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政府委員(久下勝次君) 私から概略の御
説明を申上げたいと思います。先ず第一は癩療養所における夫婦舎のことでございますが、私共といたしましてもかねてから必要を痛感いたしまして、新設の豫算の要求などもいたしてお
つたのでありまするが、財政難の折から新設は認められない
状態にな
つておるのであります。併しながら現在の癩療養所の改造の
方法によりまして、例えば大部屋にな
つておりますところを間仕切りをいたすというようなことによりまして、相當數の夫婦舎ができると思
つておりますので、又その
方面の豫算は若干のものがございますので、そういう
方法によりまして逐次に夫婦舎を
作つて行きたいというふうに
考えておる次第であります。
次は癩患者の作業賃の問題でございますが、
從來この作業賃につきましては
二つの面から問題があ
つたのでございます。患者の側からはこの作業賃が非常に低いという要求があり、私共としてもそう
考えてお
つた問題で、作業賃が低いということ。第二の點は作業賃というものにつきまして特別な豫算がなか
つたということでございまして、醫療費でありますとか、或いは各種修繕費とかいうような、そういうような豫算の遣り繰りで賄
つてお
つた實情であ
つたのであります。本年度におきましてはこの
實情を財政當局から認められまして、甲乙丙の三
種類に作業の
種類を分けまして、最も技術を要しまする甲
種類の作業につきましては一日八圓、乙
種類の作業につきましては六圓五十錢、丙につきましては四圓五才錢というような豫算が認められたのでございます。これを作業種別に應じて各療養所に漏れなく配付をいたし得ることに相成
つたのでございます。
從來はこれが甲
種類のものにつきましては三圓六十錢、
最低一圓
程度という作業費にな
つておりました。今日の時節柄甚だ低額でございましたのを、今申上げたようなふうに豫算が認められているのであります。
それから患者慰安金の問題でございます。これも簡單に
從來の
事情を申上げますると、御
承知のように生活
保護法による生活扶助金という形式で、
從來地元の縣が御
承知の
保護法による二割の負擔をいたしまして、國庫から八割の補助金を出して七十五圓から百五十圓くらいの生活扶助をいたしてお
つたのであります。この點は、たまたま癩療養所が存在いたしますために、當該都
府縣が非常な財政上の負擔をするというような不合理がございますので、本年度の豫算の要求に際しまして、この點の是正を申したのでございますが、結局
從來支給されておりまする最高の百五十圓を、全部に亙
つて平均に支給できるように承認されましたので、この問題も概ね私共としては解決いたしたものと
考えておる次第でございます。尚一部の療養所の患者によりましては、百五十圓を二百圓まで上げて貰いたいというような要求も現に出てはおりますけれども、
只今の段階におきましては、百五十圓という
從來支給の最高額が全額國庫から出まして、而も直接患者へ現金が渡されるというような建前になりましたことは、昨年までの
實情に比較いたしますると、非常な進歩であると
考えておる次第でございます。
次に、癩療養所の
職員の問題についても、これはいろいろ遺憾な點がございますが、勿論元來癩療養所の
職員の定員というものは非常に少いのでございます。この點は私共も遺憾に思いまして、全般的に療養所の定員の増加ということを、豫算の要求の都度出してあるのでございますが、
從來のいきさつもあり、財政上の
事情もありますのか、財政當局から認められない
事情にあるのであります。
敬愛園につきましては、醫官、醫者でありまする厚生技官の定員が、二級官が七名、三級官一名、合計八名の定員があるのでありますが、現在の實員は二級官五名だけにな
つております。これは今申したような豫算面の餘裕が現在としてはあるのでありますので、
是非充足いたしたいと思
つておりますが、御
承知の
通り、なかなか外の
施設でも醫者が得られないで困
つております。主として、給與の問題から醫者が得られないで困
つております
實情、特に癩療養所のような特殊な治療をやらなければならない所におきましては、なかなか志望者がなくて困
つておる
實情であまりす。併しながら、この
職員の充足につきましては、最近の給與新ペースの規定に伴いまして、若干の職階制の思想が盛られるようにな
つておりますので、
只今私共といたしましては、全般的に醫師その他の癩療
機關の技術員の給與の改善につきましては、民間給與とも睨み合せまして、できるだけの増額ができますように折衝いたしておるところでございます。さようなことが實現をいたしますれば、醫者を得ますにも、餘程條件がよくなるんじやないかと
考えております。
最後に患者の食費の問題でございますが、これも實は昨年度までは、癩療養所というものは、一般の結核療養所等に比較いたしまして、扱いを區別にされておりました。
具體的には、結核療養所は、一日一人當りの患者食費が十八圓という豫算でございましたが、癩療養所につきましては十五圓しか認められないというようなことにな
つて、ずつと今日まで引續いてお
つたのであります。本年度の豫算によりますれば、いずれも一日當り二十六圓四十錢ということで、結核と癩との
從來の區別もなくされて參りました。この
意味におきまして癩療養所は待遇がよくな
つたと思うのであります。併しながら、この二十六圓四十錢という數字も、勿論私共としては十分とは思
つておりません。來年度の豫算折衝に當
つても、随分最後までいろいろ折衝してみたのでありますが、財政當局におきましては、又今度物價改訂の際に
考えるからというような條件附で、一應二十六圓四十錢という數字の承認をさせられた恰好に相成
つております。多少遺憾でございますが、次の物價改訂の際の食費の改訂を期待をいたしまして、不十分ながら賄
つておる次第であります。
大體伺
つておる問題はさようなことと存じますが、若しお尋ぬによりまして……。