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政府委員(河野一之君) ここに財政法第三條の特例に関する
法律案に関する資料といたしまして、プリントを差上げてあるかと思うのでありますが、これにつきまして、一應
政府の
考え方だけ申上げまして
木村委員のおつしやいました点につきまして、ちよつと触れて見たいと思います。便宜これを
説明さして頂きたいと思うのであります。
御
承知の通り、財政法の第三條で、「租税を除く外、國が國権に基いて収納する課徴金及び
法律上又は事実上國の独占に属する事業における專賣債務若しくは事業料金については、すべて
法律又は國会の議決に基いて定めなければならない。」という根本の
規定がありまして、それに対しまして、この三條の特例が出まして、この
法律が通りました曉におきましては、両法が同時に施行になる、この特例に関する
法律によりまして、一般的のものは國会の議決から当分の間除外されまして、そうしてこの
法律にありまする通り、煙草とそれから通信料金、鉄道運賃というものだけについて、
法律又は國会の議決によるという
仕組みになるわけであります。將來この
法律が死にますと、全面的に三條の
規定が生きて参るわけでありまして、その場合に、どういうものがこの財政法第三條の
規定によ
つて法律又は國会の議決を経なければ決まらないことになるかということの
範囲の問題でありますが、この三條の前段の問題といたしまして、國が國権に基いて収納する課徴金ということでありますが、國権、即ち國家の統治権の作用といたしまして徴収する課徴金という
意味でありまするので、ここに書きました代表的なものとしては、先ず負担金、即ち河川法、道路法、都市計画法等によ
つて、公益のため必要な特定事業に特別の関係を有する者に対して全部又は一部を負担させる。これはすでに
法律によ
つて定ま
つておるのであります。河川法及び道路法の関係におきましては殆んどそのすべてが公共團体であります。従いましてこの
規定は財政法の第十條の
規定とも重複いたしますのでありまするが、その問題であるのかも知れないのでありまするが、一般的の問題といたしまして、
法律によ
つて現在もできておりますし、これが課徴金であることは間違いないと存じます。都市計画法につきましては、これは受益者負担の原則で個人に負担させるものもありますので、この
意味におきましては個人に対する課徴金になろうかと思うのであります。その次は納付金でありますが、これは物價統制令に基いて制定された價格差益金、それから
日本銀行の納付金、競馬会による納付金、
地方鉄道及び軌道につきましては、現在やはり
一定の納付金を取るという
法律がございますが、これがこれに該当するものと思うのであります。それからその次は処罰の収納、処罰の収納は、例えば罰金でありますとか、科料とか、國が一方的に徴収するというものが第三の段階として入るのであります。それから問題となりまするのは、その次の手数料なのでありますが、苟くも國が國権に基いて収納するという
意味合から來ますので、一般の私法上の関係というものは課徴金にはならないのではないか、一應こう
考えております。例えて申しますならば、学校の受驗料とか、それから図書館の入場料でありますとか、植物園の入場料、病院の入院料、これは私法上の関係でありますので、入らないと
考えてよかろうかと思うのであります。その他の公法上の契約に基くものであ
つて、これは課徴金に該当するかしないかという議論のある点があるのでありますが、例えて申しますると土地台帳の閲覧手数料であるとか、それから各種の試験手数料、そういつたものであります。それからこれは公法上の関係ではありまするが、國が
一定の役務を提供いたしまするその代償と申しますか、実費弁償の性質を有するもので、これを國が一方的に徴収する課徴金というのに当らないのではないか。
從つてこういうものにつきましては、財政法第三條の
規定によ
つて、
法律、又は國会の議決によるということを必要としないのではないかというふうに
考えるのであります。ただそれ以外の公法上のものにおきましても、國が次に掲げました私法上の手数料、或いは行政権の公の
行爲に対する手数料、即ち國が
一定の行為をいたしまして、それに対する反対給付として取る実費弁償とは少し性質の違うものでありますが、例えて申しますれば、特許の場合における
登録の手数料であるとか、或いは工業所有権を設定した場合の手数料であるとか、或いは民事訴訟法による費用の負担であるとか、こういつたものは、
考え方によりますると、一應は課徴金ではないという
解釈も成立つのであります。即ち
一定の利益を與えることに伴う反射的な作用として、
一定の権利を設定して、特定の人が利益を受ける、その反射的な利益に対して國が一應の手数料を取るといつたような関係でありますが、その関係は、権利設定自身は統治権の関係であると思うのでありますが、それに伴
つて手数料を取るということは、必ずしも統治権の作用であるのかどうか。むしろ別の、勿論この点につきましては、
法律の
規定は要るのでありますが、財政法第三條のいわゆる課徴金でないという説もあるのでありますが、一應こういう問題につきましては、現在の私共の
考えといたしましては、財政法の
精神に
從つて該当させるのも一案ではないかというふうに
考えております。ただこの問題につきましては、すでに大体のものは
法律の
規定によ
つておりまするので、財政法第三條の課徴金として取立てて議論する程の実益に乏しいというふうに
考えております。
それから前段の課徴金の問題でありますが、第二段の「國の独占に属する事業における專賣價格」でありますが、これが先ず煙草、煙草用巻紙の販賣價格、粗製樟脳、樟脳油の専賣債務、それから、塩及び苦汁、つまり「にがり」でありますが、その販賣價格、アルコールの販賣價格、
木村委員の御
指摘になりました問題といたしましては、主要食糧は大部分を國が一手に買取
つて配給いたしておるという事情でもあります。薪炭についても同様な事情があるのでありますが、これは私共の
考えといたしましては、財政法に言う專賣とは見ておらないのでありまして、食糧について見ますれば、食糧管理法の
規定によ
つて國がこれを買取るという
建前にな
つておるのでありまして、これを專賣というのは少し当らないのじやないか。食糧管理法に基く食糧の配給操作であると、こう
考えておるわけなのであります。勿論その價格については、食糧管理法によ
つてその價格の決定
方法が定められておるのでありまするが、國の專賣とは
考えておらないのであります。
それからその次に、國の独占に属する事業における事業料金でありますが、これは
法律上のものと事実上のものとありますが、
法律上のものは郵便法に基く郵便料金、これは現在
法律によ
つておるのでありまして、その料金そのものについても
法律によ
つておるわけであります。電信法に基く電信、電話の料金は、それは金額そのものについての
規定はないのでありますが、独占ということにつきましては、
法律を以て
規定されておるわけなのであります。事実上の問題といたしましては郵便貯金、郵便爲替及び郵便振替貯金の料金、それから國有鉄道につきましては、これは國有鉄道と書きましたのは、或いは適当でないかも知れませんが、これは
地方鉄道もありまするので、併し鉄道の大部分は國有鉄道でありますので、この分は大体事実上のまあ
政府の独占に属する、こういうふうに
考えておるわけであります。これに出しました資料につきまして大体の御
説明をいたしたのでありますが、盡しませんところがありますれば又
説明いたします。