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黒岩委員 高知市に
綜合大学設置の
請願でございますが、
請願者は
高知市議会議長中島龍吉外二名であります。しかしこれは
縣民全体の意思を代表した
請願であると御理解願いたいと思います。
本
請願の
要旨は、
明年度新制大学の発足にあたりまして、四
國地区もこの
綜合大学設立の
地区の
候補地として考えられておるというように
承知いたしますが、その
大学の所在地としては、
教育的環境から、また國土計界的に見た
高知市の
教育立地の優位から、さらに純粹の学都として豊富なる資源をもつておる
点等、種々の観点から考えまして、
高知市が最も適当であると思われるから、ついては
高知市に
綜合大学を設立されたいというのでございます。
この
請願を出しましたあとにおきまして、本問題に関しましては、四國四縣の
代表者の本問題に関するところの
打合わせ折衝をいたしたのであります。その結果四縣の
協定がつきまして、各四縣にありまする
官立学校並びに
地域の実情というものを勘案いたしました結果、その
学部を四縣におのおの適当なものを分散いたしまして、
連合大学の形体においてこれを設立したいということに
決定になつたわけであります。從いまして四縣の連合によつて再びあらためて近く
請願をいたすような運びになるということを申し添えておきます。
なおこの際に、その四縣の
協定の結果、
高知縣へ割当てられました
学部について一應の
説明を申し上げておきたいと思います。それは現在の
高等学校を
もとにいたしました
文科と、現在の
高等学校の理科と
青年師範学校に附設してありますところの
水産科、
專門学校程度の
内容をもつところの
水産科、こういうものを
もとにいたしました
理農学部というものを
設置したいという考えでございます。
高等学校の
文科と
師範学校の
内容を併せましたところの
文科というものも考えておるわけであります。そうしてこの
学部の中へ
教員養成のものと、しからざるものとを二本建にして
内容として含ませるという
計画でございますが、この理
学部の
設置の中で、特に
理農学部という名称をもつて考えられておるものにつきましては、
現状の
國立としての
内容をもつ
專門学校をもつていないという
弱点があるわけであります。
既設のもののみを新しい
大学として考えていくという
方針によりますと、その点においては、その
既設のものをもたないという
弱点はあるわけでありますが、実は
高知縣に
戰時中に新たに設けられましたところの海軍の
予科練の
練習飛行場として設定せられましたその
跡地を
大藏当局と
折衝の上、もし
大学が
設置せられるならば、それに譲り渡しをしようという内諾を得ておるわけであります。その
飛行場の総坪数の約半ばに達しまするところの七万町歩の
実習地を提供せられることになります。なお
予科練の寄宿舎並びに
教育施設というものは厖大なものでありまして、教室はもちろん
教員や生徒の宿舎としてこれに充てることもできるだけの余裕をもつておるわけであります。もしこの際にその
施設をそのまま解体することになりましたならば、再びかような
施設をもつて
学校を設立するという機会はないだろうと思います。なおまた
林科の面につきましての
実習林としましては、営林局の管理しておりますところの
國有林梁瀬と申します日本三
大美林の
一つと称せられる森林を、
実習林として提供していただくように、これも
関係方面との了解を得ておるわけでありまして、海、山、農地、このほか
校舍設備というようなものが、きわめて好
條件に惠まれておるという点、こういう点を考えますときに、新
とい大学制度を
実施する場合、國土
計画的な見地から、こうした実態をよく
檢討の上で
理農科の
学部を
設置することが最も期待されることであると考えるわけであります。
なお
高知縣の
地理的事情を申し上げますと、立体的な氣温帶というものが、
高知縣ほど全國に特殊的な
事情をもつ所はなかろうと思います。
植物は
亞熱帶性の
植物の繁茂する
地域もありますし、
寒帶に育つところの
植物もあるわけであります。そうして海抜千五百メートル以上の
地域に相当の
高原性温地ももつておるわけでありまして、この氣候帶によりますところの
植物の
分布状態から考えますときに、
理農科を
設置いたしまして、その
方面の
研究材料を求めるということになりましたならば、非常に豊富な
研究材料があるわけであります。殊に
高知縣の山野の
特異性としては、藥草すなわち藥の成分をもつところの雜草が一面に繁茂しておりますので、將來こうした
方面の
研究も併せてすることになりましたならば、わが國の農業の
方面におきますところの新しい開拓をすることも考えられ得るということを御
承知願いたいと思います。
以上概要この新しい
理農学部設置に対するところの基礎的な
内容を申し上げたわけでございますが、あらためて書類を
整備いたしまして、四國四縣の連名によつての
請願を提出いたしますので、その
請願をさらに御
檢討の上で御採択あらんことを切望いたす次第であります。