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政府委員(
愛知揆一君) 前段の御
意見は私も全くその
通りだと思うのでありまして、昨年大体價格の
安定帶が設定されましたときには、この大幅の
價格改訂によ
つて將來企業の
採算も
賃金ベースに立つのである、
從つて赤字融資もなくなるのが当然であり、
財政上にも
赤字というものが出なくて
收支の均衡を得るのだ、
國民生活もまた非常に窮乏のなかではあるけれども、どうやらこうやら
最低限度の
生活が保障されるであろうということで決定され、又それが期待されたことは当然でございますのでありますが、不幸にしてその
理想通りに
現実は動かなか
つたということは承認せざるを得ないを思うのであります。そのことが私は
企業関係においては
一つの大きな問題としてここに
復金の
融資の問題に現れておるということは、先般來率直に申上げておるつもりでございます。更にその点を考えて見まするならば、同時に
價格改訂のズレというようなことは金融で埋ま
つたというようなことももうせましようし、又
價格改訂の場合に、例えば
生産資材の價格決定が先ず先に行われる、完製品の價格決定が遅れるというようなこと、それから人件費の支拂なり原料の購入の時期に比べまして、製品の賣却の時期が数ケ月遅れるということは、
價格改訂に
伴つて当然起
つた現象であ
つたかと考えられます。
それからその次の問題でございますが、
増産の
実績が非常に挙が
つたことは何を
原因にするのであろうかということでございますが、これは大凡二つあると思うのであります。
一つは
只今中西委員の御指摘の
通り、労働の強化ということが非常に大きな
原因であ
つたと思うのであります。いま
一つは、
設備の増強なり補修なりがともかくも或る
程度進捗したということであると思うのであります。いささか手前味噌になるかも知れませんが、この労働の強化ということにつきましては、この
資料にも出ておりますように、例えば労務者の住宅というようなことについても、これは随分金で行詰
つておる問題でございますが、それが
融資の面から、
復金から相当の金を出すということは、資材の手当をすることと相俟ちまして、ともかく或る
程度の明るさを與えた問題ではなかろうか、そういうことでこれについての
融資が決定されたことは、
増産の相当の
原因にな
つておりはしないかと思います。それから次ぎは給與の問題でございますが、これも亦完全な
賃金ベースというものを若し堅持したならば拂い得なか
つたであろう
程度のものを、
赤字融資として載りまして、或る
程度これを
援助したということも、この面に明るい要素と
なつたのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
第二の
設備の増強なり補修なんということにつきましても、
融資ということが非常に大きな役割を占めたのではなかろうかというように感ずるわけであります。実は私共もこの
復金の功罪ということにつきまして、何か價格的に同時に又分り易い、若し
復金なかりせばこうであ
つたであろう。或いは
復金がこうや
つたことによ
つてどれだけの有形無形の
生産増強に寄與し得たであろうかということについて、何か
資料ができないかと考えておるわけでございますが、いずれそういうものもできましたならば御高覧に供したいと思
つておるわけでございます。