○岩本信行君 選挙法改正につきまして、民主自民党を代表して申し上げるのでありますが、ただいま
お話しのありましたように、超党派的によりよき選挙法をつくり上げたいということで特別委員会を開かれており間するから、私はもちろんわが党の方向は
お話において、私の
考えておりまする
意見を素直に申し上げまして、御批判を受けたいと
考えるものであります。
しかして私は、選挙法それ自体の改正の
意見を申し上げる前に、まず一つこのことを
考えてみたいと思います。それは、新憲法発布を契機といたしまして、現在のわが日本はいわゆる
昭和維新に直面してるという、この事実を
考えてみたいのであります。すなわち、新憲法が施行されてから第一回の國会を、明治二十三年以來続けておりました九十二議会の続きとして九十三國会と言うか、あるいはまた第一回國会と言うかについては、わが國も識者間においても相当論議せられたのでありますけれども、先ほど申したような
考え方から、いわゆる現在の日本は
昭和維新に直面している、こういう建前から、第一回國会と言うことになり上
つた。
この事実を
考えてみますると、すなわち國そのものは続いておりまするけれども、すべての
制度をこれから建て直す、いわゆる再出発をする、こういう建前になるのでありまするから、この諸
制度の建て直しに携わるところの國会議員というものが、これは実にいわゆる公務員という中においての一番重要なる公務員であるという建前であると
考えなけれがなりませんので、私は第一回國会において、
國家公務員法が制定されたそのときに、まずも
つて代議士を最高とするところの、その他すべての地方の首長及び議員というようなものを包合したるところの、廣い意味の公務員法をつくるべきであると
考えたのでありますが、遺憾ながら
國家公務員として、通称官吏だけが扱われた、これは満足な姿ではないと思うのであります。
そういう意味の國会議員でありますから、これを選挙すると言うことは、これは
國民の義務である、選挙は
國民の義務であると
考えたいのであります。從いまして、棄権をした、投票に行かなか
つたという人に対しては、何らかの制裁を付してよろしい、こういうふうに
考えていきたいのであります。すなわち制裁を付す方法といたしましては、私案ではありますけれどもが、すなわち次の一期間選挙権被選挙権を停止するような
考え方もどうかと思います。あるいはまた、これは極端になるかもしれませんけれども、いわゆる義務を放棄したということを罰するという意味ではございませんけれども、いわゆる公営費の一部を放棄者に納付せしめるというような行き方も
考えてはどうか、こういうふうに
考えるのであります。
ただいままで申し上げましたようなことは、選挙改正それ自体ではございませんけれども、これから申し上げまするところの選挙改正法に対する
考え方の基礎
條件として、かようなことを冒頭に認識しておきたいと、かように存ずるのであります。
そこで、まず私が取上げたいことは、選挙区と投票方法の問題であります。これは昨年の九十二議会におきまして、私も委員の一人として、各方面からずいぶん聽かされたのでありますが、私は、それらの各方面の
意見を総合いたしまして、まず現行法でありますところの中選挙区、單記、この
制度をあくまで支持したいとと
考えるのであります。もちろん、大選挙区にするか、中選挙区にするか、あるいは小選挙区にするかという、この行きかたに対しては、一利一害はありまするが、しかしわが國の現状といたしましては、たとえば交通が不便である、自動車が
不足である、紙が足りない、こうした事実から鑑みまして、中選挙区を適当とする、こういう結論を申さざるを得ないのであります。もちろん、小選挙区にはそれ自体の特徴はございますが、これまたあまりに人物を選る上において範囲が狭すぎるというきらいがあるのでありまして、私は選挙区制の問題については、日本の
状態から
考えて、中選挙区というものが最も適しておるという
考えであります。
しかして、單記、連記の問題であります。これが昨年の議会でもずいぶん論議されたのでありますが、しかし、実際にや
つてみて、初めて試みました連記制というものは、完全に失敗したと私は思
つています。どういうふうに失敗したかは、各位もご体験済みのことであると存じんます。まず三人連記という場合において、自分が目指す理想の候補というものは、大体において初筆に書く、このようであります。二番目になればどうなるか、もちろん理想の候補を選るのではありますけども、だんだんその意味が軽くな
つてきて、どうも女にお付き合いで一票入れようという事実があ
つたのであります。その次はまた学校の先生に、子供が世話にな
つている
関係で一票付きつきあおうという、こういう現れが
現実にあ
つたのでありまして、すなわち初筆の候補は、これは目指すところの理想の候補を上げておりますけども、二番目、三番目はついでに書くという、こうした現れが
現実にあ
つたのである。私どもの地方においては完全にあ
つたのでありまして、こういう行き方では、この大切な公務員を選ぶ上において、まことに遺憾なことであると
考えるのでありまして、要するに單記一本やり、國政を委任しようという白紙委任状を出すものは、この人のほかないという
見地に立
つて書かすために、私はあくまでも單記制を主張したいと
考えるのであります。
次に私は賣名的立候補者を抑制する必要があらう、この問題を取上げてみたいと
考えるのであります。從來の体験におきまして、四百六十六人の定員に対して三千何百人の立候補者が立
つたということは、國政に熱心なるあまりの立候補でありまするから喜ぶべきことではありますけれども、中にはいわゆる賣名の人も相当あ
つたとみられる事実があるのでありますから、私は、この大切な選挙を有意義からしむるために、賣名の候補を抑制する手段を
考えてみたいと思うのであります。
その具体的方法といたしまして、まず第一に取上げたいことは今日兼職禁止とな
つておる職種に現在あられる方が衆議院議員に立候補する場合においては、これは辞職してから出なければ立候補できない、かようにしたい
考えであります。すなわち、すべて投げ捨てて代表してみるという熱意があるならば、当選したら辞職する、こう簡單な
考えは許さない、完全に辞職をして、命を張
つて立候補するという行き方をとりたいと
考えるのであります。いわゆる兼職禁止にな
つておりまする兼職そのものの数も多いのでありますけれども、それはすべてこの範疇に入れて扱
つてみたいと
考えるのであります。
次は、法廷得票数に達せざるものはいわゆる供託金を没収される今日までの
制度でありますが、これをさらに高めまして、たとえば現在供託金が五千円でありますがこれをい
ずれの方法でか高める意味において扱
つてみたい。これは別の意味において抑制でありますこれは從來行われておることでありますが、この点も、高める意味において取上げてみたいと思うのであります。
さらにまた、これから申し上げる、他のお方も必ず言われますところの公営の拡充、すなわち選挙を國営にするという行き方が論ぜられると思うのでありますが、私も
あとでその点申し上げるのでありますが、そういう意味合いにおいて、いわゆる公営費の一部を立候補者自身が負担する、いわゆる公営費の納付金の
制度をと
つていくということは
考える必要があると思います。ただ、その額を二万円にするか、三万円にするかというようなことは、これは追
つて委員会においてご相談があると存じますが、私はいわゆる賣名候補抑制の意味においてもこうしたいことを取上げていきたい、かように存ずるのであります。
次は選挙運動の問題でありますが、これは今日の委員会における
重点でございます。選挙公営を拡充するということはこれは何人もの異議のないというところであります。ただ私は、冒頭に申しあげましたように重大な意義を
考えるときに、公営一本やりという原則をつくり上げたいと
考えるのであります。もちろん、そこには幾多の困難もございましようが、まず原則的には公営一本、こうゆうことで進みたいと
考えます。
しからば、その手段はどうかということになれば、これは他のほうから論ぜられますから、きわめて省略しますが、たとえば講演会を立会演説、いわゆる公営の演説一本にするという
考え方も一つの論議であります。またそうやりたいのであります。これに対しては反対もあります。演説会を唯一の武器にするのであるから、立会演説の回数を制限されては困るという議論もあります。一應納得ができますれども、私は、それをカバーする意味において次の條項を行うならば問題は解消すると存じまして、二、三の点を取上げてみたいと存じます。
すなわち、演説会は立会演説一本でありますから、回数は万点ではございません。そこで、その万点でないのを調整するために、まず第一回に取上げるのはラジオ放送のことでありますが、このラジオ放送は、從來のような行きかたでなく、すなわち、選挙が
國家の重大なる仕事である
考えなすとき、少なくとも選挙期間中におきましては、重要なるニユースを除いた以外は全部を停止いたしまして、候補者の
意見を録音によ
つて数回選挙中に放送するということを取上げたいのであります。しかもその取上げ方は、同一選挙区候補の分を一括して一定時間に行うという行き方でまいりたいのであります。すなわち、今日は神奈川縣の分だというだけでなく、その縣の何区のものが何時より何時までに至る、こういうふうに一定いたしまして、取りまぜでなく、選挙区のものだけを一括いたしまして、一定時間内にこれを放送するということになればその選挙区のものは、せめてその時間だけは仕事をやめて聽いてみるということになろうかと思うのでありまして、こういう行き方をとりたいと思います。特にラジオ放送については、個人の分をさように回数録音によ
つて行うと同時に、政党の政網政策についても、これまた数回にわた
つて——これはもちろん全國放送でございますが、そういう行き方をとたらどうかと思うのであります。
次には公報であります。戦時中のように——紙
不足の
関係もございましたが、一隣組へ一部というような行き方でなく、一家庭に対しまして、政党の分も各候補者の分も一部ずつは必ず届けるという行き方をとりたいし、さらにこれを配布するところの費用を節約するために、郵便によ
つてあて名を書いて届けるという方法を省略いたしまして、一括して市町村役場に届けて、市町村役場から、あて名はないけれども、それを戸ごとに配布させるよう行き方をとりたいと
考えるのであります。
次は新聞廣告の問題でありますが、これまた候補者及び政党の分を必ず選挙管理委員会においてもれなく取上げるという行き方であります。
次は、はがきの問題でありますが、これは暫定
処置であります二万枚を、少なくとも三倍の六万枚くらいに扱わせれば、そして先ほど申し上げましたように、ラジオとか、はがきとか、公報とか、こういうものが具備いたしまする場合においては、演説会のほうが相当きゆうくつであ
つて、すべて全部をかみ合わせて
考えますときには、相当な選挙運動になりえると
考える。しかも、こうすることによ
つて選挙費用の節約というものが実現するのである。委員会においても、この問題については、いろいろ議論がおありで、参考になる点が多いのでありますが、私は、ただいま申し上げましたようないろいろの調整によ
つて、あるていど完全なる選挙運動が行えるものであると
考えているのであります。
その他の問題として取上げたいことは、たとえば資格審査の事でありますが、もちろん、今日のわれわれが公職に適するかどうか審査を受けることは当然でありますけれども、一度すでに審査をうけてパスをしている者は——今まで二度も三度も審査を受けている方が大部分ありますが、一度審査を受け、既往においてパスいたしております者は、それ以後の異動の事項だけを届けて審査を受ける、今まで届けてパスしている問題は、今後省略してよろしい、こうゆう行き方で取上げてもらいたいと
考えているのであります。
次は、いつも問題になりますが、名簿脱落者で、これをどう修正するかであります。選挙権が
かくのごとく大切になりました今日におきましては、私は、違
つておちていたという事実が発覚、証明されるならば、選挙の直前において、すなわち選挙の前の日まで、ある種の証明を届ければ名簿を補正できる、こういう行き方をぜひとも取上げたいと
考えているのである。
それから身体障害者すなわち病気のために投票ができないものに代理投票を認めたいと
考えるのであるが、しかし、これを無
條件に認めることになれば、病人のいそうな家を見つけて歩いて代理を志願するというものが出てきては困るから、この場合には同一家族内にある者を代理に出す以外は代理を認めないという行き方がどうであろうか、かように
考えるのであります。しかして、一番問題の公営を徹底するということは、選挙費用をなるべく軽めたいというところが本質でありまして、実際の選挙の費用の悩みは、運動員に対する飲食物というものが本質的には一番重要であろうと
考えられますので、運動員といえども、飲食物を現物では何人にも共輿しないという建前を取りたいのです。たとえば、正式の運動員に対して弁当をくれないということは問題でありますが、それは手当てによ
つて、本人の自発的方法によ
つて食事をしてもう。要するに、何人にも飲食物を共輿しないようという建前をと
つていきたいと私は
考えるのであります。
二、三の点について申し上げましたが、私は冒頭に申し上げたように、選挙法ということは政党政派の問題ではありませんので、これから皆さんの開陳せられる
意見を総合いたしまして、協調できる面は協調してよりよき選挙法を樹立いたしましていわゆる
昭和維新の諸立法をこれから創造するという任務を果たすべき候補者のあり方についての完璧を諸君とともに期したいということを申し上げまして私の
意見を終ります(
拍手)
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