○植原
委員 私の本会における
質問に対しては、ほとんどお答えというものが
一つもないと申しても、あまり極端な言葉ではなないと思います。第一に、私は
外資導入のことについて、ことごとに現
政府は進駐軍を口実として、いろいろの理由を言うか、あるいはそうでなければ
外資導入が唯一の政策のごとくに言うておる。
外資導入と申しても、アメリカならアメリカがその世界政策から生ずるところの、向うがヨーロッパを救援するがごとく
日本を救援しよう、あるいはアメリカの対ソ政策の結果これ以上
日本の
経済状態を貧困ならしめてはいけないからそれを改めようとかいうように、三項目、四項目ありますが、アメリカの外資というがごときものは主としてアメリカの政策から生じておるものであります。こういうことによ
つて、
日本の産業の復興も容易でなし、
日本の
インフレ防止ということも、
日本のような人口の多い資源の乏しい、しかも今日のごとく非常な勢いで
インフレが高昇する場合に、これを阻止しようとするならば、思い切
つて民間外資の導入をはかるようにしなければならない。それについては、何よりも先にいたさなければならないことは、労働者の問題だと思う。実はどの
方面を見ましても、今日の労働法規をも
つてしては、拘束八時間、私ども本会においてもこの問題をお尋ねしたいと思
つて用意しておりますけれども、石炭國管によ
つて生産は減じておるではないか。石炭が増産されておるということを
政府がいかように宣傳しても、事実石炭は減産しておる。四月から國管が実行されておると言うておるにかかわらず、ただその用意がしておるというだけのことで、一歩も進んでおらない。ほとんど月に
從つて減産しておる。これもどうかと言えば、いろいろの理由がありましようが、第一に労働問題で拘束八時間、炭鉱のごときは御
承知でございましよう。ある鉱山においては、坑口にはいるときから切羽まで行くのに二時間かかる。往復四時間かか
つて切羽で働く時間は四時間しかない。こういう
状態で、
日本の産業の発達のはかりようはない。各地における労働問題の一番の根幹は何かと言えば、今の労働法規が行過ぎておる。労働者自体が民主主義を誤解しておる。労働組合というものは自活しなければならないのに、その労働組合が御
承知の
通り各官廳に労働組合の本部をも
つておる。しかもその官廳において給料を得ながら労働組合運動をしておる。こういうことは樂なことでありますけれども、これが健全なる労働者の地位を向上せしむるゆえんでもなし、またわが國の産業の発達をはかるゆえんでもない。何としても
日本に外資を導入しようとするならば、労働者が当然あるべき立場、労働者の地位が当然擁護さるべき立場、労働者の
経済的
状態が当然あるべき場所に引返すようにいたさなければならない。この問題を
解決することが、まず第一であるというお尋ねをしたのに対して何らのお答えもございません。また資本に対してもその
通り、資本家も今までのような
考え方ではいけない。労働ということが
生産のおもなることですが、同時に資本なくて労働の問題も
解決できない。どうしても資本家と労働者の両者がほんとうに完全に協調する
方法を講じなければ、外資の導入はできない。しかるにこの内閣はそれらに対して何らの処置もしておらぬじやないか。これに対してどういう
考えをも
つておるか。労働法規の改惡はしない、改惡をしてはならぬけれども、ほんとうに
日本の國情に適しない法規であるならば、これを改善する
方法も
考えなければならないが、これに対する
考えはどうかというお尋ねをしたのであるが、これに対してお答えはなかつた。次に戰前においてわが國が國際上の債権債務をも
つておる。この國際上の債務に対しても、何らかの処理
方法を講じなければ、外國人が來て
日本に投資するというようなことも
考えられないことだ。これらに対して負けた國であるから、どの
程度までアメリカ人が主張するかわからないけれども、彼らの財産に対する相当の見透しもつかなければいかぬ。御
承知の
通りアメリカで太平洋の沿岸から戰爭中
日本人を内地へ輸送した。その
日本人十二、三万に対して損害賠償するために一千億の支出をしようとするくらいに、個人の権利に対して尊重するアメリカ人を考慮する場合に、これらの問題を考慮しなければいけない。これまで
政府は何をしておりますかという
質問に対しても、何らのお答えがなかつた。また軍公問題についてもそうです。これは私が申さぬでも総理よく御
承知のことです。英米の法規はコントラクトというものを非常に重きをおく。
事業上の契約を一方的の意思で左右できるような
状態に置いて、外資の導入ということは思いもよらざることだ。なるほど負けた戰爭の軍事公債
——火事に遭つた人もその保険金をとれないような
状態だがら、それを一時支拂を停止しても、あるいは中止してもいいではないかということも、一應
考えられますけれども、軍公にせよ
政府とその軍事公債を持
つている人から言えば、当然の権利だ、両者の間の契約である。その契約を
政府が一方的に左右する。しかもそれがはつきりするならばいいけれども、民主党に聽けば、ただ一年停止するだけだ、その停止した先の金利はまた拂う。これでは何も
國民の
負担の軽減にはならない。利息のまた利息をおいて將來の
國民に
負担をかけるだけのことで、これでは何も
國民の
負担を軽減するゆえんでも何でもない。たかが知れた十五億の金、四千億の
予算に対して、十五億の金利の問題、それを延ばすとか延ばさないとかいうことの政策すらはつきりしないところの
政府。社会党の方の主張から言えばこれもだめだ。さような
状態に軍公の問題をおくような
政府の不透明な、不徹底な政策をも
つて、外資の導入などということは、ほとんど木によ
つて魚を求めるようなことだ。これでよろしいのか。また現在の
日本の
法律の上から
考えましたならば、少くも外國人が
日本へ來て投資するというならば、その投資する者の資本が、安全であり、ある
程度の利潤が得られると思わなければ投資する
方法がない。それでは現在の法人法に対してかなり徹底的な改正をするとか、外資に対しては特別な取扱いをするとかいうことの
方法を講じなければならないのであります。過去四箇月の間、総理大臣は全國に向
つて、
外資導入を芦田内閣の唯一のよりどころであるかのごとく宣傳しておるが、何もしておらないじやないか。これで
外資導入などということを言つた
つて、ほんとうにただ
一つの宣傳に使
つておるとしか思われない。これはどうしたものか。もつと徹底的に外資を導入できるように、外國人が安心して
日本に原料、資材、あるいは資金を投ずることができるような法制上の改革もいたさなければならないではないか。これに対しても何もしておらないじやないか。こういう
状態で外資の導入などということは、われわれから
考えれば思いもよらざることだ。しかもわれわれが言いのは、アメリカの
政府の政策からよ
つてくるところの外資にあらずして、アメリカの民間の資本、資材を導入しようとすることについては、安心のいくような
方法を講じなければならないじやないか。これに対して私は本
会議において
質問いたしたけれども、芦田総理は何らのお答えもない。どうかこれに対して明確なるお答えを願いたい。