○
政府委員(
佐藤達夫君) いろいろ廣い
範圍に亙りましての
お尋ねでなかなかむずかしい問題を含んでおるように思いますが、順序を逐いまして一
通り私の
考えておりますところを申上げたいと思います。
第一點は
外局の
性格についての
お尋ねでございます。これはすでに提案中の
國家行政組織法案にも相當關運のある
事柄でございまして、
國家行政組織法案で狙
つております
外局につきましては、又別に御
説明の
機會があると思うのでありますが、今日の
制度とそれから
國家行政組織法ができましてから後の
制度というものとの兩面に亙りまして、一
通りの
考えを申して置きたいと存じます。
從來この
外局を置きます場合にすべて問題になりますのは、
内局になぜできないかという問題と、それからもう
一つは、大きくいいますというと、一省として
獨立さすべきではないかという問題、この
兩方の問題から睨み合して、
具體的の
機關を
内局にすべきか、
外局にすべきか、或いは
獨立の省にすべきかというような檢討をしておるわけであります。
外局にする場合を申上げますというと、大體この
外局の
所掌事項として
考えられておるその
事柄が相當に特殊のものであ
つて、
本省に餘り即き過ぎて…
不即不離の即という
意味でありますが、餘り即き過ぎて處理されては面白くない。そうかとい
つて全然
本省から切離されてしま
つて、例えば
獨立の省のようなものにされてしま
つて處理されても面白くないというような
事柄を豫想されます場合に、大體今まで
外局としております。それからもう
一つの
觀點から、
外局になりますということは、その
外局として多少の
獨立的な
立場を認めることになりますからして、その
外局の
長官がその
外局の名において、即ち自己の名において相當の
行政的の
行爲、作用ができるというようなことを豫想しての面と、大體この二つの面から勘案いたしまして、これは
外局が
適當であろうというようなことで處理して参
つておる。これは
從來の扱いでありますが、今後
國家行政組織法ができました後も、この
考えは恐らく變らないのではないかというふうに思
つております。
所掌事項が
他省に亙ることができるかという
お尋ねがそれに附隨しておりましたが、この
各省の
權限を洗
つて見ます場合におきましては、極端に申しますというと、凡そ
國家行政というものが、
行政そのものが一體のものでありますからして、
各省と
各省との間に・おいても、實はきつ
ぱりした限界はないような事態が相當あるわけであります。
各省自體の問題として隣の省との
關連というものが澤山あるのであります。從いまして今度
外局の問題といたしましても、その
外局の所掌する
事項というものは、もとより
各省と密接な
關連を持ち、或いは見方によ
つては
各省と重複しておるというような場合もこれは當然想像できることであります。即ち
各省に亙るということは當然あり得ることで、その場合に、先程
山下委員の
お尋ねになりましたように、
各省の
權限に亙るというような場合においては、その亙る方の
各省の
大藏大臣からの
指揮、
指圖の
關係はどうなるかというような
お尋ねであります。これは今までの例から申しますというと、先程丁度御
指摘になりましたように、或る
外局について全く兩省に跨
つておる、昔ありました例えば
馬政局というようなものがある、あれは
馬政の面から
農林省の
權限を扱
つておる。それから軍馬の方の
關係からは、當時の
陸軍省の
權限に
關係して來るというようなわけで、
陸軍大臣と
農林大臣と
兩方の
所管に属するというようなことがたしかにございました。併しこれは
實際の
實例から申して見ますとむしろ少い、例外と申しますといい過ぎるかも知れませんが、むしろ例外的な例でございまして、殆んど普通の
外局の場合においては、
各省、
他省との
權限關係のその處理というものは、その
關係のある省とその
外局との間の並行しての
共管關係というような形で、言い換えますならば、現實の
運用に
當つてはその
關係の省と緊密な連繋を取りつつ、手を繋いで、
運用に
宗璧を期して行くというやり方の方が、實は普通の例のように私は記憶いたしております。でありますから、結局これは
運用上の問題として、從前は處理されて來ておるということを申上げ得ると思います。
それからその次に、この三條に書いてあるような
權限と申しますか、
中小企業廰はかかる曖昧な
權限を持
つておる、それについてかような
外局は成り立つかというような
お尋ねがありましたようですが、これはすでに
商工當局から御
説明をいたしたことと思ひますが、
中小企業廰の設置の狙いと申しますか、その點に関連いたしまして、その
權限としてかような
事柄を行わせることがどうしても必要である。而もこれは重要な
權限であるということに私も
考えるわけであります。餘り曖昧であるようにも
考えませんが、この
外局としての
權限としてこれだけのものを持たして十分その
機能を發揮し得る、又その
實際の効果を擧げ得る、これは認定の問題になるかも知れませんが、私はそう
考えております。それからその次に、
外局と假にするにしても、
内閣とおつしやいましたが、恐らく
總理廰という趣旨だろうと思いますが、
總理廰の
外局とするという
考え方、それから又
安本との
關係においてむしろ
安本にくつ附ける、或いはその
外局にするというような
考え方もあり得はしないかというような
お尋ねがございました。これは最初に申しましたところに觸れるのでありますが、先程申しておりませんが、
外局を作るにしても、それではその持
つて行き方を、どこへくつ附けるかはむしろ
内閣の方に、即ち
總理廰の方へ附けた方がよくはないかという問題も
一つの問題であるわけであります。今までの、これも
具體的の例を申上げて恐縮でありますが、例えば
安定本部も
一つの
總理廰の
外局であります。
物價廰もそうであります。或いは最近できました
賠償廰といつたようなものもそうな
つております。或いは
終戰連絡事務局、
連絡調整局とな
つておりますが、さようなものも最近は
内閣即ち
總理府の方へくつ附けてあるのであります。大體この
内閣の即ち
總理府の
外局にな
つておりますものは、何といいますか、根本的の、
各省の
仕事に亙
つての根本的の
調整或いは
連絡というようなことを主眼としての、何と申しますか統一、統轄といいますか、そういう
機能を主として期待しておるような
役所を
總理府の方に附けておるように
考えております。今度の
具體的の
中小企業廰の問題にな
つて來ますというと、これは先程御
指摘の第三條にありますように、相當現實的の
仕事をや
つておるのであります。たまたま
各省に亙る部面もあるかも知れませんけれども、その
實體は字句に現われておりますように、相當現實的な
仕事でありますので、
總理府なり或いは
安本というようなところに附けることは、むしろ地面から少し足が浮いて來るようなことになりはしないか。むしろ
商工省は
中小企業に關して殆んど八割以上くらいの
仕事を
實際にや
つておるのでありますが、それらのものとのやはり
不離な、
不即不離の
不離の方でありましたと思いますが、離れない
關係をやはり持たして置くのが結果においては一番適切ではなかろうかと私は思うのであります。
それからその次に、
官廰組織、
行政組織というものが
縱斷的な
方面に
組織替えされつつあるような傾向にあるという
お話でございましたが、それに照していわゆる
横斷的の
組織はどうであろうかというような
お話がございましたけれども、これは如何にすれば
行政の
目的を一番完全に達成し得るかということに盡きると思うのでありまして先程申しましたように
總理府に置かれております
外局のごときはもう殆んど
横斷的であり、且つ統括的、統一的の
仕事を擔任する
役所であるわけであります。これらの必要なことは勿論申上げるまでもないのであります。そこまで行きませんでも
事柄の必要からして多少
横斷的の
性格を持つ
役所というものは、これはどうしても必要ではあるまいかと
考えておる次第であります。
それから條文の後の方に出て参ります「他の
行政廰の
協力を求める」というような條文の効果について
お尋ねがありましたが、これは「
協力を求める」ということは、今までこれもいろいろの
法案に出ております。出ておりますが、私共の理解しておりますところでは、この
協力を求められた他の
役所が必ずそれにどういう無理をしても應じなければならないというところの義務付けをしておるものとは實は今まで
考えておりません。但し
協力を求められた場合に、全然それを無視して話にも乗らないというようなことは許されないのでありまして、そういうことであれば法律に書く必要はないのであります。法律に書きました以上は、求めらた
役所ではそれを十分考慮するという義務はある。併し必ず應じなければならんというところの義務まではないというふうに今までは
考えて來ております。でありますからして、ちよつと言葉を補足いたしますが、
協力を求められた場合においては、どうしてもこういう理由で
協力に應ずることができない、
協力をすることができないという理由が正當に成り立ちますならば、これを斷われるというふうに
考えております。
それからこの
外局の
長官に
大臣が當り得るかという
お尋ねでございましたが、先走
つて恐縮でございますが、
國家行政組織法で
外局の種類として院と廰と二つの種類を持
つております。これは別の
方面で
政府委員から又御
答辯を申上げる
機會があるとは存じますが、大體そういうものに當りますものは
大臣又は
大臣級の人が長に當り得るものと
考えておるわけであります。今後と雖も
外局の長に國務
大臣が當るということはあり得ることと
考えております。ただその場合におきましては、法律に
はつきり、この長は國務
大臣を以て充てるとか、或いは國務
大臣を以て充てることができるというようなことを表現して置く必要があろうと存じます。從いましてこの現實の
中小企業廰に關しましては、これは
大臣を以て充てるというつもりはないわけであります。大体次官級というところで
考えておるわけであります。
ちよつと漏れましたかも存じませんが、一應お答え申上げました。