○野坂參三君 私は、
総理大臣の施政
演説に対して、
総理大臣並びに他の
関係閣僚諸君に、三点について、共産党を
代表して
質問したいと思います。
片山総理大臣は、施政
演説の中で、その冒頭で、こう申されております。
経済危機について、
危機は未だ完全に去
つたとは言えませんが、復興の緒につき始めた。すなわち、
インフレは完全に去
つたとは言えない。すなわち大体において去
つてしま
つておる。そこで、これからは復興せねばならない。これが
片山総理大臣の、今日の
日本の
経済状態についての根本観念である。これから出発して、すべての政策は出ておると思われます。はたしてそうであるかどうか。
われわれの見るところでは、
インフレは
進行中であり、また深刻化しておる。たとえば、
日本銀行の紙幣発行数だけを見ても、去年の六月には千三百六十三億円で、年末には二千二百億円、
政府の予想によ
つても、今年度末、三月末には二千七百億円の紙幣が出ると、
政府自体が
言つておる。これ自体が、すなわち
インフレが深刻化しておる。この事実を
片山総理大臣は否定されるかどうか。
また
物價体系にしましても、去年
物價体系をつくられたそのときにも、すでに破綻しておる。今
安本長官が言われましたように、すでにもう改訂しなければならない。こういうふうな状態にある。毎日々々、われわれの
生活自身から見ても、もう
物價体系は破綻してきておることは、よくわか
つておる。
また
生産の問題にしましても、工業
生産、これを見れば、御存じのように、昨年の七月を頂点とし、ずつと下
つてきておる。ただ石炭だけが年末に
増産されておりますが、これも御存じのように、炭鉱労働者
諸君が、実際数日前に來て話したところによれば、この
増産に労働強化によ
つてだけやられておる。時間外の労働、残業、休日返上、それと濫掘
——めちやくちやな濫掘においてやられておる。この一事だけ見ても、私たちは、今
政府ではいかにも樂観的に、今年度は三千数百万トン出すとか、こういうことを
言つておりますが、遠からず、石炭の
増産というものも、ある破綻がきはしないか。また今國鉄の問題にしましても、この國鉄が、もうめちやくちやにな
つておるということは、これはだれでも皆知
つておることです。こうした状態を見た場合において、
生産方面においては、破綻が存在するだけではなく、ますます深刻化する、こういうことを、われわれは事実によ
つて見なければならないが、こういう事実を、片山
総理は一体どういうふうに見られるのか。
さて、
食糧の問題にしましても、
政府側では、今年度は一割
増産ということを、
総理大臣の
施政方針において申されておりますが、これも、はたしてできるであろうかどうか。今農村を見ましても、
増産するという手は打
つておられない。たとえば
一つの例としては、
肥料を見ましても、
肥料の今年度の
生産計画は九十万トン、しかし、実際に
増産するためには、この倍が必要です。しかし
政府は、九十万トンしかできないと、
計画にちやんと書いてある。これではたして
増産というものはできるかどうか。
こういうことを見ました場合において、私たちは、今日の
日本の
経済は
危機が
進行中であり、ますます深刻化する状態にある、こういうふうに見なければならない。ところが、
片山総理大臣自身が、実はこの点をある程度認めざるを得ない。と申しますのは、
片山総理大臣の施政
演説として、新聞記者
諸君にまわされました資料がある。この資料は、その朝手に渡
つたが、その後、これを改訂されている。どういうふうに改訂されたかと申しますと、まず原文を読みます。これは皆われわれの手に渡
つたものです。その原文には「
危機は未だ去らず、
インフレーシヨンはなお
進行を続けつつあります。今にしてこの
インフレの
進行を断ち切り、その破局化を
防止するにあらずんば、祖國の再建は危殆に瀕するというも過言ではありません」、いいですか、ところが、これが一時間か二時間後で、すつかり変
つてきている。どういうふうに変
つたかと申しますと、「
危機は未だ完全に去
つたとは言えませんが、」ここでは
危機は
進行中であると書いてある。今これを断ち切らなければ、
日本は危急存亡の
危機に面する、こういうことを言いながら、わずか何分かあとに、こういうふうに変
つてきている。さらに今度は非常に樂観的にな
つてきている。これは片山氏の言ですが、「復興の漸くその緒につき始めたことは喜びに耐えない次第であります。
國民待望の
経済再建への途へ雄々しく発足いたしたいのであります。」初めの原文には、片山
総理は実際のことを見、ほんとうのことを書こうとしている。あとにな
つてくると、今度は非常に樂観して、復興復興だと
言つている。私が、この点について
片山総理大臣にお聽きしたいのはこの二つの見解がありますが、一体どうして、こういうふうに改訂されたか。この点をお聽きしたい。
一体、なぜこういう問題をわれわれが出すかといえば、この問題自身が、今後の
日本の
経済政策の根本にな
つてくる。私たちの
考えでは、今日の
日本の
経済は、戰爭によ
つて、とも
かくも破壊されてきている。今われわれが、
日本という家を建てなければならない。まず、どういうふうにしてりつぱな、家を建てるかといえば、
日本のこの破壊された
経済的な基礎自身を固めてい
つて、初めて新しいりつぱな、健全な家ができ上がる。ところが
片山総理大臣は、この破壊された基礎を固めることはいい加減にしておいて、今一應バラツク建てを建てろということです。われわれは、
日本の將來を
考えれば、バラツク建ての家は建てたくない。健全な基礎に健全な家を建てたい。これがすなわち、私の
考えと
片山総理大臣の
考えと根本的に違う点だと思う。言いかえれば、
片山総理大臣の
演説は、
國民の目を現実の
危機の実態に向けさせないで、天に向けさせる。根拠のない樂観論を唱える。すなわち、投票獲得のために
國民を惑わす、なまぐさ坊主の
演説ではないだろうか。
それについて
片山総理大臣にお聽きしますが、
危機は去
つたと思うのかどうか。
インフレの
進行を断ち切らなければ、破局化を
防止するにあらずんば、祖國の再建は危殆に瀕するとこういうふうにお
考えにならないかどうか。
もう
一つお聽きしたいのは、
社会党の予算編成方針として発表されたのを見ますと、「
インフレーシヨンの
計画的管理政策を強化し」とあります。
インフレーシヨンを克服すると書いてない。今までは書いてお
つたが、しかし今度は、
インフレーシヨンの
計画的管理をやる。つまり管理するここを見ますと、
内閣の政策は
インフレーシヨンを克服するのではなくて、これを何か統制し、管理するに止める。
インフレーシヨン自身は、やはり
進行を続けさせる。こういうふうな政策をとられたのかどうか、これについてお聽きしたいと思います。
さて、第二点になります。第二点としては、
経済危機の打開について、いかに
日本を再建するかという問題につきまして、自由党、民主党、
社会党、これに共通した根本政策は、すなわち
日本再建の根本的な基礎を外資の導入におくという問題、この点につきましては、吉田自由党総裁が、幾度もいろいろな形において、談話の形に置いても発表されております。また、民主党の最近発表された十大指針と、これにも発表されておる。また先般、二十三日に苫米地議員がここの
演説でなされた中にも、やはりこの意味が言われておる。この間の
社会党の大会におきましても、鈴木政務調査会長も、この意味のことをやはり申された。またこの議場で、二十四日は苫米地氏の
演説に対する回答として、片山
総理はこう答えられておる。「産業復興のため、
生産力拡充のために、乏しきわが
経済においては、どうしても外資導入を仰がなければならないと思うのであります。」すなわち、すべての構想はまず外資を導入する。この基礎において再建をやる。その受入態勢を、今われわれはつくらなければならない。聞きますところによると、
安本では長期
計画というものを今立てられておるそうだ。その長期
計画も、やはり全体に外資導入ということがおかれておる。ここにすべての基礎をおいて、そうして家を建てよう、こういう
計画のように
考えられるのであります。これは私は、非常に
日本國民として眞劍に
考えなければならない問題ではないかと思う。
さて、今日この外資導入という問題につきまして、私たちの方で
考えるところによると、去年行われたところのいろいろの貿易
関係あるいは外資の問題につきまして
考えてみた場合においては、單にこれを無條件で、そのまま表面
通り解釈してよいかどうか。たとえば、輸出入回轉基金というものが去年の八月に設定されました。これに対しては、片山
総理は旱天の慈雨だと申された。しかしながら、御存じのように、この基金は二億ドルを基準にして三億ドルを借り、これによ
つて加工
生産をやる。ここから五千万ドルは大体われわれが使えるが、しかし、これも一年後の今年の九月でなければ使えないということであります。そうしますと、結局本年九月までは、三億ドルの
輸入原材料の加工に必要な副
資材と、この加工に従事する労働者の
食糧その他の
生活必需品は、すべて
日本の負担ということになる。これはすなわち、
インフレを促進することになる。言いかえれば、この回轉基金自身が、労働力を今年の九月まで大体ただで輸出して、そうして
インフレを促進する、こういう結果になりはしないか。これは
安本関係の資料にも、こういう意味のことが出ております。この点につきまして、私は
総理大臣あるいは商工
大臣にお聽きしたいのは、この回轉基金に
関係するところの貿易
関係その他について、今日までの
実相及び將來の見透し、これをお聽きしたいと思うのです。
また最近、一月十日のA・Pの電報によりますと、ヤラス商会との間に契約ができたそうだ、こういうふうに書いてあります。どういう契約か。新聞の発表によりますとアメリカから三万ロングトンのコークス用石炭を
輸入する、これに対して
日本から、薄鋼板二万グラムトン、亞鉛引薄鋼板五千グラムトン、合計二万五千グラムトンを輸出する、こういうふうに書いてあります。これを計算しますと、どういうことになるかと言えば、薄鋼板一トンをつくるのに、石炭で換算して
——これは普通の石炭ですが、約六トンが必要だ。從
つて、二万五千トンの薄鋼板を輸出するためには、十二万から十五万トンの石炭が必要だということになる。そうしますと、十五万トンの石炭が要るのに、向こうから來るものは三万ロングトンの石炭である。これはコークス用の石炭である。そうして見ると、ここでは四分の一、五分の一、すなわち四倍あるいは五倍の石炭を
日本が出さなければならぬということになる。もちろん、この石炭は性質が違います。この点について、私たちは、新聞のこの発表だけでははつきりわからない。もし、これだけを見れば、相当これは考慮しなければならぬ問題にな
つてくる。この点についても、私は水谷商工
大臣の御回答を願いたいと思う。
さらに綿花につきましても、必ずしもこれも樂観ができないということは、去年の十一月の発表によりますと、その十一月末において、綿布の滞貨が二億九千万ヤードあると
言つておる。こういう事実を見ましても、この綿花の問題、紡績の問題は、一体どうな
つておるか。これについて、やはり水谷商工
大臣の意見を私は御聽きしたい。
さらに、渉外局一月十二日発表によりますと、民間貿易について、昨年九月から十二月までの四箇月の間に約九十万ドルの入超。さて、この輸出を見ますと、問題は、新聞でいろいろ書きたてられた陶磁器あるいは竹細工、いわゆる國産品的なもの、これは全輸出の中のわずかに一五%、ところが、
生活必需品や化学藥品、これが二六%、さらに重要なことは、
日本の再建に必要な機械とか金属類、これが三九%、そこで、
生活必需品とか、あるいは機械金属類を合計しますと、全輸出の中の六五%、われわれは、こういうものを輸出しておる。さて
輸入は、何を
輸入したかと申しますと、六三%が羊毛と石炭です。(「
食糧はどうだ」と呼ぶ者あり)
食糧は、これは別個の問題であります。別個の勘定です。こう見ますと、この統計だけ見ましても、われわれに絶対に必要なものが相当出されていま羊毛というものは緊急な
物資ではない、こういうものがどんどんはいわれてくる、こういう状態にな
つております。こういうことをわれわれは
考えた場合において、外資の導入、これは決してわれわれは反対するものではない。しかしながら、ただ無條件で、これができたから、もう
日本の再建は大丈夫だ、こういうふうな幻想を
日本の
國民に與えておる。これは非常な誤りだと思います。
さて、
総理大臣または水谷商工
大臣にお聽きしたいのは、
社会党の大会で、鈴木政務調査会長が、五億ドルまたは七億ドルの借款が近くある、こういうことを言われたということを私は聽いております。はたして、こういう事実があるのかどうか。これを私は水谷商工
大臣にお聽きしたい。
さて、
憲法の第八十五條に、こう書いてあります。「國費を支出し、又は國が債務を負担するには、
國会の議決に基づくことを必要とする。」、すなわち、國がクレジツトを設ける場合においては、
國会の議決が必要である。これは
憲法の規定です。そこで、私は
総理大臣にお聽きしたいのは、
日本が外國と結ぶところのクレジツトがある場合においては、もちろん
國会の承認が必要であるが、同時にわれわれの求めたいことは、こういう
計画ができて、あとから発表されるのではなく、できる前に、事前にこの
國会に諮られることをわれわれは要求したい。これについての
総理大臣の御意見を伺いたい。
さて、私たちの方としましても、外資の導入、これに反対するものではありません。しかし、われわれとしては、まず第一に自力更生、
日本國内にあるところの機械、技術、資力、すべてのものを動員して、これにおいて、われわれの再建の基礎を固める、こういう根本方針を立てる。それで足らないものを外資に求める。しかし、この外資を求める場合においても、三つの條件が必要である。まず第一に、この性格が眞に
日本の再建に必要であること、第二には、この外資というものが民主的な、人民的な管理においてやられること、第三においては、この外資が
日本の民族の独立を保障しなければならない、確保する性格のものでなければならない。こういう條件のもとにおいてならば、われわれは、この外資の導入に賛成します。
さて問題は、それでは一体
日本の再建について、自力更生、われわれの力だけにおいて更生する條件があるかどうか、これを見た場合において、私たちは、確かにあると思う。いたずらに対外依存、これに求めずして、
日本國内において、われわれの力だけでやる條件がある。たとえば
食糧問題にしましても、もし、われわれが農地改革を徹底する、百姓にすべて
土地を與える、こういう改革をやること、さらに農村において機械化すること、あるいは電化すること、あるいは
耕地の
開墾とか、いろいろなことを國家の力においてやる、こうすれば、必ず
日本においての
食糧問題も大体において解決する。ここに自力更生の基礎がちやんとある。
さらに工業
生産にしましても、工業
生産の基礎である、たとえば工作機械を見ても、戰災によらないところの工作機械が、約七十五万台ある。賠償撤去されるものを差引いても、まだ過剩です。しかも技術者、これは御存じのように、りつぱな技術者が、今失業に悩んでおる。動力資源にしましても、電力しても、石炭にしても、もしわれわれが
開拓すれば、十分にある。さらに原材料にしましても、まだ開発すべき余地がある。ただ、われわれに必要なのは、鉄鉱石とか、石油とか、繊維資源あるいはパルプ類、こういうものは外國に仰がなければならない。ところが、こういうふうな原料は、アメリカ大陸だけではない。われわれの非常に身近にあるところの極東大陸にたくさんある。中國、朝鮮あるいは拂印、インドネシア、インド、この方面に求めるなら、われわれの欲しい原材料はある。そこで、
日本がもし平和的な民主的な國家になるならば、これらの國は、喜んでわれわれと貿易を再開してくれる。たとえば、私が中國にいましたときに、毛澤東とか、あるいは
國民党の要人に会
つて、彼らと話したとき、彼らも、眞劍に
日本と貿易したいことを望んでいる。
日本に必要な原料を與える。その代わり、また
日本にできる機械とか技術、これはぜひ
日本からもらいたい。ただ彼らは、
一つの條件を出しておる。どういう條件かと申しますと、それは
日本という國が、將來決して侵略をしない、完全な平和的な國になること及び民主的な、りつぱな國にな
つてくれること、この場合においては、中國は喜んで胸襟を開いて
日本と貿易をしたいと
言つておる。これより見まして、われわれは、
日本の再建を自力更生でできることを確信をも
つて差支えないと思う。
そこで以上のような
食糧と工業
生産の自力復興を妨げているものは、一体だれかといえば、
日本においては、結局あの少数の独占
資本家、大
やみ資本家、これと結んだ
官僚、政治家です。これを打破するためには、まず金融
機関及び重要産業の國営、人民管理、これをわれわれは主張したい。そうして、これをやるのは、決して今日の
内閣ではなくて、人民
政府でなければならない。
さらに最後に、この問題について申し上げたいことは、自力更生のためには、隠退藏遊休
物資の徹底的な摘発ということが必要である。これについては私は、すでにここで設けられた
特別委員会のあの報告を皆さん方御承知でありますから、詳しくは申しません。ただ、ここで申し上げたいことは、最近アメリカの週刊雜誌に発表されたワールド・リポート、これにはこういうことが書いてある。原料
資材の不足が
日本の
生産を阻害している。反面、産業トラストは、すなわち独占資本は、
厖大な退藏
物資を隠匿している。
やみ市場へ流し、巨額の利得をむさぼ
つている。かかる行動は、
日本の復興を失敗させ、米國の占領費を
増大させ、占領を妨害する陰謀と
言つてよい。私はその
通りであると思う。もし
日本政府が、この軍
物資に対し十分
支拂を受けていたとすれば、降伏以來の赤字予算並びに占領費の全額を補
つてなお余りあ
つたであろう。私はこの
通りだと思う。
共産党は、
戰後この問題をただちに取上げまして、そうして
隠退藏物資の摘発ということについては、全國的にいろいろのことをや
つた。それがために、たとえば板橋事件というものを起こしておりますが、しかし、われわれのこの
隠退藏物資の摘発に対して、
政府は常に妨害をや
つてきておる。それは過去の事例ではありません。最近におきましても、こういうこういう事実が頻々として起
つている。たとえば、最近大阪方面でも、扶桑金属とか、久保田鉄工所におけるあの事件、これを摘発したものを、官憲がこれを逮捕しておる。まだ、留置場にぶちこんでいる。さらに、これはあまり知られておりませんが、富山の不二越製作所に、こういう事件がありました。これは不二越製作所に、賠償の対象となるべき精密測定機械、ベアリング製造機械が隠匿されている情報を、われわれは得ておる。これの摘発をや
つた。ところが、何が発見されたかと申しますと、ここではカール・ツアイス製その他の各種精密測定機械が合計十四台、ボールベアリング製造機械が百二十六台、そのまま、ちやんと学校の中に隠してあ
つた。しかも、ここの会社の
責任者が、こう
言つています。これはちやんと証人があります。こう
言つておる。なぜ、こういうことをや
つたかといえば、進駐軍が
日本から帰
つたあとで、この機械でベアリングをつくるのだ、だから、これを隠匿しておくことは愛國的行為である、こういうことを今
言つておる。この摘発に関連した人が、三人檢束されました。こういうことを見て、私は
政府にお聽きしたいのは、これは片山
総理でも司法
大臣でもよろしいが、このような民主的な、下からの摘発行為を、どうして
政府は促進されないで、かえ
つてこれを妨害されているか。一体、どうしてこれは妨害されるのか。
さて私は、
片山総理大臣あるいは
社会党そのほかの政党における
日本再建の根本観念において、われわれは自力更生しなければならぬと主張しますが、この
一つの例として、殷鑑遠からず、ヨーロツパを見た場合に、外資導入を基礎として再建をはか
つたところの、たとえばフランス、イタリーが、どういう状態にな
つておるかといえば、すなわち、現在
経済恐慌のま
つただ中にある。これを見た場合において、はたして
日本の將來は、どの方向にわれわれがいくかということについて、非常に
國民は眞檢に
考えなければならない。(「共産党はどうしようというのだ」と呼ぶ者あり)だから、先ほどから申しておるように、
日本國内に十分あるものを、なぜ動員してやらないかというのである。
さて、第三の点についてお聽きしたいのでありますが、
政府は外資導入のために受入態勢を整えなければならない、これが今日における根本政策、こういうことにな
つております。これについては、
西尾官房長官が、一月一日の新聞に、座談会で発表されたところによりますと、こう
言つておる。米國からの援助を得るためには、
日本の産業界が平和であるとともに、労資が協力して産業の復興に一生懸命や
つているという態勢を整えることが一番重要である、こういうふうに
言つております。すなわち、受入態勢をつくる、この受入態勢をつくるという名のものに、実は
日本の大資本の利益のために、勤労大衆の
生活が低下され、また労働が強化されておる。その具体的事実はいくらでもあげることができます。受入態勢を整える。たとえば供米の問題にしましても、その
一つです。
この供米の問題に対しまして、
農林大臣にお聽きしたいことがあります。これは、山形縣知事の村山道雄という人が、去年の十二月二日に、山形新聞あるいはそのほかの地方新聞に、これは十二月六日の新聞ですが、山形縣告示第四百八十八号に発表しておることがある。どういうことをい
つておるかと申しますと、「本年産米の供出は強い
割当であります。しかも必ず本月中に完遂していただかねばらならない供出であります。私に先ず皆様に何故に今年の供米の
割当が今までよりも強いのか。何故に完遂せねばならないか。何故にそのことを連合軍からも強く命令されているかをはつきり自覚していただきたいのであります。」、さらに続けて「連合軍当局は
日本國民に供米三千五十五万石の完遂を命令すると共に、その完遂を俟
つて國際
食糧緊急
委員会に不足分
輸入の要請をしようとしておるのであります。」、こういうことをい
つておる。これは新聞に発表された山形縣の告示です。ちやんと知事の署名がある。一体供米は、だれがだれのためにやるのですか。この文面を見ますと、これは
日本政府ではない。向こうからの命令だからやれということをい
つておる。こういうことが、一体許されるべきかどうか。
片山総理大臣は、去年のこの議政壇上で、すべての
政府の政策は
政府の
責任であるとい
つておる。しかし、この供米をやるために、連合軍の名前を借りてやらせておる。こういうことを、どうして今まで許しておるか。この問題について、
総理大臣でもよろしい、あるいは
農林大臣でもよろしい、明確な御回答を願いたいと思います。
それから、ついでに
農林大臣にお聽きしたいことは、去年の
國会に
農業生産調整法というものが出されて、これは流産しましたが、さらに今度の
國会に
食糧生産並びに供出に関する
法律、こういうものが出されるということを聞きましたが、はたして、この内容はどういうものであるか。これがちようど戰時中におけるあの軍部のや
つたような作付
強制というものに類するものであるかどうか、こういう内容について、ついでにお聽きしたいのであります。
さて、受入態勢を整える。この名において、今では
行政整理、企業整備、これが中心にな
つております。この問題につきましては、各党は大体において共通しているように思います。しかし、
政府の言われている
行政整理の内容を見ますと、結局
人件費の削減ということです。これに重点がおかれている。ところが、御存じのように予算の中で占める
人件費の割合は、わずかに六パーセントにすぎない。これを節約しても三十一億。そこで、
政府にお聽きしたいのは、
内閣総理大臣は、一昨日ここで、この
行政整理はすなわち人員整理である、こういうことを言われた。ところが民主党の苫米地議員は、ラヂオの放送で、この整理というものは、予算定員と実働定員との差をいうだけのことである、そうすれば、実際上において
官公吏の首切りはやらない、こういう意味のことを言われている。そうしますと、一体
総理大臣と苫米地議員の言には喰違いがあるが、
政府にお聽きしたいのは、これは
官公吏の首を切られるのであるか、切られるならば、いつ、いくら切られるのであるか、これをお聽きしたい。
さらに現業を見ますと、國鉄にしても逓信にしても、今あそこでは定員が不足している。それにもかかわらず、ここでもやはり人員整理ということが実際にやられるということを私は聞いている。たとえば九州におきましても、九州の國鉄從業員の間で、いくら、だれを首切るというふうなリストがすでにでき上
つている、こういうふうなことも言われている。この問題について、運輸
大臣に私は
実相をお聽きしたい。さらにこの問題につきまして、もう一言お聽きしたいことは、配置轉換が行われますが、この内容がどうであるか。一身上の都合から轉換ができない場合には、
政府はどのように処置されるものであるか、これを運輸
大臣にお聽きしたいと思う。
さて、受入態勢を整えるという、こういう名前で、
政府はいわゆる労働組合の民主化ということを言われている。これは米窪労政とか、あるいは
松岡議長が言われているような労働組合の民主化という名前でや
つております。この問題について、米窪労働
大臣にお聽きしたいのは、労調法、労働組合法を改正されると
言つておりますが、その内容はどういうものであるか。また労働基準法までも改正されるというようなうわさがあるが、これははたしてどうであるか。また組合の民主化とか健全化という名前で、
政府の手で直接できなくても、間接にいろいろな反共組織とか、こういうものができ上
つている。これは單なる会社とか工場の策謀だけではなくて、
政府の政策としてやられている。こういうふうに、われわれには客観的な條件から見られる。そうすれば、これは明らかに極東
委員会の労働組合に関する十六條原則に違反するものではないか。またもう
一つお聽きしたいのは、労働組合法十一條違反が最近頻々として起
つております。これによ
つて、いろいろの左翼分子を組合から、あるいは工場から解雇する、こういうことが起
つておりますが、これに対して、
政府はどういう
対策をとられているのか。
さらにもう
一つお聽きしたいのは、米窪労働
大臣は、昨日の参議院で、わが党の細川議員に対する
答弁として、東芝の、あそこに今たくさんの滞納税金がありますが、その問題について、こう申されている。なぜ、東芝のこの会社に税金の滞納が起
つたか。たとえば労働攻勢に抑えられて、いわゆる赤字契約をし、赤字の
團体契約を相当給料を赤字においてあげているという疑いのある工場が方々にあります。すなわち、こういう会社が滞納するのは、労働者が労働爭議をやり、あるいは給料の値上げを要求する、そこでこういう滞納ができた。これは明らかに事実に違反している。たとえば、東芝の問題にしましても、会社自身が何と
言つておるか。こういう
原因で滞納ができたのでは絶対にないということは、会社自身が
言つている。しかし米窪労働
大臣は、参議院の議場で、これは労働者に
責任がある、こういうことを言われている。
この問題につきまして、私は水谷商工
大臣に、特にまたお聽きしたい。このオール東芝に対して、先月商工
大臣は、商工
大臣の名前によ
つて、この東芝は
増産において抜群の成績をあげたと表彰を與えている。しかも一昨日、この東芝の工場に行かれて、あそこで從業員に対していろいろのお褒めの言葉を賜
つた。しかるに米窪
大臣は、ここでは労働者が惡いから、こういう滞納ができた。すべてこれは
政府と会社に
責任がある。これを労働者に轉嫁しようとしている。こういうことを許すべきであるかどうか。この点について、米窪及び水谷両
大臣にお聽きしたいと思う。
私はこれで終わりますが、一言、最近の新聞を賑わしている帝銀の椎名町支店のあの毒殺事件について、私は司法
大臣の報告をお願いしたいと思う。と申しますのは、この事件は普通の事件ではありません。十六名の者が、つくえで同時に毒を飲む。どうしてこういうことが起
つたか。これは普通ではない。しかもこれについては、あの町に行
つてみますと、いろいろのうわさがとんでいます。それについて私は、この眞相について報告を願いたい。一体、このような毒がどういうところからはい
つてきているか。もし、こういう状態が許されるならば、われわれは、水一杯よそで飲むこともできない。これについて、司法
大臣の報告をお願いしたいと思います。
さて、最後に一言申し上げたいことは、
総理大臣は
演説の中で…