
が嚴として存在している間は、それがたとえ應急的な
法律
であろうと、改正されるまではそれに準拠して支給さるべきであると思いますが、如何でありましようか。
岡原昌男
32
○
政府委員
(
岡原昌男
君) その点につきましては、その應急尊置法ができ上りました当初の経偉を簡單に申上げなければいけませんのですが、その当時
判檢事
については、差を認めるべきか認めてはいかんかという問題が、やはり今囘同樣問題にな
つたの
でございます。併しこの点につきましては、いろいろな
情勢
がございまして、
應急措置法
の線まで動きまして、從來の、終戰と言いますか、新
憲法
施行
直前
までは全然対等という
地位
が変
つて
参
つた
。
俸給
については変
つて
参
つたの
でございます。然るにその後いろいろ又
情勢
が最近変
つた
ように私は思いますが、やはり旧來
通り
の余り
差異
を付けないほぼ同等のあれで行くべきだという
考え
が支配的に、支配的と
言つて
はなんでございますが、非常に持上
つて
参りましたので、結局今度の案を作
つた
次第でございます。尚
ちよ
つと現在の
根拠
法の
お話
がございましたのですが、実は
應急措置法
の
関係
は五月二日で失効いたしました
関係
上、実は是非この
法律
を早く、五月三日以前に出そうかと思
つて
お
つたの
でございますけれども、どうしても間に合いませんので、つい失効したというふうな形でございます。根本方針は
從つて
動きつつあるというふうに御了承願えればよいと思います。
松村眞一郎
33
○
松村眞一郎
君 この五月二日で失効しておりますけれども、あの案を作るときは前ですから、そのことについてはそれは細かい議論として必要はないと思いますが、若し必要があれば、それを延ばして置けばよい。審議する間……。今、無
法律
な
状態
にありますけれども、まあこれは無
法律
の
状態
はおかしいのですが、常識的にこの
法律
でや
つて
お
つて
差支えない。こういうことは今度新らしい
法律
が出れば、前に遡
つて
やればいいのだから一向心配ありません。大体私了解しました。そういう
趣旨
で
法務廳
として
考え
ておられるということは私よく了解しました。そこで
法務廳
が
裁判官
の方の
俸給
について予算を提案するという
法律
上の
根拠
をどこに置いておられるか。つまり
裁判所
の予算を
法務廳
で取扱うということは、現行法上ちつとも
根拠
がないと私は思うのです。元はよいのです。
司法省
というものは漠然としておりましたから……。今度はそれがないのだから、
裁判所
のことの
説明
をあなたの方でされるということが、
裁判所
の方としては或いは迷惑かも知れないと私は思うのです。その点どうですか。
法律
上の
根拠
は……。
岡原昌男
34
○
政府委員
(
岡原昌男
君) 御指摘の
通り
でございまして、
法務廳
としては
裁判所
の予算に干與する権能は持
つて
おりませんのでございます。併し本件の取扱いといたしましては、
裁判所
の方で
法案
の提出権がございません
関係
上
法務廳
の方に御依頼になりましたのでございます。それでこちらで御審議願いまして、
法律
ができますれば、いわゆる
法律
費と申しますか、規定費と申しますか、
法律
で認められた経費として
裁判所
の方で予算にお組みにな
つて
國会の御審議を願うという、こういう順序になるだろうと思います。
松村眞一郎
35
○
松村眞一郎
君
法務廳
の中にはいろいろ調査局というものもあり、法制局というものもできて、從來の法制局のような
仕事
をしておるのだから、
裁判所
系統の予算をどうするかという
法律
上の権限はないと思います。現行法はそうであるが、將來どうするつもりか、若し
法務廳
の方が頼まれたからやるということは、そういうことは私的の行爲であ
つて
、合法であるかということは、これは問題だと思います。それは内閣としてどう
考え
ておるかということは、これは
法務廳
に聽くより内閣に聽いた方がよいかも知れませんが、どういう協定をされたのでありますか。それを何か内閣において審議の結果こういうことにするというふうに決めたのか、將來はどういうようにするつもりであるか、何か調査中であるかどうか、その点を承わりたいと思います。
岡咲恕一
36
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
裁判所
関係
の
法律
、殊に本件のような
裁判官
の
報酬等
に関する
法律案
を、
政府
の如何なる機関において
準備
いたすかという問題でございますが、從來これは
司法省
でいたしておりまして、新たに
裁判所
が
司法省
の管轄から離れまして独立いたしますと同時に、それから更に
司法省
が新らしい
法務廳
として姿を変えて參りました現在におきましては、
政府
部内におきまして
裁判所
関係
の
法案
の取扱部局といたしましては、やはり
法務廳
が一番適当であろうというふうに從前の取扱上の
経緯
もございますし、適当と
考え
まして、
法務廳
でこれを研給
準備
するということに
なつ
た次第でございますが、
法務廳
の部内におきましての
関係
では、総裁以下幹部の者が集りまして、一應
裁判所
関係
の
法律案
は調査
意見
第一局が主管責任者として
準備
をいたすということに取り決められまして、その
通り
決めに從いまして、主として調査
意見
第一局においてその
法律案
を
準備
いたしたのでございます。その
準備
につきましては、先程
会計課長
から御
説明
いたしましたように專ら
裁判所
の意向を曽重いたしまして成るべく
裁判所
の方の御
希望
を達成いたしますように、又これは
政府
の責任において提案いたす次第でございますから、
政府
の立場を勿論考慮いたしつつ成るべく
裁判所
の御
希望
に副うようにいたしまして、
本案
を
準備
いたしたわけでございます。予算の
関係
につきましては、これは相当むつかしい問題だと
考え
ておりますが、本
法律案
は一應
只今
申しましたように
法務廳
で
準備
いたして、
法務廳
が主管省といたしまして
閣議
に提案いたしたわけでございますが、あの案の実態は主として
給與
にかか
つて
おります
関係
上、
給與局
が或いは提案者になるということも全然
考え
られないわけではなか
つた
次第でございます。で、殊に予算という
関係
になりますと、むしろ
法務廳
は余り
関係
いたさない方がよろしいのではないか。
裁判所
と大蔵省との間で御研究願いまして、むしろ
政府
といたしましては
大藏省
におきまして予算
関係
を
準備
いたはのが妥当ではないか。こういうように
考え
ております。
松村眞一郎
37
○
松村眞一郎
君 予算の
関係
は元は行政
裁判所
の方は内閣でや
つて
お
つたの
です。私はその方の
考え
がむしろ正しいと思います。御考究中のようでありますから、十分御檢討願いたいと思います。そうしませんと、準司法官の
待遇
をやらる場合に、いわゆる大体の司法官の方で、それは純予算でそこまで盛
つて
貰
つた
ら又それを動かさなければならんという議論も生ずると思います。
法務廳
としてよく御考究願いたいと思います。
小川友三
38
○
小川友三
君 今
法務廳
の
会計課長
さんがおつしやられましたが、これは
総理大臣
の
意見
と見て間違いないですか。
裁判官
を
一般官吏
の枠内でやはり
待遇
すると申されましたが、昨日
総理大臣
は、
速記録
を見るとよく分りますが、著しく高くこれを
待遇
し、特に品位を高めるために厚遇をするということを
総理大臣
は言われておりますが、あなたのおつしやるのでは、
総理大臣
じやないけれども、
政府委員
に代行する方ですか、寺府委員ですか、とにかくこれは
総理大臣
の昨日の
意見
と違う。これは非常に大きな問題でありまして、まあ御
答弁
は後日で結構ですが……。
岡原昌男
39
○
政府委員
(
岡原昌男
君)
お話
の点は御尤もな御疑問と存じます。要するに二千九百二十円ペースの枠内において
最高
級の
報酬
を拂いたい、こういうことなんでございます。
岡部常
40
○
理事
(
岡部常
君) それではこの
程度
で休憩いたします。午後再開いたします。 午後零時二十二分休憩 —————・————— 午後二時三十二分開会
伊藤修
41
○
委員長
(
伊藤修
君) 午前に引続きまして
質疑
を継続いたします。この間から
質疑
の論点にな
つて
おる二点を、私から代表的に聞いて置きます。先ず今
質疑
者の松村さんがおいでになりませんから私から申上げますが、
最高裁判所
の
長官
に対する
報酬
は
総理大臣
に準じてあるのであるから、先ず
総理大臣
及び
國務大臣
の
俸給
に関する
法律案
を提出してからこれを出すべきではないか、この点に対する
政府委員
の御
意見
を伺
つて
置きます。
今井一男
42
○
政府委員
(今井一男君) 確かに從來の慣例から申しますとお説の
通り
でございますが、実は
政府
部内におきましては、認証官に関する案そのものも具体的には
閣議
決定
をいたしまして、司令部の目下了解を得つつあるのでありますが、恐らくこれも極く近い機会に御審議願えると
考え
ております。大体
関係方面
の意向も固まりましたので、一方、
裁判官
の方は特殊の
関係
からしまして、成るべく早く御審議を願う必要もございましたので、一應
総理大臣
及び
國務大臣
の
俸給
の
見通し
が
確定
いたしました機会にこちらの
法案
を提出いたすような運びにしておるのであります。從いまして
総理大臣
及び
國務大臣
は二萬五千円
並び
に二萬円、こういう案で目下進行いたしておりますのみならず、すでに
関係方面
の
実質
上の了解も得ております。ただ形式上の手続がまだ完了いたしておりません。恐らく來週中には認証官の
給與
に関する
法律
という形で國会の御審議を願うことにな
つて
おります。
伊藤修
43
○
委員長
(
伊藤修
君) それからいま一つは、
裁判官
及び
檢察官
に対するところの労働基準法に基くところの時間外
手当
、
超過勤務手当
これを與えないということにいたしたということに至
つた
理由を一つ伺いたいと思います。
今井一男
44
○
政府委員
(今井一男君) この点は
裁判所
及び
檢察廳
方面とも御相談をいたしました結果、纒まりましたものでございまして、本來労働基準法をそのまま
解釈
いたしますれば、時間外勤務はすべて時間毎に正確な
計算
をいたしまして、それ相当の時間外
手当
を給するのが法の命ずるところであります。併しながら労働基準法は、本來労働者を建前にいたしまして規定されております
関係
上、機械というものにぶら下
つて
おる、機械を離れれば、それで
仕事
から離れる、こうい
つた
立場の者には極めてぴ
つた
り適用されるのでありますが、特殊の職務に從事しておる者、特に
裁判官
でありますとか、
檢察官
でありますとかいう者には、單に
官廳
の門をくぐ
つて
官廳
の門を出るまでが勤務時間である。それを一歩出たら勤務でなくなると認定することも不都合の場合も少くございませんので、
仕事
の性質上、
官廳
内におる時間は短かいかも知れんが、自宅においても或いは
官廳
外においても相当に
仕事
のために力を盡さなければらならん場合が多い。これのいい例といたしまして私共研究いたしておりますものは教員でございますが、教員は勿論本職は教壇に立
つて
講義をすることでございますけれどもその外に教案を作り、教材を整理をする。或いは採点をするとい
つた
意味においきまして、学校の門を出ましても外に
仕事
、職務と
考え
なければならん勤務がある。こうい
つた
ものを又個別的に時的で各人別に計るということもその身分の
関係
から適当とも
考え
られませんので、大体これを達観いたしまして、
一般
行政官
吏の平均二割乃至三割の超過勤務をしたもの、こういう前提の下にそれだけの
手当
を本俸の中に織込みまして、更にその外に、二割強
程度
一般官吏
よりも
優遇
するという立場で
檢事
の
給與
の案ができ上
つて
おります。
判事
はそれよりも若干色を付けるという立場で今囘の
裁判官
の
報酬
ができ上
つて
おるのでありまして、從いまして精神におきましては、
超過勤務手当
並みのものが、即ち時間外に働くということがすでに本俸の
計算
の中に含まれておる。
從つて
それより少くても別に差引の問題も生じないし、多くても追給という問題は生じない。そういう特殊の職務である。即ち基準法における例外をなすという
考え
方で
法律案
はでき上
つて
おります。
鬼丸義齊
45
○鬼丸義齊君 今囘
政府
から提出されました
裁判官
並び
に
檢察官
の
俸給
並び
に
報酬
に関しまする両
法案
が出ておりますが、この
法案
によりますると、それぞれ月額について定めがございまするが、誠にこれは分り切
つた
ような問題だと思いまするけれども、私は寡聞にしてその間の事情が分りませんためにお伺いいたすのでありまするが、
檢事総長
或いは
次長檢事
、その他高等
檢察廳
の
檢事長
とか、或いは又
最高裁判所
側におきまするそれぞれ
最高
長官
の方の分につきましては人数も決ま
つて
おりまするが、
判事
及び
檢事
の場合にはそれぞれ号数によりまして
俸給
の額は違
つて
参りまするが、こうしたような場合にも、例えば一号が一万三千円、七号が七千円というふうな異同がありまするが、この場合に一方の方に偏して例えば一号
檢事
を大部分にするとか、或いは二号の
檢事
を少くするとかいうふうな取捨はそれぞれ予算の中において予め決めておるのでありましようか。殊に
最高裁判所
の場合におきましては、普通の
行政官
の場合とは違
つて
おると覚えておりまするが、そうした場合における予算の面におきましては、何らかの号数によ
つて
判事
の一号が何名、二号が何名とかいうふうに人数がそれぞれ決ま
つて
おるのでありますか。それとも或いはこの点については号数のいずれを任用しようともそれは差支えなきものであるのであるか。若しそうした場合における予算に及ぼします影響もございまするので、その点はどういうふうにな
つて
おるか。
檢察官
の場合と
最高裁判所
の場合とはおのずから違
つて
來ようと思いますので、その点を一つこの際御
説明
を承わりたいと思います。
今井一男
46
○
政府委員
(今井一男君) 申上げます。
檢事
の場合には、申上げるまでもなく
法律
観念の上から申上げますれば
行政官
でございますので、
内閣総理大臣
の指揮監督の下にあるというような建前から
行政官
吏に対する
俸給
の振り割りは
只今
大藏大臣
が綜合的にこれを定めることに相成
つて
おります。從いまして
一般
の
行政官
吏が大体全体の予算が
幾ら
であるとか、全体の單價が
幾ら
、こうい
つた
ことが決まりますというと、それから何割
優遇
しておるのであるから、
從つて
檢事
の平均單價は
幾ら
になると、こうい
つた
ような算盤が自然と出て参ります。尚昇給等につきましても、
一般
の文官が大体何年どこに勤務するというとどの
程度
まで昇給して行く、それよりも一定の割合だけ高く、一定の幅を保持しながら
檢事
の方は進んで行く、こうい
つた
式にお打合せ願う予定でおります。從いましておのずからそこに権衡がとれますと同時に、
檢事
の極く当初任官をされた方から
檢事
正のクラスまで、ずつと各
号俸
に人が配分されることに相成るのであります。併しながらこれは定員的に何
号俸
は何人と決めてあるわけではありませんので、事情によりましては非常に上の人が多く
なつ
たり、或いは下の方が多く
なつ
たりすることはこれはあり得ると思います。尚
判事
につきましては、実は全面的に行
政府
から独立しております
最高裁判所
長官
がおやり下さることでありますからして、行
政府
としては、こうやれ、ああやれと干渉ができる建前のものではございません。併しながら從來の例その他がございますので、こちらの
檢事
等に関する準則を
最高裁判所
の方にお目に掛けまして、そうしてできるだけ歩調を揃えて行くというようなお取計らいにお願いしようとかように存じております。
鬼丸義齊
47
○鬼丸義齊君 そういたしますると、
檢事
の方にはすでに準則があ
つて
、その準則によ
つて
在來お取扱いにな
つて
おるわけですね。ところがこの
最高裁判所
の場合にはそれがない。そういうふうになりまするならば、今囘こうした両
法案
が提出されて、両院をこれが通過するとして場合におきましては、予算の組み方はどういうふうな基準を置いて組まれるのであるか。やはり
檢事
の準則によ
つて
予算を組まれるのであるか。それとも、その予算の組み方については予め
最高裁判所
の方で以てそれをかれこれ自由になし得るとするならば、それを了解済みの上でなければ予算が組まれないのか。それとも
最高裁判所
の場合においても、やはり予算を組みまする以前に準則を決めて貰
つて
から後に予算を組む、不
確定
なる予算を組むわけには参らないのであります。その点についての重ねて御
説明
を承わりたい。
今井一男
48
○
政府委員
(今井一男君) 大体こういうことに相成るのではないかと
考え
ます。
一般
の
行政官
吏は今まで貰
つて
おりました
給與
が御
承知
の千八百円
ベース
でございます。これが今囘二千九百二十円
ベース
に相成
つた
わけでありまして、この点から参りますと、大体六割
ちよ
つと殖えるわけだと思います。それだけ
一般
行政官
吏廳の各人の予算單價は殖えるわけです。それと見合いまして
判事
、
檢事
の現在貰
つて
おる
俸給
がこれが千八百円
ベース
であります。普通に若し
優遇
しませんでしたら現在に六割二分という数字を掛ければよいのでありますが、今囘は約四割
程度
一般
行政官
吏より……これは超過勤務も入
つて
の話でありますが……加えますと、四割
程度
差が付いておりますのでその数字をそれに重ねまして、
一般
の
行政官
吏の上ります割合以上に、四割の数字を加えまして、そうして現在貰
つて
おられる予算総額を基礎にして彈き出せば大過のない数字が出て参りまして、実際の
運用
にも、それで
裁判所
におかれましても、そう支障は生じない。かように
見通し
ております。
鬼丸義齊
49
○鬼丸義齊君 この
檢察官
の
俸給等
に関はまする
法律案
の第三條によりますると、
只今
政府委員
の御
説明
のごとくに準則が定められまして、その準則は
大藏大臣
と法務総裁が協議の上において定めることにな
つて
おります。ところが、この
裁判官
の
報酬等
に関する
法律案
の十條及び十一條のこれに対峙いたしまする
趣旨
の規定があるのでありまするが、これによりますると、第十一條の「
裁判官
の
報酬
その他の
給與
に関する細則は、
最高裁判所
が、これを定める。」ことにな
つて
おります。して見ますると、この
法案
が両院を通過して効力を発生することになりました後に、
最高裁判所
において細則を自由に定めることになるのであります。そういうことになりますと、
只今
御
説明
のごとくに了解されて、そうして
最高裁判所
の方がその基準によ
つて
定められるならば別としまして、規定の上からいたしますると、さような
根拠
がないのであります。そういたしますると、予算を私共が
考え
まする場合に、標準の実は取り方がないと思います。更に又十條の規定によりますると、「生計費及び
一般
賃金事情の著して変動により
一般
の
官吏
について、
政府
がその
俸給
その他の
給與
の額を増加し、又は特別の
給與
を支給するときは、
最高裁判所
は、
裁判所
について、
一般
の
官吏
の例に準じて、
報酬
その他の額を増加し、又は特別の
給與
を支給することができる。」こうな
つて
おります。この十條十一條によりますると、
行政官
の場合はおのずから
只今
政府委員
の
説明
によ
つて
從來の例に
從つて
、準則によ
つて
やりまするが、
最高裁判所
の場合においては、予算が独立しておりますような
関係
からして、この間に法的に何らかのやはり基準がなければ、甚だ私共は危ぶまざるを得ないと思います。その点はどういうふうにお
考え
にな
つて
いるのであるか。
只今
の御
説明
のごとくに、恐らくは
最高裁判所
においても、この
一般官吏
の
給與
の準則に大体準じてやられるつもりだというふうな、極めて理解ある
解釈
の下におられるのであるか、それともこの規定で以て足れりとお
考え
なのであるか、その点を一つ再度伺いたいと思います。
今井一男
50
○
政府委員
(今井一男君) 誠に御尤もな仰せでございますが、從來の
裁判所
と我々行政部との交渉の経驗から申上げますれば、
只今
御指摘のような
事態
は恐らく起らないではなかろうかと、かように実は想像いたしておりますが併し建前から申せば、三権分立でもございますし。
最高裁判所
がそうい
つた
ものに対する権限をお持ちなんでありますからして、極端な例を申せば全部
判事
が一
号俸
でや
つて
しまうというようなことをおつしやる場合も、仮定的には想像できないことではありませんが、実際そんなことはあるまいと思いますが、萬一そういうふうな場合がありました際には、結局予算の問題で、
大藏省
の予算当局と
意見
が食い違う予算につきましては、御案内の
通り
、
最高裁判所
から提出することの権限はございませんで、
政府
が
最高裁判所
の予算を提出いたすのであります。その際には結局両方の委員が國会へ出まして國会の方で適当なお裁きを受ける。こうい
つた
ことに仮定いたしますとなるのではなかろうかと想像いたしますが実際問題といたしましては、從來の例から申しまして、御心配のような
事態
は万が一にも起るまいと実は樂観いたしております。ただ
法律
の権限といたしましては、やはりどうしても
裁判所
にお委せせざるを得ない。建前といたしましてこうい
つた
ことまで
檢察官
と同じようにするということは、司法行政の
関係
からい
つて
適当でない。かように存じておる次第でございます。
小川友三
51
○
小川友三
君
裁判官
の
報酬
は「
在任
中、これを減額することができない。」という
憲法
八十條、及び七十九條につきましてお伺い申上げます。 昨日
総理大臣
が、
速記録
を御覽になればお分りになります
通り
、そういう心配はないという意味の御
答弁
がございました。そうしますとインフレは当分の間昂進をして行くとかような
解釈
をしてよろしうございましようか、そうしてインフレの後には
デフレ時代
が來るという
解釈
を本員はいたしております。その原因は現内閣の政策が産業振興、あらゆる方面において相当に効果が挙
つて
おりまして、物資の増加によりまして当然
デフレ時代
に入るものと私は
解釈
をいたしております。それからもう一つの原因は外資が相当に入る見込があるし、昨年五億ドルのクレジツトが
成立
しまして、それによ
つて
物資が相当入
つて
おりまして、日本のインフレも
デフレ
に向いつつあるのではないかということが想像できるのであります。第三の原因は、現内閣の課税方法が非常に成績がよくて、
税金
によ
つて
通貨が囘收を相当せられておりますので、私は近い中に、或いは一年か二年の中に相当
デフレ時代
に入ると思いますので、それにつきまして
政府委員
さんの御
答弁
をお願い申上げます。
今井一男
52
○
政府委員
(今井一男君) 御指摘の現在の
憲法
七十九條ですが、こちらの
解釈
からいたしますれば御指摘の
通り
如何なる事情が起りましても、仮に本人の同意があ
つて
も減額することができない、かような精神だと私共はそういう
解釈
をと
つて
おります。從いましてインフレ、
デフレ
という問題はこの
憲法
の規定とは直接の
関係
は持
つて
おらない。とにかく
憲法
の存しまする限り減額はどういう事情がありましてもできないものと、さような
解釈
をいたしております。
小川友三
53
○
小川友三
君 できないことは分
つて
おります。そこで
政府
は
デフレ
に入る
見通し
が付きつつある時に当りまして
デフレ
に入らないような御
答弁
を
総理大臣
は言うておりますが、
デフレ
にここ当分何年かの間入らないでしようか。何年ぐらい入らないかという
見通し
が付きましたらば
お話
が願いたいのであります。
今井一男
54
○
政府委員
(今井一男君) 私共風情でお答えするのは少し問題が大き過ぎるようでありますが、我々
大藏省
の
事務当局
としましても、インフレが非常に工合よく止りましても、要するに止るのであ
つて
、物價はそこに落着く。從いまして又それから急激に米なら米が五十銭まで下
つて
行くというような時代は想像いたしておりませんし、又理論的にも想像できまいと
考え
ます。ただそこで物價が安定する、いわゆる
デフレ
とは申しますが、
デフレ
は丁度インフレの
只今
までの進行を逆に持
つて
行くというような例は、各國の例、その他日本の例からいたしましても、到底想像いたし兼ねるのじやないか。そこでストツプして、多少の下げ戻しはございましようが、それは殆んど問題になるような幅には達しないのじやないか。かような
見通し
を持
つて
おります。
小川友三
55
○
小川友三
君 そういう
見通し
の場合それを誤まりまして
デフレ
に入
つた
場合、現在公定價格のある品物で、公定價格以下で取引されておる品物が非常に多うございます。公定價格の半分ぐらい、つまり工作機械のごときは公定價格の半分又は三分の一という
程度
でございます。それは
デフレ
に入
つた
一つの現象であると申上げてよろしいのですが、
デフレ
に入
つた
場合に、本
法案
が議会を通過した場合に、改正案を
政府
がその場合出す意思があるかどうかということを拜聽しまして
質問
を打切りますが、御
答弁
を願います。
今井一男
56
○
政府委員
(今井一男君) 万一仮にお示しのように、例えば米一升五十銭に
なつ
た、
從つて
一般
の賃金は昔のように百円とか八十円とかいう
金額
に
なつ
た場合においても、
憲法
に規定がある以上、
判事
なら
判事
というものが
只今
の万を以て数える金で置いて置かなければならんかどうか、そうい
つた
御
質問
のようにお伺いしたのでありますが、そうい
つた
場合が起りました際には、やはり
憲法
に手をつけるという問題にな
つて
來るんじやないか、かように私共といたしましては了解いたしております。
松村眞一郎
57
○
松村眞一郎
君 私は
只今
の
質問
及び
答弁
に対しまして、
政府委員
に私の
意見
を申します。
政府委員
お聽き願いたいんです。それは今の
質問
に対しまして、
政府
の態度としては大体において動かないだろうということを言うべき筈だと思います。インフレが起
つた
り
デフレ
が起
つた
りするということは、まだ凡そ安定していない場合であるならば、その部分は私は臨時
手当
でやるべきだと思います。
政府
は必ずそういう御用意があると思います。ですから
小川
委員の
質問
のごときことは、あるべからざることであ
つて
、大体においてこれで安定しておるという
考え
で行くんであ
つて
、インフレであればインフレの勢いはこれは止むを得ないからというので、それは容易には引かないというところで考究すべきであると私は思います。
裁判官
が減額してはいけないというから、
一般官吏
に対しては減額していいかというような、そんなことは軽々しくいえない、從來
一般官吏
と雖もなかなか容易に減額などや
つて
おりません。そんなことはできるものでない。ですから
憲法
の明文は、
一般官吏
と違
つて
司法官であるが故に減俸ができないのであ
つて
、
行政官
は
幾ら
でも減らせるということは間違
つて
おると思う。軽卒に
俸給
などは決めるべきでなくして、そういう御心配があるようなことを
政府
はやらないと
考え
ておりますが、先の
見通し
で
デフレ
にな
つて
動くような部分があるならば、それは臨時
手当
の方で
考え
るべきであ
つて
、二千九百二十円
ベース
というものは大体において動かないだろうという
考え
でや
つて
おるのだと思いますがどうですか。
今井一男
58
○
政府委員
(今井一男君) 全くお説の
通り
だと
考え
ます。決して
一般官吏
であるからと申しまして減額をそう容易にできないことは從來我が國におきましても体驗済みの問題でございます。ただ
憲法
におきまして特に
司法権
の独立を尊重いたしまして、一應國会と雖もそう軽々しく手が付けられない、
一般
の
行政官
のように建前といたしましては行政権を以てやれるということを縛
つた
だけの意味に過ぎない、こうい
つた
お示しのことは私共全然御同感でございます。ただ若し殖えた場合に、万一予定が狂いましてインフレが進みまして、更に
給與
を増さなければならん場合に、それをいろいろの臨時
手当
等の形でや
つた
らどうか、こうい
つた
御
意見
は、これは普通民間には常にそうい
つた
形で行われておるのでございますが、
政府
も從來そうい
つた
形をと
つた
こともございますが、やはり
給與
簡素化の面と、及び結局本俸にでき得る限り多くのウエートを持たせますことが、体系の上からのみならずいろいろ
計算
の場合の基礎にいたします
関係
からも便宜じやなかろうかとい
つた
ような
考え
方から、今囘の案も從來いろいろの名前でや
つて
おりましたものを一本に纏めました次第でございます。
松村眞一郎
59
○
松村眞一郎
君 私は根本において共鳴しておられるのじやないかと思います。いろいろ細かいことを言われますが、細かいことを言われるがために本体を潰してはいかん、動くべきものは臨時のものであ
つて
、動かざるべきものは
俸給
であるということの原則はもうお認めにな
つて
おると思いますからそれだけの御
答弁
で私は結構です。 それからどうも
司法権
が独立しておるから
裁判所
の予算も手が着けられないような、
裁判所
の
俸給
までが独立しておるようなお
考え
のようですが、それは私は間違
つて
おると思う。
司法権
の独立というのは
裁判所
の予算までも独立するという性質じやありません。
憲法
はそんなことは書いておりません。
司法権
ということは司法
裁判所
の予算までもすつかり独立して財政の
関係
から脱却するというようなことは全然書いてない。それはもうそういうことを
考え
ておられれば間違いであると私は申上げておきます。それから
裁判所
の予算の立て方を從來どうしておられますか。私は
法務廳
を経てやるというやり方はいかんと思います。これは財政法を御覽になりましても、財政法の十七條とか十八條、十九條というものを御覽になれば、大体会計檢査院と同じ取扱をしておるのですが、そういう取扱をしておられますかどうですか。そういうふうにすべきものだと思う。独立して、
法務廳
は経ないでじかにやるという会計檢査院と同じようにすればいいので、
法律
がそういうことを要望しておる、そういうふうにしておられるかどうですか。又そういうふうにすべきものだと思いますが、この形は
裁判所
と会計檢査院と大体同じように見ておる。会計檢査院は從來の
憲法
では独立してお
つた
が、今囘の
憲法
では独立の性質は余り持
つて
おりません。併し財政の方では
政府
を監督する形にな
つて
おります。決算の
関係
においても独立しておる。よく財政法の規定を御覽にな
つて
、そういう
趣旨
で実行して頂きたい。
法務廳
から私は離さなければいかんと思いますが、その点どういうお
考え
を持
つて
おられますか。
岡咲恕一
60
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松村委員の
お尋ね
に対しまして、今朝も同樣な
お尋ね
がございましたですが、私からお答え申上げましたように、
裁判所
の予算につきましては、
法務廳
を経由いたしておりません。これは
最高裁判所
が大藏当局と御協議になりまして、そうして内閣から予算案を國会に提出いたしております。
今井一男
61
○
政府委員
(今井一男君)
只今
の
答弁
の補足といたしまして、私は先程確か非常にとり方によ
つて
は、
最高裁判所
が一切予算の査定権を持
つて
おるというように響くかのごときことを或いは申上げたかも分りませんが、その点はそういう意味で申上げたのではございませんで、要するに
意見
が食い違
つて
大藏省
の方として査定を加えなければならんような場合、査定に同意されない場合には、財政法の規定に從いまして、その査定の原案と、
大藏省
の査定案というものを結局國会の方にかけるとい
つた
意味合におきまして申上げたに過ぎませんので、一つ御了承願いたといと思います。
松村眞一郎
62
○
松村眞一郎
君 それでありますから財政法の上からバランスのとれた
裁判官
の
報酬
というものをお定めになるということは当然であると思います。その点はどうでありますか。それであるが故に、私の
考え
では
政府
がこういう案を出されるならば、
総理大臣
の
俸給
は二万五千円であ
つて
、
國務大臣
は二万円であるということを
閣議
で
決定
して、下の方はまだこれから
計算
をしなければならんでしよう。それで進んでおると思いますが、
大藏省
の方でもそういうふうに
閣議
で
説明
があ
つたの
でありますか。
今井一男
63
○
政府委員
(今井一男君) 誠に一々御尤もな御注意でありますが、実は建前といたしますと、
総理大臣
から以下認証官に関する
法律案
を先にお目にかけるのが順序でもございましたのでありますが、いろいろの
関係
から、この方の
関係方面
の手続が遅れております。併しながらすでに
総理大臣
が二万五千円、
國務大臣
が二万円、即ち
最高裁判所
長官
及び
判事
も同額であるという建前につきましては、
閣議
の
決定
のみならず、
関係方面
におきましても事実上の同意を得まして、目下形式的な手続だけに止める段階になりましたので、そこでこの
裁判官
及び
檢事
の
法律
は急ぎます
関係
から一足先にお目にかけた。これだけに過ぎないのであります。御了承願います。
鬼丸義齊
64
○鬼丸義齊君 先程もどなたかから疑義を質されましたが、
行政官
の場合、明文がないということにしましても、一旦定めましたる
俸給
を減額するということは容易ならざることと思いまするが、なかんずくこの
裁判官
の場合には、
憲法
の七十九條の第六項において減額を
憲法
みずからの明文を以て許されないことに定められておるのですがして見ますると、今日の物價高の場合のみならず、非常に變動を我々は予想することができるのでありまするが、若しも先程から疑問にな
つて
おりましたごとくに、物價が今日より著しく低下いたしまして、生活も樂な生活にな
つて
一般
の
給與
等についても需給の調節がとれるようなことがありました場合に、
憲法
の制限を受けて減額することができない結果になりますると、ひとり
裁判官
だけは
憲法
保障によ
つて
格段なる
報酬
を受けることになるのであります。その点について本法提出に当りまして、定めて
大藏省
とも十分に御檢討になられたことと思います。これはひとり
裁判官
の場合ばかりでなく、
行政官
の場合でも、やはり併せて御研究に
なつ
たことと思いまするが、先程來皆さんの御
質問
に現われましたるごとくに、
報酬
とせずして、何かやはり彼此融通の利くような方法によ
つて
今日の急場を切拔けるというふうな手段に何故出でなか
つた
かということについて、もう少し詳細なる御
説明
を承わりたいと思います。
今井一男
65
○
政府委員
(今井一男君) 昨年の三月でございましたか、丁度國会の御審議を願いました
裁判官
に関する
給與
の
法律
は、御案内の
通り
最高裁判所
長官
を
総理大臣
と同格といたし、同
判事
を
國務大臣
と同格とするとい
つた
ような建前で参
つたの
であります。この
法律
は当時申上げました
通り
極めて暫定的
なつ
もりで拵えました
法律
でありまして成るべく近い機会に本格的な
裁判官
の
給與
に関する
法律
を定める必要があるかようなことは
政府
の方におきましても十分認めてお
つたの
でありますが、生憎いろいろな
関係
からその時期に惠まれませんでしたので、そのうちにいよいよ暫定法の期限も切れるとい
つた
ような
事態
になりまして、一方認証官に関する
政府
の方針が、昨年の三月以來据置きにな
つて
おりました認証官の
給與
の根本方針が漸く決まりましたので、この際又繋ぎのような形で行くことは適当でないだろう。折角新らしい制度の下に氣分を一新して
仕事
をしてやろうという
判事
方の、月並の
言葉
で申せば、勤労意欲のためにも適当でなかろうとい
つた
ような意味合から、これを本法として全面的に採入れる、こうい
つた
形を採
つた
わけであります。併しながら御指摘の
通り
、万一望ましくはありませんが、將來インフレ昂進の
事態
が起りまして、そうして、そのためにこの額では
一般
行政官
吏との権衡上適当でないとい
つた
ような
事態
が起りましたときには、今囘の
裁判官
の
法律
に関する第十條によりまして、そうして、まあこれをそのときの事情にもよりますが、本法をふくらまして行くという形で参りますか、或いは臨時
手当
という方法、そのいずれの方法で行くかということはそのときに考慮されると思いますが、要するにその上に乘つかる臨時的の部分には相当特別の形でやるという行き方も、途が明けてある次第でありまして、御
趣旨
の点はその意味から、その際には一つの
考え
方としまして檢討されることに相成ろうかと思います。今囘は從來の暫定法規を一應本格的なものに改めたいという
趣旨
から、一應本法に直した、かように御了承願いたいと思います。
鬼丸義齊
66
○鬼丸義齊君
只今
の御
説明
であると尚インフレが昂進いたしました場合の御
説明
であ
つたの
でありますが、昂進の場合につきましての
措置
といたしましては、両
法案
共にすでに定めておりまするから、この点は私は心配するのではないのであります。ところが
裁判官
の場合には、
憲法
の明文を以て減額を許さんことを明白に規定されておるのであります。
憲法
の恒久法によ
つて
定められておりまするならば、他の
法律
とは異なりまして、これを変更することは容易ならざることであります。ところが我々は今より
考え
ますれば、今日のごときインフレの
状態
は永久にこれがあ
つた
ならば大変であります。必ずや私は又物價の下りまする時期は近き將來にあるとすら私共想像しております。そうした場合に物價は非常に下
つた
、今日の昂勝時代を標準にして
俸給
を上げてしま
つて
、
憲法
の保障によ
つて
下げることができないように
なつ
たならば、他の
行政官
の方は
法律
によ
つて
変更されることができましようが、併しながら
裁判官
だけは依然としてその
状態
が残る、そういうような不自然な結果になりますると、大変なことになるのではなかろうかと思いますので、上る点においては立派に規定がありますが、上ること以外に眼中何ものもなく、下ることを聊かも
考え
ずに作
つた
ような
法案
のように
考え
ますので、若し下
つた
場合には
憲法
を改正するにあらざれば減額することができないのであります。そういうことについては
政府
の方ではどういうふうなお
考え
の下に、ここに
報酬
とかいうようなことによ
つて
決められたのであるか。先程來から他の方からも
質問
がございましたが、
報酬
即ち
憲法
に示される
報酬
というものでなくして、こうした異常の場合には、やはり異常の手段によ
つて
臨時的の方法によ
つて
支給して、動きの取れない
状態
にしてしま
つて
おりますことは、どうであるかということを氣遣うのであります。その点を重ねて一つ伺いたい。
今井一男
67
○
政府委員
(今井一男君) お示しのような物價が逆に非常に下るとい
つた
ようなことは、まあ例えば日本におきましても昭和六、七年のあの不況時代におきましても、実は指数的に見ますと大したことはございませんし、又各國のいろいろの例から見ましても、そうい
つた
ことは余り例がないように聞いておるのでありまして、結局インフレの止まりは安定という形で、それが僅かしか下らないというようなところで止まるのではないかと
考え
るのでありますが、万一それが非常に下るとい
つた
ような
事態
が起りました場合、
一般
の
行政官
は月給が十分の一にも、百分の一にも減る。併しながら
判事
だけはその十倍も百倍も取
つて
おる。こうい
つた
事態
が万が一起りました際には、又
憲法
自体も、経済がそんなふうに変動をするということを全然予想してできたものでもございませんし、又
國民
何人の眼から見ましても、そうい
つた
不合理な
事態
が許されるものでもございませんので、
憲法
と雖も全く万に一つの場合として予想しなか
つた
事態
が起
つた
際には、又決して改正して悪いということもないのじやなかろうか。
憲法
として
考え
ておらなか
つた
、頭の中になか
つた
万に一つの場合が起れば十分そのときの國会におきまして御檢討願えればよろしいじやないか、かように
考え
ております。
鬼丸義齊
68
○鬼丸義齊君
只今
の
政府
の
答弁
には大変無理があるのじやないかと思います。現在の物價というものが將來に向
つて
仮に下るとしても僅かの下りである、著しいということは想像できないというようなことは、私共の常識からいたしましても理解ができない。それ程までに一体無理をして、今よりして
憲法
を改正するにあらざれば減額できないような制度を、なぜ布かなければならないかという理由を、もう少し明白に
説明
して頂きたい。私はそうした無理な御
説明
を承わろうとは存じません。もう少し本当に打ちくだいた、眞に私共の常識からいたしまして理解のできまするような
答弁
を一つ願いたいと思います。殊更原案を維持せんがために……誰が
考え
ましても
只今
の
答弁
で以て一体満足することができるだろうか。今日の物價高は有史以來の物價高にぶつか
つて
おるのでありまして、こんな
状態
が日本に続いたならば
國家
は滅亡の外ないのであります。誰が
考え
ましても、そういうことは私共の常識では理解ができないと思います。もう少し私は深切なる理解のできまする
政府
の打ちくだいた御
答弁
を願いたい。そこでもう一つ、それ程無理をしてまでも一体この原案を維持せねばならないかというところも、重ねて私は御
説明
を願いたいと思います。
今井一男
69
○
政府委員
(今井一男君) 或いは非常に
説明
が不十分のために、お叱りを招いたような氣もするんでありますが、ここで我々の下手な経済論を申上げるのも如何かと思いますが、結局日本の経済が復興して生産が増加いたしませんときには、インフレは止まらない。それは無論外資その他の
関係
もございましようが、とにかく物が多くな
つて
而も物の値段が上らないと、結局相対的に、物の値段は現在のままで、月給だけが、そうい
つた
勤労收入、
國民
所得の方が殖えて行くと、こうい
つた
形に相成ることが、経済の推移といたしまして普通に
考え
られるところではなかろうか。明治以來の我が國の足取りを
考え
て見ましても、多少の一起一伏はございましても、長い眼で見ますと結局明治の初めに米の値段が一升
幾ら
であ
つた
というような推移を見るのが建前でございまして、勿論いろいろな
関係
から例外が起るかも知れませんがその例外は今のところさように予想いたしかねる。又
憲法
をお作りになりましたときの國会の皆樣のお
考え
方も、そうであ
つたの
ではなかろうか。そうい
つた
建前でこの
憲法
の七十九條もできたのではなかろうかと、私共は
解釈
いたしておる次第でございます。日本のインフレが、これが又若干ずつ進行いたしますことは、勿論事実でございますけれども、先程の
小川
委員のお
言葉
の
通り
、最近の足取りから見ますというと、諸外國に例のありましたようなテンポとも違
つて
おりますので、
只今
のところ私共の想像では、どうしても止まるという形で安定するという予想に相成るわけでございますが、件しそれが外れる場合がないとは限りませんが、外める場合はやはり
憲法
でも予想しておらなか
つたの
であろうと、かように申上げたいのであります。
伊藤修
70
○
委員長
(
伊藤修
君) この問題はこの
程度
にして、尚
國務大臣
の
答弁
をお求めになるならば、そうして扱
つた
ら如何でしよう。これ以上御議論にな
つて
も、同じところを堂々廻りしておるように
考え
ます。(「賛成」と呼ぶ者あり)それでは
本案
に対しましては、尚
質疑
は継続いたしまして、後日に讓ることにいたします。 それでは次に
裁判官
の
刑事事件不当処理等
に関する調査について、これより審議をいたします。
鬼丸義齊
71
○鬼丸義齊君 私はこの調査会の制度は、特殊な事情のため止むを得ないこととは思いまするが、日本の
司法権
独立の建前からいたしまして、裁判に対しまする、その裁判の是非を、私共の立場において、内容に立ち入
つて
再檢討いたしますることが、若しも
司法権
独立に大きな影響を與えるようなことになりますならば、根本の大きな問題ではないかと実は心配いたします。故に、
運用
におきまして余程細心の注意を拂
つて
司法権
の独立たる性質を傷付けないことに深く注意を拂
つて
扱わなければならないのではないかということを氣遣います。
委員長
におかれましては、この
運用
に付き定めて不安もあられましようと思いますが、
確定
裁判を受けておりまするものの再調に掛かるのであるか、或いは起訴後において裁判の係属中に係りまする
事件
にも手を染めていいのであろうか。公正なる裁判の行われますることを目標としてこの調査会を進めて行く、そうしてこれを効果あらしめようといたしまするならば、ややもすると
司法権
の
憲法
問題にまでも触れるような虞れもあるようにも感じまするので、大体調査の範囲を、從來判決の
確定
いたしておりまする
事件
の範囲に限るべきか、或いは
事件
の進行中のものまでも及ばなければならないかという点を、この際取決めをいたす必要があろうと思います。それから若しこれが調査の結果、不当なる裁判というようなことはあり得ないことと思いまするが、ありといたしましたならば、その及ぼす影響も
考え
なければならん。若しも私共が非常に
國家
のため必要なることだと
考え
ましてこの調査会を進めて参りました結果が、却
つて
飛んでもない負債を起すようなことになりましたならば、私共の責任も亦軽からんものだと思います。スタートに当りまして、この点に対しまする氣付きました点を申述べて、皆樣の御参考に供したいと思います。
伊藤修
72
○
委員長
(
伊藤修
君) お答えいたしますが、先ず第一点の
司法権
の独立を尊重するという点に対しましては、非常にデリケートな問題でありますから、勿論これに対しましては、我々として十分注意して、その独立性を犯さない範囲内においてこの
委員会
の活動を継続して行きたいと存じます。 それから第二の点は、必ずしも本件の目的は、
確定
判決のみとは限らないで、目下進行中のものに対してもこれが調査を行う、勿論その調査は、判決の当否に対しまして、
確定
判決ならばこれを批判するということは勿論できることと存じますが、進行
状態
が果して正しい進行
状態
をしておるかどうかということを側面から
國民
の批判的な
考え
を以て見ると、こういう行き方にして行
つた
ならばどうかと存ずるのであります。勿論
裁判官
の独自の行動を制約するとか、そういう意味合ではないのです。
松村眞一郎
73
○
松村眞一郎
君 私はその点について我々は
司法権
の我立ということについての
考え
方を余程はつきり自分
たち
が掴まなければいけないと思う。元來
司法権
の独立というものは、
裁判所
が
裁判官
に裁判をせしめる場合、
裁判官
が外部から何らの圧迫なり命令なりを受けないで、自己の良心に
從つて
判決するということが
司法権
の独立なんであります。それに対して批判を許さないという意味では決してないと思います。従來
裁判所
の判例批判というものはある。これは皆
法律
的の批判をしているので、いわゆる
法律
家が批判している。それでなくて裁判に対する社会批判というものは、日本の國に非常に欠乏しているということを私は痛感する。道徳家はこの判例を眺めて、この判例は日本の今日の道徳に照して適当なものなりや否やということを批判することが進んで來ないと、
裁判官
の独立というものの本質がはつきりして來ないと思います。
裁判官
は
世間
の批判から独立することなく、むしろ批判して貰うことを非常に望んでいるのじやないかと思う。自分
たち
の狭い視野から、若し誤ま
つて
國民
全体が
考え
て、如何にもこれは感服しないという裁判をしいてるのじやないかということを
裁判官
自身が反省をもし、勉強するために批判するということは必要だと思う。その意味においてこの
委員会
か從來
世間
に行われていないことの私はスタートを切るものだと思いますから、その意味で余程愼重に
考え
なければならん。それと同時に我々の責任は非常に重い。單なる
法律
の控例批判というようなことは沢山印刷物にな
つて
おりますが、併しながら裁判が刑法の範囲内において、如何にも常識から
考え
ておかしいというような場合は、その批判を
裁判官
に聽きたいと思う。昔から鶏一羽盜んで十年の懲役に
なつ
たらこれはおかしいじやないか。これは極く素人の批判ですが、なぜ鶏一羽で以て十年の懲役にしたかというところにいろいろ理由があるのでありますから、素人が無理解に批判するのを
裁判官
はこれに対して
説明
をする必要がある。批判の外に自分が超越して、
世間
にどんなことがあ
つて
も自分は
説明
をしないということでは、
裁判官
の独立でなくて、
裁判官
の孤立だと思います。又
裁判官
としてもこれは戒めなければならないと同時に、民衆の声を聽くような機会を作らなければいかんということは、事実認定においてすでに陪審員というものがありますから、今度の
檢察官
を批判するということにな
つて
おる以上は、
裁判官
についても何らかの考慮を負わするのがいいのじやないかと思います。今度の案件についてかれこれ言うのではない。そういう方向について進んで行くということは結構なことであるが、それと同時に我々は非常な責任を負うのじやないかということの意味において、我々は慎重にしなければならんということを痛感するということを一言いたします。
伊藤修
74
○
委員長
(
伊藤修
君) 私といたしましても
司法権
の独立に対する見解は松村委員のおつしや
つた
ような
考え
を持
つて
おります。國会は
最高
機関といたしまして
裁判官
に対して批判を與えるということは正に
國民
のなすべきものでなさなくてはならないと思うのであります。さような意味合において本
委員会
をスタートしたいと思います。 それで先ず本
委員会
に取上げる事案を一つ御提案いたしまして皆さんの御
意見
を伺いたいと思います。第一に松島丸
事件
、第二に尾津
事件
、第三に眞木
事件
、第四に青木周一
事件
、第五に蜂須賀
事件
、第六に資格審査表虚僞記載
事件
、第七に全國の町の顏役の
事件
の概略及び審査進行
状態
、これだけを本
委員会
に第一段階としてこれを審査の目標にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
75
○
委員長
(
伊藤修
君) では
只今
申上げました事案につきまして本
委員会
は先ずスタートすることにいたします。 次に具体的に調査するに当りましては、先ず基本的に事案に対するところの概念を得る必要上、
只今
読上げました事案に
関係
する一切の書類を
関係
官廳
から取寄せることに
決定
いたしたいと思いますが、如何ですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
76
○
委員長
(
伊藤修
君) では、それはそれで
決定
いたします。 次にこれらの事案を審査する上において先ず当面必要な証人を喚問いたしたいと思います。その必要な証人の指名及び数は
委員長
に御一任願うことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
77
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは
委員長
において大体必要な者を呼びまして、それ以上必要な場合におきましては各委員からお申出を願いまして、順次進行して行きたいと思います。先ず最初の組立といたしましては、記録を見た上におきまして
関係
者を直接喚問することにいたしたいと思います。尚、勿論出張して調べることもあり得ると存じます。 次にこの問題は非常に繁雜であり且つ重大でありますから、本
委員会
にこの調査に関する
事務局
を設置し、適当な主任を設けまして專門的に担任いたさせたいと思います。この点お諮りいたします。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
78
○
委員長
(
伊藤修
君) では、これもさよう
決定
いたしまして、その構成は
委員長
に御一任を願います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
79
○
委員長
(
伊藤修
君) ではさよう
決定
させて戴きます。大体
只今
申上げました組立が全部整いましたならば、改めて
委員会
を開催いたしまして、十分御審査を願うことにいたします。本日はこれを以て散会はいたします。 午後三時三十七分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
伊藤 修君
理事
岡部 常君 委員 大野 幸一君 齋 武雄君 大野木秀次郎君 奧 主一郎君 水久保甚作君 池田七郎兵衞君 鬼丸 義齊君
前之園喜一郎
君 宇都宮 登君 松井 道夫君
小川
友三君
政府委員
法務廳
事務
官 (
法務廳
調査意 見第一局長) 岡咲 恕一君 大藏
事務
官 (
給與局
長) 今井 一男君
法務廳
事務
官 (法務総裁官房
会計課長
) 岡原 昌男君
説明員
最高裁判所
(
人事課長
) 石田 和外君