○
鈴木(正)
委員 最近における
物價の横ばいの状態とアメリカの外資の援助のやや好轉しかか
つてきたという見透しは、この二つは
政府が中間安定の問題を考え出したのにあたりまして、相当考えの基礎にな
つておると思いますが、外資の問題は別に後で申し上げますが、最近における
物價の横ばい状態が、これは実は一つの特殊な形で出てきた現象であ
つて維いわば昨二十二年度のあの
予算と追加
予算とのうちから当然惹起されるべきインフレーシヨンが、二つの段階で非常に変つた形で現われてきたというのは、上半期において
租税、その他の收納が著しく不良であ
つて、
政府の支拂超過が御承知の
ように非常に多かつた。そこで実勢以上に上半期にインフレーシヨンの現象が起きてきた。下半期にな
つて猛烈な税金の取立て
——これは
言葉が少しはげしいかもれませんけれ
ども、
政府の側からする民間に対する税金攻勢と
言つてもいいくらいの猛烈な税金の取立が下半期に集中され、もう一つ金融攻勢と
言つていいくらいの金融の締め方がときを同じくして行われた。そのために上半期と下半期とに平均して現われるべきインフレーシヨンが、昨年度は上半期に実勢以上に現われ、下半期に実勢以下に潜在してしまつた。しかも実勢は一向改ま
つていない。全体の状況を見ますならば、依然として昨年度、一昨年度
程度のインフレーシヨンの状態は進行せざるを得ない状態にあることは事実だと思うのであります。決して今
大藏大臣の言われました
ような最近の日本の実勢から見まして正常の
意味において、
物價の横ばいが起きてきたのではないと思うのであります。これは議論になりますから、後で
見解を表明していただけば結構でありますが、この点さらに私の見方はそうであるということを申し上げまして、問題をもう少し前の方に進めてまいりたいと思います。
結局は今も
大藏大臣の御答弁にありました
ように、三千七百円の賃金ベースを維持できないかという問題が中心にな
つてくると思います。結論を申し上げますと、私はできないと思います。できないというのは、この現状を見てできないという
意味ではありません。この二十三年度
予算を実行すればできないというのであります。どこにできない根拠、諸條件があるかということは、ただいま申し上げましたことも一つでありますが、なお数箇の例を引いて質してみたいと思います。一般
会計の
歳入を見ましても、
歳入の中で織物消費税、物品税、
取引高税、通行税、酒税、清凉飲料税、專賣益金、印紙の收入、これらはたれが考えても、直接的に大衆の生計費を引上げざるを得ない費目に属するものだと思うのであります。この中で
取引高税については、また別に同僚が申されると思いますが、これらのものを総合いたしますと、一般
会計の
歳出全体に対して占めるパーセンテージは、五割をちよつと上まわるという状態であります。二十二年度において、これらの項目の占めた総額はどれだけであるかと申しますと二十二年度においては、もちろん
取引高税ははい
つておりませんが、その総額は八百六十五億円であつた。この八百六十五億円が二十二年度の一般
会計の総支出に対するパーセンテージは四割三厘であつた。大づかみに言いまして、大衆の生計費を直接的に引上げるところの性格をも
つておるこれらの品目による收入が、全
歳入の五割を上まわ
つてお
つて、昨年度に比べて金額において千百五十億円を増加し、パーンセテージにおいて一割を上げておるというこの
予算全体を見て、この
予算を遂行してい
つてなお三千七百円ベースの賃金が維持でき得るかどうか大衆の生活が維持できるかどうかという問題であります。私はこの
予算を遂行していけばできないと思います。最初に申しました
ように、この
予算は
予算自身の中に自己崩壊を加速度的にひき起していくところの重大なる要素をも
つておるということを申しましたのは、この点にあるのでありまして、こういう
ような数字、先ほど申し上げました
ような数字、それからなお
鉄道の
運賃は、
政府の原案によれば貨物、旅客双方を通じて三倍半に引上げるという
ような
情勢のもとにおきまして、三千七百円ベースが維持できるかどうかという問題は、多くを議論せずして明らかであると思うのであります。三千七百円ベースが維持できないという
意見は、今できないという
意見ではないのでありまして、さつきも申しました
ように、この二十三年度
予算を遂行していけばできない、こういう前提條件を附しての結論なのであります。この点につきまして
大藏大臣の御答弁をお願いするとともに、労働
大臣に、労働
大臣はこういつた
予算、こまかいことはともかくといたしまして、ただいま私が読み上げましたこういつた性格をも
つておる
予算を、このままや
つてい
つて、三千七百円ベースの中に、日本の勤労大衆を七、八、九、十、十一、十二、一、二、三と八、九箇月の間くぎづけにしていき得るという見透しと勇氣をも
つておられるかどうかを、明確にお伺いしたいのであります。私
どもの方の結論から申します。私
どもは
物價、賃金ベースは、むげに抑えることはできないけれ
ども、できるだけ日本経済の全体から考えて、大幅な引上げはせずに済ましていきたいという氣持は、重々も
つておるのでありますが、この二十三年度
予算をそのまま遂行するのだとすれば、私自身もまた三千七百円ベースではだめだ、五千円前後にも
つていかなければおそらく大衆の生活は成り立たないと思うのでありますが、私
どもの分析と定義に対しまして、
大藏大臣並びに労働
大臣の
見解をお伺いしたいと思います。