○中原
委員 通信料金のことについてのお答えを伺いましたが、
鉄道の方はまだ伺
つておりません。なるほどそういうふうな数字的な見方もできると思いますが、しかし
政府は國の
経済再建ということを目指して進んでおいでになる。そうして國家の
経済力の回復をはかろうとしておいでになるのでありますが、その一番基本的な問題はまず
インフレーシヨンを阻止するという努力にあると思うのであります。
インフレーシヨンを阻止するために懸命の努力をいたすということが、まず最初に必要であ
つて、
物價の高騰、
インフレーシヨン高進にみすから乘りかか
つていくという態度は、決して
政府の取るべき事柄ではないと私は理解するのであります。從いまして現在当面抱えておりまする主題は、何といたしましても
インフレーシヨンを阻止するということのために最善を盡さなければならぬのであります。そうであれば、その
インフレーシヨン阻止のために最善を盡すためのもろもろの努力が、
政府をあげて集中されていかなければならぬと思いますし、それだけの努力が拂われてこそ、初めて今日の
経済危機の突破ないしは
経済の再建への構想が、適切なものであるということに相なたてまいると私は考えるのであります。しかし今この
追加予算を通しまして、それ以上話を進めることはいささか御迷惑と考えまするから差控えますが、
從つてそういう観点から考えますれば、
通信料金値上げのことが妥当なりということを公然御発言になるということも、その熱意のほどを私は疑うものであります。いわんや
鉄道の旅客の運賃の問題に関しましては、その比率の点では必ずしもそうじやなくて、相当思い切つた
値上げにな
つておると考えるのでありますが、この両者の
値上げということに関連いたしまして、どうしても
一般の刺戟というものは非常に強烈なものがあるわけであります。
政府でお考えになられますような、そういうやうなまやさしいものではないのであ
つて、運賃が上ればただちに
物價に響いてくるということは爭うことのできない現実であります。それに対する心づかいというものは、相当敏感に用いられなければならぬと思うのでありますが、遺憾ながら
政府のお取扱いのなされ方は、むしろかえ
つてインフレーシヨン阻止の言葉において、
インフレーシヨンを助長するという、いわゆる從來までの金融資本本位の政策が、依然としてここに取上げられておるとしか考えられないのであります。もてる階級にと
つてはあるいは好都合のことかもしれませんが、
一般の働く階級にとりましては、これほど迷惑千万なことはないのであります。もとより今日の
政府に私がこれ以上のことを申し上げましても
意味をなさぬと思いますが、しかしながらこの点は一應明らかにいたしておきたいと考えるのであります。さらの先の二回にわたる二箇月分の補給金の場合にも申し上げたことでありますが、官公廳の
職員諸君が補給金を必要といたしましたのは、生活の
赤字を埋めなければならぬ
事情からでありまして、決してゆとりのある生活、贅沢な生活をするために、この補給金が要求されたのではなかつたのであります。從いましてこの補給金をまるまる受取りましても、なおかつ余る生活がなし得るのではなくて、最低限度の生活の、ぎりぎりのところへもようやくという限度にすぎないのであります。むしろこれをも
つてもなおかつ足らないのであります。しかるに先日國鉄の労組の代表者諸君の陳情によりますと、補給金にさらに加えて二月分の先渡をいただかなければ、われわれは今日の生活の危機が乘越えられないということを陳情しておいでになりましたが、もつとものことであると私どもは考えるのであります。われわれ自身の生活を顧みて思いましても、これはあまりにも当然のことでありまして、決して甘えて見過ぎておるのではないのであります。しかるにそのような
意味において補給されるはずの補給金に対して、依然として
所得税が徴收されていく。
政府がお出しになられました
財源の明細書の中にも、何の臆面もなく
所得税のはねかえりとここに書いてある。五億四千三百万円という数字が、今回の〇・八箇月分に対してさえ出てまいるのであります。もちろんこれは正直にこれをうたつたのだから結構でありますが、その
所得税のはねかえりをみずからとがめることなく発表されるようなそういう常識が、私は納得できないのであります。この補給金の性質が、ようやく
赤字のある部分を補填するにしか過ぎないという限度のものであるということを考えるならば、
政府はさらのもう
一つ心をそこに用いられて、こういう特別な給與に対しては、
所得税に対する徴收に心を傾けられて、この徴收が無理であるということをお氣づきにならないのであるか、私はこの点についての
大藏大臣の御心境が伺いたいと思うのであります。