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中西功君 私は今出されました
修正案に賛成するのでありますが、少し今日の
政府が採
つておる「
たばこ」政策について我々の
考えを述べたいと思います。
この「
たばこ」の今日の値上或いは又「
たばこ」の
價格自体が全く
大衆課税であるということについては殆んど
異議はないと思います。その点については先程
栗山委員からも非常に明瞭に述べられております。
政府はこの度これを値上するに当りまして、「
たばこ」は
嗜好品であるというふうなことを構想しておりますが、こういうことは全くでたらめである。明らかに
大衆課税だと思います。そうしてこれが我々の
生活に非常な
影響を持つことは極めて当然でありますが、尚私は申上げたいのは、恐らく
政府は
財源が他にないために止むを得ない
措置だというふうにまあ言
つておるのだろうと思われますので、果して
財源がないのかという点、そして
政府の今日のこの値上それ自身に大さな矛盾があるという点を私は強く
指摘したいと思うのであります。今日においてもよく
財源がない、あるということが昨常に問題に
なつておりますか、今の
政府の立場は
大衆課税によ
つては幾らでも
財源はあるけれども、そり他の
財源はないというふうなはつきりした
建前であ
つて、これは昨日もこり
委員会においても所得税の見積りについて木村委員から非常なはつきりした
意見が述べられておるところを見ましても、我々は「
たばこ」を値上げして得られる税金の額ぐらいは所得税の方で簡單に産み出すこともできると思われますが、それはとも
かくといたしまして、現に今の
政府の「
たばこ」政策自体は非常な矛盾があると思います。又非常に下策であると思われるので、あります。
第一に農民、即ち「
たばこ」を作
つておる農家に対する賣上價絡というものか全く
なつておらない。これが生産費を償わないということもこれははつきり
指摘されております。從
つてここに闇の根源ができるわけであります。いろいろ方法で闇がこの「
たばこ」を作
つておる。農家からの横流れが行われておりますが、
一つの例で言えば農家とその「
たばこ」の闇集賣者との間に暗黙の契約があ
つて、夜に
なつて頻々として「
たばこ」の葉が盗まれというふうな方法で、
廣汎に行われております。これは明らかに今の
政府の「
たばこ」賣上
價格が非常に低價である。そのために農民は或る場合には決死的にも一「
たばこ」を横に流、これは米の場合と全く同じであります。このために
政府として増産もできないというふうな状態に
なつていると思われます。從
つて又他方においてこういうふうな状態で、即ち闇が横行するというふうな状態で「
たばこ」の値上をする、更にその値上自体によ
つても今度は余計に闇を繁栄させるわけであります。今日いわゆる私設專賣局と称せられるものが極めて
廣汎に横行してお
つて、その額が
相当の数に達するということは、これは誰でも知
つております。ですからこの度の値上はますます「
たばこ」の収益それ自体さへも減少してしまうというような愚策であります。でありますからこれを要約いたしますと、一方においては、我々勤労大衆の非常な大きな
負担になるだけではなくて、同時に「
たばこ」を件
つている農民自身の
生活さへ何らこれによ
つて改善はされないどころか、
反対に闇「
たばこ」をますます横行させる結果、究極においては我々自身は非常に損をしているのに
政府には我々が入
つて來ない、こういうふうな結果に達するだうろと思うのであります。これが結局專賣局においても労働者からも
反対があり、
当局においても余り喜ばれない原因だと思うのであります。我々といたしましてはこういう矛盾をみすみす見逃がして
たばこ値上に賛成するということは、非常に全くできないことでありまして、実除に「
たばこ」のこの問題を深刻に正しく正直に良心的に
考えてやる人ならば、誰しもこういうふうな下手な、ただその場その場で
財源がないために、ここに見出すというふうな
政府のやり方に対しては、絶対賛成ができないじやないかと我々は
考えます。そういう意味で私達はもつと根本的にこの「
たばこ」の問題を
考えなければならん。それに対しては
政府の農民に対する政策それ自体も、本当に変えて行かなければいけないし、今日のこういうふうな闇の横行に対する
政府の政策それ自体も、根本的に
考えて行かなければならんと思うのでありますが、これを今勤労大衆が非常に要望しております。
とも
かくも「
たばこ」は
價格は
据置にして欲しいという熾烈な要求、これは今日物價値上
反対運動として議会外において非常に大きく盛り上
つているのでありますが、そういう要望に應えて、我々は少くとも
栗山委員の
修正案に賛成したいし、又賛成することが決して
政府を困らせることであるとか何とかいうようなことではなくして、眞に「
たばこ」政策そのものを本当に確立して行く第一歩だと思いますので、私はそれに賛成したいと思うのであります。