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坂東幸太郎君 (続) 第十一号の「その他の土地改良事業」とは、同号に例示したもののほか、たとえば用排水の土管を布設し、そだによる工事を指すもの、第十九号の「
公共團体」とは、
公共的活動をする團体の意味であ
つて、單に公法人にのみ限定せず、私経済の活動をする團体でも、その活動が
公共の利益に影響のある場合には
調整する
という意味であるとのことであります。
第四は、第二百十三條中「特に重要な
財産常造物」と「其の他
財産営造物」との
関係いかんとの
質疑に対し、
政府の答弁は、
從來條例で定める
財産または
営造物の取得、
設置、
処分は、
地方公共團体の専断に任せてきたが、今回の
改正により、それは
地方公共團体の
議会の過半数の
議決を経ることを要することとした、しかして、少しく重要性をも
つているものは、第二百十三條の
規定により、
出席議員の三分の二以上の者の同意を要することとし、さらに、特に重要なものに、同條の
規定によ
つて、当該
地方公共團体の
選挙人の投票において、その過半数を得べきものとしたとのことであります。
第五は、附則第二條において、戰争中
合併した
市町村の
分離独立に際し、
規定した投票の結果を府縣
議会が拒否した場合はいかんとの
質疑に対し、
政府の答弁は、府縣
議会は直接の当事者ではないから、冷静判断をも
つて有効投票の数、賛否の数等を検討し、諸般の情勢を勘考して、一段高い所に立ち、公正に判定するものであるから、府縣
議会の
議決をも
つて終局的のものとするとのことでありました。
以上が、大体
本案に対する
質疑應答の概況であります
かくして、六号五日
質疑を終了いたし、六月十一日討論に入り、社会党門司亮費から修正案が
提出いたされました。以下簡単に、修正案についてその
概要を御説明申し上げたいど存じます。
まづ第一に、地方税、
分担金、
使用料及び手数料の賦課
徴收に関する
條例は、
住民の
制定または改廃に関する直接
請求の対象外とすることであります。そもそも
憲法第十六條の
規定によれば、何人も
法律、命令または規則の
制定、廃止または、
改正等に関し、平穏に請願する
権利を有しておりますが、一方また
憲法第十二條の
規定によれば、この
憲法が
國民に保障する自由及び
権利は、
國民がこれを
濫用してはならないのでありまして、常に
公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うものであります。またさらに
憲法第三十條には、
國民の納税
義務が明定してあるのであります。飜
つてわが國の情勢を考えますと、わが國の財政はきわめて逼迫した状態におかれ、外國の援助を仰がなければや
つていけない
という悲しむべきものがあるのであり、
國民が自分のカで起ち上
つて再建へ努力をするためには、まず納税の
義務を果さなければなりません。特に地方税、
分担金、
使用料等については、すでにせつかく與えられた
請求権ではありますが、この際に、ただいま申し上げた國内情勢と、先刻揚げました
憲法の諸條項とを考え合せまして、一應これを除かなければならないのであります。一方請願の
権利は、
憲法に嚴固として存在しておるのでありますから、この際一應これらの
請求権を除外いたしたのであります。
第二は、都道府縣公安
委員を
市町村公安
委員と同様に取扱うもの
といたしたのであります。これは、
從來都道府縣公安
委員は、國の
機関として警察法で扱
つておりましたが、元來これは都道府縣
という自治体の
機関でもあるから、
地方自治法で扱うこととし、罷免の
規定を警察法から
地方自治法へ移したのであります。
第三は、
地方公共團体の
議会の議員と、地方心共團体の長その他の有給の
職員との兼職を禁止すること、但し、現在の兼職者についてはその例外を認めるものとすることであります。これば、現在府縣
会議員の半分ないし二、三十パーセントは
市町村長がや
つており、
執行機関と
議決機関とを混同しておるきらいがあるのみならず、これらの
職務はいずれも多忙な劇職であるから、相兼ねることは不適当であると認めたゆえであります。
第四は、常任
委員の任期については
條例で特別の定めをすることができるものとすることにいたしたのであります。これは現在、常任
委員の任期は議員の任期によることにな
つておりますので、四年間在職し得るのであります。しかし、これは長過ぎるので、一年とか二年とかにする方が適当であります。そこで、四年より短かくしようと思えばなし得るよう、
條例で特別の定めをなし得ること
といたしたのであります。
第五は、特別
委員会についても閉会中活動し得る途を開くようにいたしたのであります。現在の
制度によれば、特別
委員会は会期中のみ活動し得るようにな
つており、閉会中は活動し得ないので不便が多いから、閉会中にも活動し得る途を開こうとするものであります。
第六は、市の
監査員は、これを
條例をも
つて四人とすることができること
といたしたのであります。これは
從來、市の
監査員は町村と同様二人とな
つておりますが、かくては、五大都市のように大きな市では、
事務が繁劇を加え、とうてい
実情に即しないものがありますので、これを四人まで増員することを
條例で定め得ること
といたしたのであります。
第七は、普通
地方公共團体の長の
職務を行う者がないときは臨時代理者を選任することができること
といたしたのであります。これは、将來地方、共團体の長やその直近の補佐者等が連袂して総辞職を行うことが考えられるのに、これに対処する
規定がないため、この
規定を設けたものであります。第八は、普通
地方公共團体は、全國的公益法人に委託することにより、他の普通
地方公共團体と共同して、火災その他の
災害による助産または
営造物の損害に対して
相互救済事業を行うことができるもの
といたしたのであります。全國町村会の姉妹團体たる全國自治協会は、財團法人で町村の火災
相互扶助の仕事をや
つている。これは民主的で、
地方自治の上から適当の仕事であるから、これを
法律に明文化したのであります。
以上が修正案の
概要でありますが、続いて討論が行われ、千賀康治君より本
委員会にて論議せられた
法律用語、自治体の経営する事業の
範囲その他につき、
政府においては十分注意を加え、その
趣旨に副うようせられたし
という意味の熱烈なる希望意見の開陳があ
つて、賛成の意を表しましたので、
委員長は、本
法律案は修正
議決に
異議なきやと諮りたるに、満場
異議なく修正
議決いたしたのであります。詳細は
委員会議録にごらん願います。
右、御報告申し上げます。