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政府委員(
加賀山之雄君) 私が先程昨
年度あたりまでは質を言
つておられなか
つたと申しましたのは、質を構わず、こちらは構わずにおいたというのではありませんので、勿論昨
年度におきましても先程
丹羽さんに御答え申上げましたように、非常に完全とは申せませんまでも、拔き
檢査的に
関門を作りまして
檢査をいたしておりました
特定カロリーが、昨年の実績が出ておるわけであります。從いまして
カロリーについて決して軽視をして來たという事実はちつとも
考えておらないのでありますが、ただ昨
年度は例えば昨年の十一月に入りまして、こちらとして六十五万トンの月の
割当が要るのに、必要ということに対しまして、五十三万トン
程度の
割当より受けられない。こういうことになりますと、我々は勿論質を言わなければならないのでございますが、汽車を止めないためにとにかく
石炭と名のつくものをかき集めるということが必要なわけでございまして、昨
年度は何とかいたしまして
列車の
削減を局部的に止めることができたわけでありますが、一昨年は御
承知のように大幅な
急行列車の
削減までしなければならなか
つたという
状態でございます。全般的に申しますと我々は單に
トン数でなくて、トン・
カロリーのまだ
配当を決めて貰う方がよかろうというふうに
考えておるわけでございますが、現在のところといたしましては、いわゆる三千六百万トン
体制で
安定本部等におきましては
カロリーを上げるということに非常に重点を置いて來ておるようでありますが、そうなりますと、勢い
トン数が減らざるを得ない。今回の三千六百万トンも
関係方面の御
意向もあ
つて、今の日本が
贅沢を言うのは間違いである。とにかく悪いものも何とかして使うということが肝要であるということのために、三千六百万トンという
数字が義務付けられたというふうに聞いております。
國鉄といたしましても
カロリーは勿論やなかしくい
つておるのでございまして、本
年度の三千六百万トンに対しまするところの
配当といたしましては、
年度計画といたしまして七百六十万トン
計画があるわけでございますが、その中第一四半期の分は、すでに
カロリー別の
配当計画を立てておる次第でございます。その中で我々は
カロリー上昇を常に主張いたしておりますが、例えばコークスでございますとか、或いは
製鉄用その他ガス、
電氣発電用等に可
なり高カロリーのものを必要といたしますので、この
大量消費者である
國鉄が高
カロリーのものばかりを集めることは、
現状といたしましてできかねるという
実情でございます。
第二の問題といたしまして、船腹を極力活用して、
陸上から又
貯炭場へ持
つて來て、
貯炭換えをするようなものは初めから船によるべきである、これは誠に御趣旨御尤もすでございまして、我々といたしましても、
九州炭に関しましては、絶えず
機会を見て海送炭の増加に努めております。かくすることが
輸送の
合理化で、
石炭の
取扱として合理的になるばかりでなく、
九州から出て参りますところの
一般貨物の運送につきましても、
石炭が海へ移ることによりまして、他の物資が
関門隧道を越して運び得るということになるのでございまして、逐次減少して参
つております。一時は四百輛近い
石炭車を直通さしておりましたが、現在はほぼ二百輛
程度のものであります。このものは尚船の力さえあればできるだけ船に移して参りたいというふうに
考えております。ただ昨冬、一昨冬の体驗を
考えますと、実は一旦船に移したのをもう一度陸に上げなければならない必要が出て参
つたわけであります。
石炭の
配当自体が少いのも非常に
運轉用炭が窮地に陷
つた一つの主たる原因でございますが、それに附加えまして、船が実は
九州においても円滑に動かなか
つたという実例がございまして、そのために新潟、東京
方面まで
関門隧道を越して
貨車輸送をしたという実績があるわけであります。
鉄道が一ケ月もの貯炭を持てる時代ならばあわてないのでございますが、何しろ十日とかそのくらいの貯炭より有しておりませんと、これは全部の機関区に
割当てれば可なり多いところもあり、少いところも出て來る。極端には一日分以下のところがあるわけであります。そういうところはどうしてもコンスタントに
石炭が廻りませんと当にならないもので、待
つておるわけに行かない、自衞上自分のところの
輸送機関を以て運ぶというようなことをやらなければならなか
つたのでありまして、我々といたしましては、根本的方策としては、この所要炭のごときものは極力船に持
つて行く、これは根本
原則としてや
つておる次第であります。