○庄司(一)
委員 健全財政の
建前をとられておる現内閣は、担税者である
國民より税を賦課徴收される上において、これはあくまでも公正妥当でなければならないと
考えております。またこの点は御同感であると思いますが、過般も本
会議におきまして問題とな
つておりますが、現下中小商工業者、あるいは農村農家の諸君に対する追加
所得税の賦課割は、まことに天降り的あるいは一方申な独善的な賦課をされておる。ひとり共産党的分子の煽動であるとか、あるいは日農
関係の煽動であるとかいうようなことも、本
会議いおいてどなたかの御演説の中にあつたようであるが、それもございましようけれ
ども、根本的には、あまりにむちやな、不当な、いわゆる苛斂誅求的な
やり方が、下部の各税務署の職員において行なれておる。私はその実例の
一つか二つを
大藏大臣に御参考までに申し上げてみたい。それはかりに一箇年に百の
收入のあるある会社、ある工場等に対して百三の追加
所得税を賦課した。会社の名前も、工場の名前もみな
承知しておりますが、ただいま略しまして、これは都内のできごとであります。百の
收入しかないのに百三賦課したあり得ざるところの事実が、この都内において行われておる。また農村において米を十石
程度供出しておる中農階級においては八千五百五十五円、これが追加の
所得税であります。追加で約九千円をとられ、縣民税は戰前より四十倍も殖えており、町村民税が約三百倍にもな
つておる。あるいは水利組合費、あるいは
國民健康保險組合の負担等を総合する場合において、中農階級の負担は、合計約二万円であるようであります。米が一石五百五十円より一躍千八百円に高く相なりましても、その幅は全部税に充当されてなおかつ足りません。かような事実が到るところの農村に展開されておる。苛斂誅求は虎よりも猛しというような
言葉を支那の学者は言つたが、まつたく農民は増産の意欲を失
つておるただいまの状態であります。かような不当な賦課徴税は一体どこにその
原因があるかということを尋ねると、税務所の若い連中が、中学校を出て一年か二年講習を受けたばかりのいわゆる三級官が、ある種のイデオロギーにとらわれて、ただとりさえすればよい、成績をあげればよいのだ、自然増收という名前のもとに、割当以上に税をとれば成績があがる。あるいは
関係筋の方面から優勝旗がもらえるのだ。かような
考えをも
つて、この不当きわまる苛斂誅求を、ほとんど毎日随所にさようなむちやなことが行われておるのであります。
國民の担税力にもおのづから
限度があり、飽和点がある。それにもかかわらず、かようなむりな徴税をや
つてお
つて、さらに
昭和二十三年度において、ただいま御
説明の
税制改正の特別
委員会でございますか、——その結果どういうふうに改正されるか、改惡されるかわかりませんけれ
ども担税額をさらに増すというようなことがあつた場合においては、中小工業等は、將棋倒しにべた倒れし、農村農民は、せつかく自作農に
なつたのに、この上にまた新しい負債をしなければならぬ。かような状態に陷るおそれが十分看取されるのであります。そこでさような不当な、不法な、一方的な、天降り的な、独善的なことのないように、最善の対策を私は
大藏大臣に要望してやまないのであります。先ほど同僚の
西村君からも民主的な
意味におけるもとの
所得税調査
委員制度のようなものを実行してほしいという
意味の
質問もあられたようでありますが、また全國各町村には、納税協力会という名前のもとに、もとの
所得税調査委院会に代るような仕事をや
つておる團体も、ぼつぼつ出てはまいりましたけれ
ども、何としても
政府におかれては、不当な不法な、担税者の納得のいかない、苛斂誅求の税額を賦課して、そうして納税に対するところの——新憲法にうたわれておるわれわれ
國民の最高の義務である納税思想が阻害されるようなことがあ
つてはならない。あくまでも理解のもとに、納税を一定の期間に完納なし能うところの心構えを與えるために、最善の御対策が必要であると
考えておるのでございまするが、何らかそれらに対して、
大藏大臣は御対策をお
考えでございましようか。願わくば適正なる施策があ
つてほしいということを念願して、あなたの御答弁をお願いしたいこ思うのであります。