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木曽証人 最初私がなぜこういう
会計の
責任者とか
監督に
なつたかということを申しますれば、この種の
運動については
共同の金だから、とかくどうだこうだといううわさ、使いこむという悪いことはどうか知りませんが、そういう
疑惑をもちたがるものだから、たれか
責任者を立てたらいいだろう、こういうことから皆んなが私にな
つてくれということに
なつた。いや、
自分は
会計とか経理とかいうことはだめな人間だから。とにかくあなたがな
つてくれればそれでいいのだ、あなたに取扱
つてくれというのではないのだ、少少の違いがあ
つても
疑惑はもたないからそうしてくれ。
自分はおお
ざつぱな男で、そんな計算のできる男ではない。
会計というようなことは最も不得手で、したことはない。とにかくこうや
つてくれれば皆んなが安心するのだから、そういう
程度ならよろしい、というのでな
つたので、
最初から正式に帳簿をつけるとか、また一銭々々間違いないようにするということであれば当然私は断
つておるのです。それからどういう
方法で
支拂をしたか、
出し入れをしたかというと、
事務員に五万なら五万、十万なら十万の金を
渡しておく。そうすればその日の晩か、その晩でなか
つたら翌日來て、あの金はどういうふうに
出しましたと言
つて紙片に書いて、何月何日から何月何日までの残高はこれだけある、こういう
傳票をも
つてくる。そこでそれをしま
つておいて、十万円とか五万円をやる。それが終ればまた
傳票を持
つてきて、領收書が必要ならば領收書を持
つてくる。そうしていよいよ
運動を済まして十二月にな
つて國管に通過して帰
つてきた。帰
つてきてこれだけにな
つておるがとい
つてそれを集計させた。私もいつまでも責任をもつわけにいかないから、國管が通過して
運動は済んだのだから総決算をしなければならないというので、あらましの
金額をと
つて集計させた。そして報告しようとした。しかしここに六百万円という
借入金がある。この
借入金をどうしたらいいか、困
つたものだ。それに対して私は皆樣に負担はかけまい。別の
方法で考える、こういう考えもあ
つたものですから、それで六、七人のおもな者に
運動経過を報告して、金銭を頼むについて六、七人のおもなものについてこういうことに内容はな
つているんだ、集計はこうな
つているんだ、
借入金はこうな
つているんだ、そこでいや御苦労さまでした、これをどうするか、この足らぬ金は追
つて研究しよう、
自分にも考えがあることだからということで一切済んだわけであります。だからその
傳票をそのときに処理というか、破
つたとか、燒いたとかはわかりませんが、それで私はてつきり國管というものは済んだと思
つていたが、檢察廳でもこの点についていろいろしつこくお問にな
つて帳面がないとか、
傳票がない、集計したものがないのはおかしいではないかと言われた。いやおかしくない。それならなぜ保管しておかぬか。私はいつまでも責任は負えぬ。保存する義務もないし、済んだと思
つているのに何ゆえにまた保存しなければならぬか。しかしわからぬとすればそこまでしないでもよいということで大体御了承を得たつもりですが、これは税の対象となるべきものでもなし、また大体
会社が解散をして清算事務が済んでしま
つて、それをいつまでもある人が責任をも
つておるということがないと同じように、私はこの
運動は昨年末で済んでしま
つた。それをこの九月までも
つておかなければならぬという義務はない、こう考えた。そう固苦しいことは考えなくて、すべては済んだのだというので、名簿も何もないけれども、使い途のことをしきりに問われるから、記憶をたど
つて、大筋のことはわか
つておるけれども、こまかいことは記憶にない。しかしできるだけのことをして出せ、こうおつしやるから、それではその当時の関係した人、またこの旅費日当などは
本人に聽けばある
程度のことはわかるだろうから、記憶を喚び起して、なるべく御了承のいくようなものをつくりましようということで、これをつくり上げるのに
九州に
行つて一週間くらいかかりまして、やつと概算表をつく
つたのです。それを檢察廳に
出し、また当
委員会の方にも提
出したわけであります。
帳面がないとか、
傳票を処理したのはそういう事情であります。どうぞひ
とつ御了解を願いたいと思います。