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政府委員(
國宗榮君) お答えいたします。先ず第一点といたしまして、
経済統制違反事件の、今日までの
檢察廳の採
つてお
つた檢挙方針はどういうことであるか、こういう御
質問であると思いますが、この点につきましては、これはもう
從來も今日も変わ
つておりませんが、抽象的に申しますると、いわゆる
重点的檢挙というのでありまして、先ず
生産必需物資、それから
生活必需物資、これらに対しまするところの
重点的檢挙を
檢挙の
方針といたしております。そうして実際にその
効果を挙げておりますかどうかは甚だ申しかねる点でありまして、或いは
効果が挙が
つていないという御
批判もあろうかと思いますけれども、これにつきましても、
只今申挙げました
生活必需物資とか、或いは
生産の
必需物資、これらにつきまして重点的な
檢挙をいたしておりますが、而もこれに対しまして、
方針といたしましては抜本塞源的な
檢挙をいたしたいと
考えております。これにつきまして十分の
効果を甚だ申しかねますけれども、挙げていないと言うことを、本当は申上げなければならんと思うのであります。併しこれは
檢挙官の数の問題、それから設備の
問題等、いろいろございまして、私共の
考えました
方針通りの
効果を挙げていないということは、私共といたしましては非常に遺憾に存ずるのでありまするが、今後の
方針におきましても、か
ような
方針は堅持いたしまして、その
効果を挙げたいと
考えております。
それから第二点の
経済事件の
檢挙につきまして、積極的に
経済査察員と
連絡することがあるか、今後の
運営は如何であるかという点でございますが、勿論私共といたしましては、
経済査察員と緊密なる
連絡を取りたいと
思つております。又現に取らなければ、今後の
経済統制違反事件に対しまして十分な
効果を挙げ得ない、と申しまするのは、先程も申上げました
ように一應の、又
從來堅持しておりますところの
方針がありますけれども、これを徹底いたしまするには、
檢察官だけでは数も足りませんし、
國家のあらゆる同じ
ようなことをや
つております
機関が
お互いに協力し
合つて初めて十分の
効果が挙がり得ると
考えておりますので、今後は積極的に
連絡することを
考えております。今後の
運営におきましても、
十分法規にありますところの
査察委員会等によりまして、
経済統制の
事犯の
檢挙につきましては、庶幾するところの
効果を挙げたいと
考えております。
それから
経済事犯は
初犯が多いか、
再犯が多いか、こういう御
質問でございまするが、これいつきましては、実は全國的な
統計がございませんので、はつきりしたことは申上げかねますが、
東京地檢におきますところの
昭和二十二年度中におきます
起訴人員のうちについて
統計を取
つて見ますと、大体二千五百名の者が
起訴に相成
つておりまするが、そのうち、
初犯者が九六%強であります。
累犯者は三%強、この点から全國的に
考えまして、
初犯者が多いね
再犯者は非常に少ないという結論が、極く一
地方でありまするから、確言いたしますことは甚だ危檢だろうと思いまするけれども、先ず
再犯者は少ないということが言い得ると思います。從いましてこの
経済事犯というものは一たび
檢挙になりますると、その後におきましては余りやらないということを言い得ると
考えております。
それから現在の
情勢で
経済事犯を
予防し得るか、という点でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、率直に申上げまするというと、現在の
情勢で、私共
檢察の
立場からいたしまして、全く
経済事犯をなくし得る
ような
予防ができるかと申しますと、これは非常に困難だと言うことを率直に申上げなければならないと思います。この点はいわゆる
檢察という
観点でなくして、行政的な
措置が十分完全に行われなければ、その点の
効果を挙げ得ないというふうに私共は
考えております。尚、私共の
檢察的観点から申しますると、これは
行政的措置という
ような、実際の
経済生活に関しまする
施策というもの以外に、私共といたしましては、精神的なもの、
一つの
遵法精神の高揚ともうしますか、そういう面をも私共といたしましては動かして
行つて、
予防の
効果を道徳的に挙げるという以外に、先ず実際のところ申しまして、方策はないのであります。この点から申しまするというと、絶対に
予防し得るということを申上げることは、実は困難と思います。併しこれにつきましては、困難だからというので捨てて置きませず、
檢挙もいたしまするが、同時に
檢挙に先立ちまして、私共できる限りの
予防の方法は講じて行きたい、又
檢挙の面から見まして、
行政政策がこうあるならばよろしいということが分かりましたならば、これはこの点を
行政部の方に申入れまして、その
施策の改善を図
つて頂くという手は用いたいと
思つております。
それから
経済事犯の
檢挙率と
潜在犯罪に対するところの
パーセンテージの問題でありますが、これは実は非常に分かりにくいのでありまして、大体申上げますと、
昭和二十二年度におきまして
檢挙廳が受理いたしました
経済事犯の
違反人員でありますが、これは六十万七千四百二十二名であります。この外にいわゆる
警察で
違反として
檢挙されまして、
檢察廳に
送致なく、そのままで終
つておるものがあうろうかと思います。どれだけ一体実際の潜在的な
経済違反の
犯罪があるかということは、これはちよつと分かりかねます。從いまして
檢察廳に
送致になりました
経済違反事件との
パーセンテージも実は出しかねるのでありまして、この点は
一つ御了承願いたいと思います。
それから
経済係檢事の数でありますが、これは
経済係檢事として置いてありますのは、全國で七十名でございます。この七十名の
経済係檢事が、
只今申上げました六十万七千四百二十二名を
処理いたしますと、これは一人で一ヶ年に八千六百七十七名を
処理しなければならないことになるのであります。併しこれは
経済係檢事といたしまして私共が
專門に置いてありますのが七十名でありまして、実際は
事件がか
ように多くありますので、
経済係檢事でない
檢事が実際には多くこの
処理に当
つております。從いましてこの数の
関係から申しますと、全体の
檢事が現在六百八十四名おりますから、
経済事件だけを
処理いたしまして、一人
当たり八百八十八人を一年に扱
つておることになります。で、現在実数から申しまして、
檢事が一体
経済事件というものを一人でどれだけ扱
つておるかということは、これはどうも正確に出て來ないのでありまして、ただ
東京の
地方檢察廳におきましては、これは相当に
組織もできておりますので、ここでは
経済係檢事が十五名おります。これは
專門に
経済事件を
取扱つておりまして、外の
檢事は
経済事件を
取扱つておりませんから、ここの計数を出しますと、一人
当たりが年に二千百七十五人、これを
東京の
経済係檢事は扱
つております。大体まあこのぐらいの見当になるのではないかと
考えております。
それから
最後の御
質問の問題でありますが、
公務員の
経済事犯につきまして、
檢察廳の
取扱い方は緩慢ではないかという
ような点でございまするけれども、これにつきましても、
公務員がいわゆる個人といたしまして
経済事犯を犯しました場合には、これは
一般の
公務員でない者との間に、実は
処理の上においては差別をつけていないつもりでおります。ただ併しいろいろ
刑事訴訟法の規定にもございます
ように、その犯人のいろいろな
地位、或いはいろいろな環境その他によりまして、
起訴、不
起訴を決定すべきことに相成
つておりますので、それらの点ではやはり多少考慮に入
つた措置が行われておるのかも知れないと思います。併し特に
公務員の
経済事犯だからというので、これに対しまして
取扱いを別いたしておるということはございません。ただ
公務員が職務上に関しまして
経済事犯を犯しました場合には、これは非常に
嚴格にいたしております。
地位の高下を問いませず、相当
嚴格な
檢挙と
処理をいたしております。尚、
只今山下議員から、如何にも
公務員が
一般の者と区別されまして、
取扱い上有利な処遇を受けておる
ようなお感じを抱いておられる
ように伺いましたが、か
ようなことがございますならば、今後におきましてはさ
ような誤解のない
ように
処理いたしたいと
思つております。簡單でございますが……。