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会計檢査院事務総長(東谷傳次郎君)
只今政府委員から、御
説明があ
つたのでありますが、その前に、專賣局外三現業の造幣局及び印刷局につきまして、
簡單に檢査の結果に触れて見たいと思います。
造幣局の
関係におきましては、歳入で一件、歳出で一件の
批難事項があるのでありますが、歳入におきましては、造幣局で、日本金属株式会社に、錫の地金を四百四十トンを、三分の一の値段で、非常に安く賣
つておられるというので、これを
指摘したのでありますが、これは、檢査院のいう
通り、よくないというので、是正されておりますので、
説明はその
通りいたしておきたいと思います。尚この八十四頁にございますが、年度区分を乱したり或いは予算の目的外に使用したというものが、官舎の設備について批難いたしておるのでありますが、この官舎は、年度内にできてないのに、できているように整理されたので、その
意味において、年度区分を紊り、而もその予算は、造幣局の予算にないのでありますので、その
意味におきましては、予算の目的外でありまして、大変工合の惡いことだと思うのであります。これは当局におかれましても、惡かつたというので、責任者の
処分もいたしておられるようなわけであります。
次に、印刷局の
特別会計でございますが、これは、歳出において一件、
批難事項があるのでありますが、印刷局の西大寺工場で、二重拂をしたということの
指摘でありますが、これは、その後是正されておるような次第であります。
次に、專賣局の
関係に移りたいと思います。
補助金の問題が主として取上げられておるのでありますが、その前に、八十六頁に掲げてありまする、予算の目的外に
経費を使用して、專賣局で
職員の宿舎を、
東京都であるとか、或いは千葉市に買
つておられるという次第であります。
経費は、二百八十六千円を投じておらるるのでありますが、專賣局の御
意見では、
只今仰せのように、專賣局の能力が拡張したのではなくて、單純なる附属設備であるから、いいんだというような御
説明に相成るのでありますが、作業会計法は、さように
法律は
規定されていないのでありまして、固定資本の維持及び補修だけが、この
特別会計において
負担することが許されておるのでありまして、而して本件は、すべてこれ固定資本の維持でもなければ、補修でもないのでありまして、新たに加わるものでありまして、これは、正々堂々と、
一般会計において、予算を要求し、
國会の議決を経て、その議決に基いて実行されるべきものであると存ずるのであります。官舎の問題は、
只今申しました、造幣局にもあるのでありますが、非常に宿舎が必要ということで、切実な問題ではありましようけれども、切実なれば切実なる程、予算にこれを明確にいたしまして、実行するということが、最も好ましいことであると存ずるのであります。官舎、宿舎につきましては、各官廳において、いろいろと設備しておられるのでありますが、すベて予算外のものにつきましては、
会計檢査院が本年は特に取上げて問題にしておるのであります。それは、設備をすること自体が惡いとか善いとかいうことの批判の前に、さようなものは予算に計上して
國会の協賛を経て然る後にしなければならない。こういう
意見であるのであります。
次に
補助の点でございまするが、大分
補助費というものは少なくな
つたのでありまするが、それでも
金額的には非常に多く
なつておりまして、二十一年度では
一般、特別両会計を通じまして二百四十億という
補助金が出ておるのでありますが、仔細に檢査をいたして参りますると、この
檢査報告の所々に点見されるのでありまするが、或るものは
補助條件に適合しないものがあるとか、或いは非常に沢山
補助をやり過ぎておるというようないろいろな
事情が、事案が伏在いたしておるのであります。專賣局におかれましての
補助で一番大きなものは、自給製塩というものがあるのでありますが、
只今自給製塩のことにつきましては
政府当局から御
説明があ
つたのでございまするが、この自給製塩は塩の
事情が惡化いたしましたために、
昭和二十年度から、自給製塩の設備をした者に対しては、
補助金の交付をやるということに相成りましたのでありまするが、小規模であるとか、或いは能率の低いものが、激増するというのに鑑みられまして、二十一年の四月からは一定の規模で能率のものだけを承認するということになりまして、その後更に二十一年の九月でありましたかに方針を定められまして、一應
補助金の交付というものは打切る、その際に二十一年の九月に大体工事を完成しておるか、若しくは工事中であるものだけで、而も超えて二十二年の二月六日でありまするか、二月六日までに全部完成いたしまして、而も塩の製造を開始しておる設備、こういう
條件が付いたのであります。完成して製造する二月六日までに、もう
一つの
條件は、塩の年産能力が百トン以下では
補助をしない、こういうふうに決定をされまして、その
補助率は
只今も御
説明のありましたように、当初は八割を
補助するということであ
つたのでありまするが、その後予算の
関係を以ちまして五割五分余りということに減額されたような次第であります。この
補助の自給製塩に対する
補助金は、
昭和二十年度以降十二億五千二百万円というものが出ておるのでございまして、二十年度において四億千三百余万円、二十一年度において五億四百余万円、二十二年度において四億三千九百余万円というのが
只今まで出ておるのであります。これは先程お話りなりましたように、非常に
政府の方から慫慂し、而も突貫工事として工事を施行させたものであるのでありまするが、その後石炭の
事情或いは電氣の
事情などに禍いされまして、初めの年産の設備能力というものは大体三十八万トン余りを計画され、二十二年度においては十三万二千トンを製造するというのであ
つたのでありまするが、その実績は余り上
つていないのでありまして、いろいろな
事情は抜きにしまして見ますると、この自給製塩は非常な大きな掛声で始ま
つて、大きな設備をさせたのでありまするが、
補助の目的は十分には達成されていないということが言えるような状態であるのであります。
理由といたしましては、初めは殆んど全額やる、全額やるとはおつしやらんのでありますが、八割をやる、次に予算の
事情で止むを得ず五割五分に切下げるということになりましたので、如何にも
政府の公約を無視するようなことでありまして、実行当局としては非常にお心苦しい点はあつたろうと思わるるのであります。併しながら、こういつた全國に跨がるところの
補助でありまするから、
補助率が変更されましたら、その最高方針によ
つて公明に、而も公平に査定をして、
補助をして行き、この間不公平な点とか、或いは不公正な点があ
つてはならんのでありまして、その
意味から申しますると、まだこの自給製塩に対する検査院の檢査は全部は終わ
つてつてはいないのでありまして、今檢査の中途でありまして、
相当な
部分は檢査未済として未確認に置いてあるのでありまして、目下実地檢査、書面によ
つて檢査をいたしておるのでありまするが、
只今まで分りました
補助の行き過ぎということだけにつきまして御
説明いたしたいと存ずるのであります。
只今幾らか手心を加える点があるのも止むを得ないという御
説明、これも
事情はよく分らんことはないのでありまするが、
只今申しましたように、非常に沢山な事案を処理して行くのでありまするから、その処理の方針は飽くまでも公平であり、公明であるということでなくてはならんと思うのであります。手心で以て、或る者は
補助が貰えない、或る者は貰えるということであ
つてはならないと思うのであります。この自給製塩に対しまする批難といたしまして、第一に指定期日までに完成していないものに
補助をや
つたのは、先程も申しましたように第一の
條件に適
つていないという
意味で批難しておるのであります。第二は小規模、即ち百トン以下のものに対しておやりにな
つたのは第二の
條件に適
つていないということであります。次には設備の査定が当を得ない。
一つ一つ入
つて見ますと、このものは
補助の対象にするには無理であろうというような点が取上げてありまするが、そういつたような、大体分け方を二、三に分けまして批判を加えておるのであります。
第一の指定期日までに完成してないものに
補助金をやつたというのは、飛島塩業と日塩興業でありますが、いずれも
只今御
説明があ
つたのでありまするが、この飛島塩業の点でありまするが、実地檢査に行
つて見ますると、これは飛島塩業というのは第一期、第二期、第三期に塩田が分れておるのでありまするが、大体において第一期、第二期、第三期とも、第一期は一部モルタルでありますが、あとは三和土で仕上げるということでありまして、総計十四万六千平米の塩田になるのでありまするが、実地檢査に行
つて見ますると、尺余の雜草が繁茂しておるというのでありますが、これは
只今仰せになりましたように、石炭
事情の惡化のために数ケ月使わなかつたというので、或る
程度の雜草は繁茂するであろうと思うのでありまするが、この塩田の状態を実地檢査に行つた者の調べますところによりますると、第二期、第三期はまあ形はできておるのでありまするが、塩田ではない、仕上げは全然していない、でありまするから、雜草が生えるのはこれは当り前の話でありまして、これは仕上げるのにどのくらいの何が要るかというと、ここにも書いて置きましたが、セメントは五万袋要るというのであります。五万袋のセメントというものは、初めは三和土で仕上げるのでありまするが、モルタルの仕上げにしまして、三センチの厚みにしまして全部ができてもまだ余るくらいでありまして、要するにそのこと自体もできていないということは、セメントが五万袋要るということだけでお分りだろうと思います。のみならずこれは甚だあれでありますが、專賣局の実態
調査によりましても、やはりできていないということにこれは
なつておるのであります。さようなわけで、本件は完成しているというふうに見られるのは、どうも無理だというふうに思われるのであります。
第二の日塩興業の点でありますが、これは砂層貫流という式なんでありまして、少し斜面に
なつておるのでありまして、まあ御
承知かと思いますが、上から
ちよろ
ちよろと海水を流して、下へ流れるまでに海水が濃度が上るという仕組なんであります。これが斜面にな
つたのが第一塩田、第二塩田、第三塩田とありまして、第一塩田で流したものを第二塩田に持
つて來て流し、第二塩田のを第三塩田に流して濃度を幾らか高めて行くということにも
なつておるのでありますが、本件の場合は第一塩田ではこれを、普通海水が御
承知のようにボーメ三度ぐらいでありますが、これを八度に高めまして、第二の塩田で更にこれを、十二度に高め、第三、塩田で、十八度に高めて鹹水にして、それから焚くということにまあ
なつておるのでありますが、漏水が非常に激しい。六十パーセント、七十パーセントという漏水でありまして、而も漏水が多いから、実態
調査をして実績を調べたところによりますと、第一塩田に流すのにゆつくり流して八度のボーメを作るとすれば、恐らく下まで水が出ないという
程度なんでありまして、三十パーセントぐらいが下へ流れて來る、そのものを調べても四度しかない。ボーメが四度上つたということは、まるで砂貫式として
考えられないのでありまして、ただ一度ぐらい上げるのにそういう装置をするというのはどうかと思うのであります。で、ありまするから、実地檢査に行きまして、第二塩田、第三塩田は全然使用すらしていない。又使用ができないのであります。これらの点から見ましても、これは形はできてお
つても、やはり二月六日においては製造を開始し得るものでは全然なかつたということが言えるのであります。のみならず鹹水槽というのが、普通鹹水溜というのがありますが、それらは下の方がコンクリートであ
つて、上の方は鉄筋がそのまま覗いておるというふうであ
つて、これらも飛島塩業と同じようにできておるということは、行過ぎではないかというふうに
考えられるのであります。
次に「小規模のもの」これは南山製塩、これは別府市亀川町にあるのでありまするが、
只今の御
説明には、実地檢査に行つたときは電氣が足らなか
つたのだろうというのでありますが、そうではないのでありまして、電氣ではない、これは温泉の熱度が低い、ここに使
つておる温泉の熱度が八十度くらいの温泉でありまして、この設備で百度であれば百トンは出るでありましようが、八十度くらいでは、とても出ない、丁度六十トンくらいしか出ないということに
なつておるのであります。詳しく
説明すれば幾らもございますが、こういうわけで、これは結局ポンプを増設しなくちやならんというのでありますから、その、時の状態から見ますれば、百トン以下であるということは最も明かに立証ができるのであります。
それからもう
一つ、南山製塩においては、これは專賣局ではないのでありまするが、
会計檢査院は
政府の会計法に対して批判できるようでありますから申上げるのでありますが、八十九頁の所に南山製塩のことを書いておりまするが、この南山製塩の項目の中に、陸軍時代にこの南山製塩というのはできておるのであります。そうして元陸軍製絨本廠の利用工場として助成金を三百十万円貰
つて、今ここで局で頂きましたのは余り沢山ではない、五十四万円でありまするが、陸軍時代に三百十万円を貰
つておる。その外に陸軍時代には資材の
拂下げ代として十万円貰
つておるというので、陸軍時代は三百二十一万円がここへ行
つておるのであります。その陸軍から專賣局に移ります時分に、いろいろと交渉はありまして、專賣局で
補助金を出すような場合には、陸軍の三百二十万円の
補助金の返済に充てたいというので、連絡はあ
つたのであります。二十二年二月二十日に連絡がありましたのに、越えて三月二十六日に專賣局の初めての
補助金は十七万円出ておるのでありますが、これは返していない。南山製塩は返していないのであります。その後の三十七万七千円だけが返
つておるというわけでありまして、南山製塩を全般的に見ますと、
只今政府に返さなければならない
補助金は二百八十三万一千円というのがあるのでありまして、專賣局の方の
補助金は小規模であるが、やはりこれはおやりに
なつてはいけない。陸軍の
関係は返還未済であるから、全額返還せねばならんという事案なのであります。
その次において「設備費の査定当を得ないも」というので、日本塩業について申しておるのでありまするが、これは
只今御
説明がありまして、Aとか、C、Eというものは
会計檢査院と所見を同じくしておられるのでありますが、Bについては、まあ見解が違うというのであります。
簡單に申しますと、BもAと同じような
取扱をせられるのが至当なのでありまして、これは大体構築物として扱
つておられるようでありますが、若し構築物であるとするならば、Aと同じように大藏大臣の承認を得なければならんということになりまして、これは得られるわけのものではないのでありますから、これは若し使用料だというのであれば、会社の
経営費そのものでありまするから、これを
補助の対象にするということはよろしくないというふうに
考えておるのであります。