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政府委員(
佐藤達夫君) 御
説明を申上げます前にお許しを得ておきたいと存ずるのでありますが、実は活版刷になりましてお手許に参
つておりまするこの
法案は、その後
相当の正誤がございまして、実はその正誤の正式の
印刷物が恐らくまだお手許に届いておらないと存ずるのであります。從いまして便宜上私の方で謄写版刷を以ちまして新らしく直りました形のものを、本日お届けいたしておきましたので、それによ
つて、御
審議頂ければ非常に幸甚であるというふうに
考えておる次第でございます。
高等試驗委員及び
普通試驗委員臨時措置法案につきまして、その
提案の
理由を御
説明申上げます。
御承知の
ように國家公務員法は來る七月一日から施行ということに相成
つておるのではありますけれども、その実体の
規定が現実に適用を見まするのは、公務員法に基きまする職階制が確立され、おのおの職階に應じましての試驗制度等が完成した後ということに相成るわけであります。從いましてそれまでは尚暫定的ではありますけれども、現行の官吏制度が適用されるというわけであります。
只今御
審議の対象とな
つております
高等試驗委員及び普通試驗
委員という
ような制度もここ当分は存置される次第でございます。
本案は右の
事情を基礎といたしまして、この
高等試驗委員と普通試驗
委員の制度につきまして、大きく申しますと二点の
改正を加えんとするものであります。
その第一点は近く施行せらるべき
國家行政組織法との
関連をも予め考慮に入れまして、この際形式的の調整を加えておこうという点であります。第二点は
高等試驗委員の構成につきまして、殊に司法科試驗を担任いたしておりまする第三部というのがありますが、その第三部の
組織について所要の変更を加え
ようとすることを眼目といたしておるのであります。
本案は條文が
簡單でありますから、この條文に亘りまして一口ずつ申上げた方が却
つて御理解に便宜かと思いますから、お許しを得まして
簡單に條文を逐
つて申上げます。
第一條は、これは元の勅令で今日は
政令の形にな
つておりますけれども、これは
法律と同じ
効力を持たせ
ようという
趣旨であります。この根拠は一應委任の根拠の下に立
つておる
政令を扱
つておるわけであります。仮に七月一日以後
國家行政組織法が施行される
ようになりますと、一應この制度は直接
法律を以て
規定せらるべき制度であると
考えられますので、かたがた
法律と同一の
効力をそのままの形で持たしていこうということを謳
つたのであります。
第二條は、先程申しました第一点の問題に触れるのでありますが、御承知の
ように
高等試驗委員は、現在
行政官試驗というものはなくなりましたけれども、尚司法官試驗というものを行な
つておりまして、この司法官試驗は
委員長の名で報告いたします。又合格証書も
委員長の名で発行いたしております、という
ようなことで、新らしい
行政組織法の眼から見ますと外局的なものであるわけであります。從いましてその
意味で
國家行政組織法の例のいろいろな
機関の名称の統一ということから
考えまして、この場合においては高等
委員という
ようりも
高等試驗委員会というふうに訂しておいた方が將來の
組織法の点からみても適当でありますので、この
法律では
高等試驗委員会という称呼に改める。普通試驗についてはそういう必要はありませんから、今まで
通りの名前にしております。それから第二條でもう一点はこの「
高等試驗委員会は、法務総裁の所轄とする。」とございます。御承知の
ように現在の
高等試驗委員は
内閣総理大臣の監督に属しておる
機関でございます。今回は後に申します
ようにこの
高等試驗委員の本來の大きな仕事は、司法官試驗ということに相成る点をも考慮いたしまして、これを法務総裁の所轄といたしました。
それから第三條でありますが、これは試驗
委員の構成についてであります。
委員長は現在法制長官が当ることにな
つておりますのを、
本案において法務総裁を以て当てるということにいたします。それから現在は
高等試驗委員長の下に部が三つございまして、第一部は一般
行政官の選考の仕事、それから二級
相当の地方公務員の選考の仕事をや
つております。その第一部の部長は法制長官となるわけであります。これは現在
通りであります。それから第二部では外交官、領事官のやはり二級の人々等の選考をつやておりますが、これも現在外務次官が部長にな
つております。今回もそのままということにいたしてあります。次が第三部、これがいわゆる司法官試驗をや
つておる部でありますが、この部は現在は法務総裁官房長が部長に当ることにな
つておりますが、この際これを最高裁判所
事務総長が当るということにいたします。それからそれに
関連いたしまして第三部所属の常任
委員、この常任
委員は全体で九人でありますが、その九人の常任
委員が一部、二部、三部に所属することにな
つております。その第三部所属の常任
委員の中の少くとも二人は、最高裁判所の一級又は二級の官吏の中から命ずるものとするということにいたしまして、この司法科試驗の面を
相当おもてに
出したことになるのであります。あとは小さなことでありますが、高等試驗、予備試驗の仕事を現在は第一部でや
つておりますのを、今後は先程申しました
ような、
行政科試驗がなくな
つておりますので、司法科試驗の予備試驗ということになります
関係上、今の第三部で予備試驗の仕事もやらすというのであります。
それから第四條、これも庶務のことでありますが、現在第一部でや
つておりますが、これを法務総裁の官房に行わしめるということでございます。
それから第五條は、これは國家公務員法との
関連を念のために
規定したのが一部であ
つて、その一部は公務員法との
関係を念のために
規定いたしたものであります。それから第二点も大体公務員法との
関連でありますが、当然のことながらもこの國家公務員法なり或いは地方公共團体の公務員についての構成が完成いたしまして、それが適用される
ようになれば、第一部、第二部、それから普通試驗
委員は当然仕事がなくなりますから、そのときは成立を失う当然のことを
規定したわけでございます。司法科試驗だけが、これは公務員法から申しますと、一應特別職ということにな
つておりますから、少くとも裁判官に関する限りにおいては、將來司法科試驗が残り得るわけであります。これにつきましては
政府といたしましては、今日からすでに、
一つ新たなる角度からの再檢討をし
ようというわけで、司法科試驗を
如何にすべきかということを十分根本に触れて檢討いたしまして、そうしてこれについては、別途新たなる根本的の
改正を
考えたいというふうな
考えでおるわけであります。大略御
説明申上げました。