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1948-03-30 第2回国会 参議院 司法委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年三月三十日(火曜日) 午後二時一分
開會
————————————— 本日の會議に付した
事件
○
檢察廳法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
) ○
檢察審査會法案
(
内閣送付
) ○
人身保護法案
(
伊藤修
君發議) —————————————
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
司法委員會
を
開會
いたします。本日は
檢察廳法
の一部を改正する
法律案
、
竝びに檢察審査會法案
、
兩案
を一括して議題に供します。この
法案
は御承知の
通り豫備審査
のために本
委員會
に付託されておるのですが、本日は先ず
法務廳裁
の
提案理由
を伺うことにいたします。
鈴木義男
2
○
國務大臣
(
鈴木義男
君)
只今上程
になりました
檢察廳法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
の御
説明
を申上げます。 そもそも
檢察官
は
公訴權
の實行をその
職責
とするものであり、
檢察官
による
公訴權
の實行が適正に行われなければ、
刑罰法令
の適正な
適用實現
もこれを期待することができないことは論を俟たないところであります。このためには
檢察官
の
身分保障
を強くし、
檢察官
をして如何なる
勢力
にも影響されることなく、嚴正公平に
公訴權
の實行に當らしめる用意が必要でありまして、
檢察廳法
第二十三條は全くこの
趣旨
に出た
規定
なのであります。併しながら
現行制度
のように、
檢察官
の
罷免事由
を、心身の故障その他の
事由
に因りその
職務
を執るに堪えない場合のみに限り、
檢察官
が
職務
上の非能率或いは重大な
非行等
に因りその
職務
を執るに適しない場合には、尚これを罷免することができないというのでは、その
身分保障
が強きに過ぎるとの批判もあり、又
裁判官
の
身分保障
に比して權衡を失するとの
意見
もあるのであります。よ
つて政府
におきましては、以上の諸論を詳細研究いたしまして、
檢察官
の
職責
の
重要性
に鑑み、
檢察事務運營
の適正を圖ると共に、檢察の
民主化
を期するために、新たに
檢察官
の適格に關する
定時審郷制度
を設け、併せて
檢察官
の
罷免事由
を擴張し、更に
檢察官適格審査委員會
の
構成員
の
過半數
を
國會議員
とすることに改めて、ここにこの
法案
を
提出
した次第であります。何
率愼重御審議
の
上速
かに御可決あらんことを望みます。 次に同じく
上程
になりました
檢察審査會法案
の
提案理由
を御
説明
申上げます。 我が國の法制によりますれば、
公訴
は
檢察官
のみがこれを行うものでありますが、
日本國憲法
の
精神
に鑑みますと、
公訴權
の實行に關しても、できる限り
民意
を反映せしめて、その適正を圖るのが
至當
と考えられるのであります。而して、
公訴權
の實行に關し
民意
を反映せしめる最も徹底した
制度
は、
英米
におけるがごとき
起訴階審
でありますが、我が國の
國情竝びに英米
における
起訴陪審
の
實績
などを詳細に研究いたしました結果、今俄かに
起訴陪審
を採用することは
適當
ではなく、むしろ
檢察官
の不
起訴處分
の
當否
の
審査竝びに檢察事務
の
改善
に關する
建議
又は
勸告
を所掌する
檢察審査會制度
を設けるのが、最も我が
國情
に合致するものと考えまして、この
法案
を
提出
する次第であります。 次にこの
法案
の内容の大要を御
説明
いたします。 第一、
檢察審査會
は、政令で定める
地方裁判所
及び
地方裁判所支部
の
所在地
に置かれるものであ
つて
、その數は全國通じて二百を下
つて
はならないのであります。 第二、
檢察審査會
は、その
管轄區域内
の
衆議院議員
の
選擧權
を有する者であ
つて
、一定の
缺格事由
のない者の中からくじで選定した十一人の
檢察審査員
を以て組織するものであ
つて
、別に同數の
複充員
があり、
檢察審査員資格者名簿
及び
檢察審査員候補者名簿
の
調製方法竝びにくじによる選定
の
方法
などは、大
體陪審法
のそれに準じております。
檢察審査員及び複充員
の
任期
は六ケ月でありますが、この
法律施行
後最初に選定される
檢察審査員及び複充員
各十一人の内各六人の
任期
は三ケ月、各五人の
任期
は六ケ月と定め、爾後三ケ月ごとに六人又は五人が新たに選定複充されるものといたしまして、いわゆる半
數交替制
を採
つて檢察審査會
の機能の低下を防止する方策を講じたのであります。 第三、
檢察審査會
の所掌する
事項
は、檢察管の不
起訴處分
の
當否
の
審査竝びに檢察事務
の
改善
に關する
建議
又は
勸告
でありまして、
檢察審査會
は、告訴若しくは
告發
をした者、
請求
を待
つて
受理すべき
事件
について
請求
をした者又は
被害者
の
申立
があるときは、必ず不
起訴處分
の
當否
の
審査
を行わなければならず、又
檢察審査會
の
過半數
による
議決
があるときは、
職權
で不
起訴處分
の
當否
の
審査
を行うことができることとな
つて
おります。
檢察審査會
は、その
職權
を行うに當り、何人の
指揮監督
も受けず、全く獨立してその
職權
を行うものであります。 第四、
檢察審査會
の
審査手續
につきましては、
檢察官
に對し
審査
に必要な
資料
の
提出
及び
意見
の開陳を要求し、
審査申立人
及び證人を呼出してこれを尋問し、又は相當と認める者の出頭を求めて、
法律
その他の
事項
に關し
專門的助言
を徴することができるのであります。
檢察審査會
は、
審査
の結果
議決
をしたときは、
理由
を附した
議決書
を作成し、その謄本を
當該檢察官
か
指揮監督
する
檢事正
及び
檢察官適格審査委員會
に送付し、且つ
議決
の要旨を七日間掲示することといたしてあります。而して
檢事正
は、
檢察審査會
の
議決
を參考にし
公訴
を提起すべきものと思料するときは、
起訴
の
手續
をしなければならないのであります。 第五、
檢察審査會
に關する
經費
につきましては、これを
裁判所
の
經費
の一部として國の豫算に計上しなければならないものといたしてあります。 以上で簡單ながら、
提案理由
の御
説明
を終えることにいたしますが、何卒
愼重御審議
の上、速かに御可決あらんことを望みます。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君)
兩案
に對する質疑は後日にこれを讓りまして、次に
人身保護法
を
上程
いたします。これに對する各條の
説明
を
梶田專門調査員
よりお願いいたします。
梶田年
4
○
專門調査員
(
梶田年
君) 昨
日本委員會
におきまして
人身保護法案
に關する全般的な
説明
といたしまして、この
法律
の性格、適用の範圍、
憲法
との關係、
刑事訴訟法
との
關係等
につきまして大體の
説明
がありまして、この
法律
が新
憲法
の下におきましてなくてはならなて重要な
附屬法
であるということが明らかにせられたのであります。本日は命によりましてこれからこの
法律
の
逐條説明
を申上げることにいたします。が、これに先立
つて
一言申上げて置きたいことは、この
法案
は
人身保護請求
の
手續
の骨組だけを簡潔に規定したものでございまして、
法案
の條文自體から見ますると、不備不明な點があるように見られるかも知れませんが、この
法律
の運用に關する
手續
その他の事項は、すべとこの
法律
の運用について最後的に
監督權
を有するところの
最高裁半所
の規則に讓る方針で立案されておるのでありまするから、この
法律
の運用を
效果的
にするには、適切な
最高裁判所
の規則の制定が必要であるということを御留意をお願いいたしたいのであります。 さてこの第一條でありますが、第一條はこの
法律
の基本といたしまして、この
法律
の目的と
適用範圍
が示されておるのであります。
一般説明
にもありましたように、この
法律
は
憲法
の保障するところの
身體
の自由に對する
不法侵害
を排除しまして、簡便な
方法
で
被害者
を現實に且つ迅速に
救濟
いたしまして、自由を囘復させることを目的とする非常例外的な措置を決めた
法律
であります。この
法律
によ
つて救濟
の對象とするものは、現に
身體
の自由を
拘束
せられておる者でありまして、その自由の
拘束
が
法律上正當
の
手續
によらないで
不法
に行われた報告にこの
法律
が適用せられるのであります。
從つて
自由の
拘束
が
不法
ではなくして、單に不當に行われた程度に過ぎない場合には適用せられないという
趣旨
であります。即ち權限のある者がその
自由裁量
の
範圍内
でなした
拘束
には適用しないということになるのであります。自由を
拘束
されるということは、これは
身體
の自由が侵害せられるすべての場合を包含するのでありまして、逮捕、監禁、抑留、或いは抑制、拘禁、軟禁など、
苟くも身體
の自由を奪われ、又は制限せられる如何なる場合も含める
趣旨
であります。
拘束
という文句は、この廣い意味を表す用語として使用したのであります。そうしてこの
拘束
せられておるかどうかということは、これは
事實
問題として決せられることになるのであります。「
法律上正當
なる
手續
によらないで、」と申しまするのは、
身體
の
拘束
が法規に定める
手續
に從わないことであ
つて
、
拘束
が
實體法上
正當であるか否かということは問わないのであります。
從つて
、
拘束
が犯罪に基くかどうか、有罪か無罪かというようなことは關係がないのでありまして、例えば犯罪を構成していない場合でも適法に
勾留状
で
拘束
せられているならば
人身保護
の
請求
は棄却せられることになるのであります。これに反しまして
勾留状
に形式的の缺點があれば、たとえ犯罪が成立しておりましても
人身保護
の
請求
は認められることになるのであります。それ故に、
法律上正當
な
手續
の
要件
と申しますれば、第一に
拘束
が形式的に法規の根據に基くこと、第二に
拘束
が
法律
の定める
手續方式
に從うこと、第三に
拘束
がその權限ある者によ
つて
行われることということになるのでありまして、この
要件
を缺くときには
手續上不法
となるのであります。「
法律上正當
な
手續
によらないで」というのはこういう意味で、相當廣い意味を持
つて
おるのであります。それ故に
犯罪嫌疑
によ
つて刑事事件
として
拘束
せられた場合におきましても、
拘束
、即ち逮捕或いは勾留が
刑事訴訟法
の規定に基く
令状
によらない場合、
令状
によ
つて
おりましても
令状
がその
方式要件
を備えていない場合、又
令状
が權限ある
裁判官
によ
つて
發せられていないというような場合にはいずれも
不法
な
拘束
となるのであります。
不法
な
拘束
から現實に免れしめて、
身體
の自由を完全に回復せしめることが即ちこの第一條に言う「
救濟
」であります。
非常救濟
と稱せられておるのであります。この
救濟
を求めることが即ち
人身保護
の
請求
となるのであります。この
請求
は
憲法
によ
つて
與えられ保障せられた權利でありまして、これは外國では特權と稱せられておるのであります。この權利の本質は
身體
の
自由權
、即ち民法上の人格權即ち私權の一つでありまして、
從つて
この私權の
保護
を
請求
する私
權保護
の
請求權
の一種に外ならないのでありまして、このことは
一般説明
にも述べられておる通りであります、本條に「
救濟
を
請求
する」といたしまして、
請求
という文字を使
つて
ありますのは右の
理由
からでありまして、又
憲法
第三十四條の後段に「要求があれば」というのは、この
人身保護
の
請求
としてここに現われて來たのであります。 本法によ
つて救濟
の對象となりまする
不法
な
拘束
には、
公權力
による場合と、個人の私力による場合とあります。即ち第一は
刑事事件
又は
行政事件
に關しまして
公權力
による
不法拘束
であります。例えば
司法官憲
の正當の
令状
なくして逮捕又は勾留する場合、勾留の原因が消滅しておるに拘わらず勾留を取消さないで繼續する場合、勾留の
更新決定
の
手續
をしないで勾留を繼續する場合等に生ずるのであります。第二は個人の私力又は
私的團體
による
不法拘束
であります。例えば政爭の關係、
選擧關係
、或いは
勞働爭議
の
關係等
から反對派の人物を抑留、軟禁その他の
方法
で
身體
の自由を奪い、又は制限する等の場合に生ずるのであります。又
精神病者
でない者を
精神病者
と稱して病院又は
私宅監置室
に監置する場合、
未成年者
に對する
監護權
がない者が
未成年者
を
懲戒場
に入れる場合、坑夫を
所謂監獄部屋
に收容して勞役に服させる場合、こういう場合に生ずるだろうと思われるのであります。これらのことも昨日
一般説明
ですでに
説明
のあつた通りであります。
身體
の自由に對する
不法
な侵害があつた場合に、被
拘束者
、即ち
拘束
せられておる者、本人は自分でその現實の侵害を排除するために
救濟
を
請求
するということは
事實
上非常に困難であります。且つ速かに
救濟
をなす必要があるということからいたしまして、
被害者
の親族とか、友人とか、隣人など誰でも被
拘束者
のために
裁判所
に
救濟
を求め得ることができることにいたしたのであります。これは本人の
代理人
としてするのではありません。本人のために獨立して自己の名を以てするのでありまして、本人の
救濟
が簡便に且つ迅速に實現されることを期したのであります。 次に第二條でありますが、第一條に規定いたしました
身體
の自由を
不法
に
拘束
せられた者が
救濟
を求める
請求
、即ち
人身保護
の
請求
は
辯護士
を
代理人
としてすることを原則といたしたのであります。
人身保護
の
請求
は實際におきまして濫用せられる幣があるのでありまして、少くとも
法律
の施行の當初においては相當濫用の虞れあるものと存ぜられるのであります。即ちこれによ
つて
正當な
刑事訴訟
の
手續
が妨げられるということもできて
來よう
と思われるのであります。アメリカの或る判例によりますれば、戰爭のために徴用された者の父親が、苦役のために息子が監禁されたのは
不法
であるとして、この
人身保護令状
の
請求
をした例があるくらいであるのでありまして、我が國においてもやはりこの
法律
の施行の際には相當濫用せられるような心配があるではないかと思われるのであります。そこでこの
人身保護
の
令状
、即ち
人身保護命令
の
手續
というものは非常に
效果的
なものでありまするから、これが濫用を防ぐために
拘束
が
不法
であるかどうかということについて、
法律
上
竝びに事實
上の判斷の能力を有する者、又責任のある者という
趣旨
からいたしまして
辯護士
を
代理人
として
人身保護
の
請求
をなすべきものといたしたのであります。併しながら特別の事情のある場合には
辯護士
を
代理人
としないで
請求者自身裁判所
に
請求
することを例外として許してあるのであります。特別の事情と申しますのは、
請求者
の
所在地
に
辯護士
がないとか
辯護士
を依頼する資力がないとか、急迫でありまして
辯護士
を依頼する時の餘裕がないというような場合を豫想いたしております。 次に第三條であります。本條は
人身保護請求
の
管轄裁判所
を規定したものであります。
憲法
第三十四條の後段の規定に基く
人身保護
の
請求
は、
身體
に對する
不法
な
拘束
が
公權力又
は強大な私人又は
私人團體
の力で行われ、
下級裁判所
の手に乘らない場合も含んだ、又この
請求
は全國的に統一して行われるべきであると同時に、その濫用を防ぐ必要があるというような
理由
からいたしまして、その
管轄
を
最高裁判所
の專屬とすべきものであるというような強い意見があるのでありまするが、
民主主義憲法
の下に出發した現在の我が國では、本法の施行と共に相當數の
請求事件
が提起せられるものと考えられるのみならず、
人身保護命令
の
手續
は簡便且つ迅速に行われることがその使命でありまするから、これらの點に鑑みまして、
地方裁判所
及び
高等裁判所
を以て
人身保護請求
をし得る
初審裁判所
即ち
管轄裁判所
としたのであります。然らば
最高裁判所
は何ら
裁判權
がないかと申しますると、そうではないのであ
つて
、
最高裁判所
は
人身保護命令
の
手續
については
監督權
を有するものといたしまして、必要に應じて自ら審理する權能を有するものとする建前を取りまして、初審として
人身保護
の
請求
を受理する
管轄權
こそないけれどもが、
下級審
たる
地方裁判所
又は
高等裁判所
に係屬する
事件
を、何どきでも
引取つて
みずから處理し得る權限を有するものとされているのであります。これは後に
説明
します十九條に規定いたしておるのであります。尚
最高裁判所
は
上訴管轄
を持
つて
おるのでありまして、そのことは十八條に規定しておるのであります。右述べまするごとく
人身保護請求
の
管轄裁判所
は
地方裁判所
と
高等裁判所
と競合しておるのでありまするから、
請求者
は任意に
管轄權
のあるいずれの
裁判所
にも
請求
し得るのであります。そうしてこの
管轄裁判所
の
土地管轄
は、原則として被
拘束者
、
拘束
せられておる者の
所在地
を基本として定められるわけでありまするけれども、
人身保護
の
請求
に當りまして被
拘束者
の所在が不利である場合には、
管轄裁判所
は定まらないというようなことになりまするから、その缺陷を防ぐと共に、
人身保護命令
の
手續
が簡便且つ迅速を旨とする
趣旨
に鑑みまして、被
拘束者
以外の
關係者
、即ち
拘束者
、
請求者
及び
請求者
の
代理人
たる
辯護士
の
所在地
の
裁判所
にも
管轄權
があるものとする考え方であります。その結果土地の
管轄
は極めて自由、廣汎なものとなりまして、殆んど
土地管轄
の定めがないと同樣の結果となるのであります。
人身保護
の
請求
は書面を以てすることが通例でありますけれども、
請求者
が無筆である場合、
司法書士
も存在しない等の場合も考慮いたしまして、
裁判所
に出頭して口頭で
請求
をすることを得るものとしたのであります。この場合には
裁判所
は
請求
の
趣旨
その
理由等請求
の
要件
を
聽取つて調書
を作成すべきであります。この
手續規定
は
最高裁判所
の規則によ
つて
定められることに考えられておるのであります。 次は第四條でありますが、本條は
人權保護
の
請求
の
要件
を規定したのであります。
人權保護
の
要件
は
人身保護
の
請求
の開示と
疏明資料
の提供ということにな
つて
おります。
請求書
の
記載要件
は、第一には
請求
の
趣旨
、第二には
請求
の
理由
、第三には知れている
拘束者竝びに拘束
の
理由
を記載するということであります。第一の
請求
の
趣旨
と申しますのは、
拘束者
に對して
人身保護命令
を發給して被
拘束者
の釋放を求める申立というのであります。第二の
請求
の
理由
と申しますのは、
請求
の
趣旨
の原因たる
事實
、即ち
拘束
が
不法
であることの
事實關係
をいうのであります。
從つて
拘束
せられた日時とか、
拘束
せられた
方法
、
經過的事情
、
拘束者
には
拘束
の權限のないこと、殊に正式の
令状
によらないというようなことをいうのであります。第三に知れている
拘束者竝びに拘束
の場所でありますが、
拘束者
が何人であるか、又
拘束
の場所がどこであるかは、それが知れているときには、當然に
請求
の
理由
の中に記載せられるべきことでありますが、
拘束者
又は
拘束
の場所が不明である場合も少くないのでありますから、かような場合には、これらの表示がないからというて、
請求
が不適法となるものではないのであります。併しこれらのことは
請求
の
理由
中の重要なことでありますから、確定的に明らかでない場合でも、推定し得る
拘束者
又は
拘束
の場所を記載すべきであります。
請求
を受けた
裁判所
がこれを調査する手掛かりとするため必要だからであります。
拘束者
又は
拘束
の場所が全く不明の場合には、
請求書
にそのことを附記することが
適當
であろうと思はれるのであります。
人身保護請求
の
要件
といたしましては、以上のことを表示した
請求書
を提出するか、或いは
口頭陳述
をすると共に必要な
疏明資料
を提供することを要するのでありますが、この必要な
疏明資料
と申しますのは、只今申しました
請求
の
理由
を疏明するに足る材料であります。即ち
不法拘束
の
事實
、その
方法
、
經過的事情等
を疏明するのでありますから、資料といたしましては
關係者
の
陳述書
、證明書、その他の文書、名刺とか寫眞などでありまして、
口頭陳述
による場合に、
請求
の際に
裁判所
に出頭した關係人の陳述なども
疏明資料
となるのであります。 次に第五條であります。
人身保護
の
請求
を受けたる
裁判所
は
請求
の
要件
である
請求書
又は
口頭陳述
の
要件
を書き、又は必要な
疏明資料
の提出がないときには
請求
を却下することができるのであります。即ち不適法として却下するわけであります。この却下するかどうかということは受理した
裁判所
の
自由裁量
によるのであります。
請求書
又は
疏明資料
が不完全であるからとい
つて
直ちに却下すべきでないのでありまして、必要に應じて補正すべきことが
適當
であろうと思います。なぜならばこの
人身保護命令
の
手續
というものは非常例外的な措置でありまして、迅速且つ簡便に何人にも容易に利用し得ることを目的とするものでありますからであります。それ故に一應は適法としてこれを認容する建前を以て處理することが必要であります。ただ
請求
の
理由
自體で
拘束
が
不法
でないことが明白であるとか、
請求
が濫用であるという心證を
裁判所
が得た場合、又は補正を命じてこれに應じませんような場合に却下すべきものとなるのであります。右の不
適法却下
に對しましては抗告その他の不服の
方法
は認められていないのでありますが、
管轄裁判所
で却下された場合に他の
管轄裁判所
に更に
請求
することが許されるのであります。これは即ち再
審査
の
請求
でありまして、この再
審査
の
請求
を許すがため却下の決定を直ちに確定せしめるのではなく、權限ある
裁判所
にいつでも順番に繰返し
請求
し得るものとなすのでありまして、この
請求
の反復を許すということは、これは強權に對しまして弱者を
保護
する
趣旨
から沿革上認められて來たのでありまして、この場合には
從つて一事
不再理の原則というものは適用されないのであります。
英米法
におきましては右と同樣に權限あるすべての
裁判官
に申立て得る仕組にな
つて
おるのでありまして、
人身保護
の精神を徹底せしめる
趣旨
に基くのであります。 次に第六條であります。本條は受理した
事件
の移送に關する規定であります。
人身保護
の
請求
を受理いたしました
裁判所
みずから
事件
を處理することが
不適當
であると認めるとき、例えば
拘束者
が受理した
裁判所
の發した
令状
で逮捕又は拘留されておるような場合に、受理した
裁判所
と
同一構成
の
裁判所
が
事件
を處理する場合のごときは
不適當
であります。又
拘束者
が私人である場合にはその地方におけるその者の地位と勢力の關係から、或いは
拘束者
、被
拘束者
、
請求者
など
所在地
の關係とか、職業の關係などから
手續
を遲滯せしめたり、又は困難にするような事情があるときは、
受理裁判所
として處理することが
不適當
な場合となるのであります。かような場合には
請求
を受理した
裁判所
は、他の
適當
と認められる
管轄裁判所
に
事件
を移送することができるのであります。この移送は決定を以てするのでありますが、移送を受けた
裁判所
が更に他の
裁判所
へ移送するということはできないものと解釋せらるべきでありまして、若しもこの再移送の即ち轉移送というものを認めますならば、自然に
事件
の處理を遲延せしむることとなりまして、
人身保護命令
の
手續
の目的に反することになるのであります。 次に第七條でありますが、本條は
人身保護命令
を發するがどうかを決する
準備調査
に關する規定であります。
人身保護
の
請求
を受けた
裁判所
が、
請求
を不適法として却下するか、又は他の
適當
な
管轄裁判所
に移送する場合の外は、結局
請求
が
理由
があるかどうかを審理するために、
審問期日
を開くかどうか、
人身保護命令
を出すかどうかということを決定せねばならないのでありまするが、
請求書
の記載、疏明の資料だけではこの決定をするに不十分である場合が相當多いのであります。殊に
請求書
の
記載等
では
拘束者
が不明であるとか、
拘束者
は知れておりまするが、その所在が不明である場合には、
人身保護命令
を發給することが
事實
上できないのであります。かような場合に
拘束者
が何人であるす、その
所在竝びに拘束
の場所はどこであるかを
取調べ
る必要があるのであります。又
人身保護命令發給
、發給と申しますのは
命令
を出すことであります。
命令
を發する
手續
をするかどうか決める場合に、
拘束
の事由につきまして或る程度の
取調べ
をする必要があります。これらの
必要事項
の
取調べ
をなすには
拘束者
、
請求者
の
代理人
の陳述を聞くのでありますが、必要がありますればその他の
關係者
の陳述を聞くことができるのであります。この
取調べ
の結果は後日の
審問期日
における
取調べ
の備準となるのであります。この
準備調査
は
受理裁判所
の
会議體
の
構成員
たる部員即ち
受命判事
をしてさせることができるものとしたのであります。併しながら
準備調査
は必ずしもこれをせねばならないというわけではないのでありまして、
請求
がその
要件
を完全に具備、
疏明資料
も一應整
つて
ゐる場合には、
準備調査
は必ずしもその必要があるとは言えないのであります。
從つて裁判所
はその
自由裁量
によ
つて
、この
準備調査
を省略して、直ちに第十條の
審問期日
を定めて、
人身保護命令
を發し得るのであります。要するに
準備調査
というものは、一面におきましては
審問期日
の
準備調べ
で、下調べと申しますのでありますが、他面におきましては
人身保護命令
が極めて
實效的
であるだけに、これを發することを愼重にし、且つ當事者に濫用されることを防ぐと共に、又
刑事訴訟
の
手續
を妨げることがないようにする
趣旨
で設けられたので、
人身保護命令發給
の橋渡しの作用をなすものでありますから、これらの點を考慮に入れて
準備調査
を省略するかどうかということが決せられることになるのであります。 次に第八條であります。本條は假釋放に關する規定であります。
裁判所
は
人身保護
の
請求
を受理いたしまして、
請求書
、
疏明資料
を
審査
した上に、
準備調査
を行な
つて
審問期日
を定めて、
人身保護命令
を發給の
手續
をして、最終の判決をなるまでには相當の日時を要する場合がありまするから、その間に
不法
と認められるような
拘束
を繼續することは
人身保護
の目的を沒却することに相成るのであります。又
拘束者
が被
拘束者
を遠方に移動させたり、或いは藏匿する、隠す虞れのあるとき等、差迫つた事珍のある場合には、
審問期日
に出頭せしめるために、被
拘束者
の身柄を
適當
に抑えて置く必要があるのであります。そこで差當り一時的に被
拘束者
を
拘束
から免れるたるに、いつでも
裁判所
の呼出しに應じて出頭することを條件といたしまして、
辯護士
の責任ある保證の下に又は
人身保護
の
請求者
に保證金を立てしめ、
裁判所
が假に一時的に被
拘束者
を釋放し、又は特定人の監督の下に置く等、
適當
の處分をすることを得るものといたしたのであります。又
請求者
が無資力の場合、
請求書
、
疏明資料
で
拘束
が
不法
のものと認められるような場合等、要するに
裁判所
の心證によ
つて
保證金を立てしめないで、一時釋放その他の
適當
の處分を認めたのであります。右の
辯護士
の保証の下に一時釋放を許すのは
辯護士
の保證證書を
裁判所
に差出させるのでありまして、
刑事訴訟法
の責任と同樣に、
辯護士
に責任を以ていつでも被
拘束者
を呼出しに應じて
裁判所
に出頭せしめることを保證させるのであります。「一時釋放その他適当な處分」と申しまするのは、
精神病者
に對する監置、
未成年者
を
懲戒場
に收容した場合等に、特定人の監督の下に移して居住せしめるというような適宜の處分を指すのであります。「一時釋放その他
適當
な處分」、これをこの
法律
では假釋放と總稱するのであります。この假釋放の
請求
は、
請求者
及びその
代理人
、刑事々件の辯護人が、できるのであります。 次が第九條であります。本條は
準備調査
の結果、
請求
を棄却する場合に對する規定であります。
裁判所
が第七條の
準備調査
をした結果、
人身保護
の
請求
の原因たる
拘束
は
不法
ではない、正當の
理由
に基くことが明らかとなり、
請求
しその
理由
がないことが明白となつたときには、
裁判所
は
審問期日
を定めまして、
人身保護命令
書發給、その他の審問
手續
を經ないで決定を以て
請求
を棄却するのであります。この
請求
棄却の決定をなるのは、
請求
の
理由
のないことが明白な場合、例えば
裁判所
の正當な合式な
令状
に基いて勾留せられておることが判明した場合等で、
請求
の
理由
が必ずしも明白でない場合、即ち疑のある場合には
請求
を棄却することはできないのであります。
請求
が不適法でない限りにおいては、一應
人身保護命令
を發するということが原則であります。
準備調査
をするのは
人身保護請求
の濫用を防いで、全く
理由
のない
請求
を棄却いたしまして、
事件
に或る程度のブレーキを掛けて篩い落すということが一つの目的でありまして、
裁判所
は
取調べ
において無論
審問期日
の
取調べ
に讓られることにな
つて
おるのであります。
準備調査
の結果
請求
が棄却らせれたときにも、前條のこの
保護
によ
つて
拘束者
が一時釋放される場合には、
裁判所
は被
拘束者
を呼出して出頭せしめた上、その身柄を
拘束者
に引渡すことになるのであります。
請求
が棄却せられたときには、
請求
不適法として却下せられた場合と同樣に、他の
管轄裁判所
の再
審査
を求めるために更に同樣の
請求
をなすものと解すべきであります。
伊藤修
5
○
委員長
(
伊藤修
君) それではここでちよつと休憩いたします。 午後二時三十九分休憩 —————・————— 午後三時十四分
開會
伊藤修
6
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは休憩前に引續きまして御
説明
をお伺いいたします。
梶田年
7
○
專門調査員
(
梶田年
君) では續いて第十條から御
説明
申上げます。前條におきまして
説明
いたしましたごとく、
準備調査
の結果、
裁判所
が
人身保護
の
請求
を
理由
なきものとして却下する場合の外は、
審問期日
を定めまして、
關係者
を召喚いたしまして、所謂調
人身保護命令
書の發給及び審問
手續
を行うのであります。この
命令
書の發給及び審問の
手續
は、この
法律
の核心をなすものであります。
本條
はこの
手續
を
規定
したものであります。以下簡單にそれを
説明
いたしますると、第一に
審問期日
の指定竝びに當事者の呼出でありまするが、
審問期日
の指定は、
裁判所
において審問する日時、
場所
を定めてこれをない、その日時、
場所
に
人身保護
の
請求者
本人
又はその
代理人
たる
辯護士
、被
拘束者
及び
拘束者
を呼出すために、それぞれ召喚状を發するのであります。召喚状の樣式は
最高裁判所
の
規則
に讓る豫定であります。次に
人身保護命令
書の發給を
手續
でありますが、右の召喚状と共に、
拘束者
に對して、いわゆる
人身保護命令
書を發するのでありまして、この
命令
書を以て被
拘束者
を
審問期日
に出頭させること、即ち被
拘束者
の身柄を差出すことを命じまして、且つ
審問期日
までに被拘者者を
拘束
した日時、
場所
竝びに
拘束
の
事由
を開示した答辯書を提出すべきことを命ずるのであります。右の
命令
書には、若し
拘束者
が
命令
に服從しないで、被
拘束者
を出頭せしめず、又は答辯書を提出しないときは、勾引し又は
命令
に服するまで
勾留
することある旨、及び遅延一日について五百圓以下の過料に處することある旨を附記せねばならないのであります。この附記の制裁は、
審問期日
に右
命令
に違背したことが判明した場合に、科せられることの警告であ
つて
、
命令
に服從すべきことの間接強制ともなるのであります。この制裁というものは、いわゆる法廷侮辱罪の性質を有するものでありまするが、法廷侮辱罪というものは我が國においてはまだ
規定
がありませんので、民事罰若しくは秩序罰とも見るべきものでありまして、その
手續
は
最高裁判所
の
規則
に讓る豫定であります。
人身保護命令
書は、
拘束者
に送達されるのでありまするが、その送達と
審問期日
との間には、少くとも三日の期間を置かなければならないのであります。この三日の期間を置くということは答辯書を作る準備のために與えられたのでありまして、三日以上幾日の期間を置いても差支ないという
趣旨
ではないのであります。そうしてこの期間は、
拘束者
又は被
拘束者
の
所在地
と
裁判所
との距離、交通の
關係等
いろいろな
事情
から、これを短縮し又は伸長することができることにな
つて
おります。 次に第十
一條
でありまするが、
裁判所
は、
刑事事件
について
拘束
に關する
令状
、即ち
逮捕
状、
勾留状
を發しまして、これによ
つて
被
拘束者
が
身體
の
拘束
を受けている場合には、前條の
人身保護命令
書を發した
裁判所
は、右の
拘束
令状
を發した
裁判官
の屬する
裁判所
及びその
令状
を
請求
したと否とに拘わらず、その
事件
を取扱つた
檢察官
又は現に取扱
つて
いる
檢察官
に對して、
審問期日
及び
人身保護命令
書を以て定めた
事項
を通告せねばならないことにな
つて
おります。右の
命令
書によ
つて
被
拘束者
を出頭せしめる
手續
は、
拘束
令状
の發給に關與した
裁判所
又は
檢察官
には
關係
なく行われるのでありますから、これらの官憲の立場上、右の通知をいたしまして、
審問期日
に立會う機會を與えるためであります。そうして
審問期日
に立會わしめるのは、
拘束
の
理由
について
意見
を述べることを得せしめるためであると解すべきであります。そうして右の
審問期日
に立會をする
裁判所
の代表者を定める必要があるのでありますが、これは
最高裁判所
の
規則
で定める豫定にな
つて
おります。要するに右の立會というものは、
審問期日
の審理において、
拘束
令状
の發給が形式的に、又
手續
上合法であるかどうかの判斷を正確にするためであります。 次に第十二條であります。
審問期日
における
取調べ
には、被
拘束者
本人
及びしの辯護人が出席せねばならないことにしてあるのであります。これは被
拘束者
の立場からこの辯明
意見
を十分に聞くためであります。又
取調べ
を公開の法廷で行うこのといたしましたのは、被
拘束者
の利益にために公明正大に事を運ぶ
趣旨
からであります。これは
憲法
第三十四條後段の
趣旨
に應えるものでありまして、
人身保護命令
書の
手續
として最も重要な
要件
であります。尚
審問期日
は延期することなく迅速に運ばなければならないのでありますから、その
手續
は他の
事件
に優先的に進められなければなりないのでありまして、續行の必要があれば連日開廷せられるということになるのであります。
審問期日
には、被
拘束者
の辯護人を依頼していないときには、
裁判所
は
辯護士
の中から辯護人として
適當
なものを選任しなければならないというのであります。この辯護人は
刑事訴訟
手續
のいわゆる國選辯護人と同性質のものであります。選任の
方法
等について必要があれば
最高裁判所
の
規則
を以て定める豫定にな
つて
おります。
審問期日
に出席すべき當事者は、被拘禁者
本人
、その辯護人の外に
拘束者
、
請求者
、その
代理人
であるます。
拘束
令状
を發した
裁判所
の代表者、
檢察官
は立會うことができるのでありますけれども、當事者として出席することを要するものではないのであります。 次は第十三條であります。
本條
は
審問期日
のおける取調の順序
方法
を
規定
したものであります。
審問期日
の
手續
としては、先ず
人身保護
の
請求者
が
請求書
に基いて
請求
の
趣旨
及び
請求
の
理由
を
陳述
する。これに對して
拘束者
が
拘束
の
事由
を明らかにするために答辯書に基いて
陳述
するのであります。而して
審問期日
の取調準備のために
準備調査
が行われている場合には、これの調査の結果を
陳述
し又は援用することができるのであります。尚
審問期日
には被
拘束者
及びその辯護人も出席して、被
拘束者
の利益のために辯明又は
意見
の
陳述
をなすことができるのは、前條において
説明
した
通り
であります。又
審問期日
には
拘束
令状
を發した
裁判所
の代表者、
檢察官
も立曾
つて
拘束
に關して
意見
を述べ得ることは先に御
説明
した
通り
であります。
從つて
審問期日
における
手續
は、利害
關係
を有する多數の當事者間に行われる特殊の訴訟
手續
となるのであります。併しながら
審問期日
における
取調べ
の中心は、何と申しましても
拘束
の
事由
があるか否かを判斷するのでありまして、主たる當事者は
請求者
と
拘束者
とであります。殊に
憲法
第三十四條後段の
趣旨
に從いまして、
拘束
の
事由
を開示せしめる點に掛か
つて
おるのであります。かようにして各當事者の主張、辯明、
意見
の
陳述
にあつた上で證據
資料
の
取調べ
が行われるのであります。即ちこれが證據調べでありまして、當事者の
申立
により又は
職權
を以て證人の訊問、書證の提出、その他必要に應じて鑑定、檢證等も行われるのであります。證據調べを終
つて
請求者
と
拘束者
との間に
拘束
の
手續
が
不法
であるか合法であるかという點について辯論が行わるべきであります。その結果によ
つて
裁判所
が判決をするということになるのであります。
審問期日
は必ずしも一日で終るわけではないのでありまして、審問が繼續する間、判決に至るまで
拘束者
が出頭せしめた被
拘束者
の身柄は、
裁判所
の支配の下に留置せられて置かなければならないのであります。どういう
方法
で留置されるかは
最高裁判所
の
規則
に讓る豫定であります。例えば被疑者又は未決の被告人を收容する拘置所又は最寄りの警察署の留置場等に留置せしめることにすることが
適當
であるように考えられるのであります。 次は第十四條であります。
審問期日
におきまして、前條に
從つて
審問した結果、
裁判所
が
人身保護
の
請求者
のなした
請求
が
理由
がない、即ち
拘束
は合法であ
つて
手續
上何ら
不法
の點がないと判斷したときには、判決を以てこれを棄却するのであります。
從つて
拘束者
が
審問期日
に
裁判所
に出頭せしめた被
拘束者
の身柄は、これを
拘束者
に引渡すのであります。この引渡しは
裁判所
が
事實
行爲を以て現實の引渡しをなすのでありまして、檢事の手を經てなすものではないのであります。この棄却判決に對しましては、
請求者
又はその
代理人
から
最高裁判所
に上訴することができます。
請求者
が被
拘束者
自身でない場合に、被
拘束者
自身も上訴し得るものと解すべきであります。
審問期日
におきまして、審問の結果、
裁判所
が
請求者
の
請求
が
理由
あるとき、即ち被
拘束者
に對する
拘束
が
不法
であ
つて
、正當な
手續
によらない
拘束
であると判斷したときには、判決を以て
請求者
を釋放するのであります。この判決の執行として、
裁判所
は判決確定を持たないで直ちに
事實
行爲を以て被
拘束者
を現實に釋放してしもうのであります。この釋放の判決に對しましては、
拘束者
から不服の
申立
といたしまして上訴をすることができるのであります。併しながら被釋放者に
犯罪
がてるかどうかということは、これは別問題でありますから、被釋放者に對して
公訴
が提記されておるときは被釋放者と雖も被告人として
犯罪
の有無について
裁判所
の判決を受けねばならないのであります。 次は第十五條であります。
拘束者
が第十條第二項の
規定
する
人身保護命令
書を以て
拘束者
に對してなした
命令
、即ち
審問期日
には
拘束者
を出頭させること、竝びに
審問期日
までに
拘束
の日時、
場所
及びその
事由
についての答辯書を提出することの
命令
に違背して應じないときには、
裁判所
は勾引状を以て
拘束者
を勾引し、又は
命令
に服するまで
勾留
すること、及び
命令
に違背する日數によ
つて
一日について五百圓以下の割合の過料に處することができるものとしたのであります。
拘束者
を勾引又は
勾留
するのは、
拘束者
の右の
命令
に
從つて
その實行を促すためであります。過料に處するのは、
命令
に服することを間接に強制するのであります。右の勾引又は
勾留
及び過料の制裁を科することは、
人身保護
の
命令
書に附記して豫め豫告したあるということは前に
説明
した
通り
であります。こういう勾引、
勾留
の執行
方法
は
最高裁判所
が
憲法
の授權による
規則
制定權に基いて、
刑事訴訟法
の
規定
を準用するというような
規定
を設けることが豫定せられておるのであります。 次は第十六條であります。
審問期日
における
取調べ
は、被
拘束者
及びその辯護人の出席する法廷で行われるのであります。辯護人を被
拘束者
が選任しないときには、
裁判所
は
職權
で辯護人を選任することを要するのであります。だからして右
裁判所
の選任するいわゆる國選辯護人を附するよりも、成るべく被
拘束者
本人
が選任する辯護人を立會わしめることが
適當
でありますが故に、
本條
におきまして被
拘束者
から辯護人を依頼する申出があつたときには、
拘束者
は遅滯なく被
拘束者
の指定する
辯護士
に通知をしなければならないものとしたのであります。被
拘束者
が
辯護士
を指定しないか、又は指定した
辯護士
が旅行中、病氣というような事故があるときには、その通知は被
拘束者
の
所在地
の
辯護士
會にすることにしたのであります。右の通知を受けた
辯護士
會は會則その他
適當
の
方法
で右の依頼に應ずる
辯護士
を定めて
拘束者
の囘答し、被
拘束者
から依頼を受けしめることになるのであります。
辯護士
會の會則に右の通知に處する
規定
もないというときには、
最高裁判所
の
規則
を以て
適當
な
方法
を定める豫定にな
つて
おるのであります。 次は第十七條であります。第
一條
によ
つて
人身保護
の
請求
を受けた
裁判所
、又はこの
裁判所
から第六條によ
つて
事件
の
移送
を受けた
裁判所
は、その
事件
の内容を
最高裁判所
に通知いたしまして、却下の
決定
をした
事件
について
準備調査
をしたとか、
事件
の處理、竝びにその經過、竝びに結果を
最高裁判所
に報告することを要するものといたしたのであります。これは
最高裁判所
が
人身保護請求
事件
につきまして、
監督權
を有すると共に、最高の
裁判權
を有し、
事件
の性質如何によ
つて
その必要を認めるときにはいつでも
事件
を
引取つて
自ら處理する
權限
を有するのでありますから、この
權限
を行使するために前述の通知報告を受けて、
事件
の内容、進行状態その他について十分の知識を有することにな
つて
おるのであります。 次は第十八條であります。
最高裁判所
は
人身保護
の
請求事件
、人見
保護
命令
書の
手續
につきましては
監督權
を有するものとする建前からして、
請求
を棄却した
初審裁判所
の判決に對しましては、
請求者
も
拘束者
も敗訴の立場にある者は、
最高裁判所
に上訴することを得るものといたしたのであります。この上訴審は
法律
問題のみを
審査
する上告審ではないでありまして、
事實
を
審査
するもので、初審としての覆審をするものと解すべきものであります。
人身保護命令
書の
手續
の性質から申しましても、又
最高裁判所
が
下級裁判所
に系屬する
事件
を
引取つて
、自ら處理することが認められております點から見ましても、この場合、
最高裁判所
は初審で終審であるというべきでありますから、この點から見ましても
最高裁判所
は
事實
審であるといわなければならんのであります。 次は第十九條であります。
最高裁判所
は、
人身保護命令
の
手續
につきましては、沿革上の
理由
もあ
つて
、
監督權
を有するものとする建前からいたしまして、
不法拘束
による自由の
侵害
が、非常に強大な個人の私力、又は團體力で行われる場合、又は
拘束者
の社會的地位又は
勢力
からいたしまして、
下級裁判所
はその力に押されて、迅速に處理することができないような
事件
、その他社會的に極めて影響の大きい
事件
につきまして、
最高裁判所
がみずから處理することを
適當
とし、又は必要とするものと認められることがあるのであります。かような重要
事件
であるかどうか、即ち
最高裁判所
が、みずから處理することを
適當
とし、又は必要と認めるかどうかの判斷をするには、初審の
下級裁判所
からの
事件
の通知、報告を
資料
として、又
職權
で調査をいたしまして、
自由裁量
を以て決することになるのであります。かようにして
最高裁判所
がみずから處理することを
適當
とし、又は必要と認めた
事件
につきましては、初審の
下級裁判所
における
事件
の進行程度如何に拘わらず、
下級裁判所
に命じて
事件
を送致せしめて、初審且つ終審として自由に
事件
を處理するのでありまして、この場合には
最高裁判所
は、
下級審
のなした裁判及び處分を取消又し、又は變更し得ることにな
つて
おります。
最高裁判所
は、前に述べまするごとく、
下級裁判所
から
事件
を
引取つて
處理することができるのでありますけれども、初審として本來の
管轄權
はないのでありますから、
事件
を受理した
管轄裁判所
が、第六條によ
つて
最高裁判所
に
事件
を
移送
することはできないものと解さなければならないのであります。右の
最高裁判所
が
下級裁判所
に係屬しておる
事件
を
引取つて
、みずから處理することは、英法においては、
最高裁判所
が
下級裁判所
に對して、
特權
として、一般
事件
について
事件
の
移送
命令
を發して、
事件
を引取ることが認められておる。この制度を
人身保護命令
書の
手續
に應用したのであります。 次は第二十條であります。
最高裁判所
は、
人身保護命令
書の
手續
につきましては、
監督權
を有しておる建前からいたしまして、この
法律
に
規定
していない
手續
について、又この
法律
を
運用
するに必要な
手續
につきまして、
憲法
第七十七條の授權に基く
規則
制定權によ
つて
、
規則
を定めることができるのでありますけれども、
本條
におきまして、
手續
でなくても
請求
、審判につき必要な
事項
は、
規則
で定め得ることを特に明らかにいたしたいのであります。 次は第二十
一條
であります。
本條
は、本法の
運用
を圓滑にするために、その
目的
に反し妨害となるような行爲をした者に對して、制裁を科することができることを
規定
したものであります。この制裁は、刑罰として、その罪質に鑑みて、刑法の
逮捕
監禁罪、
身體
の自由に對する脅迫罪、犯人藏匿、隱避等の刑を參酌して定めたのであります。 簡單でありますが、以上を以て逐條の
説明
といたします。
伊藤修
8
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは本案竝びに先程の法務總裁の
説明
にかかるところの
檢察審査會法案
、
檢察廳法
の一部を改正する
法律案
、竝びに經
犯罪
法、いずれも明日質疑をいたしたいと思います。明日午前十時から
開會
いたします。本日はこれを以て散會いたします。 午後三時三十四分散會 出席者は左の
通り
。
委員長
伊藤 修君 理事 岡部 常君 委員 大野 幸一君 齋 武雄君 中村 正雄君 大野木秀次郎君 水久保甚作君 鬼丸 義齊君 來馬 琢道君 松村眞一郎君 星野 芳樹君
國務大臣
法 務 總 裁 鈴木 義男君
專門調査員
梶田 年君