○
川島委員 閣議に列席せられて決定した大臣の答としては、やむを得ないと思うのですが、大臣も御
承知の通り、この三千七百円ベースというものをきめます場合には、大体消費物資大むね八十%が値上りをするということと、将来やみ物資購入の場合においての価格というものが三・六%上
つていく、こういう見透しで基準を立てられて三千七百円というものが生れた。私はこの場合一般商品全体の総合的なパーセンテージを掛けられて算定の
基礎とするということは、実質的において、労働者の生活賃金を定めるのに妥当でないという見解をも
つておる。たとえば大臣も御
承知の通り、すでに四、五日目に
物価改訂がなされまして、安本の発表するところによ
つただけでも、電灯料は三倍に上り、木炭は二・八倍、ガスは一・四八倍、薪は二・三倍、塩は二・三四倍、こうい
つた生活自身に直接必要欠くべからざるサービス並びに物資の価格が八〇%どころでなしに、少くとも二倍以上、中には三倍も上にまわ
つてきたという、この現実の問題を考えてみましたときに、はたして三千七百円ベースの
基礎算定に合理的なものがあ
つたかどうか、私は疑
つておるのであります。
それからもう一つは、やみ物資の上昇率を三・六%に見たということにおいても、私は非常な疑念をも
つておるのであります。殊に眼前の事実といたしまして、これは日銀の調査でありますが、五月から六月にかけてのやみ物資は、すでに四・二%の上昇率を示しておる。私は何も日銀の調査
事項をも
つて、絶対確実なものであると信頼しておるものではないのでありますが、
比較的に信頼すべき日銀の調査においても、やみ物資はそのくらい上
つておる。
基礎算定をする場合において、消費物資の全体を総合して八〇%ということに、非常に合理的でないものがある。その上に、三・六%という上昇率に、きわめて現実とは離れたものを、現に労働者は体験しておる。その上に、三千七百九十一円と言いましたが、その賃金でありましても、安本あるいは給与局あたりの言明によりましても、一〇%の
赤字があると言うことを言明されておる。こういう各般の
根拠を土台にして私は考えて見ました場合に、現実に、もはや三千七百円ベースでは、労働者、勤労者の最低生活の保障がなし得ない問題にな
つてきておる。いわんや
政府の実質賃金の充実と称する重点配給というものが、
政府の所期する成績は今日現実にあが
つておらない。将来もまた、なかなか
政府の所期するような、実質賃金の充実に要する各般の重点的な配給が、思うようにいかないであろうと、今日予想されておる。こういうようなことを考えてみますると、国鉄が五千二百円を要求するということには、意見がありましても、少くとも三千七百九十一円のベースでは、国鉄
従業員の最低生活の保障が、もはや成り立
つておらぬで、その三千七百円ベースは、実施前にすでに崩れかか
つておるという感じを、私どもは、も
つておる。これはまた労働者諸君が、日常実態的に体験をしておる生活、血のにじむような生活の中から割り出した計算からいたしましても、そういう事情にな
つておるということは、私は事実だと思うのであります。そこでこの三千七百円ベースというものは、遅かれ早かれ
改訂を余儀なくされるであろうということは、私どもも想像しております。大臣もおそらくそういうことは、口には言明ができませんでも、底意の中には、そういう一抹の懸念をも
つておるのではないかと思うのであります。このことについて、私は、従来
政府が賃金ベースを定める場合に、単に
大蔵省の中にある給与局、あるいは安本だけがこの問題を取扱
つていうということにも誤りがあると思う。殊に官公庁においては、
運輸省が一番大量の
従業員を擁しておる。少くとも私は、
運輸省、
逓信省という、現実の面において
相当数量の労働者を使用いたしておりまする
所管大臣が、この現実の問題に四つに取組んで、自分の配下にあるところの労働者諸君の生活を、いかにしたならばその最低の保障ができるかということについて、もちろん御
研究はされておりましようが、さらに一段の綿密な
研究調査、実態的な調査もされまして、閣議においてこの賃金問題を真剣に取上げられて、奮闘せられんことを私は希望するものであります。この問題について議論をしておりましては、はてしがございませんから、それ以上は申し上げませんが、やがて遅かれ早かれ
——私は重ねて申し上げますが、この賃金問題が政治的な大きな問題として、財政的にも大きな問題として、議会に上程される機会があるのではないかという予測をも
つておるのであります。わが党といたしましても、この三千七百九十一円のベースというものは、満幅の賛意は表しておりません。過日も声明を出しましたことく、この賃金ベースは不合理なものであるとは
承知いたしながら、時間的な問題、あるいは日本の置かれた今日の客観的な現実の問題、あるいは日本の財政等の問題をにらみ合わせて、この賃金ベースに触れていくことは、
予算を根本的に組みかえなければならぬというおそれをいだく、そのことからいたしまして、
予算が不成立になるようなことでありましたならば、その事態に及ぼすところ、国民経済の混乱を招くであろうという、この恐るべき懸念が私どもはありますので、一応三千七百九十一円というベースを、
予算単価として暫定的に
承知しておる。その上に立
つて、今日の
予算案の
修正を行わんという建前で臨んでおるような事情であります。それで、われわれの意見が、単なる勤労者だけに味方をするという考えをも
つて論ぜられておるのではないかという考え方をもたれることは、きわめて迷惑な話でありまして、私といえども、単に勤労者のみがよければ、日本の再建ができる。
復興ができるとは考えておりません。もとより財政のこと、あるいは日本の客観的
情勢、あるいは日本の現実の経済事情、こういうことを総合勘案することに、常に努めておるようなわけでありますが、それでもなおかつこの三千七百九十一円というものが非常に不合理な、現実の面において実行がきわめて不可能な実情にあるということを、強くわれわれは感じておるのであります。来るべき時には、やがて私は問題になると思うのでありますが、殊に六十万の大衆労働者をも
つておられまするところの運輸大臣におかれましては、閣議の中においても、この賃金ベースの問題については、従来よりも一層真剣な御態度をもたれまして、四つに取組んで、自己の配下にありますところの、黙々として国鉄の再建に携わ
つております労働者諸君の最低生活の保障の上に、一段の御
努力を煩したい、こういうことを、私は念願いたしまして、御希望を申し上げておく次第であります。
それから続いてお伺いいたしておきたいのは、昨今国鉄のみならず、全輸送機関の現象でありますが、
人間の車内にはいります重量と、その旅客が持込むところの重量とを
比較いたしまして、私どもは素人でありますから想像だけでありますが、おそらく旅客の総体の重量と、その一車内にはいる旅客に携えられて、一緒に持込まれるところの荷物の重量、これは大体において、少くとも旅客全体の重量の半分以上に達しておるのではないか。こういうふうに私は日常車内において体験をいたしておる。その数量の
比較が合
つておるかいないかは別として、とにもかくにも、一般の旅客が非常に不便を感じ、きゆうくつを感ずる以上の感じ方で、混雑をいたしておることは事実であります。この旅客の持込むところの荷物に対して、適当な規格
——あるいは免税といいますか、そうい
つた免除的な規格も必要でありましようが
——一定の規格と一定の重量以上のもので、最高限はもとより設けなければなりませんが、そういう荷物に対して
料金を徴収するという考え方、こういうことについて、国鉄の
事務当局の方方は、今までにお考えに
なつたことがあるかどうか。考えたことがあるといたしますれば、どういうふうにしてこれを処理しようという方針をも
つておるか。私はこれによ
つて、
金額においても、
相当収入の増大を一面にははかることができるであろうと思う。旅客自身の運賃が、かりに二・五倍に落つきますれば、一般旅客は三・五倍より喜ぶことは事実であります。しかしながら、そのほかに、かりに荷物について
料金をとられるといたしましても、これは私は国民は納得ができると思う。自分が持
つてはい
つてはならない重量、あるいはかさのものを持
つて、国鉄のサービスの恵与にあずかる以上は、その荷物に対して若干の
料金をとられるということは、これは私は運賃問題と違
つた妥当性と納得性をも
つた事柄ではないかと思う。そういうことについて、私は至急に調査
研究されて、立案されるならば、
相当運輸省における
財源の一つにでもなるのではないか、そういうふうに考えるのでありますが、当局、殊にこれは
事務当局の方でよろしいのでありますが、そういうことを考えておりますかどうか、それについての所見を伺
つておきたいと思うのであります。