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森戸國務大臣 御
質問の第一点は、
刷新委員会が
教育基本法に対する
一定の
建議を添えた
答申をなしたのであるが、それがいかに用いられたかという
お話でございます。御承知のように
刷新委員会は、
日本の
教育刷新について、
総理大臣に
建議をいたし、あるいは
答申をいたすことにな
つております。
日本に
教育刷新においては、この
委員会の功績はきわめて大きく、私
どもはその意見を十分に参酌いたし、殊に本
教育委員会法案におきましても、その
答申については十分の
考慮を
拂つたのであります、あるいはこれを
基礎といたしたと申しても差支えないと思うのであります。しかし、これはこのままにこれを受け入れたというわけではないのでありまして、それは
刷新委員会の
答申だけでなく、その他の面におけるいろいろな
請願、希望もあり、また
関係方面ともいろいろ協議いたすべき点もあり、また
文部省といたしまして文政に対する
一定の
考えもありまするので、これらを総合しながら
立案をいたしたのであります。ただ
刷新委員会は、先ほど申したような地位を占めた重要な
委員会でありますので、この
委員会の
答申については、きわめて重要な
関心をも
つて立案をいたしたと申し上げるわけであります。
さらに
アメリカの
教育使節團の
勧告についての
お話でございますが、これは当時印刷されたものがありますので、お読みいたすより、あるいは差上げることができるのではないかと思います。
第三には、
基本法における「不当の
支配」ということでありますが、この問題は、
日本の過去の
教育において、殊に戰前、戰時中の
教育におきましては、
日本の
教育が
いろいろ力で
影響されておいたということであります。他面では
中央集権的な
文部行政における
官僚の
影響もございます。他面ではまた
軍部等の
支配が強く
教育の上に及んだということは申すまでもないことであります。なおいわゆる
地方における
内務官僚の
教育に及ぼした
影響も、非常に多いのであります。これらのことは
教育の自主制といいまするか、自律といいますか、それが非常に傷つけられたということがある。こういう不当な
支配から
教育は脱しなければならぬというところに観点があるのであります。
從つて教育刷新の目標といたしております
一つの大きな点は、
教育の
民主化と刷新に存しておるのであります。また先ほど申し上げました
刷新委員会の
方針も、
教育使節團の
勧告も、また
基本法の私
どもに示しておりますところも、いずれも同じ目標を指さしておるのでありまして、
教育委員会法はこれらの方向、趣旨に從いながら、またわが國の現状の要請にも即しまして、
教育刷新の重要な項目でありまする
教育の
民主化を徹底する方途として、
地方教育の
法案が
考えられておるのであります。
教育民主化の大きな方向は、
一つは
中央集権的な、いわゆる文部
官僚の
支配に
教育が動かされるということについて、改められなければならぬという点と、他面
教育以外の
方面の力、戰前におきましては殊に軍部の
影響、また
内務官僚の
支配というようなものからも
教育が脱することが必要である、こういうような二つの線がありまして、
從つて実は
教育委員会法は、この二つの線から
教育の
民主化を行
つていくということを目標といたしておるのであります。そこで中央の
文部省の
支配に対して、
地方に権限を與える、また今日軍部はなくなりましたけれ
ども、おそれることは
地方のいわゆる
一般行政からあるいは起るかもしれない危險に対して
教育を
独立させよう、こういうような方向を指さしておるものと御了承願いたいのであります。
第五の点につきましては、非常に会期が迫
つたときにこの
法案が出た、しかも終りには七月一日と書いてあるが、はたしてそんなことができるかという
お話であります、七月一日はもちろん予定でありまして、これは
國会の御決定によらなければならないのでありますが、実はこの
法案はそう急速に
考えられたのではなくして、ずつと前から実は案としては
考えられておりました。はなはだ私としては遺憾なのでありますけれ
ども、予定の十日以前に
國会に提出することができずして、期日が遅れまして
——さきの
委員会で
松本委員長からも御
質問がありまして、なぜ新聞記者に先に発表したかということでありましたが、これはよく聽いてみましたところが、誤解でありまして、まず
法案は
國会に必要な数だけ提出いたしまして、その翌日に新聞記者に発表したのでありますが、何かの手違いで皆さん方の手に渡ることが
國会の方の都合で遅れたのではないかということでありまして、私
どももそういうようなことを繰返さないよう努力するように、
國会の
事務の
方面にもそのように轉えておるつもりでありますから、この点は御了承願いたいと思います。先ほ
ども申し上げましたように、七月一日ということが書かれており、しかも会期が迫
つてこういうことにな
つたのは、まことに遺憾であるという
お話は、まことにその通りでありまして、私
どもとしてもはなはだその点は遺憾に存じておるのであります。しかしこの
法案は
日本の
教育民主化のためにきわめて重大なものでありまするし、その大きな筋におきましては、間接ではありますけれ
ども、
関心をもたれておられる
方面には、大体の方向はおわかりにな
つておるところでありまして、私
どもといたしましては、
委員の皆さんに御迷惑をかけてまことに恐縮なのでありますけれ
ども、急速に御
審議をいただいて、
國民の深く
関心をも
つておりまするこの
教育民主化を盛
つている
法案が、議会において通過いたしまして、予定の方向に向
つて地方教育の分権化が行われるように、皆さまの御協力をお願いしたいと
思つているのであります。