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政府委員(秋山龍君)
只今の小泉さんの御
質問は誠に御尤もな点でございますが、実は運賃体系を本当に陸上の事業も、海運の事業も、
機帆船も、自由に運賃が立てられるという状況でございますと、誠によろしいのでございますが、輸送の一番大きな分野を占めておりまする鉄道の貨物運賃が、御
承知の
通り物價政策その他の面から、非常な規正を受けておるわけであります。從いまして、汽船運賃につきましても、輸送の分野が非常に鉄道と競合するような
関係がございまするので、これ又成るべくは鉄道と調整の取れた運賃を採
つて行きたい、かように
考えまして、鉄道において赤字が生じておりますると同じ性質のものを、運営会に運賃の補助をしておるというように伺
つております。
木船には大体二つのグループがございまして、御
質問で御心配に預か
つておりまする石炭輸送に関する分野と、その他の雑貨を輸送いたしておりまする分野とがあるのでありますが、石炭を輸送しておりまする分野は、配船その他につきまして全く完全なる統制下にあるのでありまして、雑貨の輸送にはできるだけ從事せしめないで、石炭を送り届けましたならば直ちに積地に帰るようにと、こういうようなやり方をや
つておるわけであります。從いましてこの方面では企業的な妙味と申しますか、運営の妙を発揮する余地が極めて少いのでありまして、
從つてコストが非常に高くならざるを得ない。そういう状態にな
つておるわけであります。一方雑貨輸送をいたしておりまする方面におきましては、輸送の統制方法といたしまして到底復荷まで目が届きません。片道輸送を以ちまして油の配給をいたして、輸送の統制をいたしておりまするが、復荷は極力これを取るように努めておるのであります。從いましてこの面は半分以上、七五%
程度まで自由運行に近い運営の工夫ができる、こういうような状況にな
つております。この分野におきましては運賃の高騰もそれ程ひどくはないようでありまして、戰時標準型によりまする船におきましては相当高いようであります。
從つて先ず運賃はこれを標準にいたしておりまするけれども、実際はいろいろと軽減の工夫によりまして安い運賃を以て運ぶと、こういうふうな努力をいたしておるようであります。例えば中間の石炭の運送をいたしておりまする船、これはまあ石炭の輸送のために專属せしめ、且つ片道航海というものを励行いたしておりまするものはコストが非常に高くつくのであります。從いましてこの運賃は若しこれが自由企業でありますれば、陸と汽船等の
関係で到底立ち行かないような実は運賃率を許可いたしております。併しこの荷主は全部いわゆる配炭公團一本でありまして、そのために配炭公團といたしましては、汽船を以て配炭できない、輸送ができない港に対してはどうしても
機帆船を使わなければなりませんし、又炭質その他から來まするロットの
関係で汽船を使うことを不便とするものが非常に沢山あります。この分はどうしても
機帆船によらなければならないという
事情にな
つておりますために、この自然経済から
考えますと多少不自然と
考えられるような高い運賃で
機帆船を使うということを、実は
政府部内として決定をいたしております。その
関係で直接の
機帆船に対して運賃の補給をいたしませんけれども、配炭公團に対する補給、補償、
從つてそれを通じて石炭の輸送に從事いたしておりまする
機帆船に対する補償ということにな
つて参
つておるのでありまして、何と言いますか、不当に高い運賃を許可して自由競爭に委せるという政策はと
つておりませんので、実質的にはこういう政策をと
つている。こういう状況にな
つているのでございます。御了承願いたいと思います。