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山下義信君
只今の
總理の御
説明の中に非常に耳障りといいますか、私共關心を持たざるを得ないお
言葉がある。それは
政務次官は
大臣になる見習稽古、
大臣になる修錬道場というお
言葉がしばしば出たのであります。この
政務次官の任務、性格ということを明らかにいたしませねば、
法案の審議ができませんので、私は伺いますが、成る程そういう一面もあるということは私共も了承はいたします。併しそれが主たる目的ではないのではあるまいか。少くとも
只今總理のおつしやつたような
意味だけのことは、
衆議院のみならば、或いは全面的に通用いたすかも分りませんが、少くとも私共の
參議院の
立場におきましては、そういう點を非常に力説強調せらるるという
意味の
政務次官ということには、全面的に必ずしも承服いたしかねると思うのであります。それはもう言うまでもございません。
參議院の特殊の
立場といたしまして、この
參議院議員の任務というものは必ずしも政權争奪が直接の目的でございません。このことは賢明なる
總理のよく御承知のところでございます。而して
議員には解散もございません。任期も長うございます。
從つて私共は
參議院にありまする政黨の分野が、必らずしも與黨、野黨というような、そういう激しい
立場で争うべきではないというような
考え方を、實はこれは与黨、野黨に拘わらず持
つておるのでございまして、從いまして
政務次官というようなものを、今回十一名、同數で
參議院議員から採るということにな
つておりますることは、先程鈴木法務總裁或は今度
參議院から
政務次官を探ることにしたのは
參議院を重視したのである、
參議院を重からしめたのであるというお
言葉がありましたが、私共は
參議院から
政務次官を採
つて頂くことに
なつたことによ
つて參議院が少しも重く
なつたとは
考えておりません。むしろ
參議院議員という
立場は、いろいろな面から申しまして、私共相當の誇りを、矜持を持
つておるつもりでございます。言い換えると
議員には練達堪能な者が相當集ま
つておると思います。今更行政部に參りまして役人の見習をしませんでも、相當その
方面の卒業者も數澤山あると思いますので、且つ又
大臣病に罹
つていない者も澤山おりますのでございます。從いまして若し
參議院方面から財務
次官をお探りになりますということならば、その
趣旨は聊か
衆議院方面とは違う點があるのではないか。即ち練達堪能な、言い換えましたならば、いつでも
國務大臣を引受けられるというふうな
人物が、多數これは
實際揃
つておるのでございまするから、それらの者を
政府部内にお迎えになりまするということは、これは
大臣の全くよき輔佐者として、即ち行政部に対するところのよきアドバイザーとして、顧問というような格でも、これを重く用いようかというお心持があるのではありますまいか。若しそうなれば
參議院から
政務次官に出ますことは、必ずしも恥かしがる必要はございませず、相當な有能な人材も、或いは欣然として應ずる者もなきにしもあらずと
考えます。
只今の
總理の御
説明で見ますると、まるで幼稚な者をこれから養うもののように、養成するようにお
考えにな
つておられまするが、果してそういうことで
參議院方面から
政務次官をお探りなさろうとするか、もう一度その點を
伺つて置きたいと思います。
且つ第二といたしましては、
政務次官の任務、
政府の新たなるこういう
仕事をする職員を置くのか、即ち行政部にこういう
一つの
政務次官という職員を置くのか、
内閣全體の
政務を掌る
一つの機關として設けるのか、或いはこれは
國會の職員、役員というような
意味で設けるのか。先程鈴木總裁のお
言葉では、これはむしろ
國會のために設けるのである、
政府のためじやない、與黨のためじやない、むしろ
國會のために設けるのだいうようなことをおつしや
つておるのでございまするが、
國會の便利のために設けるというならば、例えば現實の問題といたしますると、これは與黨のみからお採りになりますか、
衆議院のごときはこれは與黨のみからお採りになると假りにいたしましても、何故かならば、多數黨でなければ
内閣を組織できませんから、與黨だけからお採りにな
つてよろしうございますが、
參議院の與黨、野黨という
立場は、
内閣の組織と直接關係のない
立場でございます。
然らば
參議院からお採りになります
政務次官というものは、言い換えて見るならば、各派からお採りにな
つてこそ、
國會との間の
連絡が非常に緊密にできまするけれども、あなたの
内閣にいたしましても、
參議院における與黨的なものが少數でありまするときは與黨から十一人をお採りに
なつたからとい
つて、何も
參議院との
連絡の役には立ちません。だから
參議院の特殊の性格から申しましても、そこに何らかのお
考えがあるかどうか、念のために
政務次官の性格を明らかにするために、
總理の御所信を承わりたいと思います。
それから第三には、これはやがて
恆久的に置くかも分らんが、その置き方については
一つ構想を練るお
考えであるというふうな御
答辯でございましたが、何か
臨時立法が期日が來ましたときの、
恆久的に置かれまするこういつた職務に対しまする今後の在り方の御構想がありまするかどうか。私
共實は緑風會におきまして、その行政機構の調査
研究をいたしております中にはこの
政務次官制度は或る
程度まで是認いたしておるのでありますが、その在り方につきましては
各省に一々配屬せしめずいたしまして、これを
内閣に置きまして、そうして一應分擔はさせておるけれども、いわゆる
各省の役人のような形はさせないで、眞に
大臣を輔佐するようなふうにして、
大臣と同數にこれを置くのが一番いいのではないかというようなことを
考えておるのでございますが、若しこれを
恆久的に置くといたしますると、どういうような構想を持
つておいでになりますか、まだ構想が纏ま
つておいでになりませんかどうか、その點を承わりたいと思うのでございます。
最後に私はこの
機會に伺いたいと思いますることは、
各省に顧問というものがあります。
參議院におきましては、
各省に顧問を置きまするにつきまして、すでにこれを拒否いたしました先例があるのでございます。又最近は外務省の顧問として片山哲氏を御推薦に相成
つて國會の御
承認をお求めにな
つて、これに対して
國會側におきましても、又
參議院におきましても、相當難色を示しておりますということの
事實があるのでございます。こういうふうに
議員が行政部に關係いたしますることにつきまして、相當重大な關心を今拂いつつあります場合でございまするが、今の外務省の顧問に片山氏が就任いたしまするということと、先般行政調査部の顧問として、我が議院の川上君
竝びに衆議院の松岡氏が就任することにつきまして拒否いたしました、あの行政調査部の顧問と外務省の顧問と、その性質におきまして違つたところがございますか、全く同様の顧問でありまするか、ただ擔任の省が違いまするだけで、同じ
意味の顧問でありまするか、この際
總理の
見解を承
つて置きたいと存じます。