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北村國務大臣 ご
もつともな御
質問と思います。これは現在地方が非常に歳出の相当額を要する事業が多いにかかわらず、財源が乏しい。それで、中央も非常に財政的に困
つておるのでありますが、地方もこれに讓らない、相当深刻な財政的な困難をお感じにな
つておることは、これは私
どもも、つぶさに承知いたしておるのであります。それで問題は、いわゆる地方の自治というようなことと、それから財政との関係でございますが、地方の完全な独立、地方の自治ということと、財政的な独立ということとが相ま
つて、ここに地方自治のうるわしい成果をあげるということに相なると思うのであります。ところが現段階においては、そのことが随分困難である。それで私
どもの立場といたしましては、中央だけがいわゆる健全財政を保持し得たいといたしましても、地方においてはきわめて不健全な財政であるということは、これはいわゆる健全財政に相なりませんので、申すまでもなく中央、地方を通じて、健全財政の一貫性を貫かなければならぬ。かような観点から、地方もまた健全財政でうまくや
つていけるようにということで、いろいろ苦心をいたしておるつもりであります。ところが最近地方には、御承知の
通り六・三・三制の問題があり、あるいは自治警察の問題があり、あるいは消防の新しい組織があり等々で、その上に各地方に綜合大学をつくるとか、非常に新しい
経費を要する重大な問題が山積しておりまして、そのことのために、地方の財政に当る方々が、非常な苦労をしておるということも、私はよくわかるのであります。私
どもといたしましては、つまり地方の財政の困難に対して、中央がどれだけお手傳いできるか。地方財政と國の財政との調節をはかるということは、きわめて重大であ
つて、國は國としてできるだけのことを搾り出すが、地方は地方として、また独立の精神に基いて、できるだけのがまんをして、やれるようにしていただきたい。地方と中央との調整という問題が、ここに出てくるわけであります。かような観点から、これはたまたま急ぎましたために、
税法では國の税として入場税の御審議を
願つておりますが、これは補正手続をいたしまして、地方に早速讓渡する、こういうことにいたしておりまして、入場税のごときものも、とりやすく、財源として確実でありますから、これを地方に讓るというようなこともいたしたのであります。これは最近審議を願うことにな
つておりますが、さようにいたしております。それから、その他中央として背負うことのできる限度のものは、できるだけやりたいということで、いろいろくふうを凝らしておりまするし、殊にただいま御
指摘になりました金融の面等も、これは本來は御承知の
通り各縣にそれぞれ縣金庫というものがあり、各市には市金庫というものがあ
つて、それぞれ金融的
なつながりをも
つておるので、それで縣が一時借入金をしなければならぬというような場合には、他面縣金庫として縣の庇護を受けておりますから、そういうところで縣が金融を得ていく。これは金融機関を地方に分散して、地方財政と金融機関を調節してもらうということをや
つてもらいたいと思うのでありますが、最近うまくいかないようでありますから、御承知の
通り、預金部の金のごときは、ほとんど地方に還元しておる。最近預金部が少し成績がまずくて、赤字を出しておりますけれ
ども、これはほとんど全部地方に還元しておるというような
状態である。今回は金融の措置は必ず講ずるというようなことで、いろいろ苦心をしてや
つておるわけであります。御
指摘になりましたようなことは、ご
もつともでございまして、どこで調節を講ずるかということは、非常に重大な問題であります。ただいまのところでは、殊に関係方面の方から非常に
指摘をされておるのでございますが、中央
政府が地方の自治を完成しなければならぬと言いながら、今も
つて依然として中央の負担に属するものが非常に多いじやないか。それから財源というものは、地方と中央ともう少し協議をしてやらないと、重なり合うために非常な負担になる場合がある。これを調整することを一体どうするかという問題であります。歳入欠陷が起ると、これは中央が当然
処置すべきだという
考え方が相当強く、それぞれの代表から相当強い御発言等もあるのであります。ところが歳出面等については、
大藏省は何にも言うことができないというような
状態でありまして、その点に地方財政と中央財政とを調節する上にも、現在の組織の上に多少再檢討を要するものがあるのではないかというふうに
考えるのであります。私
ども何も中央で自分の方さえよければよいという
考えは毛頭も
つておりません。でありますけれ
ども、歳入の欠陷はどうしても中央でめんどうを見なければならぬようにな
つておる。歳出の方は、これはどうも何も発言の機会がない。これは中央の節約の点が足りませんから、あまりりつぱなお手本とは言えませんけれ
ども、地方は地方として、節約すべきところは節約し、改善すべきところは改善するという方向にいかなければならぬ。何しろ地方の自治体というものは、
ほんとうの
意味においての自治が新しく出発したばかりでありまして、これらの点が十分にまい
つておるかどうかということになると、なお檢討を要する点がございますので、これは地方財政
委員会の方とわれわれの方と、
もつと協調懇談を遂げて、どうすればよいかということを檢討したい、かように
考えておる次第であります。さしあたりの問題としては、御
指摘がありましたような金融
方法を講じて、これは何とかして責任を負うてやりたい。殊に新しい貯蓄目標の三千億のうち五%は優先的の地方の財政の資金に充ててもらいたいというようなことで、それぞれ金融機関に対してもお願いをしておる次第でありまして、大体御了解を得ておるわけであります。さような点を御
了承願いたいと思います。苦心をしておるのでありますけれ
ども、なかなかうまくいかない点があるのであります。その点は御
了承を願いたいと思います。