○
久保委員 教育長のことについては、明らかに助言と推薦という言葉が使
つてある。
教育長の助言と推薦によ
つて教育委員会は
仕事をやることにな
つておる。ここに
教育長というもののきわめて強い
立場というものが、はつきりしておるのであります。
この問題についてはその程度にしておきまして、なお同じ
立場から私はこの
委員会設置の問題に触れてみたいと思うのであります。昨日來この問題も二、三十たのでありますが、私は今言
つたような観点に立
つてこの
委員会設置の問題を
考えてみますと、まず
教育委員というのは、
教育の
目的を理解する人でなければならぬ。
大臣の言葉をかりて言えば、個人の尊嚴を重んじて眞理と平和を希求する人間でなければ、これは
教育委員たる資格はないのであります。もしそれでなか
つたならば、妙な
委員会にな
つてしまうおそれがある。はたして今日あなた方はあちらにもこちらにも、小さい
町村にも適任者があると思われておるかどうか。私の見解をも
つてするならば、とうていそういう人はそう簡單に五人とか七人とか求められるものではありません。その点が
一つ。それからこの
委員というものはま
つたく無給である。いかなる者が
委員を
希望するかといいますと、これは結局金もあり、何もできたから、ひ
とつ名誉が欲しい、何か社会的な地位が欲しい、あるいは何か
権限が欲しいというような者がごろごろ出てくるようなことが相当できると思うのであります。そういうことから
考えてみて、眞に眞理と平和を希求するようなりつぱな人間が
選挙に出てくるかどうか。出てもその人が
選挙場に臨んだときに太刀打ちができるかどうか。実際問題としてそういう適当な人が、小さい
町村に至るまで求められるということは、私はとうてい今確信がないのであります。從
つて委員会というものは、大体今の日本の現状で進むならば、できるだけ大きい範囲をも
つて出発すべきものだと思うのであります。このことについてはたくさん具体的な例をも
つて私は申し上げたいのでありますけれども、昨日
黒岩君その他からいろいろな具体的なこともるる話がありましたので、今ここには申しませんが、私の縣の長崎縣の場合をちよつと申し上げてみますと、小さい区域に
委員会を設置するというようなことになりますと、容易ならぬことになると思うのであります。私の縣は御承知のように壱岐、対馬、五島列島その他の島々並びに半島からできておる縣であります。これに職員の配置というようなことは過去の
やり方をも
つてしましても、実に困難な実情にあ
つたのであります。もしここに
町村等でこうした特別な
委員会をつく
つたり、あるいは小
委員会をつく
つたりした場合において、職員の配置、それから疲弊村においての経費の負担ということを
考えてみますと、これは容易ならぬ悪法だと私は思う。むしろ
教育をよくするよりも、このままの案で臨んでい
つたならば、悪くする。
教育者それ
自身も、実に迷惑をする。そこでこれは私が
考えますのに、まず
都道府縣というようなものに置いて、それから大都市に置いて、それからもし相当の都市で
委員会設置を
希望する所があ
つたならば、そういうところから普及してい
つたらどうかと私は思うのであります。明ららに妥当でない、明らかに
教育を阻害するような、また
教育者も喜ばない、
一般の人々も
町村も喜ばないということがわか
つておる。そうした見透しに立
つてこうした
法律をつくるということは、われわれのとるべき態度でないと思う。もしこういう点が改められますならばとにかく、われわれは
委員会としてそういう方向に向いたいとは思
つておりますが、そうでなか
つたならば私はこういうものを出される氣が知れないと思うのであります。はたして昨日からいろいろ
大臣その他
答弁しておられますけれども、自信があ
つてああいうことを
言つておられるとは、私には思えないのであります。
その次に
予算のことでありますが、これがまた先ほどから問題にな
つて、もう私の言うことはありませんけれども、先ほどから
教育に熱心な
町村は
予算もとれ、そうして
りつぱな教育が行われ、他はこれになら
つていくとか、あるいは
予算がとれたら大きな幸いだがそのほかのところは全然反省していくよりほかしかたがないという
答弁があ
つたのでありますが、そういうことで
法律をつく
つていいのかどうか、私は根本的にその点を
考える。これは最初申しました
通り、この法が実施されることによ
つて教育それ
自身がよくやらねばならない。
教育者も喜び、
一般の人々も喜ぶという
法律でなければならない。この
予算編成の五十
五條ないし五十
七條を読んでみますと、結局これは
地方自治團岩の長なり、
議会なりが一方的にきめられるという形にな
つておる。この程度で
法律を通していいとは私は
考えない。その
議会と
委員会との間に
協議会が設置されるとか、あるいはまた
目的税としての
教育税というものを
考えてみるとか、そういう特別のそこに強固な
措置がとられない限りゆゆしき問題だと思う。そういう点について
考えてみられたかどうか一廳承
つてみたいのであります。