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1948-09-25 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第62号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年九月二十五日(土曜日) 午後四時五十六分
開議
出席委員
委員長
武藤運十郎
君
理事
田中
角榮
君
理事
辻 寛一君
理事
梶川
靜雄君
理事
河井 榮藏君
理事
荊木 一久君
理事
小松 勇次君
理事
石田 一松君
明禮輝三郎
君 渡邊 良夫君 前田
種男
君 橋本 金一君
田中
健吉君
中村元治郎
君 本田 英作君
宇都宮則綱
君
徳田
球一君
委員外
の
出席者
石炭
國管
問題に ついて
出頭
した
証人
議 員
伊藤卯四郎
君
竹鶴
可文君
俵田
明君
――――――――――――― 本日の
会議
に付した
事件
資料提出要求
に関する件
委員
の派遣に関する件
委員会
の
報告書
に関する件
石炭
國管
問題に関する件 ―――――――――――――
武藤運十郎
1
○
武藤委員長
これより
会議
を開きます。本日の
理事会
において決定せられました
事項
を御報告申し上げて、皆さんにお諮りをいたしたいと存じます。 第一、次回の
委員会開会
は来る十月十一日より同十六日までと定め、この六日間を
石炭
國管
問題並びに兵器処理問題の
証人調べ
に充てたいと存じます。なお
右期間
に喚問すべき
証人
は、來る十月六日正午
理事会
を開き決定をいたすことにいたしたいと存じます。 第二、
東京地方裁判所
に対し
田中武雄
氏にかかる
公判調書
の
提出
を求めたいと存じます。 第三、
石炭
國管
問題に関し、
貝島太
市氏は
病氣
のため
出頭
できない旨の届が
提出
せられておりますので、
梶川
、高橋、
宇都宮
三君に
臨床尋問
をお願いいたしたいと存じます。その
期間
は
委員長
に御一任を願いたいと存じます。 第四、兵器処理問題につきましては、大体の
基礎調査
を了しましたので、この際小
委員会
を廃止いたしたいと存じます。
佐世保事件
につきましての
調査報告原案
が
提出
せられましたが、これはこの要旨を最近の
委員長報告
に盛ることといたしたいと存じます。右一括して御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
武藤運十郎
2
○
武藤委員長
ではさよう決します。 なお第五回分の八月分の
委員長報告
はお
手もと
に差上げてあります通りに
喜議長あて提出
の件、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
武藤運十郎
3
○
武藤委員長
ではさよう決します。 本日
出頭
の
証人
は
伊藤卯四郎
君、
俵田明君
、
竹鶴可文
君、三名です。
石炭
國管
問題について
証言
を求めるため御
出頭
を
願つた
次第であります。
証言
を求める前に各
証人
に言御注意を申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました
昭和
二十二年
法律
第二百二十五号、議院における
証人
の
宣誓
及び
証言等
に関する
法律
によりまして、
証人
に
証言
を求める場合には、その前に
宣誓
をさせなければならぬことにな
つて
おります。
宣誓
または
証言
を拒むことのできるのは一般の人については、
証言
が
証人
または
証人
の
配偶者
、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び
証人
の後見人または
証人
の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある
事項
、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき
事項
に関するときに限られ、
医師
、
歯科医師
、薬剤師、
薬種商
、産婆、弁護士、
弁理士
、
弁護人
、
公証人
、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあ
つた者
については、その職務上
知つた
事実であ
つて
黙祕すべきものについて
尋問
を受けたときに限られております。それ以外には何人も
宣誓
または
証言
を拒むことができないことにな
つて
おるのであります。なお
証人
が正当の理由なくして
宣誓
または
証言
を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ
宣誓
した
証人
が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることにな
つて
おるのであります。一應このことを御
承知
にな
つて
いただきたいと思います。では
法律
の定めるところによりまして
証人
に
宣誓
を求めます。御起立の上お
手もと
に差上げてある
宣誓書
を朗読していただきたい。
伊藤
君
代表
してお読みください。 〔
証人伊藤卯四郎
君各
証人
を
代表
して
宣誓
〕 〔各
証人宣誓書
に
署名捺印
〕
武藤運十郎
4
○
武藤委員長
それでは
伊藤
君、俵君、
竹鶴
君という順序でお話を伺いますから、
伊藤
君以外の御両君はもうしばらくお待ちを願います。 それでは
伊藤
君に伺います。あなたは
社会党
の代議士ですね。、
伊藤卯四郎
5
○
伊藤證人
そうです。
武藤運十郎
6
○
武藤委員長
昨年
石炭
國管
問題の上程せられました当時、
鉱工業委員会
の
委員長
をしておられましたか。
伊藤卯四郎
7
○
伊藤證人
そうです。
武藤運十郎
8
○
武藤委員長
その
法案
が上程せられます前後に、全國の
業者
がこれに
反対
の
運動
をしたようでありますけれども、その
運動
について、あなたに対して直接
運動
があ
つた
かもしれませんが、そのほか
運動
に関してあなたの知
つて
おられることをやや詳細に述べていただきたいと思います
伊藤卯四郎
9
○
伊藤證人
團体代表
から正式に
委員長
の私は
反対運動
を聽いたことはありません。ただ
商工大臣
の官邸で、
法案
を
與党
三派でつくり、
政府案
として
要綱
ができた折に、
経営者代表
と
労働組合代表
に、二回にわた
つて
それぞれ
商工大臣
、当時の
和田安本長官
、
加藤労働大臣
もいたようでありました。私も
法案
の
立案者
とし
委員長
としてその席におりましたときに、大体こういう
要綱
で
炭鉱国家管理法案
をつくるつもりであるから、
協力
してや
つて
もらいたいということを述べましたときに、
経営者側
は強い
反対
の
意思表示
をしておりました。
労働組合
は原則的には
賛成
であるが、もつと進歩的なものをつく
つて
もらいたい。こういうことがありました。その後は私
委員長
に直接
業者
の
代表
が、院外においても
院内
においても
陳情
はありませんでした。それは私が大体
社会等
としまして
炭鉱国管法
の
原案
を種としてつくりましたし、最も進歩的なものを私どもが考えてお
つたの
でありますけれども、
片山内閣
は御
承知
のように
民主党
、
國民協同党
と
協力
してできておりましたので、やはり私ども相当譲歩しなければならないという
立場
にありましたので、そういうことがきわめて明白であ
つたの
で、おそらく
業者
は私に
反対意見
なり
陳情
をしてみたところで問題にならぬであろう、こういうことから私にはおそらく
反対意思表示
を具体的にも
つて
こなか
つたの
だろうと思います。
武藤運十郎
10
○
武藤委員長
正式な
陳情
はなか
つたよう
でありますけれども、
九州方面
また
北海道方面
の
炭鉱業者
と個々に、あるいは数人で面接せられたようなことはございませんか。
伊藤卯四郎
11
○
伊藤證人
大体私が
昭和
十六年、戰争が始まりますに年ほど前に、福岡県においてみずから
鉱業権
を持たない
請負堀
、
斤先堀
をしておる
極小炭鉱
の
諸君
の
組合
をつくりまして、その後私が
組合長
にな
つて
おりました。ところが
昭和
十六年のあの大戦争の始まります
直前
に、
政府
の方針として、そういう大きいところから中小の
業者
の組織を統一しなければならぬということで、私が
組合長
をしておりました
極小炭鉱
も
北九州石炭統制機関
に
統制
を命ぜられたのであります。私がその
北九州石炭
の
統制機関
に
極小炭鉱
の
業者
の
代表
として、重役として
戰時中参加
をしておりました。そういう
関係
がありまして、その後も
鉱業権者
と
鉱業権
をもたないものとの間に、絶えずトラブルが起
つて
おります。そういう問題を解決してやらなければならぬ点もしばしばありまして、それからその後
炭鉱労働組合
も
相当発達
をしてきまして、
経営者
の
関係
と
労働組合
との
関係
で、絶えず問題がありますので、
鉱業会
の事実上実権を握
つて代表
をしておりました
武内禮藏君
と
龍名館
において、たしか二、三回そういう問題で会
つた
ことがありました。当時私も
石炭増産協力会
の会長もしておりましたので、できるだけ
現場
におけるそういう問題を
早急解決
をしてやることが、
増産
上非常によろしいと
思つて
お
つたの
で、そういう
関係
で二、三回会
つた
ことがありました。たまたま
炭鉱國家管理法
が上程されるであろうという
空気
が出てまいりましたときに、そういう問題に触れて話し合
つた
こともあります。ところが
業者側
は
眞向
から
炭鉱國家管理法案
に
反対
である。そういうことは
社会党
がイデオロギー的に漸次し本主義の外濠を埋めていく、社会主義化する
法案
であるから、絶対に
反対
だ、こういうことを盛んに
言つて
おりました。私も当
時世会党
の案を主としてつくろうとしておりましたので、いろいろ説明もしてやりますけれども、
連中
はそれを聽こうとせないで、とにかくそういう
法律
は
反対
だと
言つて
おりました。
武内
君なども、君とは従来いろいろの
関係
で知
つて
おるけれども、
炭鉱國管
に関する限りにおいては、君とま
つた
く
意見
が相反するし、この問題に関する限りは、個人的にも公にも絶対に面会、すまい、こういきまいた話もあります。私も、
諸君
がこの程度の
法律
でさえ
利潤追求
の点から話がわからないとすれば、もう
諸君
に理解を求めるために話する必要もないということで
國管法
が
議会
に上程される前に、そういう衝突をしまして、別れたのでありますが、それ以後
炭鉱國家管理法
が
通過
するまで、なお
通過
した後も会
つた
ことはありません。なお私がこの
法案
を取扱
つて
おりましたときに、
新聞
にも二回ばかり出たようでありますが、今度
伊藤
が
九州
に來たらば、手足をたたき折
つて
しまう、彼を絶対に
九州
に入れないだろうということなども
新聞
にも書いてあ
つた
。
脅迫状
もたしか十何通ぐらい
電報
や脅迫黙が舞い込んできたこともありました。そういう事情ですから、
連中
はもう私を目の仇にしていたので私のところに来ても駄目だと
思つて
おそらく來なか
つたの
だろうと思います。それから
法案
が
委員会
に上程されまして、三箇月間にわた
つて
審議
が
遅々
として進まなか
つたの
であります当時
鉱工業委員
は三十名でありましたが、三十名のうち十八名は
與党側
で、十二名が
野党側
であ
つたの
であります。
與党
十八名の
委員
は、当然
政府
から
提出
した
管理法案
に
賛成
すべき
責任
があ
つた
にもかかわらず、
審議
の過程を通じて、
野党
と
與党
の開きが逆轉してきたのであります。
野党側
が十七、八名にな
つて
、
與党側
が十二、五名ということにな
つてしまつたの
であります。そういう
関係
で、
委員長
としてこの
法案
を
通過
さすべく
審議
をすることができなくな
つて
きて
しまつたの
であります。当時
野党側
としては
引延し戦術
で、
法案
をだれが
反対
したかわからないようにして、
審議未了
で葬
つて
しまおうという
計画
でや
つて
いたのでありました。私も
委員長
として、本
会議
から、あるいは
政府
から付託されて預かりました
法案
を、三箇月もかか
つて
審議未了
に終らすようなことに立ち
至つて
は、重大な
責任
がありますので、この問題については
民主党
の
芦田総裁
あるいは
國協党
の
三木委員長
にも、
所属鉱工委員
全部に
協力
をしてくれるように
責任
をも
つて
もらわなければならぬじやないかということで、
審議経過
を加えて
協力方
を求めたのでありますけれども、それはま
つた
くだめでした。そういう点からついに本
会議
の方から、あまり
遅々
として進まないが、どうしているのかというような点から、御
承知
のように
委員長
の
中間報告
を求あられたのであります。当時御
承知
のように、この
法案
をめぐ
つて暴力乱闘事件
が続いておりましたので、
委員長
の
審議経過
の
中間報告
をするにあた
つて
も、
野党側
はこれをやらせないということでありました。しかもそういう点がら、
與党
であ
つた
委員
が
野党
に鞍替えして多数をも
つて
おりましたために、
委員長
の
中間報告
をやらせないという問題、あるいは
委員長
が
議事
を進行させようという問題についてま
つた
く
反対
でありまして、ついに
委員長不信任
の
決議
をした。そういうようなこともや
つて
おります。それから
委員長
が
会議
を招集しましても、過年数の
諸君
はその招集に應じて
出席
をせないで、
審議権
をみずから放棄する、そういう
状態
もあ
つたの
であります。しかし当時過半数に達せない
委員諸君
と相談をいたしまして、本
会議
から
委員長
に
審議状況
の
中間報告
をせよということであるし、
審議権
を放棄して出て來ない
委員
に対しては、もう諮る必要はないから、当然
委員長
として
中間報告
をやれということでありまもたので、や
つたの
であります。ところが併せて、これに今度
中間報告
をや
つた
というので、
懲罰動議
を本
会議
に
提出
すべく
用意長委員部
の方に届けてお
つたよう
であります。そういうことで、私としては
不信任
は出され、しかも
懲罰動議
は出され、そこまで追い込まれて
しまつたの
であります。 ところが、そういう
状態
になりましたので、
委員会
では
與党
の
委員
を
野党
に鞍替えさせ、
賛成
させたから、
委員会
は多数で
否決
することができるけれども、本
会議
において
通過
をさせられる。そういう
状態
になれば、
審議未了
にも
つて
いく
計画
は敗れるから、せめて
委員会
だけでもこれは
否決
してしま
つて
、あるいは参議院にも
否決
の
影響
を與え
ようじ
やないか、あるいは
委員外
にもそういう
否決
の
影響
を與え
ようじ
やないかということから、
引延し戰術
を今度は逆にしまして、質問打切り、
討論省略
、直ちに
採決
しろというような
空気
が圧倒的にな
つて
きたのであります。そういう点から、私としましては、そういう
陰謀計画
のもとにのみ多数で左右されるということは、
委員会
の権威の上から見ても、正しい
審議
の上から見ても、私ははなはだおもしろくないということを考えたのでありますけれども、当時のいろいろな
院内
の
いきさつ
は、遂に
委員会
において
否決
をさせて、本
会議
で可決をさせられるという結果にな
つたの
でありますが、私として、当時最後の
委員会
の
採決
の折に、
委員長
の席に着かなか
つた
ということは、
委員長
に
不信任
を
決議
したということは違法であるということが
議長
からも裁定されたのであります。同時に
審議権
をみずから放棄して、
審議
に加わらずしてお
つて
、今度私が
中間報告
をしたことについて
懲罰動議
を出しておりましたので、私は
委員長不信任
と
懲罰動議
を撤回せない限り、
委員会
の
議事
を円満に遂行することはできないし、そういうような圧迫的な
状態
で、
委員長
として
議事
を進行さすことはできないというのでありましたけれども、当時のいろいろの政情からして、
委員会
が
否決
にな
つて
もいいから開いてくれという、開くならば別箇な、だれか
理事
が
委員長
の代理としてや
つて
くれということで、私はそういう
いきさつ
で当時その
委員長
の席に着かなか
つたの
であります。それは
與党
に対して私は
不満
があ
つたの
であります。
野党
の作戦にことごとく押されてきて
妥協協調
をせなければならぬということは、あまりにも私はふがいないということを考えたので、私はその処置にはなはだ
不満
であ
つたの
で、
委員長
の席には着かず、
採決
にのみ加わ
つて賛成
をしたのでありますけれども、
野党側
が多数であ
つた
ために
委員会
が
否決
でありました。そうして本
会議
において御
承知
のように
通過
をした。これが大体
委員会
の
経過
の大筋であります。
武藤運十郎
12
○
武藤委員長
そこで当時
石炭業者
も非常に猛烈な
反対運動
をする、その
反対運動資金
として、
トン当り
いくら集めたとかいうようなわけで、相当な金がばらまかれたというような説が濃厚なんですけれども、
與党
から
野党
に替
つた
というようなこと、その他を中心として、さような事実について多少あなたは
御存じ
のことはありますか。
伊藤卯四郎
13
○
伊藤證人
これは
日本
でも最初に
法案
として取上げられました、非常に民主的な
國家管理法案
でありましたが、もつと進歩的なものをつくれという、相当な
反対意見
があ力ましたので、輿論に問う
意味
において
公聽会
を四日間にわたつ、て開いたことがありました。それは
炭鉱主
を主体として、
日本
の
産業金融資本家代表
から二十何名くらい、
労働組合代表
をやはり二十何名くらいと、
中立関係
の
人等
で、五十人ほどで四日間
公聽会
を開きましたがその
折日本
の
資本家側
はあげて
國管反対
でありました。
労働組合側
はあげて
賛成
であるが、もつと理想的なものにしてくれという
要求
でありました。その折に
労働組合代表
から
トン当り
七円と
つて
おるとか、十円集めたということが公に出されたのであります。それは当時の
速記録
に載
つて
おりますが、そういうことで話をしては、そういう公の場合にそんな
意見
が出たこと、あるいはその後
風説
としては
労働組合関係
、その他の
関係
からも
トン当り
七円集めたとか十円集めたとか十五円集めたとか、あるいは何十万円集めて
運動資金
に
使つた
というようなことは、それぞれ
風説
としてはずいぶん聽きましたけれども、具体的に私はそれを知り得ていないのであります。それというのはあの
國管法
にほとんどいじめられて没頭しておりましたためと、
業者関係
から非常な憎むべき敵であるというように思われてお
つた関係
もあろうと思うのでありますが、そういう点は具体的に私は知ることができなか
つたの
であります。
業者
の中にも知
つて
おるのもおりますけれども、そういうことで
國管
問題に関する限りにおいては会わない。それから私もまた会う必要もないと思
つた
し、
会つて
もま
つた
く問題にならないと
思つて
おりました。そういうことで
連中
の
グループ
に連絡することができなか
つたの
で、具体的にその
内容
にわた
つて
私は知ることができないでおるのであります。ただ
風説
のみであります。
武藤運十郎
14
○
武藤委員長
あなたのところへ何か、金を持
つて
來たとか何かということはございませんか。
伊藤卯四郎
15
○
伊藤證人
私のところには金を持
つて
来た者は一人もありません。私の寮に初めまだ
法案
が出る前でありましたが、
反対
だと
言つて
来た者はありましたけれども、それは
石炭
を
國家
の
計画
通じ出すためには私企業に任しておいてはいかない、それから
増産法
であるから君らのためにもなるじやないか、また
労働者
の
協力
を得なければ
増産
にはならぬのであるから、そのためには
労働者
の権益その他を認めることになるだろうとか、いろいろそういう話をしてやりまして、話をした者は、大体時代に逆行することはできないだろうというようなことで
帰つた者
が二人ほどありましたが、これらはその場ではわか
つたよう
であるが、しかし
あと
からは依然として
反対運動
をや
つて
おりました。それから
院内
でも、あの
諸君
がどやどや来て
反対
をや
つて
おりますときも、私はばかなことをして金を
使つて反対運動
などやらないで、山に
帰つて炭
でももつと掘
つて
くれないか、君らが
反対運動
をすれば
労働者側
がもつと理想的なものをつくれと
言つて
この
運動
を起してくるだろう。そうすると
現場
はあき家にな
つて労資対立
の
状態
にな
つて
非常な減産になるじやないか。そんなばかなことを金を使
つて
しておらぬで山に帰れということを
院内
でも何人かに私は警告をしたことがありますけれども、私のところにそれ以上の話を持
つて
来た者はありません。
武藤運十郎
16
○
武藤委員長
何かお尋ねのことがございますか。
梶川靜雄
17
○
梶川委員
脅迫状等
が当時十数通
参つた
という話でありますが、それは今
手もと
にお持ちにな
つて
おりますか。
伊藤卯四郎
18
○
伊藤證人
反対電報
が二百何十通くらい来てお
つた
が、それは全部この
國管
が済んだ後整理してしまいました。
院内
で同志に見せたのもありましたけれども、その後それは整理してしまいました。
梶川靜雄
19
○
梶川委員
脅迫状
というのは十何通は書状で来たわけですか。
伊藤卯四郎
20
○
伊藤證人
電報
が一通でほとんどはがきです。
梶川靜雄
21
○
梶川委員
それも整理してしまわれ、たわけですか。
伊藤卯四郎
22
○
伊藤證人
そうです。
梶川靜雄
23
○
梶川委員
どこから來たということは記憶はないですか。
伊藤卯四郎
24
○
伊藤證人
ほとんど一
経営者
であるとか、中には一
労働者
、
炭鉱
一
労働者
とい
つて
書いたのもありますが、中には
労働組合
から
反対
だと
言つて電報
が来ておるので、調べてみたら、その
労働組合
はそんな
反対電報
は打
つて
おらぬと
言つて
いますから、これも
業者関係
かその
グループ
から打
つた
電報
だろうと
思つて
おりますが、
佳所氏名
を明らかに書いたものはありません。皆匿名の形でや
つて
おりました。
梶川靜雄
25
○
梶川委員
話は別ですが、
配炭公團関係
の方はどういう
態度
をと
つて
おりましたか。
伊藤卯四郎
26
○
伊藤證人
配炭公團
の
関係
は
労働組合
の方は
炭鉱労働
と
関係
がありますけれども、これは別に
労働組合
と
協力
して具体的な
運動
を起してくるというようなことはなか
つたよう
です。ただもつと理想的なものを
労働組合
としてつくらす必要があるのじやないかというようなことは、
配炭公團
の
労働組合
にあ
つたよう
です。それから
組合
以外の
配炭公團
の
幹部
は具体的に何もや
つて
おらなか
つたよう
です。
梶川靜雄
27
○
梶川委員
別に
配炭公團
の
幹部
は
反対
という
立場
は表明しなか
つたの
ですか。
伊藤卯四郎
28
○
伊藤證人
それは私の目につく限り、また聞いた範囲においてはなか
つたよう
でした。
梶川靜雄
29
○
梶川委員
配炭公團
の八代という人を
御存じ
ですか。
伊藤卯四郎
30
○
伊藤證人
一知
つて
おります。
梶川靜雄
31
○
梶川委員
その人は相当
反対
に奔走してお
つた
ことはありませんか。
伊藤卯四郎
32
○
伊藤證人
私の知る限りにおいてはをしたということは二遍も見聞きしたことはありませんでした。
中村元治郎
33
○
中村
(元)
委員
証人
にお尋ねすることは少し無理だと思うのですが、今あなたの口からも、
與党
のうちからも
反対
せぢれたことがあ
つた
と言われましたが、それは事実ですか。
伊藤卯四郎
34
○
伊藤證人
そろです。それは御
承知
のようにすでに
民主党
の中においても八名の
委員
中、本
会議
の
決議
の場合に加わ
つた人
は二人であります。
西田
君は熱を出して
出席
はできなか
つた
と聞いておりますが、
西田
君が
病粛
でなくて
出席
できたとしても三人であります。そうすると五名の人は
除名
脱党された
人たち
でありますから――当時御
承知
のようにこの
法案
をめぐ
つて民主党
の中には三十名近くからの
除名脱党者
が出たのでありますから、
與党
の中に。おいてもそういう人があ
つた
ことはきわめて明白であかます。
中村元治郎
35
○
中村
(元)
委員
そういたしますと、
社会党
内の
左派
のうちにも
反対態度
の人があ
つた
でしよう。
伊藤卯四郎
36
○
伊藤證人
それではついでに附け加えておきますが、
社会党
にも当時衛藤君どいう
業者
がおりまして、この人は
決議
の折に
出席
しませんでしたので、
統制
に徒わなか
つた
というかどで
社会党
から
除名
をいたしました。それから
左派
の方で
反対
というのは、当時
鉱工業委員
の一人でありました
岡田
君、これは
法案
が生ぬるい、もつと理想的なものでなければならぬというので
反対
でありましたが、これは同じ
反対
でも、
法案
絶対
反対
でなくて、もつと理想的なものにせなければならぬという
意味
で
反対
をしておりました。しかし
あと
で
統制
に従いまして、
委員
を辞任して、代りの
委員
を入れてごの
採決
に
参加
をいたしました。
中村元治郎
37
○
中村
(元)
委員
ところで、当時
業者
の方から
岡田春夫
氏に五十数万円という金を渡されたというようなことを聞くのですが、あなたはそういうことをお聞きになりませんか。
伊藤卯四郎
38
○
伊藤證人
私は
岡田
君は理想的な点から
反対
してお
つたの
だから、そんなばかなこ乏はないだろうと今
思つて
おります。
徳田球一
39
○
徳田委員
あなたの
東京
での住所はどこでしようか。
伊藤卯四郎
40
○
伊藤證人
日鉄
の
従業員組合
の寮です。
徳田球一
41
○
徳田委員
初谷寮
というのですか。
伊藤卯四郎
42
○
伊藤證人
そうです。
徳田球一
43
○
徳田委員
神田淡路町ですね。
伊藤卯四郎
44
○
伊藤證人
そうです。
徳田球一
45
○
徳田委員
そこは
龍各館
のすぐ隣りだそうですぬ。
伊藤卯四郎
46
○
伊藤證人
二丁ぐらい離れております。
徳田球一
47
○
徳田委員
そういう
関係
でしよつちゆう
龍各館
との間に行き來があ
つたの
ですか。
伊藤卯四郎
48
○
伊藤證人
私は
衞藤
君が
除名
される前には
社会党
の議員でありましたし、それから私の知
つて
おる者もあそこによく
九州
から出てきて泊りますし、
組合
の者も何回か
泊つた
こともあります。そういうことで私は
國管法
が
議会
に上程される前は何遍も行きました。そうしてそういう
諸君
とも会い、先ほど説明しましたように
武内禮藏君
とも、
斤先業者
と
現場
における
労働組合
の問題で三回ばかり会いました。それ以外に
労働組合
の
関係
とか何かで何回も行きました。
徳田球一
49
○
徳田委員
國管反対
のときには、何ら
関係
はないのですか、
龍名館
と……。
伊藤卯四郎
50
○
伊藤證人
私がさつき説明したように、
國管
が
議会
に上程される
直前
から、
連中
とはま
つた
く
意見
が対立するものである、いくら話してもわからぬものであるということで、言わば議論わかれになりました形にな
つて
おりますので、それからとかくの誤解も生れるし、またこう見られるのもおもしろくないという気持もありましたから、それで
國管
が九月上程されてから、昨年九月以後行きません。
徳田球一
51
○
徳田委員
龍名館
のその当時の
内容
はおわかりにならないですか。
伊藤卯四郎
52
○
伊藤證人
だから
反対運動
した
連中
が、盛んに
参謀本部
に来てや
つて
おるということを聞いておりますが、そのころはてんで行かぬから、どういう
諸君
がどう集ま
つて
、どういうことをや
つて
お
つた
か知りません。
徳田球一
53
○
徳田委員
酒を七十万円も飲んだというが、そういう
状態
はわがりませんか。
伊藤卯四郎
54
○
伊藤證人
それはわからぬ。
徳田球一
55
○
徳田委員
もう一つお尋ねします。
九州
に
鉱工業委員会
が全体としてかあるいは
委員会
のいくらかの人々が行かれまして、向うで
業者
との間に懇談会か何かやられたことがありますか。
伊藤卯四郎
56
○
伊藤證人
当時鉱工
委員会
で、北海道と
九州
の炭田の
増産
状況について正式に院議により調査に行
つた
ことがありました。私は
國管法
との問題もありまして、忙しくて行けなか
つた
が、双方
委員
の
諸君
に行
つて
もらいました。当時の報告なりいろいろ話を聽きましたが、
労働組合
の
代表
あるいは
経営者
の
代表
というようなことで、そういう点は非常に公平な
立場
に立
つて
調査をしてきたという報告を聽いております。
徳田球一
57
○
徳田委員
九州
では大饗應をしたという話でありますが、そういうことをお聽きになりませんか。
伊藤卯四郎
58
○
伊藤證人
私はそのことは聽いて、おりません。あるいはその後山でいろいろ調査をしたり、座談会をや
つた
り後で、夕飯ぐらい招ばれることはあるだろうと思うが、それ以外のことで饗應にあずか
つた
というような話は、
現場
の
労働組合
の
諸君
からも聽いておりません。
徳田球一
59
○
徳田委員
あなたは行かれなか
つた
ですか。
伊藤卯四郎
60
○
伊藤證人
行きませんでした。
徳田球一
61
○
徳田委員
宇部にも出張した。
鉱工業委員会
から派遣したことはありませんか。
伊藤卯四郎
62
○
伊藤證人
そのときには
九州
は山口、
九州
、北海道は常磐、北海道ということにな
つて
おりますから、私今調査報告を忘れましたが、宇部にも寄
つて
くれておるかどうか、私よくわかりません。
石田一松
63
○石田(一)
委員
先ほどあなたの
証言
の中に、
民主党
の
芦田総裁
と国民協同党のの
三木委員長
に
協力方
を申込んだけれども、ついにこれは無駄に終
つた
。効果が何もなか
つた
ということですが、効果がなか
つた
ということは何か
三木委員長
に
協力
を申込んだことと
関係
がありますか。
伊藤卯四郎
64
○
伊藤證人
いえ、それは私当時
委員長
として
審議
が
遅々
として進まないし、それから
與党
の
委員
が
野党
と組んで、この
審議
を
計画
通りやれないような
状態
に陷しいれてきたので、これでは
與党
多数をも
つて
おりながら、
委員会
をして
計画
通りに
審議
させることはできぬじやないか、こういう
状態
であるから、一つ
國協党
の
三木委員長
にもこの
状態
を見て、さらに
協力
してもらいたい。
民主党
の
芦田総裁
にも、こういう
状態
ではやれぬ、
與党
を多数も
つて
おりながらはなはだ不見識である、だからひとつ党内から選出されておる鉱工
委員
に対しては特に
審議
に
協力
をするように、
統制
をと
つて
や
つて
もらいたいということをや
つたの
でありますが、結果においてさつき申し上げたように、
民主党
の
委員
の大多数が
野党
と一緒に行動されたので、結論として効果がなか
つたの
であります。
石田一松
65
○石田(一)
委員
その
責任
は何も
三木委員長
にはないわけですね。
伊藤卯四郎
66
○
伊藤證人
そうです。
石田一松
67
○石田(一)
委員
それからもう一つ伺いますが、
委員会
においてに
與党
の員で
反対
の側にまわ
つた
、こういう結果は私たちは知
つて
おるのですが、初めのうちは何だか
賛成
だか
反対
だかよくわからない、むしろ
賛成
與党
的
立場
にいた人が、
審議
の過程において逆轉をした、こういうことでありますが、では最初は逆轉したというほどのことはなか
つた
かということであります。
伊藤卯四郎
68
○
伊藤證人
最初は割切れないようなかつこうで……。
賛成
しでおるともはつきり言えなか
つた
が、ともかく何でもこの
法案
を出すことは
不満
だというような気分でした。何か割切れぬ評うな形であ
つた
が、ひにちが経つに従
つて
だんだん
野党
と一緒にな
つて
、
法案
には絶対
反対
だということになりました。
石田一松
69
○石田(一)
委員
それは
審議
をし始めて相当
期間
が経
つて
からですか。
伊藤卯四郎
70
○
伊藤證人
だんだんやつおるうち、に
態度
が
野党
と一緒にな
つて
きたので、いつごろかということははつきり言えぬのです。
石田一松
71
○石田(一)
委員
そうすると、最初のうちは割切れない
不満
があるのではないかというような
態度
であ
つた
が、
審議
が
経過
するに從
つて
、はつきり
反対
の
態度
察しを示し、しまいにはますます強烈にな
つて
きた、そういうふうに了解してよいのですか。
伊藤卯四郎
72
○
伊藤證人
そうです。
石田一松
73
○石田(一)
委員
もう一つお伺いします。ただいま
中村
委員
からも質問がありましたが、いわゆる
社会党
の
左派
、名前を具体的に言えば
岡田
氏ですが、
岡田
氏はもちろん
委員会
においても修正案に
反対
で、
原案
に
賛成
であるという
態度
を、
委員
を辞任されるまでもち続けた人ですか。
伊藤卯四郎
74
○
伊藤證人
そうです。
石田一松
75
○石田(一)
委員
今もそういう問題が出ましたが、
岡田
氏がこの
原案
を固執して、あの当時の情報によると、本
会議
における修正案の提案されたときに、
左派
の
人たち
は棄権するだろうというような
風説
が高か
つたの
ですが、それが
社会党
内の了解工作の問題で議場で
賛成
をなさ
つた
。要するに棄権するのではないかというような情報が飛びましたが、
岡田
氏に対して金銭問題はともかく、何らか
業者
が働きかけたという事実を
御存じ
ありませんか。
伊藤卯四郎
76
○
伊藤證人
私はそれはないと思います。先ほど申し上げたように、
委員会
においても党の
統制
に従
つて
委員会
を辞任し、本
会議
の最後の
採決
に互いても党の
統制
に従
つて
行動しておるのでありますから……。
石田一松
77
○石田(一)
委員
それは
岡田
氏の方に、その意思がないことはわかるのですが、
岡田
氏に働きかけた
業者
があることを御記憶はないのですか。
伊藤卯四郎
78
○
伊藤證人
それはわかりません。
石田一松
79
○石田(一)
委員
それでは働きかけたというど語弊があるかも知れませんが、
岡田
氏と会
つた
というような
業者
があることは……。
伊藤卯四郎
80
○
伊藤證人
それもわかりません。
石田一松
81
○石田(一)
委員
ではよろしうございます。
武藤運十郎
82
○
武藤委員長
ほかにございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ―――――――――――――
武藤運十郎
83
○
武藤委員長
それでは済みました。
武藤運十郎
84
○
武藤委員長
俵田
さんでずね。
俵田明
85
○
俵田
證人 はあ。
武藤運十郎
86
○
武藤委員長
あなたは
昭和
二十二年中には
日本
石炭
鉱業会
の
理事
で、西部
石炭
鉱業会
の会長でありましたか。
俵田明
87
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
88
○
武藤委員長
いつからいつまででしたか。
俵田明
89
○
俵田
證人
鉱業会
の始ま
つた
ときから、本年の解散するまで、
理事
をしておりました。
武藤運十郎
90
○
武藤委員長
今は西部
石炭
鉱業会
の会長でもないのですか。
俵田明
91
○
俵田
證人 ただいまではやめております。何か相談役か顧問かでありましよう。今は
鉱業会
というものはありませんので、協会でございます。
武藤運十郎
92
○
武藤委員長
御
承知
の昨年の
議会
に上程されました
石炭
國管
案、これに
業者
はこぞ
つて
反対
をされたようですけれども、西部の方もやはり同じような歩調でありましたか。
俵田明
93
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
94
○
武藤委員長
反対運動
をしようというのに、どういう方法でやろうということを西部の方はきめましたか。
俵田明
95
○
俵田
證人 そういう具体的のことはきめませんでしたが……。
武藤運十郎
96
○
武藤委員長
そうすると、大体
日本
石炭
鉱業会
の
理事会
または総代会できめられた方針で行動する、そういうわけでありますか。
俵田明
97
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
98
○
武藤委員長
政治家あるいは大臣等を訪問したり、あるいは
陳情
したりしましたか、あなたはまたはあなたの西部の方から。
俵田明
99
○
俵田
證人 私は
東京
に出てくることは出て來ましたが、衆議院にはあまり出ませんでして、一度
鉱工業委員会
かを傍聽に出ました。それから
商工大臣
の官邸で一度
意見
の交換会か何かあ
つた
ときに出ました。それと、総理大臣の官邸に呼ばれたのか、われわれが参
つたの
か、よく記憶しておりませんが、参りまして、
國管
問題について
陳情
したように存じております。
武藤運十郎
100
○
武藤委員長
まあその程度ですか、
俵田明
101
○
俵田
證人 はあ。
武藤運十郎
102
○
武藤委員長
石炭
國管
反対運動
をするために金を
業者
から集められたようでありますけれども、西部ではどんな方法で、どんな金額が集められました
俵田明
103
○
俵田
證人 西部ではいろいろ
運動
するためにすく上京しなくてはならぬと申しますので、旅費が要るのだがどうしようかと協議しましたのですが、
トン当り
いくらという会費か寄附かをとろうかという協議になりましたけれども、やはり全部がそういうものを出すか出さないかよくわかりませんので、公衆から出すものは寄附金として出してもらおうじやないかということにいたしました。
武藤運十郎
104
○
武藤委員長
トン当り
いくらときめたわけではないのですか。
俵田明
105
○
俵田
證人 最初はトーン当りきめましたけれども、それを徴收することはぐあいが悪いのではないか。出さぬ人も出てくるのではないかというので出す人は寄附という形で出してもらおうということにいたしました。
武藤運十郎
106
○
武藤委員長
私の方で求めた報告を総合してみますと、七月は二円、八月は五円、九月は七円とそれぞれトン当集めているようですが、そうではありませんか。
俵田明
107
○
俵田
證人 全部集ま
つた
かどうか私は知りませんけれども、大体集まりましたでしよう。
武藤運十郎
108
○
武藤委員長
その金額がいくらぐらいになりましたか。
俵田明
109
○
俵田
證人 大体百三十万円くらいにな
つた
と思います。
武藤運十郎
110
○
武藤委員長
それをどういうふうにお使いになりましたか。
俵田明
111
○
俵田
證人 それを上京者の旅費並びに國元の方の会合や印刷費、
新聞
廣告というようなものに使いました。
武藤運十郎
112
○
武藤委員長
上京の費用はどんな割合ですか。
俵田明
113
○
俵田
證人 これも一日日当いくらにしようかというようなことまで協議しましたけれども、田舎でありまして、
東京
の相場はよくわかりませんので、実費を拂おうということにしまして、
鉱業会
の若い人をつけて出しました。そしてその人に大体上京者の実費を支拂わすことにいたしました。
武藤運十郎
114
○
武藤委員長
そうすると一人一日いくらというふうに、あらかじめきめたことはないのですね。
俵田明
115
○
俵田
證人 そういうことはきめませんでした。
武藤運十郎
116
○
武藤委員長
実費というと、五百円かかることもあるし、千円かかることも、二千円かかることもあるわけでありますか。
俵田明
117
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
118
○
武藤委員長
それぞれ上京した者に若い者をつけたわけでありますか。
俵田明
119
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
120
○
武藤委員長
そうするとその清算は行
つて
使う入用なものを若い者が拂うということになるのでありますか。
俵田明
121
○
俵田
證人 そうであります。
武藤運十郎
122
○
武藤委員長
その明細は記帳されておりますか。
俵田明
123
○
俵田
證人 もちろん記帳されていると思います。
武藤運十郎
124
○
武藤委員長
しかしもう国管問題は十二月一ぱいで終
つたの
ですから、その清算なり決算報告なりをなさ
つたの
ではないのですか。
俵田明
125
○
俵田
證人 大体や
つて
おります。
武藤運十郎
126
○
武藤委員長
そうするとだれがいつ行
つて
いくら実費がかか
つて
合計でいくらになる、印刷費がいくら、会合費がいくらという明細書をお出し願いたい。それからそれを記帳されておる帳面ですか傳票ですか、そういうものの資料を併せて御
提出
を願いたい。來月の五日ぐらいまでに御
提出
願えます。
俵田明
127
○
俵田
證人
承知
しました。
武藤運十郎
128
○
武藤委員長
それでは御面倒ですが、來月の五日までに御
提出
を願いたいと思います。 そこで一つ伺いたいのですが、
業者
が
反対
のために金を集めて、その金を買收とか饗應に議員を中心にばら散いたという説が大分大きいのですけれども、あなたの方の
関係
ではそういうことはございませんか。
俵田明
129
○
俵田
證人 それはありません。
武藤運十郎
130
○
武藤委員長
そういう話をお聞きにな
つて
おりませんか。
俵田明
131
○
俵田
證人 私は郷里の方が主でありましたから、あまり
東京
の方の様子はよく存じませんが、聞いたようにも記憶しておりません。
武藤運十郎
132
○
武藤委員長
何かお尋ねねことはありますか。
田中健吉
133
○
田中
(健)
委員
あなたの会社は宇部鉱業ですか。宇部鉱山ですか。
俵田明
134
○
俵田
證人 宇部鉱山です。
田中健吉
135
○
田中
(健)
委員
あなたのお名前で
石炭
の方に復興金融金庫からどれだけ融資を受けましたか。
俵田明
136
○
俵田
證人 大分大きな金にな
つて
おりますが……。
田中健吉
137
○
田中
(健)
委員
ここに一千万円以上のものの調べがありますが、あなたの方で
石炭
の融資を受けておられるか。それをお伺いしたい。
俵田明
138
○
俵田
證人 私の方は
炭鉱
が五つありまして、はつきり覚えておりませんが、千万円台ではないと思います。
田中健吉
139
○
田中
(健)
委員
何億でしようか。
俵田明
140
○
俵田
證人 何十億台と思います。
田中健吉
141
○
田中
(健)
委員
何十億というのはどれくらいですか。あなたは会社の首脳部ですからおわかりになると思います。
俵田明
142
○
俵田
證人 五、六億円ぐらい受けているのではないでしようか。
田中健吉
143
○
田中
(健)
委員
現在はどうな
つて
いるのでしようか。
俵田明
144
○
俵田
證人 現在そうです。
田中健吉
145
○
田中
(健)
委員
現在の残高は。
俵田明
146
○
俵田
證人 赤字金融というのがありますね。そういうものを皆ひつくるめて未清算にな
つて
いる部分です。
田中健吉
147
○
田中
(健)
委員
そういたしますると多分赤字金融ではなかろうかと思います。そこであなたの会社が
石炭
の国管
反対運動
の資金に一トンあたり七円とか十円とかお出しにな
つたの
でしようか。
俵田明
148
○
俵田
證人 私の会社は出しません。私の方の会社は制限会社でありますから……。
田中健吉
149
○
田中
(健)
委員
制限会社だけれども、何らかの形において
東京
の支社とか重役の
関係
においてお出しにな
つて
おらぬのですか。
俵田明
150
○
俵田
證人 出しておりません。
田中健吉
151
○
田中
(健)
委員
それははつきり申せますか。出していないということは、会社の帳簿に
なつ
でも何らかの形において出しているかいないか。
俵田明
152
○
俵田
證人 今度の
運動
に出張者が出張しますときには、旅費の共同計算ですか、そういう形で幾分か出しているかもしれません。
田中健吉
153
○
田中
(健)
委員
旅費の共同計算というのは、あなたの会社の方が
反対運動
に
東京
に出て來られる出張費としては出ているかもしれぬ、こういう
意味
ですか。
俵田明
154
○
俵田
證人 さようでございます。
田中健吉
155
○
田中
(健)
委員
そうしますと、その
反対運動
の出張費というものは普通の旅費ですか、それとも何か特別な旅費ですか。
俵田明
156
○
俵田
證人 何ですか。
田中健吉
157
○
田中
(健)
委員
反対運動
のために社員なり、重役の方が
東京
に出て来られるでしよう。それが普通の出張旅費であるか、何か特別な旅費であるか、経理がどうな
つて
いるか。これは制限会社の
関係
等、少し大事な点ですから……。
俵田明
158
○
俵田
證人 どういうふうに決算しているか、私はまだ詳しいことは存じませんが、私のところは社員は來ませんで、鉱業所長が出ております。
田中健吉
159
○
田中
(健)
委員
それは何という方ですか。
俵田明
160
○
俵田
證人 それは幾人もおりますが……。
田中健吉
161
○
田中
(健)
委員
それは今わかりませんか、來た方々の名前は……。
俵田明
162
○
俵田
證人 わかります。だれだれが來たかということははつきりわかりませんが、大体鉱業所長の名前は出ておりますから……。
田中健吉
163
○
田中
(健)
委員
俵田
さんはよくおわかりにならないようだから、何月何日にだれが来て、どれだけ
國管
案
反対
のための旅費を
使つた
かということを
あと
で御報告願えますか。
俵田明
164
○
俵田
證人
承知
しました。ただ御
承知
の通り、宇部地区ではちようどそのときに
國管反対
問題もありましたが、それ以上に
業者
が関心をも
つて
お
つた
ことは炭價問題で、これがむしろ宇部の方では
國管
問題というよりは炭價問題に重大関心をも
つて
お
つた
わけなんです。それで実は
國管
案の
反対
はつけたりで、ひとつ適正な損のいかないような炭價を盛
つて
もらわなければならなぬというその
運動
に来ておりまして、来た費用とか、来た人間はわかりますから、後で御報告申し上げます。
田中健吉
165
○
田中
(健)
委員
何だか
俵田
さんに逃げられそうにな
つて
きましたが、炭價改訂
運動
に来たんですが、それとも
國管
の
反対運動
に来たんですか。両方を兼ねてきたのですか。
俵田明
166
○
俵田
證人 それははつきりこれだけが
國管
の
反対運動
だ、これだけが炭價問題だというふうには区別がつきかねるのでございますけれども……。
田中健吉
167
○
田中
(健)
委員
そうしますと、なおその
内容
を詳細に知るためには、その行動の日程表というようなものを検討しなければならぬ。つまり同月何日は
反対運動
をや
つた
、何月何日は炭價の改訂
運動
をや
つた
、こういうふうに区別しなければ旅費の計算
内容
がはつきりしないと思いますが、今それをここでや
つて
もこまかくなりますから、それらの点をなるべく詳細に御報告願いたい。これもやはり来月の五日ごろまでにお願いできれば仕合せだと思います。
俵田明
168
○
俵田
證人
承知
しました。
田中健吉
169
○
田中
(健)
委員
それだけでございます。
石田一松
170
○石田(一)
委員
ちよつとお尋ねしますが、あなたは庄代議士というのを
御存じ
ですか。
俵田明
171
○
俵田
證人 知
つて
おります。
石田一松
172
○石田(一)
委員
それはあなたの選挙区の出身者ですか。
俵田明
173
○
俵田
證人 私の方の選挙区でございます……。
石田一松
174
○石田(一)
委員
そうするとこの人は
業者
ではない……。
俵田明
175
○
俵田
證人
炭鉱
は持
つて
おりましたが……。
石田一松
176
○石田(一)
委員
以前は持
つて
いた……。
俵田明
177
○
俵田
證人 今でも持
つて
おりますか、
鉱業権者
じやないでしよう。仕事は自分の親戚の者にやらせているようでありますが……。
石田一松
178
○石田(一)
委員
櫻山
炭鉱
の小野田さんというのをご存じですか。
俵田明
179
○
俵田
證人 櫻山
炭鉱
といえば野島でしよう。
石田一松
180
○石田(一)
委員
いや小野田です。
俵田明
181
○
俵田
證人 小野田
炭鉱
ですか。
石田一松
182
○石田(一)
委員
いや、小野国という入です。
俵田明
183
○
俵田
證人 小野田という人は知りません。それは鉱主ではないでしよう。
石田一松
184
○石田(一)
委員
それでは篠崎という人は……。
俵田明
185
○
俵田
證人 それは知
つて
おります。
石田一松
186
○石田(一)
委員
これは沖宇部
炭鉱
とかというのですか。
俵田明
187
○
俵田
證人 そうであります。
石田一松
188
○石田(一)
委員
山口縣の方では庄代議士が今度の
石炭
國管反対
か何かの問題で非常に働いたというので、次の選挙は
炭鉱業者
から三百万円の選挙費用を約束されているというようなうわさがもつぱらだというのですが、そんなうわさは声聽きにな
つて
おりませんか。
俵田明
189
○
俵田
證人 聽きません。
石田一松
190
○石田(一)
委員
全然お聽きになりませんか。そういううわさはお聽きになりませんか。
俵田明
191
○
俵田
證人 それは全然聽きません。
石田一松
192
○石田(一)
委員
あなたは
東京
にいらつしや
つた
ことがありますか。
俵田明
193
○
俵田
證人 それはあります。
石田一松
194
○石田(一)
委員
そのときの宿は赤坂の中川旅館ですか。
俵田明
195
○
俵田
證人 いや、私は私の事務所がありまして、事務所の二階に寝起きしております。
俵田明
196
○
俵田
證人 私の方の選挙区でございます……。
石田一松
197
○石田(一)
委員
それではあなたは坂本實という方をご存じですか。
俵田明
198
○
俵田
證人 はい。
石田一松
199
○石田(一)
委員
この方ももとは石
炭鉱
業に
関係
のある方ですか。
俵田明
200
○
俵田
證人
関係
はないのじやありませんか。
石田一松
201
○石田(一)
委員
もと貝島
炭鉱
か何かに勤めてお
つた
が、相当の地位にあ
つた人
じやないですか。
俵田明
202
○
俵田
證人 先生は今下関で何かや
つて
いるようです。以前のことは知りませんが……。
石田一松
203
○石田(一)
委員
この方についてもそういううわさはお聽きになりませんか。
俵田明
204
○
俵田
證人 それは全然聽きません。
石田一松
205
○石田(一)
委員
あなたは
東京
にいらるしや
つた
ことがありますか。
俵田明
206
○
俵田
證人 それはあります。
石田一松
207
○石田(一)
委員
そのときの宿は赤坂の中川旅館ですか。
俵田明
208
○
俵田
證人 いや、私は私の事務所がありまして、事務所の二階に寝起きしております。
石田一松
209
○石田(一)
委員
赤坂の中川旅館には、西部
炭鉱
の
業者
が泊ま
つて
いたのではありませんか。
俵田明
210
○
俵田
證人 そんなことはありますまい。
石田一松
211
○石田(一)
委員
どこに泊ま
つて
おりましたか。
俵田明
212
○
俵田
證人 ばらばらでありました。築地にケツキンといような宿屋がありまして、そこに泊ま
つたの
は記憶しております。
石田一松
213
○石田(一)
委員
その外の記憶はありませんか。
俵田明
214
○
俵田
證人 それから本郷のどこかに泊ま
つて
おりました。神田でしたか……。
石田一松
215
○石田(一)
委員
龍名館
ですか。
俵田明
216
○
俵田
證人
龍名館
ではありません。何とかいう宿屋でした。
石田一松
217
○石田(一)
委員
中川旅館というのは御記憶がありますか。
俵田明
218
○
俵田
證人 ありませんね。
石田一松
219
○石田(一)
委員
岡部得三という人をご存じですか。
俵田明
220
○
俵田
證人 知りません。名前は知
つて
おりますけれども……。
石田一松
221
○石田(一)
委員
名前は
新聞
などで知
つて
いるが、会
つた
ことはないというのですね。
俵田明
222
○
俵田
證人 そうです。
石田一松
223
○石田(一)
委員
それでは、今度書類を
提出
なさいます際に
東京
に来た人が
泊つた
という宿も調べてつけてもらえれば非常に便宜だと思います。もしそのとき、中に一人や二人、中川旅館に
泊つた
という方があるかもしれませんから、どうかよろしくお願いいたします。
武藤運十郎
224
○
武藤委員長
ほかにございませんか――それでは最後にちよつと伺
つて
おきますが、さつきの集めた金を支出する場合の総括的な会計担任者というようなものがあ
つたの
でしようね。
俵田明
225
○
俵田
證人 事務局の方に……。
武藤運十郎
226
○
武藤委員長
どなたですか。
俵田明
227
○
俵田
證人 事務局には國崎という人がおりました。
武藤運十郎
228
○
武藤委員長
局長は國崎さんという人ですが、收入支出されたのは……。
俵田明
229
○
俵田
證人 それはたれかおるはずです。
武藤運十郎
230
○
武藤委員長
今おわかりになりませんか。
俵田明
231
○
俵田
證人 はあ。
武藤運十郎
232
○
武藤委員長
それではそのこともお調べにな
つて
、一人でや
つて
お
つた
なら一人、二人でや
つて
お
つた
なら二人。
俵田明
233
○
俵田
證人 それは多分迭
つて
おりましよう。ついて来た者が会計をしますから……。
武藤運十郎
234
○
武藤委員長
ついて來た者はそのときだけの会計でしよう。全体を見ている者があるわけです。
俵田明
235
○
俵田
證人
承知
しました。
武藤運十郎
236
○
武藤委員長
ついて来た人ももちろんお話を願いたいと思いますが、それ以外に最後に総括的に收入支出した人です。
俵田明
237
○
俵田
證人
承知
しました。
武藤運十郎
238
○
武藤委員長
それからもう一つ、西部の方では
九州
の
業者
、北海道の
業者
と一緒にな
つて
運動
をしたということはないのですか。
俵田明
239
○
俵田
證人 全然ありません。
武藤運十郎
240
○
武藤委員長
それでは済みました。御苦労さまでした。 ―――――――――――――
武藤運十郎
241
○
武藤委員長
竹鶴
さんですね。
竹鶴可文
242
○
竹鶴
證人 はい。
武藤運十郎
243
○
武藤委員長
あなたは
日本
石炭
鉱業会
の
理事
をしておられて、また北海道
石炭
鉱業会
の会長であ
つたよう
でありますね。
竹鶴可文
244
○
竹鶴
證人 そうであります。
武藤運十郎
245
○
武藤委員長
いつからいつまででございますか。
竹鶴可文
246
○
竹鶴
證人 私が北海道の
鉱業会
長になりましたのは、昨年の五月二日に総会で選任されました、それから
日本
鉱業会
の
理事
はその後こちらでや
つたの
ですが、日にちはよく記憶しておりません。
武藤運十郎
247
○
武藤委員長
その後ですね。
竹鶴可文
248
○
竹鶴
證人 そうです。それから
鉱業会
が閉鎖になりましたのは多分六月の二十五日かと思うのですが、それで
鉱業会
長は自然消滅ということになりました。
武藤運十郎
249
○
武藤委員長
現在は……。
竹鶴可文
250
○
竹鶴
證人 現在は
関係
はありません。
武藤運十郎
251
○
武藤委員長
協会の方には……。
竹鶴可文
252
○
竹鶴
證人 協会の方には
関係
ありません。
武藤運十郎
253
○
武藤委員長
当時御
承知
の通りいわゆる
石炭
國家管理法案
というのが上程されましたけれども、その前後に
反対運動
があ
つたよう
ですが、あなたの方の地区でもやはり歩調を合わせて
反対運動
をしたわけですか。
竹鶴可文
254
○
竹鶴
證人 そうです。
武藤運十郎
255
○
武藤委員長
その
運動
の方法は北海道できめたのですか。
日本
石炭
鉱業会
できま
つた
ところに従
つて
や
つた
わけですか。
竹鶴可文
256
○
竹鶴
證人 北海道は北海道として独自の
反対運動
をしたわけです。
武藤運十郎
257
○
武藤委員長
そうすると、どんなふうな方法をや
つたの
ですか。、
竹鶴可文
258
○
竹鶴
證人 私ども、は地元で機会あるごとに
炭鉱
というものの実態はこういうものであるから、國営になることは
増産
のゆえんでないことを強調してきたわけです。それゆえにパンフレットを北海道でつくりましたし
新聞
にも声明書を出した。それから各党の人が北海道に遊説に來られた機会をつかまえて、私ども
國管
になることは
増産
のゆえんでないということを
陳情
というか、力説してきたわけです。
武藤運十郎
259
○
武藤委員長
東京
の方へ参りまして、各々面に
陳情
または懇談したことはありませんか。
竹鶴可文
260
○
竹鶴
證人 私ども北海道からはずつと遅く、私來たのが八月十日ころにこちらへ参りまして、二週間くらいおりましたが、そのときに
鉱業会
の方の
理事
をや
つて
いるものですから、そういう人の驥尾に附して、
運動
といいますか、――
運動
というよりもむしろ
増産
にならないということを、あのときに西尾さん、芦田さん、ああいう方々にお話したことがあるのです。それ以外には別に私自身遅く来たものですから、ないです。
武藤運十郎
261
○
武藤委員長
九州
とか、山口とかいう方面と一緒にな
つて
行動したこともないですか。
竹鶴可文
262
○
竹鶴
證人 ないですね。それは
鉱業会
としては一緒にな
つて
や
つた
わけですけれども、私個人としては一緒にしたことはありません。
武藤運十郎
263
○
武藤委員長
相当大人数
北海道方面
からも上京してこられて滞在したわけですか。
竹鶴可文
264
○
竹鶴
證人 私は八月十日ころに出てきましたが、八月一日ころですか、北海道から、十人ばかり
委員
が出てきたわけです。
武藤運十郎
265
○武藤
委員
運動
についていろいろ必要な費用はどういうふうにして調達したのでありますか。
竹鶴可文
266
○
竹鶴
證人 必要の費用とい
つて
も、それぞれ各社から出てきていました。三井、三菱、
炭鉱
汽船というようなところからの上京の
委員
は皆それぞれの会社で旅費は負担しております。
武藤運十郎
267
○
武藤委員長
自弁したわけですね。
竹鶴可文
268
○
竹鶴
證人 ええ。
武藤運十郎
269
○
武藤委員長
トン当り
いくらというふうに、あるいは別の方法で金を集めて、それを
運動
費に充てたというようなことはないですか。
竹鶴可文
270
○
竹鶴
證人 そういうことはないです。一文もそれは出しておらぬです。
武藤運十郎
271
○
武藤委員長
そうすると、上京その他によ
つて
運動
した費用は、旅館でも汽車賃でも、食事代でも、乖り物、自動車その他すべて自弁ということでや
つた
んですか。
竹鶴可文
272
○
竹鶴
證人 そうであります。
鉱業会
の職員として出てきているものは、やはり自動車なんかの費用は
鉱業会
の事務局の費用でいくらか負担してお
つた
わけです。
武藤運十郎
273
○
武藤委員長
北海道
石炭
鉱業会
の……。
竹鶴可文
274
○
竹鶴
證人
鉱業会
のです。
武藤運十郎
275
○
武藤委員長
それでは費用はこのためには全然集められなか
つた
わけですね。
竹鶴可文
276
○
竹鶴
證人 そうです。
武藤運十郎
277
○
武藤委員長
これは安國(やすくに)鉱業所というのですか、安國(あんこく)鉱業所というのですか。
竹鶴可文
278
○
竹鶴
證人 安国(やすくに)鉱業所というのはありません。
武藤運十郎
279
○
武藤委員長
安國鉱業所というのはないのですか。札幌市南五條西九丁目というので、安國
炭鉱
札幌事務所竹内六造というのがあります。これは御存、じありませんか。
竹鶴可文
280
○
竹鶴
證人 私は知りません。
武藤運十郎
281
○
武藤委員長
ここでパンフレット代を三百円拂
つた
という報告が來ておるのですが、パンフレットを買
つて
もら
つたの
ですか。
竹鶴可文
282
○
竹鶴
證人 私全然知りません。パンフレットは
鉱業会
の名で出しまして、当時参議院の方と衆議院の方へそれを配布したはずであります。
武藤運十郎
283
○
武藤委員長
各鉱業主にも買
つて
もら
つた
というわけでもないのですか。
竹鶴可文
284
○
竹鶴
證人 買
つて
もら
つた
ということはありません。
武藤運十郎
285
○
武藤委員長
とにかくこの
石炭
國管
案
反対運動
のためには、いかなる金も特別にと
つた
ことはないわけですね。
竹鶴可文
286
○
竹鶴
證人 ないです。
武藤運十郎
287
○
武藤委員長
特に会費とか分担金というような月々と
つて
おるものをそのため増額したこともないのですか。
竹鶴可文
288
○
竹鶴
證人 ありません。
武藤運十郎
289
○
武藤委員長
そうするとう
鉱業会
なり個人の
業者
から相当な金額を政治家なりどこなりへ送
つた
こともないわけですか。
竹鶴可文
290
○
竹鶴
證人 もちろんありません。
武藤運十郎
291
○
武藤委員長
何かお尋ねすることがありますか。
中村元治郎
292
○
中村
(元)
委員
あなたは北海道からこちらにおいでになりまして、個人の場合は別問題ですが、
鉱業会
としてあなた方の
理事
のうち、会合なんかの場所へ行かれたことはありませんか。
竹鶴可文
293
○
竹鶴
證人
日本
石炭
鉱業会
の
理事
でございますか。――何か
炭鉱
の事情がなかなか議員の方にはよく認識ができておらぬので、いろいろ
炭鉱
の事情を聽きたいというので、
鉱業会
で座談会があ
つた
。そのとき私ちようど出ておりました。
中村元治郎
294
○
中村
(元)
委員
鉱業会
の事務所なんかで……。
竹鶴可文
295
○
竹鶴
證人 はあ。
中村元治郎
296
○
中村
(元)
委員
その他旅館とか待合というような所に出かけられたことはありませんか。
竹鶴可文
297
○
竹鶴
證人
日本
鉱業会
の
理事
としては、私は二週間ばかりしか
東京
にいなか
つたの
で、私が
東京
におる間はそういうことは一切ありませんでした。
石田一松
298
○石田(一)
委員
國管
案
反対運動
のために金を集めたことは全然ない。各会社でこれは分担してや
つた
。大手筋の会社はいわゆる制限会社だということですから、これは何か特別な支出とか手当とか給與にな
つて
おるはずですが、ほかの会社のことは
御存じ
ないかもしれないが、あなたの会社ではどういう手続でおやりになりましたか。
竹鶴可文
299
○
竹鶴
證人 私は会社にも
関係
していなか
つたの
ですが、しかしあの当時なかなか向うも忙しいものですから、わざわざそれがために出てくることは困難なので、ちようど社用で
東京
に来ておる人を
國管
の方の
運動
の
委員
に指名いたしまして、社用で來ておる
委員
がや
つた
。またそのために上京してからかたがたいろいろな本社の連絡したというようなことで、それ専門に來たわけでもないのです。
石田一松
300
○石田(一)
委員
八月一日に十人ほど来たとおつしやいまじたが、ではこれも社用でいらつしや
つた
ことにな
つて
おるのですか。
竹鶴可文
301
○
竹鶴
證人 その当時来ておる人を
委員
に指名して、来ていなか
つた
会社からはやはり別に人が出て来たということになります。
石田一松
302
○石田(一)
委員
そうすると八月十日の十人というのは、來ていなか
つた
から新たに北海道から上京させた人ですか。
竹鶴可文
303
○
竹鶴
證人 八月一日に來た中で、はつきり記憶しておりませんが、そのうちで半分くらいは上京してお
つた
連中
を
委員
に指名したわけであります。
石田一松
304
○石田(一)
委員
そうすると先ほどの八月一日に十人ばかり来たというのは、中の半分はこちらに來ていた者ですか。
竹鶴可文
305
○
竹鶴
證人 大体そういうことです。
石田一松
306
○石田(一)
委員
それで一人当り社用としての、要するに本人のもらう月給と全部を含めて一日当りどれくらいの経費がほぼかか
つて
おるのですか。
竹鶴可文
307
○
竹鶴
證人 それはもう出張旅費だけもら
つて
来ておるだろうと思うのです。会社の出張で耐用も兼ねて來ておるのですから、それは会社によ
つて
違うでしようが、大体旅費規程がありまして、その旅費規程で金をもら
つて
おる。
石田一松
308
○石田(一)
委員
ほぼどんなものですか。
竹鶴可文
309
○
竹鶴
證人 ほぼどんなことにな
つて
おりますか、会社の内規によ
つて
違うでしよう。
石田一松
310
○石田(一)
委員
北海道のどこでもいいのですが、ほぼどれくらい……。
竹鶴可文
311
○
竹鶴
證人 汽車賃は実費を出しておるし、四、五百円くらいじやないですか、日当、宿泊料……。
石田一松
312
○石田(一)
委員
この範囲内で、自分のもら
つて
おる月給と、要するに旅費の手当で
國管
の
運動
もし、会社の用もなす
つたの
ですか、
竹鶴可文
313
○
竹鶴
證人 会社の用もやりました。
石田一松
314
○石田(一)
委員
そうすると一日千五百円以上になるというようなことはありませんか。一人の人の月給とか出張手当を加えて一日千五百円、その人が一日千円とすると一箇月三万円の月給をと
つて
おるわけです。
竹鶴可文
315
○
竹鶴
證人 千五百円は拂
つて
いないでしようね。
石田一松
316
○石田(一)
委員
そうすると北海道の
人たち
はその程度で、社用と
運動
とを兼ねて行
つて
、それであまり不平は言わなか
つたの
ですか。これじや手当が足りない、もう少しよけいくれとかいうことを言わなか
つた
ですか。
竹鶴可文
317
○
竹鶴
證人 そんなことは聽かなか
つた
。平生でも旅費が足りないということでよく文句を
言つて
きておりますから……。
武藤運十郎
318
○
武藤委員長
ほかにございませんか。――それでは最後に伺いますが、夕別
炭鉱
というのはございますか。
竹鶴可文
319
○
竹鶴
證人 ええ。
武藤運十郎
320
○
武藤委員長
炭鉱
鉄道株式会社というのですか。
竹鶴可文
321
○
竹鶴
證人
炭鉱
と鉄道と一緒にや
つて
おるので鉄道株式会社。
武藤運十郎
322
○
武藤委員長
ここから出た者に團体交渉資金分担金というのがあるのですが、これは何ですか、おわかりになりませんか。
竹鶴可文
323
○
竹鶴
證人 ちよつとわからぬですが、それは
東京
で使
つたの
ですか。
武藤運十郎
324
○
武藤委員長
いや、向うの会社から出しておる金です。
日本
石炭
連盟というところへそういうものを出すわけじやないですか。
竹鶴可文
325
○
竹鶴
證人
日本
石炭
連盟へは会費を拂
つて
おるのです。
武藤運十郎
326
○
武藤委員長
いや、分担金のことはおわかりになりませんか。
竹鶴可文
327
○
竹鶴
證人 わからないですね。
武藤運十郎
328
○
武藤委員長
それでは済みました。御苦労さまでした。 それしでは本日はこれにて散会します。 午後六時二十九分散会