○国務大臣(北村徳太郎君) 去る三月三十日の本田英作君の御演説は、私は外出いたしておりまして拝聴することができませんでしたが、要旨を承りましたので、これより概要御答弁申し上げたいと思います。第一点は、通貨発行高に関する將來の見透しはどうであるかという点であつたと思うのであります。第二は、外資導入についてどういう具体的な対策をも
つておるかという点、第三は、タバコに関することであつたと思うのでございます。以下、お答え申し上げたいと思います。
政府は、昨
年度中の通貨増発の推移に鑑みまして、この際さらに健全
財政、健全金融の基本方針を堅持するとともに、貯蓄増強に努力することによりまして、極力通貨の増発を抑制する港えでございます。極端な膨脹は起らないものと考えております。今、
昭和二十三
年度の年間の通貨発行高につきまして正確な見透しを立てることは、今後の物価改訂等の
関係もございまして、きわめて困難な
状況でございますが、第一、四半期、すなわち四月ないし六月について、國家
資金の需給
関係から推定いたしますと、期末において三百六十億円の
資金不足と相なります。これはどうしても結局通貨増発という形において賄わなければならぬと思うのでございます。從
つて期末におきましては、日銀券の発行高は二千六百五十億円ということになるのでございますけれども、しかし
政府は、極力これを圧縮することに努力いたしまして、結局二千六百億円程度に止めることにいたしたい、かように存じている次第でございます。
第二点は、外資導入についてどういう具体的方策をも
つているかという点であつたと思うのでありますが、一口に外資導入と申しましても、これは受入者が
政府である場合と、また供與者及び受入者がともに民間のものである場合とがございます。さしあたりまして、まずこの基本となるべきものは、
政府対
政府の
関係と思うのでございますが、最近外国報道の傳えるところによりますと、米国
予算による疾病及び社会不安防止のための占領地救済費並びに
経済復興援助費、輸出入回轉基金、綿花クレジット等
相当多額のものが今後期待されております。從
つて、前途に多少明るい
希望をもつことができると思われるのでありますが、民間から民間への外資導入は、ただいま申し上げました
政府対
政府の
関係のものを補完するものとして、これまた多数のものが
実現されることが
希望されるのでございますが、これについては、わが國としましては急速にその受入態勢を整える必要がございます、すなわち、根本的には
財政収支の均衡をはかりまして、インフレーションの高進を防止すること、また現在の労働不安を解決せねばならない点もその重要なる一項目であると思うのでございます。そのほかに為替についてある管理を行わなければならぬ。その管理の方針を確立するというようなことも外資導入の一つの重要なる案件であると考えております。あるいは
法人税の検討、あるいは企業再建整備の早期完了、あるいはすでにこれは御
審議を願
つたのでありますが、
資金調達法の廃止、また
会社経理の明確化等、われわれの方で
措置すべき事項はすこぶる多いのでありまして、
政府はこれらにつきましては、すでに一部は
実施し、今後もこれらについて十全の
措置を講じたいと存じております。なおまた大切なることは、借り入れたものについて的確な効率を上げ、それが弁済に対してきわめて誠実な処理をするということが最大の要件であることは申すまでもないのでありまして、これらの諸点について注意をいたしたいと存じます。
なおまた、タバコに砂糖を入れることについて、どの程度の砂糖が必要であるかというような点について御質問がございましたが、これは現在、本田君の御質問では、たとえば厚生上必要であるところの嬰児の砂糖さえも十分でないのに、タバコに砂糖を入れるのはどういうわけだというような御質問もあ
つたのでございますが、これは考えようによりまして、
財政專売としてタバコを処理しております
関係上、大切なる米の生産をある点において葉タバコのために犠牲にしておるというような現状でございまして、
財政專売としての
収入確保の面もございまして、やむを得ない点のあることを御了承願いたいと思うのでございます。
なお、二十三
年度の巻タバコの生産予定量はどれだけであるとかいうことでございましたが、これは二百十一億本でございます。
なおその際、やみに流れるタバコの量はというお尋ねでございましたが、これは実は的確に捕捉することは困難でございますが、おそらく葉タバコの約一割がやみに流れておるものと推定されるのでございます。以上、御答弁申し上げます。
次に、
徳田球一君の御質問に御答弁申し上げたいのでございます。
第一の点は、
課税の目標についてであつたと思うのでございます。この点は、
課税の目標というものについて、これは中央から各
税務署に指令を出して、それだけを全部とろうという態度をと
つておるのではないかというようなお冒葉であつたと思うのでありますが、目標額は、税法を適正に運用するというような考え方から適正に運用することになれば、大体この
税務署の努力目標はこの点になるというような努力目標は示しておりますけれども、それだけでありまして、いわゆる割当というものは行
つていない。それから個個の
納税者については、あくまで税法の
規定に從
つてそれぞれ適正な納税をしていただくように、その点についてわれわれの方からいろいろご指導申し上げるということはや
つておりますが、それ以上、決して割当をするというようなことはや
つておりません。
それから第二に、大口利得者についてどうしておるかというような御意見であつたと思いますが、大口利得者については十分調査をいたしまして、これを捕捉いたしました以上は、徹底的に
課税を行うということにおいて決して
從來と変
つておりません。
税率引上あるいは所得の増加等で租税が重課されておる、あるいは
他方インフレーシヨンの高進によ
つて一般の職員生活が苦しくな
つておるというような点は、御説の
通りであります。それがためにいろいろ不祥事が起るおそれがあるというような御説でありましたが、これは二つの点、すなわち一方においては官紀を振粛する、一方においては待遇を改善することによ
つて、かかることが起らないように十分注意いたしたいと存じております。なお御指摘の事例については、現在まで何ら
報告がございません。おそらくこれは、何か事実が間違
つておるのではないかと考えております。
次に小額所得者の重課についてお話があつたようでございます。これは税法の
施行にあたりましては、法の命ずるところに従いまして公平適正に努めておりますが、インフレの現状等に鑑みまして、御指摘の
通り勤労者に対して軍課される傾きがあることは、これは免れないのでありまして、勤労者は百パーセントかけられ、その他のものは存外免れる途があるということがございますので、この点につきましては、捕捉に十分注意をいたしまして、いやしくも不公正にならないように、均衡を保つために十分の努力をいたしております。
所得税の
改正等については、目下その
改正のために研究を進めております。おそらく、近く御
審議を願うことになると思うのであります。
次に、地方税の問題が出たようであります。地方税のうち、殊に住民税につきましては、従来ともその負担の権衡についてとかくの批評もございましたが、地方団体の
財政が
相当窮迫しておるという現状に鑑みまして、住民が住民税として
相当程度負担をしていただくことは、これはやむを得ない。今後一層その公平適正なる運用を期する必要があると思うのでございます。なおタバコ、酒等の売上げに対して、地方税として消費税を創設することについて御
質疑がございましたけれども、これは地方
財政委員会において目下それらの点を研究中でございまして、これを
施行するかどうかは未だ決定いたしておりませんのでございます。
それから脱税の問題が出まして、脱税が五千億あるというような御意見であつたようであります。脱税者や滞納者に対しましては、これが調査、摘発及び徴収の確保に全力を傾倒いたしておるのでありまして、これはすでに
相当の成果を収めている
状況であります。今後も一層これが取締りについては努力いたしたいと存じております。なお、脱税の摘発は税務官廳の
権限として行うべきものでございまして、全財労組等が組合として行うということは適当ではないと考えております。
以上、簡単でございますが、御答弁を申し上げます。