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会計檢査院事務総長(
東谷傳次郎君)
只今大藏省所管の
決算につきまして、御
説明がございましたのでありますが、私は
大藏省所管の中で、
檢査報告に出ております
事項の中、
政府当局と
所見を異にするといいますか、
会計檢査院でよろしくないだろうと申しましたことに対して、なる程惡かつた、是正する、或いは
責任者の処分をするとい
つたようなことに
なつておりまするものは、
説明を便宜上省略さして頂きまして、その他のものにつきまして、御
説明を一應いたして置きたいと思います。
会計檢査院の
檢査報告は、申上げるまでもなく、二十一
年度で非常に從来と態様を異にいたしたのでございまして、例えば総説というようなものを掲げたのでありまして、全体のページから十ページまでが総説でありますが、総説というものを掲げてあり、この総説を御覧願いますと、それからあとに出て参りまする
批難事項の鳥瞰ができるというふうに大体仕組んだつもりでありまするが、その
檢査報告の
批難事項の中に掲げないで、総説だけに掲げたものもございますので、その点から
説明さして頂きたいと存じます。
檢査報告を御覧願いたいと存じますが、二ページの三行日あたりから書いてある
事項でございます。結局臨時軍自費と
一般会計というものであります。御
承知のごとく、臨時軍事費は昨年その終結を見まして、そのときに
決算の締めくくりがつかなかつたものは、全部あとに繰越すというポツダム勅令が出たのでありまして、その三條によりますると、私が申しましたような、判明しないところの
歳入とか
支出の
事項は、判明したる
年度の
一般会計の
歳入又は
歳出に組入れ整理すべしということに
なつておるのでありまして、本來ならば、この勅令自体を眞正面に読んで行きますと、この
檢査報告の十一ページのところを御覧願いますと、そこに揚げてございますが、二十一
年度で臨時軍事費の
歳入だつたものが、分りましたのが
歳入で一億六千八百余万円、
歳出で二百十五億八千五百万円というものがあるのでありまして、これらは勅令の解釈から申しますと、
一般会計に組入れて、
一般会計の
決算としてやらなければならんのでありまするが、ところが
政府におかれましては、
一般会計には繰入れないで、この
一般会計の総
決算にただ附記されておるだけでございます。臨時軍事費特別会計所属の
歳入金又は
歳出金は、
昭和二十一年勅令第百十号第一條第二項の
規定により、
昭和二十一
年度に組入れ整理した
金額は
歳入幾ら
歳出幾らであると書き放しにしてあるのでありますが、ただ書いてあるだけで、全然組入れてないのでございます。その点は甚だ遺憾に存ずるのであります。
次に三ページでございますが、これも亦
決算に
関係がある
事項でございます。第二封鎖と
歳入決算というものでございますが、御
承知のごとく、第二封鎖も租税その他の
歳入として、
政府が取
つてお
つたのでありまするが、それが昨二十二年の一月三十一日までは第二封鎖で租税などを納めさせましても、それが現金に変
つてお
つたのであります。即ち
歳入の
決算に入
つてお
つたのであります。ところが昨年の一月三十一日を境に、現金化はまかりならんということにな
つたのであります。現金にならないのであります。そういたしますと、
政府におきましては、三月三日を以ちまして勅令を出しまして、そういうような現金にならんものでも納めて取
つてもよろしいという勅令を出したのでありますが、この勅令が、証券を以てする
歳入納付に関する
法律というのがあるのでありますが、その
法律に抵触しておるわけでありまして、この証券を以てする
歳入納付でありますが、即ち
決算になるものだけを証券で取るというふうに
なつておるのでありまして、これに正面からぶつかるというような
関係になるのでありまして、さような
関係になるのでありまして、さような現金にならない第二封鎖を受取つたものが、二十二
年度だけで二億九千四百余万円あるのであります。それから更にこれが今年の一月三十一日まで続いたのでありますが、それまでの計数を見ますと、総計十億八千二百余万円取
つておるのでありますが、これは取りましても
歳入には上らんのであります。日本銀行の指定預金というものに
なつておるのでありまして、御
承知のごとく第二封鎖は切り捨てられるのでありますから、切り捨てられれば、十億というような、本当は自分の
歳入に入るもの参が半分になるかも知れんということになるのでありまして、これも
会計檢査院としては甚だ遺憾に存じておるのであります。
尚四ページあたり掲げておるのでありますが、
檢査報告を御覧願いますと、いろいろと
年度違いということを各実行廳がしておられるのであります。例えば二十一
年度で申しますと、二十二年の三月三十一日までが
年度でありますが、本当は二十二年の八月、十月或いは今年に
なつてでき上
つたようなものを、丁度昨年の三月三十一日にでき上
つたようにしまして、二十一
年度の経理として、即ち
年度違いの
支出というものを非常に沢山や
つておられるのであります。この事例は非常に沢山あるのでありますが、これは
会計檢査院としては非常に遺憾に存ずるのでありまして
予算もそういうふうにできておりませんし、
会計法規もそれを許していないのであります。併しこれはどうしてそういうふうになるか、いろいろ、実行廳自体でもお
考えにななければならんのであります。というのは、本当にできないものはできないものとして繰越す手続が、ちやんと会計法にあるのでありますから、繰越しの手続をお取りになればよろしいのを、わざわざ繰越の手続をとらないで、
年度中にできたようにして小切手を切
つてしま
つておるというのは根本的に惡いのでありますが、なぜそうなるかと申しますと、やはり一原因は繰越の
承認ということが遅い。繰越の
承認は、
年度を越えまして七月ごろに
なつて
大藏省の方で
承認されるというのが非常に多いのであります。繰越の
承認が遅いから、結局繰越の
承認を認めないで、自分のところでできたような恰好にして置くというふうになるのでありまして、この点繰越の
承認ということについて、財務
当局で大いにお
考えを願いたいと思うのでありまして、四ページに、「繰越の
承認に当
つては考慮の余地があるものと認められる。」というふうに、
意見を発表いたしておるようなわけであります。
次に、簡單に申上げますが、七ページに、これは特殊物件に
関係するわけでありますが、
大藏省の
関係、國有財産でありまするから、ここで申上げておきます。要するに廃艦になりました軍艦を解体する作業でありますが、艦艇の解撤作業というものは、二十一年の四月以降各鎭守府、要港部所在地におきまして、或いは造船所その他の造船業者に解撤作業を行わしめておるのでありまするが、艦艇の解撤作業をしますと同時に普通の商船の修理をもや
つておるわけでありまするが、この艦艇の解撤いたしますのには相当な
経費を要するのでありまするが、
政府におきましては、大体一括的に艦艇の解撤という作業を請負わしておるのでありまして、
会計檢査院といたしましては、このような作業というものは廃兵器におきましても同じように
考えておるのでありますが、廃兵器処理
委員会に一括して、日本中の兵器をお前のところに請負わせるのだということにして、請負というか請拂に出しておるのでありますが、それと同じような一括請負に附しておるのでありまして、赤が出るやら黒が出るやら分らないという
程度であります。かようなものは作業の
性質上最も公明を期すべきものでありますが故に、やはり解撤の作業というものは
國会の
承認を得て、
予算で認めて行く。それの解体に伴うて出て來たものは、賣
つて國庫の
歳入にするという正規の方法でやられることが最も望ましいという意味の
意見をここに掲げておる次第であります。
尚、十二頁のところでありまするが、
歳入歳出の
決算と日本銀行の証明額の対照を見ますと、
歳入におきまして日本銀行の証明額の方が六千万円も多く
なつておるのでありますが、これはいろいろ事由を調べて見ますと増減共いろいろな事由はあるのでありますが、かような
事態の絶無は期すべきでありますけれども、先ずこの
程度のことはいたし方はないのではないかというので、強
つて批難はいたしておらん次第であります。
それからいよいよこの
批難事項に入りたいと存じますが三十三頁でございます。これは租税の収納未済というものが非常に多額に上
つておるという点を批難いたしておるわけでございます。この三十三頁、三十四頁にかけて、表も掲げてございまするが、二十、二十一、二十二
年度と、累年その絶対数におきましても、収納未済が殖えておるのであります。例えば二十
年度で申しますというと、八億六千二百万円、二十一
年度は百五十七億円というように
なつておるのでありまして、この二十二
年度になりますると、十月までを見ましても、収納未済というものは、百七十四億という多額に上
つておるのであります。これを
決定に対する比率を見ましても、累増いたしておるのでありまするが、二十
年度は八%、二十
年度は二五%、二十二年の十月までは二八%というように惡化いたしておるのでありましてこれらの
状況につきましては、
大藏当局も非常にお骨折りに
なつておるのでありますが、
会計檢査院といたしましても財政の現況に鑑みまして、默視することはできませんので、
大藏当局に対しまして、嚴重なる注意を喚起し、且つ改善を要望いたしてお
つたのでありまするが、先程もお話を承わりますと、非常にその後徴税の
状況は佳良でありまして、二十二
年度のごときは、
予算に対して百億もオーバーしておるというふうに承わ
つておるのでありまするが、二十一
年度の収納未済の
状況は誠に寒心に堪えないものがあ
つたのであります。その外通行税でありますとか、或いは
一般の税の取扱いの過誤によりまして、徴収不足を起したものが先程も御
説明がありましたように二十一
年度で十五件、既往
年度におきまして四十八件というようなものがあるのでございまするが、これらのものはいずれも同じような
意見を持
つておりますので、特別に御
説明はいたしておきません。ただ数が非常に多いということだけを申上げておきたいと存じます。
それから六十五頁の入場税の問題でありますが、これは
地方に委譲されるかも分らんというような新聞も拝見いたしておるのでありますが、入場税に対して免税をするということにつきまして、
会計檢査院でいろいろ調べて見ますると、こんなものを免税するのは不都合であるというような点が多々あ
つたのでありますが、その一例をここに掲げて、京橋税務署の分を掲げてあるのでありますが、これにつきましては、入場税法を改正せらるる必要があるであろうということに
意見が決まりまして、百七十頁に掲げてございまするが、
会計檢査院長から大藏大臣あて、入場税免除に関する件として、いろいろ
意見を表示いたして、改善の要求をいたしておるような次第であります。
次は六十六頁にあります所得税の源泉徴収の問題であります。銀行、会社、或いは
官廳において源泉徴収をいたすわけでありますが、これが会社、銀行あたりで徴収をいたしてお
つても、税務署に拂い込んでいないというようなものの例が、ここに一二掲げてあるのでありますが、かような例が、金融逼迫に伴ないまして、ますます多く
なつておるのでございまして
政府におかれましては十分の御留意を願いたいと存ずるのであります。
それから九十四頁に入りたいと思いますが、國有財産を無償で
使用さすというのでありますが、これも
終戰後起つた
事態でありまして、陸海軍が使
つておりました軍用地が國有の雜種財産になりまして、各方面で管理利用上貸付する、一時
使用さすということに、実は
終戰後な
つたのでありますが、一時
使用さすということについては直接國有財産法に
規定はいたしておらんのでありますが、併し然るべき業者、然るべき方法で一時的に利用するということは最も好ましい状態でありますので、
会計檢査院もこれには賛意を表しておるのでありますが、一時
使用さすということと、無償は又別の問題でありまして、有償ですべからく一時
使用をさせなければならぬものだというふうに
考えまして、廣島財務局における元呉海軍工廠の
土地、
建物の無償
使用というものに対して批難を加えているようなわけであります。その他
大藏省の
関係では終戰処理費の
関係とか、或いは特別会計の造幣局、印刷局、乃至は專賣局の
批難事項もあるのでありますが、特別会計の方は暫くあと廻しにして頂きたいと存じます。
尚
大藏省の
関係といたしまして
檢査報告のありますものの中、又二、三を申上げて置きたいことがございますので申述べさして頂きたいと存じます。それは
会計檢査院法によ
つていろいろと改善の
意見を
各省に要求することができるように
なつているのでありまするが、その中
大藏省の
関係と言いますか、経済安定本部その他もありますが、その中入場税の点は
只今百七十頁のところで御
説明をいたしたのでありますが、公團の
関係であります。百六十八頁にありまするが公團の経理に関しまして経済安定本部の
総務長官に改善の要求をいたしたのでありますが、これは詳しいことは御
説明は省きますが、公團は官職と同じである。公團の
職員は
官廳の
職員と同じであるというふうに
なつているのでありまするが、昨年から発足いたしまして公團がいろいろと
事務をと
つているに拘わりませず、その給與も確定いたしていないというようなことで、公團の
職員の
事務にも幾らか影響する、或いは大いに影響するものだと思うのでありますが、要するに給與が決
つていない、漸く昨年の暮でありましたか本年に至りまし給與の内定といいますか給與が決
つていつたということに
なつているのでありまするが、その他の点につきましても、どうも公團に対しまして
政府の施策というものが非常に
決定が遅れていように感ぜられる向が沢山ございますので、改善の要求をいたしているような次第であります。この中例えば旅費などの点につきましても最近問題が起
つたのでありますが、
官吏と同じような旅費であるということでありますのに、旅費はやはり
官吏並ではや
つて行けないというので、旅費の増額申請というものを
政府の方に出している。
政府の方ではいろいろと折衝して御
審議はなさ
つているのだろうと思いますけれども未だにそれが決ま
つていない。遂に他の方面からも注意がありまして、
会計檢査院といたしましても勅令違反である。
官吏以上に貰
つているのは、殆んど倍貰
つているのでありますが……、全部是正しなければならんというこということが最近各公團、総理大臣以下に通知を出したわけでありまして、公團に対してはもう少し実態を見極められまして、そういうたようなものの確定をせられるように願いたいと思うのであります。
それから百六十一頁、二頁からでありますが、
会計檢査院で
檢査をいたしております出資團体とか補助團体とかが相当に沢山あるのでありまして、
只今國が資本金の二分の一以上を出資している法人でありますところの日本銀行とか、復興金融金庫とか、その他が二十九ばかりあります。その中産業復興公團などを入れますと相当な多数に上
つているわけでありますが、その中
大藏省の御
関係でありますところの庶民金庫について資金の運用よろしきを得ないものとして、批難いたしたものが百六十二頁にあるのであります。
二十一年の六月に山一証券株式会社から五百三万円を、翌七月静岡銀行から二百十八万五千円、
合計七百二十一万五千円という
政府保証帝國燃料興業債券を買入れて資金の運用をしておるのでありますが、御
承知のごとく戰時補償の打切りということが相当に喧しくなり、大体打切られるということになりまして、先行きは非常に不安であるということは業界
一般に認められておつたところでありますが、かようなものを金融常識といいますか、常識としては、賣り手はありますが、買い手はないと思います。これを庶民金庫が購入したというようなことでありまして、思わしくない資金の運用と存ぜられる次第であります。大体先程申しましたように終戰処理費と特別会計を除きました
大藏省所管の
会計檢査院の
批難事項の中、
当局と
意見が一致していないものについて大体を御
説明いたした次第でございます。