○岡本
愛祐君 私は新谷委員・中井委員から午前の
会議で御
質問があ
つたその点に連関してお尋ねしたいことがあります。これは
運輸省なり
國家警察本部なりの
政府委員から御答弁を願いたいと思います。
治安及び
地方制度委員会におきまして、第三國人の犯罪
関係を調査いたしましたそのときに、例えば
朝鮮人の密入國者の調べというものの
提出を求めまして、
昭和二十二年一月から十二月における密入國者の数を調べて見ると、それが六千六百五十七人もある。その中で検挙したものが五千百九十人、逃走したものが千四百六十七人というようなことに
なつております。つまり密入國者についてだけ見ても、從來の
海上取締が大いに欠けるところがあ
つたということができるのであります。それでこの
海上保安廰というものを置かれまして、こういう犯罪を絶滅するという政策を強化せられることは私は非常に賛成であります。併しこの
法律案は、條文を通覧して見まするとなかなか疑問の点が多いのであります。その第一点が、先程両委員から御指摘のあ
つた点であります。
政府委員の御答弁によりますと、
海上はそれがたとえ湾であ
つても、港であ
つても、海峡であ
つても、それは第一次的には
海上保安廰の責任である、こういうふうな御答弁であります。ただその陸地の勢力範囲に属する
水域については、
國家警察なり自治体
警察が犯罪の檢挙に当
つて差支ないのだ、つまり第一次責任は
海上保安廳だが、そういう陸地の勢力範囲に属する
水域については共管であるというふうな御答弁であ
つたと記憶いたします。その点間違いがないかどうか、それを第一に確かめ、又
國家警察本部においてもそれと同様の見解を持
つておられるのかどうか、その点を確かめて置きます。
そこで若しその
通りだといたしますと、
國家地方警察の方におきまして、例えば廣島縣では廣島縣に属するといいますか、廣島縣の陸地に接する海面、瀬戸内海の一部でありますが、そこの
海上警察、
水上警察といいますか、それを管轄いたしますために統一的に音戸町、呉市から一衣帯水の倉橋島にあります音戸町に廣島縣の
水上警察を置いておる。そうするとその
水上警察は、廣島縣の海面を全面的に管轄いたしておりますから、ここに
海上保安廰との
関係で、おかしなことができて來るのであります。この点はどういうふうに考えておられるか。これは両方からお答を願いたいと思います。高知縣の方では、高知縣の陸地に沿うておる
水域といいますか、
沿岸水域といいますか、それを三分しまして、そうして安藝町、それから高知市、須崎町、この三ケ所の
國家地方警察署の
警察事務として、その三分しました高知縣の水面を管轄する。
水上警察事務を普通の
地方警察の署に属させております。この方は、午前に
政府委員が御答弁に
なつた点、第一次的には
海上保安廳だというのと、大して抵触はしないように思いますが、廣島縣の場合には、確かに抵触して來るのじやないかと思うのであります。高知縣のような場合だと、或いはその
警察署に属しておる
警察官を、
海上保安廳の保安官に兼務させるというようなことで解決がつくのじやないかと思いますが、そういう点をもう少しはつきり両者から御答弁を
願つて置きたいと思います。第一点はその問題。
それから第二点は、これは字句の末になりますが、第一條に「港、湾、海峡その他の
日本國の
沿岸水域において
海上の安定を確保し」、こういうふうに書き分けてあり、それから第七條に各号がありまして、第十号に「
沿岸水域における巡視警戒に関する事項」とあり、第十一号から第十三号までには「
海上における」とあ
つて、これにも「
沿岸水域における」と「
海上における」と書き分けてあるのであります。これはどういう意味があるのか。この第十号は「
海上における巡視警戒に関する事項」ではなぜいけないのか。これだけが「
沿岸水域」とある
理由を御
説明願いたいと思います。
それから第三点は十七條でありますが、これは
海上保安官がその職務を行うため必要があるときは、船長又は船長に代
つて船舶を指揮する者に対しまして、積荷の性質又は積荷の有無その他
船舶、積荷及び
航海に関し重要と認める事項を確かめるため
船舶に立入檢査をするということが書いてあります。若し立入檢査をしようと思
つても船長が斷
つたらどうなる。船長が拒絶した場合に、立入検査、即ち直接強制をするんですから、侵入捜索ということになりましようが、それはやるつもりであるのか、どういうのでありますか。これはそれをやらないと、これは何にもならない規定ではないかと思うのです。それをやるためには、憲法の第三十五條の規定がありまして、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三條の場合を除いては」、現行犯の場合を除いては、「正当な
理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」、令状を持
つて行かなければならない。「捜索又は押収は、
権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」、つまり司法官憲、裁判所が発する具体的な令状を持
つて行かないと、その侵入、捜索は出來ない。この点をどういうふうにお考えに
なつておるか。これは重大な点でありますから、はつきりお答え願いたいと思います。
それと、第十五條の後段で
海上保安官が当該法令の励行に関する事務に関し
行政官廰の制定する規則の適用を受けるものとする。」、これも今申した十七條に非常に
関係のある規定と思うのですが、「当該法令の励行に関する事務に関し
行政官廰の制定する規則の適用を受けるものとする。」というのは具体的にいえばどういうことになるのか。例を示してお答えを願います。先ずそれだけ伺いたい。