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中西功君 それで今
ドル会計と円
会計の間には、全然
関係がないということが言われましたが、それは事実だろうと思いますが、むしろ今日の問題はそこに問題があるということ、それから、これはその
ガリオア・ファンドの
輸入物に関しては、四十円、五十円の
比率でや
つておる。
生糸は二百何ぼでや
つておる。そういう
関係から、そういう
矛盾が出て來るのだというふうな
簡單な
お話でありますが、むしろ今日そういうふうなべらぼうな
爲替、
爲替というに値しないものが存在しておる。むしろ爲脅ではないと思うのです。
爲替でないところにこれは問題があるだろうと思う。で、このこういう不合理が出て來る原因を、そういうふうなお互いの
爲替レートの
差額、こういうふうに使うんだ。こういうように平面的に理解しては、私はこの今の
日本の
貿易問題の本質が分らなくなると思う。従
つてこれを言
つておるわけです。根本的に考えれば、
小麦の國内の公定
値段が七千円で、そうしてそれが非常に安いということ、又
生糸の
輸出値段が八万円で、その間に非常な國際的價値から見て不均衡があるということ、ここに問題があると思う。單に四十
ドルで
爲替の方で、これはこれで切り、これはこれで切
つておるという問題でないと思う。
日本の國内の物價がこれ程不均衡だということ、それで或る場合には非常に特殊的に釣り上げられておる。或る場合には非常に押えられておる。そこに問題があると思う。勿論物價
関係を直せば、
本当に均衡した物價
関係を作れば、同時に
爲替レートも一定のものができると思う。ですから一定の
爲替レートができたら、それはうまくなるでしようじやない、反対だと思う。我々が現実に対して
経済的な不均衡な状態、危機的な状態を克服して、初めて
爲替レートができる。そこに私は逆に考える。同時にそういうふうな國内の、國内自身をこの程不均衡にしておるから、我々は國際的に損をする。大きなる損なんです。現実にこれは
ドル会計と円
会計が全く切離されておるということでごまかされておりますが、そうではない。これは現に厳然たる
関係があります。我々は
ドル会計で素晴らしい負債を負うておる。負債を負
つておるんですよ。そうしてですね、而も
貿易資金会計自体の立て方は全く
間違つておると思う。これはインチキがあると思う。それは後で述べたいと思う。ですが、ともかくもそういうふうな点で我々がこの今の
日本の國内の
経済的危機が、このいうふうな状態であるが故に、又それを前提として
貿易をやると、これは飛んでもない損をするようなことになるということがはつきり示されておる。だから
貿易を振興すれば
日本の
経済はよくなるんだというふうな考え方が大体
間違つておると私は思う。私は先の
石炭と
鉄鉱石の方は詳しく知りたい。これは非常に重要な問題だと思うのです。それで今日は勿論用意されていないでありましようが、次の機会で結構でありますから、
石炭を
カナダから持
つて来る場合に、このFOBでどれだけに
なつておるか、そうしてそれを製鉄会社にやるときには一体幾らでや
つておるか、これは幾ら最少に見ましても、國内においでさえ一般消費者
價格よりも製鉄業者に対しては半分近い金で賣
つて價格調整金を
石炭会社へや
つておるわけです。そういう点から見ても、ここは非常に補償をされなければならん状態に
なつておると思う。この補償と、尚それから
製品を作
つた場合にも、果してそれが上海市場で引合うか引合わないかという問題も出て來る。これは正確な
数字をこの次に出して貰いたいと思う。それで私の最後の
質問をしたいと思うのでありますが、この前の
貿易資金特別会計の審議のときに、
貿易廳長官の
説明が実におかしくて、我々なかなか理解できなか
つた。この
貿易資金特別会計において赤字が出るということは、これは全く不可思議なことだと私は思う。あり得べからざることだと思うのです。むしろ、ここにはうんと剤余が出なければならん筈のものだと思う。なぜならば
ガリオア・ファンドで入
つて來た物資はいわば貰
つた会計なんです。その貰
つた会計と、こちらは
政府が
輸出物資を
買上げたもので、これが結局見合わないわけなんです。本來ならば、こういう
ガリオア・ファンドの資金は私はこれは別個の
会計として処理すべきだと思う。若しそういうふうに処理したら、それこそこの
貿易会計の
本当の姿が出て來る。如何に赤字かという……こんな
程度の赤字じやないです。このガオア・
ファンドのこれは我々決してこれには
代金を拂
つていないわけです。
ドル会計において明らかに三億以上の我々の負債に
なつておる。これは貰
つた金なんです。実は担保に
なつて
円資金会計に入
つているわけです。ですから、これをこちら側へ入れて置く、普通の
貿易資金会計へ入れて、その他の
貿易と一緒にしておる。ここに非常な私は混乱があると思う、当然これは別にして、そうして
計算したら、それこそ
本当に現在の
貿易資金特別会計が如何に赤字かということが出て來る。なぜならば我々この
ガリオア・ファンドに対しては、今どうするかということは分
つていない。私は大体これはどうなるかという見当さえ付かないというのはおかしいと思うのでありますが、いずれにしろ将來
講和会議の後かなんか知りませんが、我々これは負担として返さなければならないと思う。我々こういう借金をしている。そうしてこの借金を実は今は
輸出貿易の方の資金に流用しているわけなんです。はつきり言いますれば……。で、こういうふうな金は、もつと別にいうと、
ガリオア・ファンドのこういう資金は、本來ならばこれは我々は借りておる金なんだから、だからこれを単に
貿易資金の方に使うだけじやなくて、
日本の
國家的再建のために全般的に使うべき性質のものだと私は思う。それならば一般
会計から入れるとかなんとかして使うべきものなんです。若し將來
貿易業者だけがこの負債を負担するならばそれはいいです。それはどうせ全
國民の負担に掛か
つて來る。全
國民がこれを背負わなければならん。そうすれば現在こういう余分の金があるとすれば、これだけは余分だ、とすれば、これは
我我の全面的な意味の
國家的な再建事業にどんどん
使つて行かなければならん。今日はこの
貿易資金特別会計という操作によ
つて、これが主として
貿易の方面にだけ流用されておる。而もその金をそれ程流用しても足りない。なぜか、
輸出金が非常に過大でここであれしているから、
買上げているからなんです。それで、これもさつきの個々の問題についてこうだ、
内容が
会計の上に出て来たものだと思うのです。それでこの前の第一回國会のときに当時の大藏政務次官が、
貿易資金会計については
政府としてもこれを改革したい、近く改革案を用意している。こういうような話しでありました。併しその後これが改革された話しを聞かない。まだ提案されていないと思う。要するにこの問題点を申しますと、
一つは
ガリオア・ファンドで入
つて來た資金をいわば
輸出の方にだけ流用している。而も先に申しましたように、現在の
輸出は決して
本当の
日本の
國家的再建のために役立たんみたいな要素が非常に多い。この
内容についてははつきり申しませんが、そういうふうな金、我々としては、むしろこの
ガリオア・ファンドの資金を、これをもつと
本当の再建のために使うべきだと思う。それが一点。ですから、むしろこの
ガリオア・ファンドの資金はこれを別の
会計資金として私は整理すべきだと思う。それで、そうなれば現在
日本の
貿易資金会計についての実相がはつきりする。そうしてそのときにこの
貿易会計が如何に猛烈な赤字であるかということも
國民の前にはつきりする。そうすれば
國民の
貿易に対する考え方も非常に違
つて來ると思う。そういう点で私はそういう
ファンド、はつきり言えば
貿易業者は非常に濫用しているというような仕組で
貿易資金ができているということはよくないと思うのですが、そういう点で
政府側としてそれを改革される意思があるのかどうかという点をもう少しはつきりお聞きしたいと思うのであります。