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1948-04-01 第2回国会 参議院 司法委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年四月一日(木曜日) 午前十一時二分
開會
————————————— 本日の會議に付した事件 ○
檢察廳法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
) ○
檢察審査會法案
(
内閣送付
) —————————————
伊藤修
1
○
委員
長(
伊藤修
君) これより
委員會
を
開會
いたします。 昨日に引續きまして、
檢察廳法
の一部を
改正
する
法律案竝びに檢察審査會法案
を議題に供します。昨日に引續き質疑を繼續いたします。
小川友三
2
○
小川友三
君
檢察廳法
の一部を
改正
する
法律案
の二十三條ですが、「
職務
上の非
能率
その他の
事由
に因りその
職務
を執るに適しないときは、」というところですが、「その他」という
範囲
がどこまでであるか、例えば重大な
非行
の場合であるとか、別に
官吏
の
懲戒
の
法律
があり、又
分限法
がありますが、この
範囲
につきまして
政府委員
の御
答辯
をお願いいたします。
佐藤藤佐
3
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) その他の
事由
は、第二十三條に掲げてありまするように、「
心身
の
故障
、
職務
上の非
能率
」というのは
一つ
の例でありまして、その他
只今仰せ
のような
非行
のあ
つた
ような場合も、それによ
つて檢察官
といての
職務
を執るに適しない
事由
でありまするならば、すべて第二十三條の
適用
を受けることとなると思います。
松井道夫
4
○
松井道夫
君 そうすると、
懲戒
と重複するようなこともあるわけですか。
佐藤藤佐
5
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
事例
によりましては、一面において
懲戒
の原因ともなり、又
檢察廳法
の二十三條の
適用
を受けて、
檢察官適格審査委員會
の活動を促すような場合もあるかと考えます。
松井道夫
6
○
松井道夫
君 非
能率
というのは、これは怠慢は入りますか。
佐藤藤佐
7
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 非
能率
といえば、大體は
成績
が擧らない。
能力
が足りないという方が多いと思いますけれども、
能力
はそれ程足りなくないが、どうも
成績
が擧らない。それは怠慢によ
つて成績
が擧らないというような場合も含まれて來ると考えるのであります。
松井道夫
8
○
松井道夫
君 粗雜に
捜査
で、例えば無辜を起訴してしま
つた
というような場合も、その粗雜の
程度如何
によ
つて
は入ると考えてよろしいでしようか。
佐藤藤佐
9
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
捜査
が粗雜であるために公訴の維持が常に崩れてしまうというような
事例
が多い場合には、
職務
上の非
能率
とも考えられまするし、或いはその他の
事由
の
適用
を受けて、第二十三條の
適用
を受けるということも考えられまするが、大
體非能率
の方に入ると思います。
松井道夫
10
○
松井道夫
君 次に第二十三條の一號ですが、三年
ごと
に全部の
檢察官
について
定時審査
を行うということで、
審査
を行う場合は、常に全
檢察官
が
審査
を受けるということになりますか、二號、三號の場合は別ですが……。
佐藤藤佐
11
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 一號の「すべての
檢察官
について三年
ごと
に
定時審査
を行う」というのは、
仰せ
のように、全部の
檢察官
に對して、
適格
を有する者も、
適格
を缺いておる者も、すべてについて一應定期的に
審査
をするという
意味
であります。
松井道夫
12
○
松井道夫
君
職務
を執るに適しない旨の
檢察官適格審査委員會
の
議決
があ
つた
場合に、常にその
議決
に
從つて罷免
をしなければならないことにせずに、
裁量
によ
つて罷免
をしないことにした
理由
、それから
適格審査委員會
が獨立して權限を行使するという
規定
がなくして、内
閣總理大臣
の
監督
に屬するという
規定
があるわけでありまするが、そういうことにした
理由
を伺いたいと思います。
佐藤藤佐
13
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
檢察官適格審査委員會
が
職務
を行うに當りましては、勿論獨立してその
職務
を行うのでありまするけれども、
委員會
が
行政
上何人の
監督
に屬するか、その所管を明らかにするために、内
閣總理大臣
の
監督
に屬するとしておるのでありまして、
行政
的な
事務
は
監督
を受けまするけれども、
審査委員會
の
職權
を行うに當りましては、勿論獨立して行うのでありまして、内
閣總理大臣
の
指揮監督
は受けないのであります。 尚、
檢察官適格審査委員會
の
議決
がありましても、若しその
議決
を不相當と認めるときには、必ずしも
法務總裁
がそれに從う必要がないという
趣旨
は、第二十三條の第三號の終りの方に、「その
議決
を相當と認めるときは、
當該檢察官
の
罷免
の
勸告
をしなければならない。」という
規定
から明らかでありまするが、かように折角
檢察官適格審査委員會
を設けながら、その
審査委員會
の
議決
に從わない場合もあり得る途を設けましたのは、全國の
檢察官
に對して
指揮監督
をする最高の
責任者
は
法務總裁
なのでありまするから、
法務總裁
は
自己
の
責任
において、すべての
檢察官
を
指揮監督
し、
罷免
の
事由
があれば
罷免
の
勸告
を
任免權者
にいたさなければならんのでありまして、その
責任
の
所在
を明らかにするために、場合によ
つて
は
法務總裁
は
自己
の
責任
において
議決
を不相當と認めるときに、これに從わないことができるという
建前
にいたしたのであります。併しながら
實際
上は
適格審査委員會
の
議決
がありますれば、恐らくこの
議決通り
に
法務總裁
が善處されることと思うのであります。 二十三條の第一
號及び
第三號の場合は、
適格審査委員會
がみずから
審査
をし
議決
をするのでありまするから、
法務總裁
が知らない事柄について
議決
されることもありましようから、さような場合には
意見
の違うことも考えられまするけども、第二號の場合は、すべて
法務總裁
の
請求
によ
つて審査
をし
議決
をするのでありまするから、
法務總裁
の
意見
と
審査委員會
の
議決
と違うということは考えられないのであります。いずれの場合にしても、かような
制度
を設けた以上は、
法務總裁
はできるだけ
審査委員會
の
議決
を尊重して善處することと思われるのであります。
松井道夫
14
○
松井道夫
君 この
規定
を設けられる根本の
趣旨
は、すべて
官吏
の
任免
は
國民
の固有の權利であるという
憲法
の原則から出たものと解してよろしいかどうか、これに
國會議員
が入れてありまするが、その
趣旨
で入
つて
おるものであるかどうか。その點をお伺いいたします。
佐藤藤佐
15
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 全く
仰せ
の
通り
であります。
松井道夫
16
○
松井道夫
君 尚、
檢察官
、
法務廳官吏
、
裁判官
、
辯護士
及び
日本學士院會員
の中から選任される
委員
の
選任方法
が
規定
してありませんが、どういう
選任方法
によられる
趣旨
でありますか。
佐藤藤佐
17
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) ここに列擧されておりまする
審査委員
の中で、
檢察官
と
法務廳官吏
は、これは
法務總裁
が任命するのでありまするが、その外の
國會議員
、
裁判官
、
辯護士
、
日本學士院會員
、これはそれらの
團體
と申しますか、グループの中からそれぞれ選任されるのでありまして、その
方法
は、別に定めまする
檢察官適用審査委員會官制
という
政令案
を以て
規定
したいと考えております。
松井道夫
18
○
松井道夫
君 三年
ごと
に
定時審査
を行う場合は、全
檢察官
でありまして、而もその外にこの二號、三號の場合があるのであります。それでこの
職務
は極めて重大であるばかりでなく、その
事務
の分量も相當多いと考えられるのでありまするが、これらの
委員
に對する待遇はどんなことにされる御豫定であるか、又その
豫算
のようなものもどの
程度
のものにされる御意向であるか、その點について伺いたいと思います。
佐藤藤佐
19
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
委員
の
手當等
につきましては、
一般
の
委員會
の例もありまするので、それに倣わなければならんのでありますが、これに要する
豫算
は、
目下大藏省
と折衝中であります。
鬼丸義齊
20
○
鬼丸義齊
君
檢察官適格審査委員會
に付せられまする適否の標準について、「
檢察官
が
心身
の
故障
、
職務
上の非
能率
その他の
事由
に困り」とありまするが、この場合と、それから
彈劾裁判所法
にありまする
裁判官彈劾
の場合との間において、どの
程度
の相違があるのであるか、或いは又
裁判官
の
彈劾事項
にな
つて
おりまする
事項
は、全部この中に含まれるものであるか、又それを殊更區別いたしまする
理由
ありや否や、恐らく
制度
の
趣旨
は同じものであると考えられるのであります。然るに殊更その間區別する
理由
があるかどうか、ありとすればその
理由
はどういう
理由
によ
つて
、この間に區別をしなければならんかという點を
お尋ね
することが第一番。 それから御二は二十三條の二項によりますると、先程
政府委員
の御
説明
がありました
ごと
くに、
期限外
の個々の場合の
檢察官
の
隨時審査
に對しましては、
法務總裁
の
請求
によ
つて
發動されることでありまするが、第一項の場合にも、
定時審査
の場合におきましても、
法務總裁
の
請求
なくとも
審査委員會
の方で以て
審査
をなすことができるのであります。若しこれらの
理由
があるのだといたしました場合には、すでにそういう
部下
に
非行
のありますることを
法務總裁
は知りながら、敢てその措置をとらなか
つた
という一面の政治上の
責任
があるわけであります。その
責任
を負
つて
おりますところの
法務總裁
に對して、
審査委員會
が不適なりとして
決定
をいたしましたについて、その結果に對して
法務總裁
がそれを相當か、不相當かということを
決定
することを一に
法務總裁
の
裁量
に一任いたしたことになれば、甚だその間の
責任
というものは
矛盾牴觸
をしやしないかと思います。若し
審査委員會
において不適なりと
決定
いたしましたならば、少くとも第一項の場合におきまする場合においては、その
決定
に對しては
法務總裁
は拘束を受けなければ
精神
が一貫しないように思います。 例えば
裁判官
に對しまする
彈劾裁判所
の
決定
の
ごと
く、
審査委員會
の
決定
はそのまま
裁判所
を拘束いたしますることにならなければ、
監督
上の
責任
と
矛盾
をいたすことになりやしないか。又
陪審法
の
規定
にありまする
ごと
くに、
陪審員
の
決定
に對しまして
裁判所
が
意見
を異にいたしました場合においては、更に再度の
陪審
を許すことにな
つて
おりまするが故に、今日の
陪審制度
というものは有名無實に終
つて
おります。 そこで
民主化
を期するがためには、やはり名
實共
に成果あらしむべき
制度
でなければ私共は本當の
民主化
を狙う
趣旨
に適わないと思うのであります。で、ただ
民主化
ということが、
僞裝民主化
であ
つて
はならないと思います。
苟くも審査委員會
を設けられて、そうしてそこの
審査委員會
が
決定
いたしましたのについて、その
監督
の責にあるべき
法務總裁
の
裁量
に一任いたしますことになるならば、やはりこの
陪審制度
と同じようなことであ
つて僞裝民主化
になる虞れがあると思うのであります。この點に對しまする
提案者
の
理由
を拜聽いたしたいと思います。
佐藤藤佐
21
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 第一點の
お尋ね
の
裁判官
に對しては
彈劾
官という特別な
制度
があるのに、
檢察廳
に對しては、その
彈劾法
によ
らずし
て、別に
檢察廳法
第二十三條を
以つて罷免
の
制度
を設けたのはどういうわけかという
お尋ね
のように拜聽いたしたのでありまするが、
裁判官
の
彈劾
につきましては、新
憲法
において特に
規定
されておりまするので、
憲法
の
趣旨
に
從つて裁判官
の
彈劾法
という特別な
制度
が設けられたものと存ずるのであります。
檢察官
はその
職務
の
性質
は、
裁判官
に準じてはおりまするけれども、身分はどこまでも
行政官
なのでありますから、
一般
の
行政官
について
國家公務員法
の
制度
が設けられておりまするので、
檢察官
に對しても、この
國家公務員法
の第七十八條に準じて
檢察廳法
の中に、第二十三條に
改正規定
を設けようという
趣旨
であるのであります。
彈劾
の
方法
によ
つて罷免
することと、
檢察廳法
の第二十三條に
規定
するような
適格審査委員會
の
議決
を經て
罷免
する
方法
と、どちらが效果があるか、いずれも民主的な
制度
ではありまするけれども、
實際
上の
運用
としてどちらが活溌に
運用
さるるか、どちらがより效果的であるか、ということは、これは兩方の
制度
が實施されて、その
運用
の結果を見なければ、今俄かに豫斷を許さないことではありまするけれども、私の考えるところでは、
彈劾
の
制度
よりも、この
適格審査委員會
の
議決
を經て
罷免
するという
方法
の方が、より活溌に
運用
されるのではないかというふうに想像されるのであります。 なお
彈劾裁判
によ
つて罷免
される場合には、その
裁判官
の
指揮監督者
を通じないで、
彈劾裁判
の結果に照して
任免權者
がその
裁判官
を
罷免
する
制度
のようにな
つて
おると私は記憶しておるのでありまするが、ここに
裁判官
の
彈劾法
が手許にありませんので、正確なことは申上げ兼ねるのでありますが、
彈劾
の
制度
と、
任免權者
の
諮問機關
たる
審査委員會
の
制度
とは、そこがおのずから違うのでありまして、
審査委員會
の方は、
審査委員會
の
議決
があ
つて
も、その儘それによ
つて
、
罷免權者
が、その
議決通り
行動しなければならんというわけではないのでありまして、先程申上げましたように、
法務總裁
が、
檢察官
に對して、
指揮監督
の
責任
があるのでありまするから、その
責任
を明らかにするためには、どうしても、
審査委員會
の
議決
に盲從するという
制度
では
責任
が明らかにならないのでありまして、
議決
はあ
つた
、その
議決
を尊重して、
法務總裁
の
自由裁量
において善處するというところに、
法務總裁
の
責任
が明らかにされるのでありまして、
裁判所
と別個な
機關
によ
つて
裁判される
裁判官
の
彈劾
の
制度
と、
適格審査委員會
という
諮問機關
の
制度
とは、どうしても
制度
上、
建前
が違
つて
おるように私は
解釋
しておるのであります。
鬼丸義齊
22
○
鬼丸義齊
君 第二の點は、御
答辯
は……。
佐藤藤佐
23
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 第二の
お尋ね
の點について申上げます。かように
法務總裁
の
自由裁量
によ
つて罷免
の
勸告
をするという
制度
を
徹底
させては、
民主主義
の
精神
が
徹底
しないではないかという
お尋ね
のように拜廳したのでありますが、
只今
申上げましたように、
檢察官
の
最後
の
指揮監督者
である
法務總裁
が
自己
の
責任
において、
罷免
を
勸告
するというところで、
法務總裁
の
責任
が明らかになるのでありまするが、その
法務總裁
の
責任
において
罷免
を
勸告
するにいたしましても、その
最後
の
決斷
をするに
當つて
、
一般
の
國民
の
意思
を尊重して、
最後
の
決斷
をするという
建前
を
本法
で採用いたしたのであります。 殊に
審査委員會
の
委員
の十一名というのは、ここに別擧されておりまするように、
檢察官
に直接關係のある各方面の代表的な方でありまして、その中、
過半數
の六人は
國民
の
代表者
であられる
國會議員
を以ていたされるのでありまするから、
審査委員會
の
議決
というものは、
國民
の大體の
意思
を反映した
議決
と見なければならんのであります。 で、この
議決
を尊重して、そうして
法總裁
が
自己
の
責任
において善處するというところで、
檢察
の
民主化
も圖ることができまするし、又
平素
から
指揮監督
の
責任
にある
法務總裁
の
責任
というものも、明らかになると考えられるのであります。若し、
法務總裁
は
平素
は
指揮監督
しておるけれども、いざ
任免
をするというときには、
審査會
の
議決通り
に、これに從わなければならんということになりますならば、一面においては非常に
檢察
の
民主化
が
徹底
しておるように見えまするけれども、他面において最終の
指揮監督權
を握
つて
おる
法務總裁
の
責任
というものは、明らかにならないのでありますから、
本法
におきましては、
法務總裁
の
責任
を明らかにすると共に、民意を反映せしめて、
檢察
の
民主化
を
圖ろう
というところに
改正
の狙いがあるのであります。
鬼丸義齊
24
○
鬼丸義齊
君 私の質問の
趣旨
が
徹底
をいたさなか
つた
か、御
答辯
が私の
聽かん
といたしましたところと、大分離れておりましたので、私の
聽かん
といたしまする
趣旨
をもう一囘申述べて見たいと思います。 成程、この
裁判官
の場合におきましては
憲法
の
規定
がございます。その
憲法
の
規定
によ
つて彈劾裁判所法
というものができましたこともよく分る。同時に又
檢察官
の
職務
の
性質
からいたしまして、
一般官吏
よりも更にこうした
事項
に對して愼重なる
審査方法
を設けるという
制度
も至極結構だと思います。私の伺いたいと思いますることは、先ず第一に、この
審査委員會
の
性質
は如何なる
性質
を持つものであるか。それから第二は、この二十三條の
規定
にございまする「
檢察官適格審査委員會
は、
檢察官
が
心身
の
故障
、
職務
上の非
能率
その他の
事由
に因りその
職務
を執るに適しないかどうかを
審査
し」たりする。ここで最初の
心身
の
故障
或いは
職務
上の非
能率
、これは明示してありますが、その他の
事由
に
因つて職務
を執るに適しないということであります。いわゆる
職務執行
の不
適格者
であります。この不
適格者
とありますことを非常に抽象的でありますから、即ち
裁判官彈劾法
によりまする「
職務
上の義務に著しく違反し、又は
職務
を甚だしく怠
つた
とき。」或いは「その他
職務
の内外を問わず、
裁判官
としての威信を著しく失うべき
非行
があ
つた
とき。」これらの
事由
があります場合には、
矢張り
この
檢察官
におきましても、その
職務
に在りますことは不
適格者
ではなかろうかと思うのであります。故にこういうような
趣旨
のものも當然その他の
事由
の中に含まれるものであるかどうか。含まれるものであるとすれば、既にありまする
裁判官彈劾法
という
規定
を特に示さず、その他の
事由
に因るということになりますると、この
裁判官彈劾法
によりまする
裁判官
の
彈劾事項
とは又更にその
範圍
が廣いのであるか、狭いのであるか、その點を第一に伺いたか
つた
のであります。 それから第二の點は、私の伺いたいと思いますることは、この
審査委員會
の
性質如何
にも係りますが、先程
政府委員
の御
答辯中
にありましたように若し
審査委員會
が單なる
法務總裁
の
諮問機關
といたしましたならば、これは又何をか言わんやであります。ところがすでに、こうした各階層から選ばれましたいわゆる權威ある
一つ
の
審査委員會
が結成されまして、その
審査
の結果、不
適格者
なりとして
決定
されたものであるといたしましたならば、
法務總裁
がそれを相當、不相當という
裁量
をここに又更に與えますることは、むしろこの
法務總裁
に
部下監督
の
責任
のありますることと、利害相反する立場にあると考えるのであります。成る程
法務總裁
は第二號の場合におきますると、
總裁
みずからが
審査
を
請求
して
審査
に掛けるのでありますから、これは
牴觸
の場合は凡そないでありましようが、その他の場合の定期的の
審査
をいたしまする場合の
ごと
きは、
審査委員會
が積極的に
委員會
みずからとして、
一般
的に
審査
いたすのでありますから、不
適格
なる
部下
に對しまする
監督
の
責任
あるべき
法務總裁
が、その不適なることを知らず、
審査委員會
によ
つて
それを指摘されたということでありまするならば、それ自體に
監督不行届
の
責任
が
法務總裁
にあるのであります。その
責任
のありまする
法務總裁
に對しまして、
自由裁量權
を與えたといたしましたならば、その點に私は多大な疑義を持つのであります。 そこで私の申上げました
ごと
く、若し
民主化
の
徹底
を
圖らん
とするのであるならば、
苟くも審査委員會
において
決定
したならば、
法務總裁
としては、その
審査委員會
の
決定
に覊束されますことによ
つて
初めてこの
民主化
の
徹底
になるのではないか。然
らずし
て尚且つ
法務總裁
の
裁量
に一任するといたしましたならば、これは眞の
民主化
ではない。
民主化
を蔽わんがための
制度
ではないかということの疑いを持ちますが故にお伺いいたしたのであります。どうかその點に對しまする御明確なる御
説明
を伺いたいと思います。
佐藤藤佐
25
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
裁判官
の
彈劾裁判
による
罷免
の
事由
と、
檢察官
の
罷免
の
事由
とが大體一致するものと
解釋
いたしております。尚、
檢察官適格審査委員會
の
議決通り
に
法務總裁
が行動しなければ、
法務總裁
の
責任
を盡し得ないのではないかという點でございまするが、先程申上げましたように、
法務總裁
は全國の
檢察官
の
指揮監督者
として最上の
責任
を有しておるのでありますから、
檢察官
を
罷免
するという場合には、
法務總裁
の
責任
において
罷免
するということでなければ、私は
法務總裁
の
責任
が明らかにならないと思うのであります。
議決
に盲從するということだけでは、これは
審査委員會
に
責任
を轉嫁するような工合になりまして、
法務總裁
の
責任
が明らかにならないと思うのであります。
議決
を尊重してそうして
自己
の
責任
をおいて
罷免
するというところに
法務總裁
の
責任
が明らかになるのであります。
適格審査委員會
の
職務
は、申すまでもなく
檢察官
が
檢察官
として
職務
を執るに適する
適格
があるかないかということの
判斷
をして頂くのであります。その
判斷
を尊重して、そうして
法務總裁
が
自己
の
責任
において
罷免
の
事由
があ
つた
場合に
罷免
をするというので、私は
法務總裁
の
責任
が盡せるものと考えておるのであります。 尚さような
解釋
によれば
民主化
の
徹底
が期さられないのではないかというお説でございまするけれども、かような
諮問機關
といたしましても、その
諮問機關
の
構成等
について
國民
の
意思
を正當に反映し得るような法の
制度
にいたしますれば、十分に
檢察
の
民主化
を期待することができるものと考えております。
鬼丸義齊
26
○
鬼丸義齊
君
只今
の御
答辯
に從いますると、ここにいわゆる
檢察官適格審査委員會
というものの
性質
は、
諮問機關
であるという御
説明
に拜聽いたしたのであります。若しこの
適格審査委員會
が
法務總裁
の
諮問機關
であるといたしましたならば、これは私は
法文
の上において今少しく明確にして置かなければならんのじやないかと思います。今二十三條の
規定
を見ましても、
檢察官適格審査委員會
が
法務總裁
の
諮問機關
であるということは、この
條文
だけでは明確でないと思います。
只今
の御
説明
を承
つて
、初めてこの
委員會
の
性質
が
諮問機關
であるということを私共知り得たのであります。若しこの
制度
がかような
委員會
を作られて、そうして
法務總裁職務執行
においての補助、若しくは
法務總裁
の
職務執行
を助ける
性質
のものであるといたしましたならば、それは又別な
意味
から考えなければならんと思います。二十三條のこの
規定
の書き方から見ますれば、私はこの
檢察官適格審査委員會
というものは、
法務總裁
の單なる
諮問機關
ではないのではないかと思います。
檢察官
の扱われまする
職務
の
性質
が、
國民
の
人權
という重要なる點にかか
つて
おりまするところから、
一般公務員
より格段なる
監督機關
を設けて、そうして極めて
適格
なる人をして、この
職務
を遂行せしめたいという
趣旨
からできたものじやないかと思うのであります。 果して然りといたしましたならば、不
適格者
をして、
法務總裁
はみずから
監督
の
責任
あるに拘わらず、自分の不明のためにその不
適格
ということを知りながら、尚且つ發見せずして
使つて
お
つた
という
法務總裁
みずからの、私は、
責任
があると思う。それにも拘わりませず、不
適格者
かどうかということを
審査委員會
において決めても、尚且つこれを
法務總裁
の
責任
において辞職を
勸告
するというのでありまするなら、ばその
責任
の
所在
というものが、私の伺
つて
おりまする
責任
と、
只今政府委員
の
答辯
されまする
責任
とは、
責任
の又、
性質
が違うと思います。不
適格者
を
使つて
おります
法務總裁
は、
自己
の不明のために不
適格者
であるということを知らないという
一つ
の
責任
があるのである。私はその點に對します循環が理解できないのでありまして、やはりこの
審査委員會
の
性質
は、
法文
の記載から言いますと、私は單なる
諮問機關
とは思いません。その點どうであるかということも承りたい。
只今
重ねて伺いました點について今少し明確なる御
説明
を承りたいと思います。
佐藤藤佐
27
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君) 普通に使われておりまする
諮問機關
という場合には、或る
責任者
から或る
事項
を
諮問
されて、その
諮問
に應じて答をするというのが、
諮問機關
の
意味
でありますが、そういう
意味
の
諮問機關
ではないと思います。この
條文
に示されておりまするように
檢察官
を
罷免
する場合には必ず先ず
適格審査委員會
の
議決
がなければならん。その次には
法務總裁
の
罷免勸告
がなければならん。そうして
任免權者
の
罷免
という
手續
が行われるのでありまして、單なる普通に使われておる
諮問機關
とはそこが違うのではないかというふうに考えております。ただ
議決
があれは
議決通り
に
法務總裁
が行動しなければならないかと言いますと、
議決
があ
つて
その
議決
が相當と認めた場合には、
議決通り
に從わなければならん。こういうふうにこの第三項に
規定
しておりまするので、結局
審査委員會
というものは
一般
に言う
諮問題機關
でもないし、又
議決機關
でもないということになるのでありまして、若し先程の私の
答辯
の中に
諮問機關
という
言葉
を
使つた
としまするならば、その點は訂正いたしたいと存ずるのであります。 それから
定時審査
をしておる際に、或る
檢察官
に不
適格者
を發見してそれを
法務總裁
に通知した場合には、
法務總裁
がさような不
適格者
を放任してお
つた
ということが、
法務總裁
の
責任
ではないかというお
言葉
のように拜聽したのでありますが、それは勿論
法務總裁
の
責任
であります。さような不
適格者
を
法務總裁
が放任してお
つた
ということは、これは
法務總裁
の
責任
でありまするけれども、そのことと、この不
適格者
であるからそれを
罷免
するというそのこととは、又別なのでありまして、その不
適格者
を
罷免
するという場合には、
法務總裁
は
自己
の
責任
において
罷免
を
勸告
しなければならんのでありまして、先程來私が申上げておりまする
法務總裁
の
責任
において、
責任
においてというのは、その
罷免
の
責任
でありまして、
罷免
の
責任
はどこまでも
法務總裁
が負擔すべきものであ
つて
、
審査委員會
が負擔すべきものではない。かように考えておるのであります。
鬼丸義齊
28
○
鬼丸義齊
君 大變くどく伺いますので恐縮でありまするが、了解ができませんので重ねて伺います。この二十三條の一號にありまする
定時審査
の場合におきまするその
審査
の結果、不
適格者
を發見いたしたということについて、
法務總裁
にも不
適格者
と知
らずし
て
使つて
お
つた
責任
がある。これはお認め頂いたのでありまするが、若しそれといたしましたならば、一面
法務總裁
の
責任
を、むしろ
審査委員會
において、
職務
怠慢の、むしろ
法務總裁
の
責任
のあることが明確になるのであります。その場合に、その
法務總裁
が、その
適格
、不
適格
を相當か不相当かということを
總裁
の考えによ
つて
右、或いは左に
決定
しようとすることは、これは成る程机の上の議論におきましては、或いは
性質
が違うというようなことも言い得ましようけれども
法務總裁
と雖も人間でありますから、人間であります限りにおきましては、自分の
責任
をみづから認めるか認めざるかというふうなことにもなりまするので、むしろ、その點については
審査委員會
と
法務總裁
とは利害相反するような立場と思います。 そういうような場合におきましては、少くとも
審査委員會
の
議決
自體が、不適當か否かということを
判斷
せんとするのは、
法務總裁
の手を煩わさずして、又他の手によ
つて
その黒白を判別することが、むしろ筋の通る行き方ではないかと思うのであります。いわゆる
法務總裁
に
責任
あるや否やということの、
審査委員會
の
議決
につきましては、むしろ
法務總裁
とは利害反することである。故にその利害反することを
法務總裁
みずからにおいて相當か不相當かということを判断斷をして、而もそれに効力付けるということにつきましては、大變そこに無理がありはしないかと思います。その點についてのお考はどうであるかを伺いたいと思います。
佐藤藤佐
29
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
制度
の立て方といたしましては、
仰せ
のように
審査委員會
に全
責任
を持たせて、
檢察官
を
罷免
するということも考えられましようけれども、この
檢察廳法
の
建前
としましては、どこまでも
檢察官
の
罷免
は
法務總裁
の
責任
において行う。ただその
法務總裁
が
罷免
するについては、
一般
の
行政官
を
罷免
する場合と違
つて
、
檢察官
については特に
檢察官適格審査委員會
の
議決
を經て、そうしてその
議決
が相當と思われるときに、初めて
法務總裁
が
罷免
をなすことができる、勝手に
罷免
してはならん。こういう
檢察官
の身分を保障いたしておるのでありまして、
法務總裁
に
檢察官
罷免
の
責任
を持たせる方がよろしいか、或いは
法務總裁
を離れて
檢察官適格審査委員會
に
責任
を負わせて、
罷免
の
手續
をする方がよろしいか。これは
制度
の立て方としてどちらが適當であるかという論は、これは考えようによ
つて
立ち得ると思いまするけれども、私共の考といたしましては、どこまでも
平素
の
檢察官
の
職務
の内外を問わず、
指揮監督
の
責任
のある
法務總裁
に
罷免
の
責任
を負わしめる方が最も適當であろう。こういう考のもとにかような
制度
を採
つた
のであります。 例え話で非常に恐縮でございまするが、例えば刑事裁判において裁判をする場合には、
裁判官
の
責任
において裁判をいたすのでありまするが、その際に裁判の重要なる資料となるもので、專門家の鑑定人の鑑定というものがよくあるのであります。この場合に、專門家が鑑定したのであるから、その鑑定
通り
に裁判すればよろしいのではないかということも、
一つ
の考え方でありまするけれども、現在の
制度
の下におきましては、專門家の鑑定人の鑑定があ
つて
、そうしてその鑑定を相當と思われるときには、その鑑定に從
つて
裁判をするというのが、現在の裁判のやり方でありまするが、丁度例えて申上げますればさような
制度
を採
つた
のであります。
鬼丸義齊
30
○
鬼丸義齊
君 私はこの本質的には或いは同樣な
趣旨
になるのかと思いますが、先程もちよつと一言いたしました
ごと
くに、
陪審法
が布かれましてから後に、
陪審
裁判というものが殆んど有名無質に開店休業の状態にありますることは、要するに
裁判官
の
意見
と
陪審員
の
意見
と對立いたしました場合に、何囘でも
裁判官
の
意見
と一致いたしまするまで
陪審
をやり替えさせることにいたしております。こういうような有名無實な結果になりまするというと、えてして
制度
というものは如何に民主
制度
が布かれたような形だけしてお
つて
も、實はそれは僞装の民主
制度
であるということに、
陪審制度
自體の今日までの實例から見まして、遺憾に思
つて
おるのであります。すでに國を擧げて民主
制度
を本當に
徹底
化せんとしておりまするときに、もはやこうしたような、やはり不
徹底
なる
民主化
のやり方はよくない。そういう
意味
から私は強くこの點に疑問を持ちまするために伺うのでありまする。 大體
法務總裁
に
責任
あることをみずからの
判斷
によ
つて
、利害反することに對して、その
責任
を負わせますることは、むしろそれ自體に大きな無理があるのであります。やはりこの
制度
も、そういうことの
制度
になりまして、結局結論を得まして、
法務總裁
と反對なる結論を得たといたしましても、
總裁
の
裁量
によ
つて
直ちにそれが容れられないといこうになりまするというと、その見透しの下において
審査委員會
というものはやはり
陪審制度
と同じことに、有名無實に終るようになりはしないかということを多分に恐れるのであります。故に
制度
を布くならば、本當の民主
制度
に徹する
制度
でなければ、折角の
制度
も、やはり、有名無實に終りはしないか、こういう
意味
に實は考えましたので、先程來から再三伺
つた
のであります。この點に對しまする政府の御所見はどんなものでありましようか、重ねて伺います。
佐藤藤佐
31
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
民主主義
の思想を
徹底
させるためには、
檢察
審査委員會
の下に
責任
を持たせて、
檢察
審査委員會
の
議決
に
從つて罷免
をするという方が、
檢察
民主化
の
徹底
を期する上において最上ではないかという御
意見
でございまするが、成程、
民主化
を
徹底
するためには
仰せ
の
通り
な
制度
にする方が
徹底
はいたしまするけれども、さようにいたしますれば
法務總裁
の
責任
というものが、そこで逃れてしもうのでありまして、
民主化
を期しながら、而も
監督
の
責任者
に
最後
の
責任
を持たせようという、兩方からの目的を持
つて
おるために、そこが御質問のようなどうも
徹底
しない嫌いがあるのではないかと思うのでありまするが、
制度
といたしましては、やはり
法務總裁
に
責任
を負わせながら、而もできるだけ
民主化
を
圖ろう
としておるのであります。かように、
審査委員會
の
議決通り
に
罷免
の
手續
をしなければならんというふうにいたさなくとも、この
制度
によりましても、各方面の
代表者
、而も
國民
の
意思
を最も正常に反映せられておる
檢察官適格審査委員會
の
議決
がありますれば、これを尊重して
法務總裁
が善處するということは當然のことでありまするから、大抵の場合は
適格審査委員會
の
議決
と、
法務總裁
の
最後
の裁斷と違うということはあり得ないのではないかというように考えるのであります。 又先年我が國において施行されました
陪審法
におきましては、
陪審員
の
判斷
と
裁判官
の
判斷
と違う場合には、何度も
陪審
を繰返して、そうして
裁判官
の
責任
において、
裁判官
の
最後
の
判斷
に基いて裁判をいるという
制度
であ
つた
がために、我が國の
陪審法
があまり活用されたか
つた
のではないかという御
意見
でありまするが、この點はさような御
意見
をしばしば承るのでありまして、英米の
陪審
の
制度
と違いまして、
陪審員
に絶對の
判斷
權がなく、
陪審員
の
判斷
と
裁判官
の
判斷
と一致したときに、裁判を下されるという鵺的な
陪審制度
が我が國において施行されたために、我が國の
陪審法
があまり活用されなか
つた
という
一つ
の原因であることは、私もそれは認めるのであります。 併したがら
最後
に
裁判官
の
責任
において、
裁判官
の
最後
の
判斷
によ
つて
裁判をするという
制度
がよろしいか、
裁判官
の
判斷
を交えないで
陪審員
だけの
判斷
で裁判される
制度
の方がよろしいか、この利害得失につきましては學者間においても非常に論ぜられるところでありまして、御承知のように
陪審法
は英米では相當用いられておりまするけれども、歐洲大陸においては失敗に歸しておるのでありまして、そこに英米の
陪審制度
が最上の
制度
であるということは、言い得ないのではないかというように存じておるのであります。將來我が國の
陪審法
を復活する場合には、その點についても篤と研究して善處いたしたいと考えておるのであります。
鬼丸義齊
32
○
鬼丸義齊
君 我が國の
國民
の文化の
程度
から考えまして、
陪審制度
の
陪審員
の
決定
に對しまする拘束力を附けるか否かについては、多大の疑問を持ちますることは同感であります。丁度この度政府の方から提案されました
檢察
審査會
の法案中にありまする
檢察
審査會
この
審査會
の
審査
員の構成と、ここにいわゆる
檢察官適格審査委員會
の
委員
の構成とは格段の相違がございます。
檢察
審査會
の方の
委員
は、丁度
陪審法
の
陪審員
のような
選任方法
にな
つて
おるようであります。ところがここに
檢察官適格審査委員會
の
審査委員
の顔振れを見ますと、
國會議員
、
檢察官
、
法務廳官吏
、
裁判官
、
辯護士
及び
日本學士院會員
、錚々たる顔揃いの
委員
を擁しまする
審査會
であります。
陪審員
の場合、或いは
檢察
審査會
の場合とは同日の論ではないと思うのであります。 その
意味
におきまして、私はこの
檢察官適格審査委員會
の
議決
に對しましては、そうした
矛盾
を押し切
つて
までも、
法務總裁
に相當、不相當の
裁量
權をここの與える必要があるかないかにつきましては、どうしても理解ができないのであります。とにかく若しこの
審査委員會
の
議決
というものが單なる
議決
であ
つて
、
法務總裁
の
裁量
によ
つて
死活が決するということになりますると、自然にこの
委員
会の活動というものに對しまして大きな影響があろうと思うのであります。というのは、
一つ
の
審査
をなそうといたしましても、
總裁
の
意思
如何ということが直ちに連想されることとなりまして、折角のこの
制度
が甚だ活溌な成果を擧げ得ないのじやないかということに、多大の心配をいたすのであります。故にここにいわゆる
適格審査委員會
の
委員
の場合は、
檢察
審査會
及び
陪審員
の場合とはおのずからその構成に違いがあるのでありますから、私は
審査委員會
の決議というものは相當に尊重されて然るべきではないかと思うのであります、法的には……。この點を
最後
に私、お伺いしたいと思います。
佐藤藤佐
33
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
檢察官適格審査委員會
の構成は、お説のように
檢察
審査會
の構成とは全然異なるのでありまして、
檢察
審査會
の構成の方は
陪審制度
に代る
一般
民衆の構成でありまするが、
檢察官適格審査委員會
の方は、この
法文
に列擧してありまするように、
檢察官
に關係の深い各界の選ばれたる
代表者
を以て構成し、又
國民
の
意思
を最も適切に代表される方々を以て構成されるのでありまするから、その
審査委員會
の決議というものは非常な價値の高いものであることは申すまでもないことでありまして、從
つて
その
審査委員會
の決議が十分に尊重さるべきことは申すまでもないのでありまして、
適格審査委員會
の
議決
がありました場合には、
法務總裁
がこれを十分尊重して善處されることと思うのであります。御心配になられるように、
適格審査委員會
の
議決
と
法務總裁
の
意見
とが違う場合というようなことは、
實際
上は殆んどあり得ないことではないかと考えるのであります。從
つて
法務總裁
が
適格審査委員會
の
議決
を左右するというようなことは、これは毛頭あり得ないのであります。 ただ
檢察官
を
罷免
するという重大な
手續
をするには、
適格審査委員會
の
議決
と
法務總裁
の
勸告
とこの二つの條件が具備しなければ、
檢察官
を
罷免
することができないという條件でありまして、どちらが重い、どちらが經いというようなことはないので、二つの條件が備わ
つて
初めて
檢察官
を
罷免
することができるのでありまして、
一つ
の條件が缺けた場合にはできないというまでのことであります。
松井道夫
34
○
松井道夫
君 ちよつと二點だけ。
國會議員
が六名ということにな
つて
おりますが、この法案によりますると、衆議院議員及び參議院議員というので、通じて六人と讀めるのでありますが、政府當局とされては、その内容、どういう工合に考えられるか。それが一點。 それから
國民
が直接、
適格審査委員會
の
職權
の發動を促す權限があることにしなか
つた
理由
を伺いたいと思います。
佐藤藤佐
35
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
檢察官適格審査委員會
の
委員
は十一名でありまして、その中六名は衆議院議員及び參議院議員の豫定の下に、別に官制案では、衆議院議員三人、參議院議員三人と、それぞれ互選によ
つて
選出されるものと立案いたしたのでありまするが、衆議院の司法
委員
会の方におきましては、衆議院議員と參議院議員の人員が、大體四對二の割合にな
つて
おるから、六人の中衆議院議員四人、參議院議員二人、とこう明確に
本法
において
規定
する方がいいのではないかというような
意見
が多數でありまして、その點は衆議院の司法
委員
会において
改正
されたのであります。 次に
一般
國民
が、
檢察官
の
罷免
を
適格
審査委員
会に對して要求する
手續
がないではないか、という
お尋ね
でありまするが、この點は
本法
において特に
請求
權を認め、又その
請求
の
手續
というようなことを
規定
はいたしておりませんけれども、如何なる
方法
によ
つて
知り得た場合でも、
適格審査委員會
は、その資料に基いて随時
職權
で
審査
を行うことができるのでありまするから、その半面において
一般
國民
が
適格審査委員會
に直接或る資料を提供するということは
本法
においても認めておるのでございます。
大野幸一
36
○大野幸一君 二十三條に、「
委員會
の
議決
及び
法務總裁
の
勸告
を經てその官を免することができる。」というのでありますが、「その官を免ずる」というのは何人が免ずるのであるか、こういう點と、そうして三項に終りの方の「
當該檢察官
の
罷免
の
勸告
をしなければならない。」
罷免
の
勸告
は誰にやるのか。例えばこれは
懲戒
委員會
に
勸告
をするのか、
法務總裁
が
罷免
を假りにする。任命官が
罷免
するにも
懲戒
裁判にかけて、
懲戒
委員會
によ
つて罷免
をするのか。そういうような點を第一點としてお伺いします。 第二點といたしまして、免官の
事由
として
心身
の
故障
、
職務
上の非
能率
その他の
事由
を擧げておりますが、その他の
事由
中には重大なる
非行
を含んでおると思いますが、重大な
非行
で免官になるとすると、公務員法の八十一條第三號の、
非行
のあ
つた
場合に懲免處分として免職されることにな
つて
おりますが、この關係とはどういうことになりますか。即ち
懲戒
裁判と
本法
との關係、二つが併立して行くものか、どういう關係になるのかということと、ここでは免官とな
つて
おりますが、公務員法によりますと免職とた
つて
おります。又今の
裁判官
の場合には
罷免
というように、ときによ
つて
いろいろな字句が
使つて
ありますが、その字句によ
つて
意味
が違うのか、又先程申しました
官吏
懲戒
令との關係で、この免官と
官吏
懲戒
令の免官との關係はどういうことにな
つて
おるか、などをお伺いいたします。
佐藤藤佐
37
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
お尋ね
の第一點でありまするが、
檢察廳法
第二十三條第一項の官を免ずるという
任免
は
任免權者
からであります。一級官の
檢察官
は内閣において、二級官の
檢察官
は内
閣總理大臣
においてこれを
任免
することにな
つて
おりまするので、そこには省略しておりまするけれども、官を免ずる者は内閣又は内
閣總理大臣
というその
任免權者
を指しているのであります。從
つて
第三項の終りの方に
當該檢察官
の
罷免
の
勸告
をするというのも、それは
任免權者
に對して
罷免
の
勸告
をするという
趣旨
でございます。 それから第二の
お尋ね
の點でありまするが、
檢察官
に重大な
非行
があ
つた
場合には、やはり
檢察廳法
第二十三條によ
つて
、
適格審査委員會
の
審査
を
請求
する
事由
になるかという
お尋ね
でございまするが、これは重大なる
非行
が、それによ
つて檢察官
の
職務
を執るに適しない
程度
でありまするならば、勿論
檢察廳法
第二十三條の
適用
があるものと
解釋
いたしております。從
つて
重大なる
非行
があ
つた
場合には、一面において
檢察廳法
第二十三條の
適用
を受け、他面において
官吏
懲戒
令の
適用
を受くるという場合も考えられるのであります。同一の
事由
が、
檢察廳法
に發動によ
つて罷免
するかということは、その具體的な
事例
によ
つて
判斷
されることと思うのであります。 それから
官吏
の分限に關する
規定
の中に、御説のように、免職或いは免官とか用語がまちまちでありまするが、
官吏
分限に關する法規の中で、免官とい
つた
場合には免職も含み、免職とい
つた
場合には免官も含む
趣旨
に、從來
解釋
されておるように考えております。
大野幸一
38
○大野幸一君
任免權者
がこれに基いて免官する場合に、
懲戒
委員會
にかけるのですか、かけないのでしようか。
佐藤藤佐
39
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
懲戒
處分によ
つて罷免
するというような場合には、勿論
懲戒
法の
規定
に從
つて
、
懲戒
委員會
にかけなければならないものと考えます。
大野幸一
40
○大野幸一君 この二十三條によ
つて
法務總裁
から
勸告
を受けた場合には、そのまま免官ができるのですが、それともその場合でも
懲戒
委員會
にかけなければならんかということなんです。
懲戒
事由
があれば
懲戒
委員會
にかけるというのは當り前ですが、
懲戒
事由
でなく、二十三條によ
つて
の
勸告
を受けた場合にはどうかということを伺
つて
おるのです。
佐藤藤佐
41
○
政府委員
(
佐藤藤佐
君)
檢察廳法
第二十三條に
規定
されておりまする
事由
があ
つた
場合には、
檢察官適格審査委員會
の
審査
を求めて、そうしてその
議決
によ
つて罷免
いたすのでありまするが、その
事由
が若し
懲戒
免官の
事由
にも當るというような場合には、
法務總裁
の方で、恐らく
檢察廳法
の發動ではなく、
官吏
懲戒
法の發動を求めることと存じまするけれども、場合によ
つて
は、
懲戒
の
事由
ではあるけれども
懲戒
にするまでもなく、とにかく
罷免
すれば十分だというような考えから、
懲戒
法の發動を促さないで、
檢察廳法
二十三條の
適用
によ
つて罷免
するという場合も考えられるのであります。
伊藤修
42
○
委員
長(
伊藤修
君) ここでお諮りいたすことが三つございますが、まず第一に、
只今
御質疑を願いました兩法案につきましては、いろいろな關係上本日中にこれを議了いたしたいと存じますが、目下衆議院においてまだ審議中でありまして、午後の本會議にこれが上程せられ可決される運びにな
つて
おりますから、その後でないと参議院における司法
委員會
は開かれないのでありますから、それまで
一つ
お殘りを願いたいと思います。御迷惑でありますけれども……。そういたしませんというと明日以後の關係があるそうですから……。 それから第二に、先にお諮りいたして御
決定
を願いましたところの視察の第一班と第三班が、政變その他の關係で實行されていないのでありまして、これを四月中の實行することに御異議がないですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
43
○
委員
長(
伊藤修
君) それではさように
決定
いたします。 次に本
委員會
に付託されておりますところの輕犯罪法につきまして、各種勞働
團體
から公聽會を開いて貰いたいという要請があるのであります。從いまして議案の
性質
上、その際公聽會を開きたいと存じまする次第でありまして、かねて人身保護法につきましても、自由
人權
協會からやはり公聽會を開いて貰いたいという要請がありますから、これを併せまして兩案につきまして公聽會を開きたいと思うのでありますが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
44
○
委員
長(
伊藤修
君) ではさよう
決定
いたします。つきましては公聽會の日時でありますが、大體二十六、七日ということに御
決定
を願いまして、公述人の選定につきましては
委員
長にお委せを願いたいと思いますのですが…。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鬼丸義齊
45
○
鬼丸義齊
君 その二十六、七日頃、私共九州方面に行くことにな
つて
おるのですが……。
伊藤修
46
○
委員
長(
伊藤修
君) それですから、それはあとで、明日までに大體お打合せ願いまして、それと睨み合せまして……。
鬼丸義齊
47
○
鬼丸義齊
君 その後に……。
伊藤修
48
○
委員
長(
伊藤修
君) 會期中に、餘り會期に追われる頃では困りますから、適當な、その後
議決
する日を見て公聽會を開かないといけないと思います。
鬼丸義齊
49
○
鬼丸義齊
君 尚、今の
檢察
審査會
法なんというものは、まだ一囘の逐條
説明
を受けただけで、殆んど質問にも誰も入
つて
いないくらいで、そんなに俄かに明日に上げなければならんという
理由
はどこにあるのですか。
伊藤修
50
○
委員
長(
伊藤修
君) ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕
伊藤修
51
○
委員
長(
伊藤修
君) それでは速記を始めて下さい。では今日はこれにて散會することにいたします。 午後零時三十六分散會 出席者は左の
通り
。
委員
長 伊藤 修君
委員
大野 幸一君 齋 武雄君 中村 正雄君 大野木秀次郎君 水久保甚作君 鬼丸 義齊君 松井 道夫君 松村眞一郎君 星野 芳樹君 小川 友三君
政府委員
法務廳
事務
官 (
行政
長官) 佐藤 藤佐君