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受田新吉君 ただいま御審議をいただくことになりました國立山口
大学の設立に関する
請願について、その
紹介議員として
趣旨の
説明を申し上げます。
ただいまお手もとに申請書を差上げますので、ごらんいただきたいと思うのでありますが、
山口縣は特に
教育縣として古い
傳統をも
つておりますし、
文化の点においては、例の室町時代から西の京都といわれて、大陸
文化の輸入地でありました。また明治維新以後においても、この点、西欧
文化の輸入地として、特にその海外の文明を輸入する基点にな
つてお
つたのでありまして、こういう歴史的の因縁からも
山口縣が
教育を非常に尊重する傾向をも
つておつたことと、そういう環境に惠まれていたということを、私出身縣として十分誇りに感じておる次第であります。特に地の利を得ているということ、アジアの東部の、ちようど大陸へも近いし、南方へも適当な基点にな
つているという点においてのみならず、経済的にも、水産の上において、また工業、もう
一つの鉱業という点において、また防長米と稱せられる
農業の上においても、特に中國、四
國地方においてその尤として誇
つておつた縣でありまして、こういう点から、これらの経済
文化の
中心として、現在
官立の
專門学校が、ここにあげてありますように経済、工業、高等師範、
青年師範、こういうふうにつくられておりますし、また
官立第二水産講習所もありまして、非常に
教育の毀盛を極めておる次第であります。ただ憾むらくは、ここに現在
官立大学を持たなかつた点であります。しかしながらこの点においては
從來つとに防長
大学設立が計画されて、これが実現を見るに至らなかつたにすぎないのであ
つて、その萌芽はずつと前から防長の天地にみなぎ
つており、かつ中央においても、しばしばその空氣が反映されてお
つたのであります。さいわいにしてこのたびの大戰の被害を受けることが少く、山紫水明の山口を
中心として、これらの五つにあまる
官立の
專門学校はその堂々たる校舎をそのまま存置しているし、また設備の上においても
從來のあらゆる総知を絞つた粹が集められているし、なお
山口縣廳、山口図書館、
教育博物館等は、全國的に袴る優秀な建築物でありますし、
内容においても確かにこの
方面の権威であるということを袴
つている次第であります。こういう
條件と、もう
一つは占領軍当局の好意を得て、その
方面の使用しておつた宿舎その他を非常に多数提供していただいて、ここを
教育の場所として、実に惠まれた環境と同時に、その設備とあらゆる
條件が競合して、山口に國立
綜合大学を
設置するという機運が、昨年以來澎湃としてみなぎ
つたのであります。その点については、いささか
運動の立ち遅れもありましたけれ
ども、著々として堅実な歩みを続けて、その具体的な計画を立てて、ここに示したような大綱を皆樣の前にお見せすることができるように
なつた次第であります。いろいろな観点において山口に國立
綜合大学を設けることが非常に適当であると認めまして、私は
山口縣の要望、
山口縣の総意というものを十分くみと
つて皆樣にお諮りいたし、熊樣より全國的に見て
山口縣に國立
綜合大学をつくることが適当であるということの御判断をいただいて、そうして愼重審議の上御
採択をいただき、
文部省にもこれに対して十分御了解願
つて、これが実現の運びに至らんことを念願してやまないのであります。なおこの山口國立
綜合大学設置の概要についてはこれは皆樣の前にあります表に、学部
設置の構想として人文学部、経済学部、
教育学部、
教育学部別科、工学部、
水産学部、農林学部、医学部というようなものを掲げておるのでありまして、このうちで
官立ではなく、現に縣立として獸医、畜産別科及び医学
專門学校及び縣立
女子專門学校というようなものがそれぞれ適当に
官立國立
綜合大学に吸收されていくことを願
つてやまないのであります。わけてこの中で
水産学部は、
官立第二水産講習所をこれを
文部省に管轄の中に入れていただいて、
水産学部として独立願いたい。この点においては、
山口縣が水産縣として全國で最右翼にあるということを御了解願えるならば、おのずからこの点おわかり願えるだろうと思います。農林学部、医学部についてもそれぞれ
綜合大学の学部として新発足を願いたいと念願しておる次第であります。詳細にわた
つては本日ここへ
山口縣百四十万縣民の総意を
代表して
山口縣知事が見えておられるので、
説明の足りないところを補足していただきたいと思います。