○
田中(源)
委員 關連してちよつと……。先ほどの
押川君の
質疑に對すも
大臣の御
答辯で、まず企業と
行政とを
分離するということについては、經理面の
分離をまず行い、經理面のみは一
般會計からこれを補う、こういうような話でありましたが、これは當然のことです。過去においても鐵道は特別會計から一
般會計へ繰入れた例はたくさんあります。輸送業というか交通業が、學理的に
考えてもこれは公共事業である、いわゆるパブリツクであるということは、何人も認めるところで、これは
國家企業であろうと私企業であろうと、當然のことであります。しかし企業というものは、獨立採算をと
つていかなければならない。過去のわが
日本の國の經濟状態がこのような状態にあるときに、
鐵道企業も今日のわが國に許された經濟觀點に立
つて、企業を獨立し
合理化していくことは、當然のことと言わなければならぬ。
從つて行政面を一
般會計に繰入れることは、何ら私は不合理でないと思います。しかし一體これをどういうふうにして
合理化していくのか、何年計畫で
合理化するのか。つまり今日の
日本の老衰した鐵道と物資不足のときにあた
つては、
大臣のお説のごとく、何人も企業の
能率の上昇しないことは認めるのであります。これが上昇しないことは、わが
日本經濟全體から見てその
通りである。
日本の經濟の企業が、戰前の三〇%であることは、當然のことであります。
從つて經理面で一
般會計と企業というこの二つを
分離しなければ、
日本の鐵道は幾年經
つても合理慎しないのであります。それをただ經理面だけや
つてこれを補
つていくということは、官僚がそれによ
つて温存をはかろうという魂膽があることを見破らなければならぬ。これは
大臣が職を賭してもや
つてもらわなければならぬ。わが民主黨は
行政と企業とを
はつきり
分離するということは、大會において決議しておる黨是であります。この黨是は各黨とも異議を唱えないところであります。今承
つておりますと、ただ經理面の
分離ということでは、
獨立採算制ということは夢にも見られません。われわれは
運賃を値上げすることも認めます。三・五が四・五になろうが、五・五になろうが、嚴格に
檢討して合理的に認めなければならぬときは認めます。まずも
つてそれまでに
行政と企業とをくつきりと
分離してしま
つて、そこにおいて、これだけの輸送
能率に對しては今日どれだけの投資が要る。この投資を入れた場合においてどうする。企業の内容においてどれだれの人間を
整理する。それでどうしても赤字が出るというときに、それを
國民が負擔するということでなければならぬ。そこにも
つていくように事務的に企業廳がや
つて、そこに
國民が納得のいくような數字を現わしてこなければならぬ。先年の片山内閣當時における問題もそこにあ
つた。
政府が倒壞した問題もそこにあ
つた。これを
考えて、私は
運輸省にお
つたときに、極力この面を主張してお
つた。おそらくその當時の職員諸君は皆知
つておるはずだ。しかるに今日ものらりくらりとや
つておる。そういう状態でや
つてお
つては、いつもまで經
つても企業の
能率化ということばでき得ないと私は思う。先ほどから
お答えを聽いておりますと、
一つもその根本に觸れておらぬ。根本に觸れておらないで、やりますやりますと
言つたつて、できるはでがない。これは
大臣一人が迷惑をこうむりなさるだけであります。私はあなたに御同情申し上げます。この點においては、むしろ一歩進んで、この面について敢然と起
つてあなたがおやりにならなければできません。あなたの今お示しに
なつた
通り、貨物
運賃は二十一倍であり、貨車は減
つております。線路は傷んでおります。その傷んでおるところをどうすれば直るか、それでなんぼの赤字が出るものということになれば、それはあなた方と手を携えて、協力してこれを
合理化するようにも
つていきたい。その案を立てて、一方にこれが四倍になろうが、五倍になろうが、値上げして構わぬ。こういう面に私は進んでほしいと思う。今日の
現業廳は、いたずらに勞働
基準法にとらわれて、
能率の
合理化を實際にはか
つておらぬと思う。私どもは今の
答辯を聽いて納得いたしません。心持だけでも、あなたが敢然とおやりくださるならば、心から私ども今日の國鐵再建に協力いたします。どうかひ
とつ政府はおざなりの
答辯でなくて、殊にあなた方のように苦勞なさ
つておる苦勞人の方には、よくおわかりのことと存ずるのであります。まずも
つて現業と
行政とを
分離する。そして企業がどういうふうに缺損をしていく。この缺損に對してはどうする。赤字がいくらここに出て、そして
運賃をなんぼ上げるか。しかし
運賃引上げということが
國家産業に影響ありということになれば、
國家はこれだけを負擔しなければならなぬ。まだまだ國鐵の企業において
整理いたすところは多々あります。私は機能が圓滑に動いておらぬと思う。國鐵の機能が人的構成の上においても、機械的な施設の上においても、圓滿に動いておらぬと私は思う。
押川君のお尋ねにな
つておるところはそこなんです。今のような御
答辯でありますならば、
説明を聽かぬでも、國鐵の白書を讀んでわか
つておる。それを勇敢に一歩
行政面の
改革を進めていただいて、そうして企業の獨立化をはかるという面に、あなたが百尺竿頭一歩を進めていく決心をも
つて、これを處斷くださるところの御意氣ごみがあるかどうか、また御
構想があるかどうかということを、
押川君がお尋ねいたしておるのでございます。今の御
答辯ならば承る必要はさらになし。われわれはさようなことで
政府に迎合して
運賃を値上げするということは、相當考慮をいたさなければならぬということにな
つてくるのであります。おそらくこの
委員會の諸君は、私の説には御共鳴になると重う。私は與黨の立場にあるが、決して與黨だからとい
つて、
政府に盲從はいたしません。
政府の直すべきところは直す、質すべきところは質さなければ、
日本の再建は成り立ちません。どうかこの面においてあなたの今後の
構想、現在の
行政と企業を
分離する。そうしてどういうふうにこれをやるということを、
はつきり今御
答辯願わなくてもよろしい。來
年度豫算というものがここ數日のうちに御提案になるに違いない。いずれ
運賃値上の法案も國會に提出なさることたろうと思います。鐵道五箇年計量というものがもうおできにな
つておるはずである。できておらぬなら、どの
程度の
構想であるか。きようかきのうの
新聞に出ておる。そういうふうで、
構想があるなら
構想を出して、この
構想で進む。そうしてこの案は實ほこれだ。三・五ではいかぬから四・五に上げてくれとおつしやるなら私は認める。この
構想を至急にお出し願いたい。どうか今私があげた面については、あなたのここに深い御決心を承
つて、その上いおいてわれわれは今後の鐵道
豫算について審議を進めたいと
考えるのであります。