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織田委員 過去のわが國の
科学者並びに
科学界というものは、
行政、教育など、現実に遊離しておつたということ、並びに個々の
学界における割拠主義という観点から、いま
一つは敗戰國であるわが國の今日の立場というものは、乏しい資源と、そして過剩なる人口、そしてまた狹い土地という、非常なる悪條件のもとに置かれまして、動搖常ない状態でありまするが、この危機を脱却する途というのは、ただ單に今日の表面に現われた、ささいな問題のみを取扱うことによ
つて脱却できるのではなくして、より根本的に人間性の革新と、そうして
科学技術の振興ということによ
つて解決されるものであると私は信じております。かかる立場からいたしまして、今回
日本学術会議法ができましたことについて、この趣旨に全面的な賛成を表するものであります。以下二、三の
希望條件を申し述べまして賛成いたしたいと思います。
すでに各
委員から申されました
希望條件のうちに、ほとんど包含されておるのではないかと思いますが、まず第一に、第一條第三号の、國庫負担の点であります。國家の財政が許す限りにおいて、極力多額の費用を國庫が負担するように
努力してもらいたいということ。
それから第四條の問題、これは
社会党の方からも
お話がありましたが、
科学技術行政協議会というものの活躍、円滑なる運営に対して多大なる
希望と期待をも
つておるものであります。
それから第
五條において、私は
質疑の際に申し述べたのでありますが、具体的なる條項として、
世界の
学界との提携に関する
方策というものが具体的に表面化されておりませんが、特にこの点に留意していただきたい。わが國の立場というものは、歴史的に、また自然的な事情において、
科学においては
世界の各國に比べて立ち後れておつたのが、わが國の偽らざる現状であります
関係上、特にこの点を私は強調いたしたいのであります。
それから第十條の問題、これもすでに取上げられた問題でありますが、今日政治、経済、文化、
社会各般にわた
つて、非常なる激動期にあります状態といたしまして、この分類の仕方は、むしろ過去の戰前の
日本の
学界のあり方をそのまま認めておる、少し古くさい立場であると私は思いまするが、しからば新しい立場という点においては、
学会においても、また一般の情勢においても、区々まちまちで、まだこの点について安定を得ておらないといす実情じやなかろうかと思いまする
関係上、私はこの問題について、私個人といたしましては、自然
科学、
社会科学、人文
科学、こういうようなわけ方をするのに賛成をしておるものでありましが、この点に関連いたしまして、別表の人員の割振りその他この区分の仕方という点については、今後愼重に
研究し、大いに
討論をして、新しい方向を発見していただきたいということを
希望するものであります。
最後に、
会員の
選挙の第二十一條の問題であります。私が先ほど
質問をいたしましたことに対する御
答弁のうちに、大体
学会の
推薦制によるだろうというような
お話があつたのでありますが、私この点について、
一つ懸鴨いたしまするのは、
学会というものは師弟の
関係において結ばれておるのであります。師弟の
関係において結ばれておる
学会において、この
学会の
推薦制というものは、ともすれば御老人のみがここに出てくるのではないかと懸念されるのであります。昔から新しいものの発見、あるいはいわゆる天才的な才能をも
つておる人というのは、むしろ二十代、三十代において、その業績が完成されておるという事実に徴しまして、この点について新しい人、若い
ほんとうに能力ある人が出せれるということを考慮していただきたいと思います。ともすれば國費を使
つて、過去のか
つての
日本の
学会の弊害をなした学閥の轍を踏む危險を感じております
関係上、このデ特に強く
要望いたしまして、私は
原案に賛成いたすものであります。