○植原
委員 私の言い方が惡かつた。一昨年の十一、十二月の状態と一、二、三月の状態です。そう伺う
理由はここにあるのだから、その点明瞭にした方がよろしいでしよう。つまり四、五、六月に減産するのは、機構が変る、
石炭國管になるというので、個人企業のときと
國管になるときの心理状態が、事業家も労務者も変ります。これはすベての
日本の官業を見てもおわかりの
通り、個人企業においては、
経営者も労務者も、最善を晝して命がけで働きますが、一部なり全部なり、
政府の特別な監督、あるいは庇護のもとにあるというとき、あるいは機構において激変されるというときには、必ずや企業者においても労務者においても心理的な変化がある。そういう点から
考えれば、四月後がた落ちにな
つたのは
石炭國管という機構が変る、
政府の援助が受けられる、指揮が受けられるという点によつたものではなかろうかという点を確かめたかつたがゆえに、その
お尋ねをしたのでありますが、お答えはさようにな
つておらない。これは
議論はいたしません。
そこで次に私が疑問とする点は、かような点であります。
指定炭鉱四十二と了解している。
指定炭鉱以外のものが四百数十である。その
指定炭鉱以外の四百数十のものが、
本間君の今申された
通り、四割六分か、あるいは八分の
石炭を
出炭する役目をしておる。そこで
指定炭鉱の方は、
政府の特別な監督のもとになることになりましよう。
國管という立場で申しますれば、そうなりましよう。そうなりますと、ただいま薄
鉄板にせよ、パイプにせよ、その他
レールにせよ、その供給において、坑木その他の
炭鉱で主要なものは別問題といたし、それらのものでも四箇月、五箇月の
ずれを見なければならない。その
ずれを見なければならないということは、結局どういうことかと言いますと、品が思う
通りに出まわ
つてこない、こういう状態で、ここに
指定炭鉱と
指定ならざる
炭鉱のある場合においては、おのずから
差別のあるものでなければならない。もしその差引がなければ、
指定炭鉱とし、
指定以外の
炭鉱とする必要はございますまい。しかもその
指定以外の
炭鉱が四割六、七分のものをつくらなければならないという場合において、ただいま
政府委員の
お話を伺
つておれば、すこぶる奇怪にたえないことは、價格において差等をつけて、品質の優良なものを奬励するようにするという重意向である。これはごもつともだが、本年度は三千六百万トンはどうしても出さなければならないがゆえに、カロリーの低いものに対しても特別の價格をつけて三千六百万トンだけは出す。こういうことになると、ただ三千六百万トンを出すために、
指定炭鉱以外のものには、法律で定められた、あるいは一切の規定で定められた價格、あるいはそれに補給金でなくて、その以外の特別の取計らいをするというお
考えであるとすれば了解ができない。さような無理なことをしてつじつまを合わせなければならないのはどうかと言えば、
石炭國管案に対して十分の確信がないからだ。私
どもから言えば、
石炭國管のために、かえ
つて今年は
出炭量において非常な危險な状態にさらされる。
國管は
商工大臣も御断定のように——その断定には同意しないが、断定のようによろしいし認めたところで、三千六百万トンの予定数量に達することはすこぶる疑問を抱く、こう
本間君は言われておりますが、さらに私は、今
政府委員の
お話で、カロリーの少いものに対しては特別の手当をして、三千六百万トン出るようにする。こういうお言葉に対しては、はなはだ私
どもは奇怪の
考えをもつ。なぜならば、
國管にしたために、四割六分あるいは四割八分の
出炭をしなければならない。
指定以外の
炭鉱が、かなり不利な立場に立ち、それが不利な立場に立つということを了解したので、
國管に
なつた
理由は毛頭解することができない。もし
資材が四箇月も五箇月も
ずれないようにな
つてお
つて豊富であるならば、また
指定以外の
炭鉱は、個人の努力によ
つて、この難局に打勝たなければならないという
管理炭鉱と違う個人に特別の努力がありますがゆえに、あるいは
出炭量を増すことができないとも
考えられないのでありますけれ
ども、
資材において
國管が優先権をもつ、金融に対しても優先権をもつ。優先権をもつ場合に、
指定炭鉱以外のものに対しては、特別の手当をして、
出炭量を三千六百万トンにいたさなければならないというような
政府委員の御
答弁がある場合に、この
石炭に
國管をめぐ
つて私
どもどうしても腑に落ちない。しかも
日本に基礎産業であるところの
石炭の状態が、こんな不明瞭な、こんな状態にされておることは、すこぶる憂慮にたえないと私
どもは
考える。ほかのことならよろしい。基礎産業であるこの産業は、いかなる場合においても、私
どもは健全なる発達と、予定
通りの
出炭を目指さなければならないのに、確たるところの確信もなく実施して、今日七月にな
つてようやく
準備ができるというような、しかもその間において、四月、五月、六月と減産をしておるところの事実、この事実を見まするときに、私
どもにあえて
議論をもてあそぶものでもなく、
議論のみを申すものでもありませんけれ
ども、こい機構いじり、それが企業家、労務者の心理に及ぼすところの影響を
考えますときに、はなはだしく間違つた政策をしたものであると断定するよりいたしかたがない。一切公平な立場に立
つて、これは
政府を非難攻撃するために申すのではない。
日本の
國家の現状、実に憂慮にたえないという
本間君の御質問に対して、私も違う角度からまことに憂慮にたえないということを申し上げたい。なおこれをも
つて御参考に供しておきたい。これに対してお答えがあるならば伺
つてもよろしい。