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岡元義人君 今星野
委員のいろいろ御質問も亦、便宜上
審議会の件で沢山お見えになると思いますが、その時又いろいろ御答弁して頂きたいと思います。差当り運輸省の方はもうこれで後は
大藏省の
関係に移りますが、運輸省の方に今
一つ質問したいと思います。今も船舶
関係で第一
國会で問題になりました船員のいろいろな問題でありますが、この問題について非常に
調査いたしました次第であります。第一
國会におきましては、そういうことはないというような
お話であ
つたんですけれども、まだ一部の者が
引揚者に本当の好意であるという解釈の下に物品の授受が行われておるかということなんです。これはいろいろな
座談会もいたしまして、各いろいろ事務長も集
つて頂いて私詳しく
お話いたしたのです。というのは
引揚げて來る。先ず汽車に乗る。中共地区でもそうでもありますが、私なんかも体験を通して知
つておるんですが、汽車に乗りますと、中國なんかでよく機関手が機関車を止める。先ず汽車を止められないようにまあ一個大隊について五十万円という金をば納める。その次は今度は船に乗込む時に
税関に時計とか、ライターとか、万年筆をそういうものを片つ端から取られますので、又それを取られないように又五十万円、それから船に乗りましてから非常に虐待される。これはそういうニュースが入
つておりました。私たちの還る時には。それで先ず船員に対して船の中の待遇をよくして頂くというような積りで、船に乗
つたならば船員の人に人形をや
つたらいいだろう、それから煙草を上げたらいいだろうということを、ちやんと前から
計画してあるんです。それで、船に乗り込みますと、幹部がそれを集めまして、船の方に届けるということにな
つておりのです。それで、お互いに膝突き合して
お話しますと、そういう内容が分
つていなか
つた。今の
お話を聞いて、我々は本当の好意を受けなければいけないと思
つて受けたんだ、しかし又聞くと好意じやなさそうだというので、今後は十分慎まなければいけないといわれたんですが、それは淺岡君もいわれたんですが、私も被害者の一人です。それで、第一
國会では、船長初め事務長はそういうことはないと
國会でいわれましたが、我々
調査して見ますと、まだそういうことが行われておるんですから、事務長もよく分
つたということで、今後はこういうことはないと思うんですが、尚念のためにお含み願いたいと思うんです。
それからもう
一つは、これは最近
帰つて來る人は、先程から説明いたしております通り女が非常に多いのです、若い女性がまあ速記の
関係もありまして、十分述べられませんが、非常に特殊な事情下に置かれておる。
内地に帰りましても、自分には姉さんがいたんだけれども、今は行先が分らない。女は一人だから、残
つてお
つても生活には事欠かないと、こういうような見栄で
残つた人が多いのですけれども、最近ソ連当局から強制的に帰すというので、
帰つて來るのですが、船内でまあいろんな問題があるわけなんどすね。船員の部屋に入つちやいけないということを船長は指示している。併したといえ合意の上で問題があ
つたにしましても、あすこに上
つて來るときにはお風呂に入れて貰
つて上衣を着せて貰
つて、有難涙で一杯なんです。ただあすこを出ましてから、こういうところを教えてくれればよか
つたのにあすこで教えてくれなか
つたじやないか、こういう非難とな
つて出て來るんですが、それはもうあすこを出発しましてから一週間なり十日経
つて、定着してからの問題なんです。船の中でこういうことを船員にされたということを、その時は合意の上でや
つても、合意じやなか
つたように、船員に無理矢理にそういうことを強要されたというようなふうに声明されておるんじやないか、現に煙草五本で強姦したと、こういうふうな問題をすでに巷で喧伝しておるのです。だから船長がびつくりして、船員の部屋に女が入
つて行くのを船長が
注意した、さらに十分
注意をいたしますという
お話だ
つたのですが、すでにそういうときには合意であ
つても、
帰つて來ますと、そういう工合に喧伝しておるのです。我々の耳には直ぐそれが入るんですね。
一つその点を御
注意申上げたい。
それから
援護廳側に対しまして、十分に
連絡を取
つておきましたが、これは
援護廳自体の反省すべき点も多々あると思うんですけれども、
援護廳と船舶運営会の方といわゆる
政府の業務が円滑に
行つてない、それが感情的にまで発展しているところが見えるんです。これは少なくとも
援護廳自体もお互に御厄介になるんだかという気持で、もつと緊密に
連絡して頂くというもとは、強く
援護廳にも私要望しておきましたのですが、運営会の方でもよく
連絡を取
つて……これは一例を申上げますと、
援護廳側にいわすれば、薬を貰いに來る。その時に、アルコールを貰いに来たんだが、本当に必要な分だけをやればいいと思
つて、それだけやる、もつと余計にくれということを船員側は要望する、これは本当は飲むんだというような解釈の下に、これをやらない、そうすると、船員の方では暴れる。というようなことがあるようなんですが、併しこういう問題は、お互がもつと緊密に
連絡を取れば、難なく
解決つく問題じやないかということを痛切に感じたのですが、ただ今度観察いたしまして、総体的には実によくや
つていらつしやる。ということを、私たちは痛切に見て参りましたので、船員の方の一番御要望なさ
つておることは何かということを聞きますと、我々は
終戦以來これだけの沢山の同胞をば、暑い所、寒い所から
内地に運んでおるのだ、この大きな事業を遂行しつつある我々に対して、
國家は勿論のこと、
政府自体も非常に無関心過ぎはしないかという声を聞いた。それはどういうことかと申しますと、
舞鶴だけで、今年だけの特配の衣料がた
つた五十着しかない、それは何も
引揚に從事しておる從事員の問題じやなくして、全般として五十着しかない、我々は縁の下の力持だが、併しながらこれを認めてくれということが、我々としては最大の願なんだ。併し國民からは、
引揚げて來る人は認識されているが、我々は暑い所、寒い所をば克服して、そうして暴風雨と闘いながら同胞の輸送に当
つておるということをば、皆が余りにも無関心過ぎはしないかという声を聞いたのです。これに対しまして、
國会といたしましても、同僚
委員とも相談いたしまして、今日放送局にも來て頂いておるんですが、
國会としても激励の放送か或いはそういう
方法を執るべきではないかということを痛切に感じたのです。で、あなたの方でこういうような被服その他について特配ができないということでございましたならば、又我々としても何等か考慮しなければならんのじやないかと考えられますが、特に
引揚に從事しておる
方々が、今の日本の船舶
状況から申しましても、一番遠い所まで出かけて、
相当苦労なさ
つておるということは、十分分るのでございまして、何か
方法がありましたならば何等かこれに報いる、特配とかそういうようなものをば考えて頂けないか、これが私の一番申上げたい点なんです。
それから船員の、事務長以上の
方々には、できるだけ國内事情をば、船に乗
つたときに早く分らせるというような
方法をば、何とかして執
つて頂きたい。勿論船に乗りまして、船の模様から、食物だとかそういうようなことから、どうも我々が聞いている
状況と少しこれは違うぞというような感じをば、船に乗
つて皆が体験しておるのです。その際に大体國内事情をば、船中においても予め
一つの知識を与えておく。それから
援護廳にも
連絡を取
つてございますが、船内におきましてできる限り、先程山澄丸の乗船者の統計の一部をいいましたが、非常に罹病者が多い。これらの者に対しましては、あらゆる
方法で以て深切に補導してやる、治療とかそういうことは、特別に受けられるんだということを、も
つて徹底して教えてや
つておく必要があるんじやないか。例えば山澄丸は一、一五二名邦人が帰
つておりますが、その中相談受けた者は僅に二二一名、その二二一名の中の全部が罹病しており、送院された者が六二名おるのです。だからその他の者も当然相談を受けたならば罹病者であるというような者が
相当数あるということが考えられる。で、こういうような指導は、
援護局に、上陸してからは勿論指導もしなければなりませんが、船に乗
つておる間に、堕胎とかそういうことについては、徹底した指導をする必要があるんじやないか。最近の
状況をば船長さんに聞いて見ますと、自殺を図るというような、そういうような人たちは、最近はなくな
つたという話でありました。これに対してはまあ船長は十分に気を配
つておるという
お話で安心をしたのでありますが、昨年博多に上陸した場合は一船で一番多いのは十何名程自殺者を出しておるという実例がありますし、最近は当然妊娠者が多く、而も
内地へ帰る際に問題になるような妊娠をしておるような場合が多いと思います。そういうような点に対してもう少し徹底した指導を船中において、船の
関係においても心掛けて頂きたいと思います。その外に
収容所につきましてはいろいろ我々同僚
議員にも問題にな
つておりまして、
収容能力だとか、輸送能力だとか、そういうものにつきましてはより以上の輸送能力があるということは、各
議員とも今回認識して
帰つて來ておるつもりでありますから、この点御了承願いたいと思うのであります。大体以上であります。