○河合
委員 実は過日三日ほど私が選挙区に帰りましたところが、毎日々々農村の諸君がや
つてまいりまして、いろいろの実情を聞いたのであります。その中でこういうことを聞いたのであります。このたびの課税はあるAの税務署においては二億五千万円を徴税せよ、Bの税務署は二億円を徴收せよというような金額が天降り式に地方財務当局から通達されまして、それに基いてこれを割当てて、農家に課税をしたのであるというようなことを聞いたのであります。私はこの事実につきまして、ある税務署の署長についてこれを質しましたところが、その
通りであるということを申しました。しかし與えられたるだけの金額を課税はしていないが、これだけの金額を徴收せよというようなことを聞いたのであります。これが私は大きな間違いでないかと思うのであります。いろいろ事情を聽いてみますと、七十歳を過ぎたところの年取つた農民が、老妻と二人でようやくにして二反歩の耕作をして
生活をしております。その農家に対しまして、このたびの更正決定額だけで二万二千円課税をされておるのであります。この二人の農民は、非常に心配をいたしまして、その事情を私に訴えたのであります。そういう実例がたくさんあります。また
一つの例は、二反歩の畑を耕作しておる農民に対しまして、所得額の決定が五万五千円であ
つて、このたびの更正決定の金額だけでも五万八千円でありまして、その税額の方が所得の金額に超過しておるのであります。こういう実例を申し上げますと枚挙にいとまありませんので、一々これを申し上げることはいたしませんが、ところが反面におきましては、相当村内でも裕福なる農家であ
つて、多くの收入をあげておると認められるところの農家に対して、わずか三千円の更正決定がまい
つておるのであります。まことに
でこぼこがはなはだしいのであります。そこにおきまして、私
どもはあるいは農業会の方から、あるいは農民組合の方から代表いたしまして、税務署に交渉いたしますと、團体交渉は受付けないと言
つてはねつけてしまうのであります。ところが一方におきましては、これは兵庫縣のある蔬菜栽培を盛んにや
つておる村でありますが、所得の金額を申告いたしますときに、よく村中で相談いたしまして、どこそこはどれぐらいの收入がある、乙の家はこれぐらいの收入があるということをよく調査いたしまして、そうしてその事実をもちまして、税務署と前も
つて交渉いたしました結果、このたびの更正決定には一厘の課税もないのであります。税務署は交渉に参りますと、すぐ團体交渉は受付けないと申しますけれ
ども、私はこれは團体交渉の最もよき実例であると思うのであります。
もう
一つ私ははなはだ遺憾に思いますことは、このたびの更正決定の通知は、ある税務署においては通知書の日附は二月十五日であります。ところがその書類が農家に到着いたしましたのは三月八日であります。そうしてその通知を受けた後一箇月以内に、再審査の申告をせよということにな
つておりますが、すでに二十三日経過いたしまして、期限の三月十五日までは、
あと七、八日よりないのであります。それを税務署に申してまいりますと、かれこれ申しまして受付けない。元來農家のごときは、どれだけの経費がかか
つて一反歩の耕作をして、どれだけの收入があるということを、よく調査しておかなければならぬはずであるけれ
ども、そういうことをする農家は少いのであります。そういう人が税務署に行きますと、私
どもが参りますと団体交渉は受付けないと申しますし、また老人や女でありましたならば、わけのわからぬ税務署の役人がいじめ拔きますので、涙を流して訴えておる
状態を、私は目のあたり見てきたのであります。これは税務署側におきましても、多くの失態があるのでありますから、納税の期日を延期する。あるいはもう一遍その課税の標準の算出をやりかえる。そのためには、ひ
とつ村と団体交渉をいたしまして、公平なる課税をするというようなことを、この際や
つてもらつたらどうかと思うのであります。ただいま
大藏当局から、何とかよき
方法を
考えたいという御
答弁でありましたが、私は今事実を申し上げまして御参考にいたしたいと思うのであります。何とか納税の期日を一箇月あるいは二箇月延期する。あるいはその課税の標準の算出をやりかえる。あるいは村から代表者を選びまして、村で一應取調べましたものを税務署に持出して団体交渉を認めるとか、こういう
方法によ
つて、もう一度やりかえてもらいたいと思うのでありますが、私の今申しましたような事柄につきましては、どうお
考えになりますか、一應お
考えを聽きたいと思います。