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政府委員(
原純夫君) 先程私
天田委員の御発言を誤り伺
つて、大変失礼な
答弁をしたことに
なつたようであります。先程捕捉の問題は、二條に掲げてありますもののうち、さん
橋業、
船舶ていけい場業というものについてのことだろうと思
つたのでありますが、先程の
お話で
取引高税の捕捉が大変むずかしいということに
なつたということを
承知いたしまして、その
意味でならば、これは全体といたしまして非常に困難があるということはおつしやる
通りに
考えております。すべての税において現在社会経済状況の混乱を反映いたしまして、
國民の諸般の方面の倫理が下
つておるという所から、できるだけ税の上におきましても、非常に捕捉がむずかしいということに苦しんでおるわけであります。そこでこの
取引高税法案を立案いたすに当りましても、その点は非常に大きな問題の
一つとして、
研究いたしたわけであります。そうして結論といたしまして、
一つには印紙納付の制度を採用するということを
考え出しまして、これによ
つて、これも
國民一般の納税思想、納税倫理というものが向上するということに期待することになりますが、納税義務者でない人達が、社会
一般の大衆が、納税義務者としてでなしに、
日本の
一般大衆として、
取引高視の徴収の実が挙がるということに意を配るならば、この
税金が非常になだらかに入
つて参る。例えば誰でも買物をする際にその
金額の百分分の一の印紙を下さいということで、必ず貰うようにして頂けば、それでこの税は税常に円滑に入
つて参るわけでございます。そういう
意味でのやり方を
考えましたことが
一つと、それからその印紙を出しまして、各業者に、印紙を買う場合に印紙購入通帳というものを持
つて貰いまして、それに印紙の購入高を記載をして証明を受ける。それで税務署が調べに参りましたときに、それを見、更にその他の帳簿を見て取締の便にするというようなこの徴税の確保、捕捉という面におきましては、若干目新らしい
方法も
考え、そうして
國民一般のこの税に対する理解と協力とに大きな期待を掛けて参りたいということで、実は相当、勿論
一般の納税義務者においても手数でありますか、
政府としても相当の手数を要するわけでありますが、敢えてこういう
方法で
一つこの税の円満な徴収を期したいというふうに
考えている次第であると御了察頂きたいというふうに思う次第であります。
それから第二の
段階の問題でございますが、ことれは先程
ちよつと
衆議院の方面において問題にな
つている点の
一つとして申上げました。中小商工業と大企業、何と申しますか一貫作業を行う大企業の利害というような点に発展する問題かと思われますが、この点は理論的に確かにこの各
段階を一括して、自分の経営の中でやるという経営体が有利でおるということは、理論的には正にその
通りでありますが、
一つにはこの現は大体償格に織込んで轉嫁するという建前をと
つておりまして、通常の
取引賃借によ
つて生産し流通するという限りの場合においては、それが轉嫁できるという方向に持
つて参る
考えでおります。從いまして通常の
取引段階を以て
製造し、販賣するという向きにおいては、別段そういう
意味で困るということがないようにできるのではないかというふうに
考えるのであります。特殊の場合に普通の
取引段階よりも非常に
段階が多いというようなことをやる
事業者でありますと、そういう
意味で若干轉嫁の点にむずかしいものができるかもしれませんが、又それを別の面から見ますると、恐らくそういう場合はその業者の特殊な技能なり地位なりの
関係で、そういう特殊な
段階の多い
取引経路を持つということについて、やはり何か合理性があるというような場合であろうし、何かそういうような
意味で切抜けられるような望みもあるのではないか、総じて申しまして、中小商工業の問題は理屈上確かにもう
製造者から小賣まで一本にやる方が有利なのでありますが、これは諸國の例に見ましても、常に
取引高税法の創始時期におきまして問題に
なつた点でありますが、実際問題としてそれが中小商工業に非常に響いて、企業の一貫的な経営に自然に移るというような結果にはな
つておりませんし、又理論的に
考えましても、この経済というものは、ばかにお説教めくようでありますが、摩擦というものがある。
從つて中小の商工業には中小商工業の立場というようなものがやはり何かあるのではないかというようなふうにも
考えられます。そういうような点と、先程申上げました轉嫁の
関係というようなことを
考えまして、通常の
取引段階において
生産し流通するという
種類の経営であ
つたらば、何とかや
つて行つて貰えるのではないかというふうに
考えるわけでありますが、これは非常に御
指摘の
通りむずかしい点の
一つだと
思つて、尚これからやることになりますれば、相当そういう面での
研究なり配慮なりしなければならんというふうに
思つております。