○野溝國務大臣 目下問題にな
つておる御
質疑でございまして、この機会を通して
委員の方々の御了解を得たいと思うのでございます。実は財政
委員会といたしましても、また
政府といたしましても、なるべく税金は少くしたいというのが念願でございますが、現下の
日本の
経済事情から見まして、また現下の
日本の財政、税制制度のもとにおきましては、なかなか財源を得るに容易でない点があるのでございます。そこで地方財政におきましても、國と同樣に財源の問題については非常に心配したのでございます。特にこの事業税につきましては、大体営業税を範囲を拡張いたしまして、——前に営業税は大体百分の十五をと
つておつたのでございますが、今度は前の営業税の範囲をさらに拡張いたしまして、自由職業と言いましようか、医者、弁護士、その他原始
産業、水産あるいは畜産、あるいは養蚕、農業というようなものをくるめまして事業税という税目をつくつたのでございます。そこで特に私
どもの
考えたのは、この事業税中の農業事業税について、主食を確かに省きました。主食の点について何ゆえに省いたかと申しますと、御
承知のごとく、今日われわれ
國民生活の食の量的解決は、私は主食であると思うのでございます。ただ主食と申しますと二千四百カロリーがどうだこうだとか、あるいは八十グラムの蛋白がどうだこうだとかいうことにな
つてきますと、これはまた水産も主食ということにな
つてくるのでありますが、量的解決ということになりますと、私は何と言
つても米麦等を中心とした主食が、
國民生命の量的解決をするのではないか、かように
考えております。なお外資導入にいたしましても、今後
日本の
経済再建をするにいたしましても、何と言
つても、基本となるべきものは
食糧ではないかと思います。外資導入の中の大部分は
食糧ということにな
つております。その
食糧が國内におきましては未だ二百万トンの解決すらもできないという
状態でございます。かくては外資導入のおもなる面が、結局主食の
方面に使用されるということになりますならば、口の先で何ほど
日本再建、
日本経済の復興を説きましても、私は容易におぼつかない、かように
考えておるのであります。なお掘り下げて申しますならば、
食糧が昨年でも
相当困難でありましたのが、今度は三千五十五万石のほかに一割増産ということを強いられておるのでございまして、それに裏づけとなるべきところの肥料、その他
資材等に対しても円滑でありませんし、また農産
物價格におきましても、農民を納得せしめるようなことにな
つておらない
状態のもとにおいて、特に前年におきましては、所得税の問題で
相当悩まされておるのでございます。かてて加えて肥料
資金にも事を欠きまして、五月から六月にかけての中央農林金庫の引出しが二百十四億のうち、百十数億が引き出されてしまいまして、ほとんど中央農林金庫には金すらないという
状態であります。かてて加えて何と言いましても、農民の
生活力というものは、やはり農産物の收穫金をも
つてこれに充てておるのでございます。大体二毛作地帶は別といたしまして、小坂議員も御
承知のごとく、信州初め北陸、東北等々を通したいわゆる米産地帶におきましては、大体一毛作なのでございまして、年收と言いましても、一回の彈力性しかない、かような
状態にあるのでございます。なおそれに本年の十月三十日までには、百八十万町歩のうちの二、三十万町歩の未定にな
つております農地改革、
日本農村民主化の基盤的案件すらも解決できないという
状態にありますので、かくては
日本農村の民主化、
日本の
將來につきまして私は重大ではないか、特にわれわれといたしましては、この二十三年度の米穀年度までには、少くとも二合五勺から八合八勺くらいまでにはしたい。それには何と言いましても、一割増産と供出をしてもろうという以外に
方法はありません。かような大事なときにあたりまして、この主食に対しまた事業税をかけるということは、いかに言
つても私は割り切れない。かようなわけで主食に対しての廃止を主張し、閣議において決定したのでございます。この際特に御了承願
つておきたいと思うのでございます。
なおそれに関連いたしまして、養蚕の問題が重大ではないか、お説ごもつともでございます。養蚕は
日本の貿易
産業の重要な地位を占むるものでございまして、この点私もいたく感じてはおるのでございますが、これをやめるということになりますと、水産その他畜産あるいは果樹園というようなところまでいろいろ
影響してきますし、かくては農業事業税全部をやめたらいいのではないかということにもな
つてきまして、その間の調整がなかなか容易でないので、今回はまず主食に限
つて当分の間ということにしてありますので、さよう御了承願いたいと思います。
なお事業税中、医者にとつたのは一体どういうわけかという御
質疑でございますが、この点は
種々問題がありまして、大体医者といたしましては從來所得税を納めておりまして、営業税は納めておりませんでしたが、今回は営業税を拡大したというわけで、範囲を拡めたというわけで、医者も自由職業といたしまして、この事業税の中に入れることにしようというわけで、財政
委員会といたしましては一應決定をしたのでございます。それが閣議に持ち出して
種々檢討した結果、医師が事業であるということはどうも
ちよつとあたらない、弁護士も同樣であるというようなことで
種々意見が出、檢討の結果、医者に対しましては特別業務税ということにいたしまして、これについては第一種は医者、歯科医師、助産婦、産婆、第二種が弁護士、あるいは計理士というようなものがはいつたわけでありまして、さような点は今回は明確に
なつた次第でございますから、さよう御了承を願いたいと思います。